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コテージの流れ星※
しおりを挟む熱る身体を湯に沈めて誤魔化した。広すぎる浴室には木の香りが充満している。
空間を照らすのは足元にあるオレンジのライトだけで、水が揺らぐと炎のよう。ロマンティックでムードたっぷりって感じの雰囲気。にしても身体を洗う場所にしては少々暗すぎやしないかいなんて思ったが、湯に浸かり、ふう、と天を仰げば理由が判った。
硝子張りで、満天の星空が頭上に広がっていた。
「だから暗くしてんだぁ……」
ぽつり呟く。今こうしている間も彼は私が出てくるのを待っているのだろうか。
ああ言われたからいつもより丁寧に洗って身体のチェックをした。また朝まで寝かせてもらえないのかとか考えるだけで疼いてしまって、馬鹿みたい。まさか期待しているのか。馬鹿馬鹿しいのに思い出すだけで疼きやがるから腹が立つ。勝手に濡れるなわたし。
こんなこと考えてる自分がなんだか恥ずかしくって、ブクブクと頭のてっぺんまで沈めて浮上したらキラリと流れ星。
(おっ。やった!)って思って願い事は何にしようかと考えて、また流れてくれるかなぁと期待して、そのまま夜空があまりにも美しいから呆けて眺めていたら、「遅い」と言ってずかずか乙女の入浴に入り込んでくる男の姿。
「はっ!? ちょっ、は、入ってこないで下さいよっ!」
「待っていたら朝日が昇ってしまう」
「んなワケないでしょ!?」
ごもっともなツッコミを入れる私だが、もう全部見ているのに思わず目を逸らして、もう全部見られているのに思わず身体を隠して背を向けた。こんなでも羞恥心ぐらいありますよ。一緒にお風呂だなんて仲良し夫婦でもあるまいに。
そんな思考とは裏腹に、背後ではシャワーを浴びる音が聴こえ、石鹸の香りが漂う。逃げなきゃ絶対意地悪される。しかしどう逃げようか考えていたほんの数十秒で湯船のかさが増した。どきりと心臓が跳ね、逃げ残った身体が捕まる。
心地良い湯の中で肌が触れ合うと余計に濡れてきちゃってホントもうやだ。
首筋や耳や頬に落とされるキスがたまらなく切なくて身体の向きを直して正面から抱き合った。私だってそんなに我慢できるほど丈夫じゃない。
吸い寄せられるように彼の唇を求めるとブルーも求めるように応えてくれる。溝尾あたりに硬くなった彼のものが当たるので、早く欲しくて自身の割れ目に添わせた。湯の中の柔らかな重力に任せゆらゆらと腰を揺らすと、喉の奥が苦しそうに唸る。乳首同士擦れているのを辛そうに眺めてはぁと溜息。
「ッ、本当に……何処で覚えてきたんだか……っ」
「んぁ……はぁっ……そんなの、経験、ですよ」
「千聖が、この国で生まれ育った令嬢なら……相当な遊び人だろう」
「いやちょっ、今まで付き合ったの五人ぐらいなんですが!?」
「五人も居るのか……」
「え? え? 多い……?」
うぅーん、と唸って納得いかなそうな顔をするが、私の付き合った人数は極めて普通だと思う。あくまで向こうの世界では、だけど。
「てかブルーさんだって婚約者は居なくてもこういう経験あるんでしょ? それ五人以上居るでしょ?」
「…………」
「くふっ、黙っちゃった。まぁそれと似たようなものです」
「絶対に違う」
「なんで」
「ただの行為に心など無いだろう」
「えっ? ッ──! ああんっ!」
油断していたら腰をぐいと掴まれ落とされて、奥深くまで挿入されてしまった。ばしゃばしゃと水面が激しく波打ち、快感に身悶える顔を晒してしまう。
ほら。また首や胸元に切なくキスを落とす。
──ただの行為に心は無い。
それは私との行為は“ただの行為”では無く、ちゃんと心があるという事なのか。そう考えるだけで、こそばゆくて、きゅんと締付けてしまう。
「はっ、分かり易い身体だな……っ」
「あッ、あッ! まって、イッちゃうかもっ、まって……っ!」
「待ってたらのぼせてしまうぞ」
「ああッ! やっ、んんーーッ!!」
くたりと彼の胸に倒れ込むと、まだ達していないのに彼のものが膣から抜かれる。どうしたんだいと顔をあげると、ぽん、と頭に優しい手のひら。
「このままだと本当にのぼせるぞ。続きはベッドで」
「ん、」
私にしては珍しく素直に返事をして、まだ元気な内に湯から上がった。
じいっと身体を眺められるから、「流れ星でも探してて!」と怒ったのだった。
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