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初めての、おはよう……?
しおりを挟む「──おはようエマ」
そんな言葉を掛けられた朝は結婚してからたぶん…………。
(ってナニコレデジャビュ……!? え!? あれ!? なんかこの光景見たことあるぞ……!?)
驚いて飛び起きようとしたが何故か無理だった。全身が重いし痛い。特に腰が。
(あ…………)
そうだ。
何度『まだ収まらない』と聞いたことか。
最中、レースのカーテンから漏れる太陽がやけに眩しかったのを覚えている。
ということは昼頃までは致してた、と。
そうか。そうかそうか。
なんかもう、すごかったな。
体力には自信がある方なのだが、今日ばかりはぐったり。
まさか旦那様があんなにも性欲馬鹿だとは。獣より獣。いや、獣オブ獣か?
「ははあ。さすがのエマもあれだけ苛めれば大人しいな」
「な……」
何か反論してやりたいけど己を疑うぐらいそんな体力もない。
スッキリした顔しやがって。腹が立つ。
つうか何故お前はそんなに普通なんだ。まさか体力が残っているというのか。
(ひえ……恐ろしい……)
「エマ、水分を取らないと。あれだけ濡らしたんだから身体がカラカラだろう」
「へあ……」
そう言って旦那様はどっこいしょと私の上体を起こし、大量の枕を持ち寄って背もたれを作り、口元に水の注がれたカップを近付けた。
丁寧にそのカップを傾ける旦那様だが、如何せん私の反射が追い付かない。
ゴクンと飲み込む以前に、唇に水をつけただけでボトボトと胸に零れ落ちていった。
「ん……あ……」
「ふむ、全くエマったら。世話の焼ける娘だな」
ゆっくりとした動作で胸元に目をやると、寝衣のシルクガウンが胸元を中心に濡れてシミになっている。
たしかこのガウン、朧気な記憶の中で旦那様が『風邪を引くから』と着せてくれてたような。証拠に腰紐の結び方も私とは違う。
しかも何故か私の胸の突起が主張していやがるじゃねぇか。何故だ。何故なんだ。
おのれ、鎮まれ。
シルクの滑らかな生地め。滑らかに突起を主張させるな。くそう、腹が立つ。
によによとこの状態を眺める旦那様にもすっごい腹が立つけど、本当に腹が立つぐらい何も反射出来ない。
ありとあらゆるセイ気を吸い取られた。駄目だこりゃ。
「仕方ない、私が綺麗にしてやろう」
と旦那様。
てっきりタオルで拭ってくれるのかと思いきや、滑らかな生地越しにツン主張したところをちゅうと吸いやがる。
「っあ……! あッ……!」
「まだ反応するか。いやらしい身体だな」
「ッ、て……ば………ん…………ぇ……!」
「え? なんだって?」
オカシイ。
テヤンデイバーローコンチキショーメ! って言ったはずなのに何も言葉になっていない。駄目だこりゃ(※二度目)
唯一反抗できたのは振り上げた拳だけ。とは言っても肩に手を置いただけになってしまったけど。
しかもその置いた手を取られ、「エマ……可愛い私の妻よ……」などと呼び、ちゅと甲に口付けされた。むかつく。
※因みにタオルでもしっかり拭ってくれた。
その後なんとか手助けされながらチビチビ水分を取り、ようやくひと息ついたところでまたもや旦那様が口を開く。
「さてエマ。私が最後に子種を注いでからえ~~…っと、二週間程か」
「ふぁ……?」
「二週間でこれだぞ? どうするエマ」
「……ふぁ??」
「二週に一度の営みでこの有り様……。これじゃあエマも大変だろう。これからは毎日愛し合うのが良いと思うのだが」
「……!? む、むり、むり……っ!」
何を突然言い出したのかと思えばとんでもない提案をしてきやがる。
此奴、つい先日クリスティーヌ様と別れたばかりのくせに。
(いや……確かに子孫は必要だろうけどよォ……もっとこうさァ……)
「無理!? さすがに毎日愛し合えば互いに情も湧くと思ったのだが……。む、しかしそれでは私の罰にもならぬな……。では二日に一度だな」
「そ!? な、や……!」
「それでも駄目か……!? ならどれぐらいなら許される!? 三日に一度か……!?」
その後も旦那様はいちにちずつ増やしていって、最終的には“一週間に一度”で落ち着いた。些か不満そうだが、確かに二週間でこれでは私の身体が持たない。
(ハッ──!? まさか私たちが結婚するまではクリスティーヌ様おひとりでコレを受け止めていやがったのか……!?)
「クッ……(あの女……とんでもねーぜ……!)」
ひとまず体力作りをせねばならぬ(旦那様風)と意気込んだ私であった。
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