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【第二部】堅物騎士団長と新婚の変装令嬢は今日もその役を演じます
16.説明してください
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マリアは廊下で見知らぬ男性に抱きしめられていた。声をかけるのは気が引ける。彼女が無事であることを確かめられればいいのだ。
その彼女に視線を向けていたら、腕を掴まれて空いている部屋に連れ込まれてしまった。
「じゃ、説明してもらおうか」
入口を男二人に塞がれてしまったエレオノーラ。しかもその男二人が腕組みをしているものだから、エレオノーラは縮こまるしかない。
「ええと、ですね。今回の対象のアルフレッド子爵がですね、ドムお兄さまに似ているというので、とりあえずドムお兄さまと行動するように、というのがショーン団長からの命令でした」
「はあ? なんでだよ」
「あの、アルフレッド子爵は、狙った女性と共に行動をして、仲間に知らせるようなので」
だからあの仲間の男二人は、レストランで見かけたドミニクをアルフレッドと勘違いし、そのときに一緒にいたエレオノーラを対象人物であると思い込んだのだ。
「つまり。偶々あのアルフレッド子爵と似ていた僕が囮にされたわけだ」
「囮というわけではないのですが。全ては偶々の産物ということで」
はぁ、とドミニクは肩を落とした。
「なんか、いいように使われたな、今回は」
「まあ、私は毎度のことながら、いいように使われておりますが」
「エレンはそれが仕事だろう」
それを言われてしまえば元も子もない。
「ところでドミニク殿は、どこからこのパーティの情報を?」
ジルベルトがこのままでは兄妹喧嘩になるかもしれないと思ったのか、口を挟んだ。彼のいうこのパーティとは、クラレンスが参加していた王宮のパーティではなく、この屋敷で開かれていたパーティのこと。
そしてこっちのパーティの参加者も、王宮のパーティの警備に人が駆り出されているから、街中の警備も薄れるだろうと思っていたようだ。他の参加者の中にも、少し羽目を外した者もいるとかいないとか。
「こっちの騎士団からの情報ですよ。招待状を準備してくれたのも、こっちですから。まあ、多分、というか絶対。あっちの騎士団とこっちの騎士団は繋がっているんでしょうけどね。僕たちの知らないところで、情報の交換はされていたんでしょうね」
「まあ、私も少しはこっちの情報を聞いてはいたな。実際に、ショーンに相談してエレンに潜入調査を頼みたいとお願いはしていたからな」
「ジル様。私が潜入したのは、ここだけではありませんよ? むしろ、今日、このパーティに潜入するように言われたことの方が初耳でしたから」
「なんだって」
と、男二人が声を揃えて言った。
「私が命令を受けていたのは。とりあえず、フレドリック子爵に似ているドムお兄さまと目立つお店でお食事をすること。それから、怪しげな酒場に潜入することの二つでした」
「怪しげな酒場ってなんだよ」
ドミニクが頭を押さえる。
「フレドリック子爵が利用しそうな酒場です。何軒かあるのですが、今回のターゲットはマリアさんであるという情報をもらっていたので、マリアさんがよく利用されている酒場に潜入してみました」
「で? 客にでもなったのか?」
「いいえ。もちろん店員ですよ。怪しまれずに、フレドリック子爵に近づくことができますからね」
店員になって、フレドリックやマリアに酒を出したり料理を出したりしていた。多分、その二人はあの店員がエレオノーラであったことに気付いていないだろう。
「ま、とりあえず終わったから。いいか」
ドミニクが言う。
「そうですね。任務完了です」
「いや。まだだ」
ジルベルトが真面目な顔でそんなことを言うものだから、他にどんな任務があったのかを思い出そうと試みる。
「ジャックの件だ」
ジルベルトが真面目な顔で呟いた。「ジャックは、どうやらセレナに本気らしい」
「え、え? ジャックさんは、あんな堅物女史が好みなんですか?」
自分で演じておきながらも、酷い言いようだ。
「そうらしい。しかも、エレン。セレナには婚約者がいないとか言ったらしいな?」
ジルベルトの目が怒っている。
「え、えぇ。婚約者はいない、ですよね? 間違っていないと思いますが」
いろんな意味で。
「まあ、そうだが」
「もう、いっそのこと。ジャックさんにはセレナがレオンであったことをばらした方がいいんじゃないんですかね? 事後処理のことを考えると、その方が楽のような気がします。多分、僕たちは数日間、こっちに残らなければならないような気がするんですよね」
「え? ドムお兄さまも予言者なのですか?」
「も、ってなんだ。も、って」
「いえ。ダンお兄さまも、私とジル様が結婚することを予言なさったので」
予言者でなくても、そのくらいのことはわかるような気もするのだが。
「エレンの頭は本当にめでたいな」
そこでドミニクはくしゃっとエレオノーラの頭を撫でた。
「どういう意味ですか?」
上目遣いでドミニクを見つめ、頬を膨らませる。
「さて、僕たちも陛下に報告にいきましょう。エレン、もう少しレオンぽい恰好に直してくれ。特に顔」
特に顔、を強調されてしまったため、エレオノーラはレオンとなるべく髪型と顔を変えた。
クラレンスの元へと報告に向かう。護衛としてついていたジャックはどうやら悟ったらしい。あのセレナがここにいるレオンである、ということを。
その彼女に視線を向けていたら、腕を掴まれて空いている部屋に連れ込まれてしまった。
「じゃ、説明してもらおうか」
入口を男二人に塞がれてしまったエレオノーラ。しかもその男二人が腕組みをしているものだから、エレオノーラは縮こまるしかない。
「ええと、ですね。今回の対象のアルフレッド子爵がですね、ドムお兄さまに似ているというので、とりあえずドムお兄さまと行動するように、というのがショーン団長からの命令でした」
「はあ? なんでだよ」
「あの、アルフレッド子爵は、狙った女性と共に行動をして、仲間に知らせるようなので」
だからあの仲間の男二人は、レストランで見かけたドミニクをアルフレッドと勘違いし、そのときに一緒にいたエレオノーラを対象人物であると思い込んだのだ。
「つまり。偶々あのアルフレッド子爵と似ていた僕が囮にされたわけだ」
「囮というわけではないのですが。全ては偶々の産物ということで」
はぁ、とドミニクは肩を落とした。
「なんか、いいように使われたな、今回は」
「まあ、私は毎度のことながら、いいように使われておりますが」
「エレンはそれが仕事だろう」
それを言われてしまえば元も子もない。
「ところでドミニク殿は、どこからこのパーティの情報を?」
ジルベルトがこのままでは兄妹喧嘩になるかもしれないと思ったのか、口を挟んだ。彼のいうこのパーティとは、クラレンスが参加していた王宮のパーティではなく、この屋敷で開かれていたパーティのこと。
そしてこっちのパーティの参加者も、王宮のパーティの警備に人が駆り出されているから、街中の警備も薄れるだろうと思っていたようだ。他の参加者の中にも、少し羽目を外した者もいるとかいないとか。
「こっちの騎士団からの情報ですよ。招待状を準備してくれたのも、こっちですから。まあ、多分、というか絶対。あっちの騎士団とこっちの騎士団は繋がっているんでしょうけどね。僕たちの知らないところで、情報の交換はされていたんでしょうね」
「まあ、私も少しはこっちの情報を聞いてはいたな。実際に、ショーンに相談してエレンに潜入調査を頼みたいとお願いはしていたからな」
「ジル様。私が潜入したのは、ここだけではありませんよ? むしろ、今日、このパーティに潜入するように言われたことの方が初耳でしたから」
「なんだって」
と、男二人が声を揃えて言った。
「私が命令を受けていたのは。とりあえず、フレドリック子爵に似ているドムお兄さまと目立つお店でお食事をすること。それから、怪しげな酒場に潜入することの二つでした」
「怪しげな酒場ってなんだよ」
ドミニクが頭を押さえる。
「フレドリック子爵が利用しそうな酒場です。何軒かあるのですが、今回のターゲットはマリアさんであるという情報をもらっていたので、マリアさんがよく利用されている酒場に潜入してみました」
「で? 客にでもなったのか?」
「いいえ。もちろん店員ですよ。怪しまれずに、フレドリック子爵に近づくことができますからね」
店員になって、フレドリックやマリアに酒を出したり料理を出したりしていた。多分、その二人はあの店員がエレオノーラであったことに気付いていないだろう。
「ま、とりあえず終わったから。いいか」
ドミニクが言う。
「そうですね。任務完了です」
「いや。まだだ」
ジルベルトが真面目な顔でそんなことを言うものだから、他にどんな任務があったのかを思い出そうと試みる。
「ジャックの件だ」
ジルベルトが真面目な顔で呟いた。「ジャックは、どうやらセレナに本気らしい」
「え、え? ジャックさんは、あんな堅物女史が好みなんですか?」
自分で演じておきながらも、酷い言いようだ。
「そうらしい。しかも、エレン。セレナには婚約者がいないとか言ったらしいな?」
ジルベルトの目が怒っている。
「え、えぇ。婚約者はいない、ですよね? 間違っていないと思いますが」
いろんな意味で。
「まあ、そうだが」
「もう、いっそのこと。ジャックさんにはセレナがレオンであったことをばらした方がいいんじゃないんですかね? 事後処理のことを考えると、その方が楽のような気がします。多分、僕たちは数日間、こっちに残らなければならないような気がするんですよね」
「え? ドムお兄さまも予言者なのですか?」
「も、ってなんだ。も、って」
「いえ。ダンお兄さまも、私とジル様が結婚することを予言なさったので」
予言者でなくても、そのくらいのことはわかるような気もするのだが。
「エレンの頭は本当にめでたいな」
そこでドミニクはくしゃっとエレオノーラの頭を撫でた。
「どういう意味ですか?」
上目遣いでドミニクを見つめ、頬を膨らませる。
「さて、僕たちも陛下に報告にいきましょう。エレン、もう少しレオンぽい恰好に直してくれ。特に顔」
特に顔、を強調されてしまったため、エレオノーラはレオンとなるべく髪型と顔を変えた。
クラレンスの元へと報告に向かう。護衛としてついていたジャックはどうやら悟ったらしい。あのセレナがここにいるレオンである、ということを。
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