23 / 27
イケナイ身体
しおりを挟むつうかそこまで事細かに知りたくなかった。
なによ。上に跨がって擦り付けて、って。
行為を堂々と述べる旦那様はよっぽど頭がオカシイのね。それともこれが都会の常識? まさか社交界ってそういう話もしなければならないのかしら。
だとしたら私も淑女として時が来ればこういった類いの話も堂々としなければならないってこと?
(ええい! 女は度胸! 旦那様がクリスティーヌ様と別れた以上、パーティーに参加することも増えるんだから……!)
「えっ、そしたら……」
そうよ。視点を変えれば今まで私が参加しなければならなかったであろうお茶会やパーティーも全てクリスティーヌ様がやってくれてたってことよ。
だからその間私は好きなことが出来てたのに。
「こいつァてーへんだァ……!」
釣りに行く時間がねェじゃねえか!
私が突然叫び立ち上がるもんだから旦那様ったら驚いてピンと背筋を伸ばした。別に怒ってるわけじゃないのだけど。
都会にすら慣れていないのに釣りに行く時間まで奪われたら恐らく祭りで大変に狂乱する。そうなったら死者が出るかもしれない。こりゃエライコッチャ。クリスティーヌ様には申し訳無いが、もう少しお世話になりたいなぁ。
「急に大声だしてどうしたんだ……!?」
「オイ! 勃たせろ! なんとしてでも!」
「は、は……?」
「つまりは勃てば良いんだろ!? 但し離婚はしない!」
「た? え、え……?」
「勃たせろつってんの!」
「いいいま……?」
「今じゃねェ! クリスティーヌ様にだよ!」
私に勃たせてどうすんだよと足ドンして胸ぐらを掴み揺らすと、「だからそれが無理なんだと言ってるじゃないか……!」なんて生意気にも口答えしてくる。不倫してた分際で。
「何で無理なんだよ!」
「無理なものは無理だ……!」
「だから何で! 理由を言え!」
「たっ、勃たなくなったのはエマ! 君のせいなんだ……!」
「は?? コイツクソヤローか?? 人のせいにするクソヤローなのか??」
「君のッ! この太ももがイケナイんだろう……!?」
「ぎゃ!?」
「このお尻も! 全部全部! この身体のせいでッ、私は、私はッ……! クリスティーヌを傷付けてッ……!」
「ちょっとどこ触って!?」
旦那様に足ドンしていた太ももを掴まれ、ぐるりとベッドに押し倒される。股を開かされてグニグニとお尻を揉まれ一体これはどういう状況だ。何で私のせいでクリスティーヌ様を傷付けることになるんだ。そしてコイツは何をやってやがるんだ。
「てめー! 何しやがんだコノヤローー!」
腕の動きを封じ込めようとグッと太ももで絞め上げれば苦しそうな声を出す旦那様。少し締めすぎたのか私の上に倒れてきて、衝撃を胸のクッションで和らげている。
「ぅ゙ぅ゙……う~……」
「フフン。苦しいでしょう。旦那様が変なことするからです、よ!!?」
「ぅ゙~、ぅ゙ん、ん゙ー……ッ」
もがき苦しんでいるのかと思えば此奴……!
ヘコヘコ。ヘコヘコ。
そんな擬音が聞こえてきそうな腰の動きが伝わってくるではないか……!
「は!? は!? なッ、なななななにやって……!!?」
「ふっ、ふっ、はぁッ、ん゙うっ、ん゙ッ、」
私の恥部に何やら硬くて熱いものが当たっている。しかもヘコヘコする度に大っきくなっているような……。
「オォオオオオオイ……!! 何やってんだコラァーーー!!」
この状況であまりにも奇怪な行動だから思い切り蹴飛ばした。相手次期侯爵だけど。
なのに相手も懲りずに迫ってくる。
「ッは、何やってんだコラではない!! 私はもうッ、君でしかっ、エマにしかッ、勃たなくなってしまったんだよ……! 一体どうしてくれるんだ……!!」
「ッ!? はあッ!? なっ、何を仰ってるんです!?」
「君が初夜であんなに締め付けるから……! 駄目なんだよ! クリスティーヌでは!!」
「ハッ! 私のせいってそういうコト言ってやがんのか!? クリスティーヌ様がゆるゆるだって言いてェのかコイツは……!」
「クリスティーヌの為にも反論しておくがそれは違う! 君がキツキツなんだ──ッ!」
「んなァ──っ!!?」
64
あなたにおすすめの小説
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる