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第二話 狂犬の戦士たち
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「相手の得意分野で戦うことはない。勝つためにはどんな手段も使え」
「はあ、はあ、・・・・・・わかっていますよメシア団長」
ヴァスティナ帝国演習場。
お互いに剣を使って戦う宗一とメシア。剣を使えない宗一のために、今後のことを考えたメシアが、彼のために時間をつくり、模擬戦を行なったのだ。帝国を旅立つ前、騎士団長と行なっていた、修行の一つである。
結果は見事に宗一の惨敗であった。剣を使用する戦いにおいて、騎士として剣を自在に操るメシアと、使った経験など全くない宗一では、話にもならないのだ。
剣だけでなく、槍や弓を使った模擬戦も行ったが、どの武器も簡単に使いこなしてしまうメシアには、まったく歯が立たなかった。
「剣を使えと言ったが、私とお前では実力が違う。ならば、剣以外のあらゆるものを使え」
「腕や足、その辺の砂や石に至るまで、勝つためなら何でも使えってことですよね」
勝利のために手段を選ばないことは、先の戦争で宗一自身が行なったことだ。故にそれは、身をもって理解している。
この場合は、剣を使った模擬戦ではあるが、普段から剣を使用しているメシアに、馬鹿正直に剣で挑んでも勝ち目はない。ならば、剣以外のあらゆる武器を使い、手段を選ばず目の前の敵を倒せと、彼女は言っているのだ。
「模擬戦であろうと関係ない。お前がどんな時でもそうでなければ、旅の道中に敵と遭遇すれば、死ぬぞ」
「はい」
「一人で複数の敵と戦う時も手段を選ぶな。道中に野盗などと出会えば、一対一の戦いはないだろう」
「一対複数だと厳しいですね。なにか戦う時のコツとかないですか?」
聞かれたメシアは少し考える。騎士団長で経験豊富な彼女であれば、宗一の想像できない、戦闘の仕方を心得ているかも知れない。そう思っていた。
「根性だ。大抵はそれでなんとかなる」
「まさかの根性論ですか!?」
実際そうかも知れない。軍隊とは基本根性論である。騎士も兵士もそれは変わらないはずだ。
戦いの場で、最後にものをいうのは根性だろう。現に宗一自身も、先の戦争では根性で戦っていた。
「リック。女王陛下のため、なにを求める?」
「どうしたんですか急に」
「答えろリック」
「・・・・・・圧倒的な力を。彼女のためになる力を求めます」
「そうか」
女王ユリーシアは宗一の生きる意味だ。彼女のためには何でもしたい。
交わした約束を叶えるためには、力がいる。オーデルのような強大な敵が相手になろうとも、それらを尽く粉砕できるだけの、圧倒的な力。
今のヴァスティナ帝国の軍事力を大きく凌駕する、大陸最強の軍隊。ユリーシアのためにこれを創設し、彼女の力とする。軍を指揮するのは宗一であり、同じようにメシアにも、指揮者になって貰う。
メシアが宗一の望みを聞いてくれるかはわからない。だが、女王に忠誠を誓っている彼女ならば、力を貸してくれるだろう。
後は最強の兵士たちを揃え、帝国に絶対的な忠誠を誓わせる。帝国は強大な力を手に入れるのだ。
「それにしても、団長の口から根性論が聞けるとは。もっと知的かと思ってましたけど、意外とメシア団長って単純なんですね」
「・・・・・次は徒手格闘の訓練をするぞ。構えろ」
「ちょっ、剣が終わったら休憩じゃなかったですか!?なんで格闘訓練になって、ぐはっ!!」
慌てている宗一に、容赦なく拳を繰り出すメシア。呆気なくボコボコにされ続ける最中、遠のく意識で理解したこと。
(俺は彼女を怒らせた。地雷踏んづけたか・・・・・・)
あの演習場での修業は、宗一を強くした。おもに打たれ強さがだ。
修行の成果なのか、今現在その打たれ強さは実践されている。二人の武術家に殴られている中、思い出したのはメシアとの修行と、この二人の体術以上に、騎士団長の方が何倍も恐ろしかったということ。
メシア団長相手の模擬戦と比べれば、こんな戦いは全然苦ではない。宗一は心の中で、自分にそう言い聞かせ続け、今も戦い続けているのだ。
「はあ、はあ、・・・・・・わかっていますよメシア団長」
ヴァスティナ帝国演習場。
お互いに剣を使って戦う宗一とメシア。剣を使えない宗一のために、今後のことを考えたメシアが、彼のために時間をつくり、模擬戦を行なったのだ。帝国を旅立つ前、騎士団長と行なっていた、修行の一つである。
結果は見事に宗一の惨敗であった。剣を使用する戦いにおいて、騎士として剣を自在に操るメシアと、使った経験など全くない宗一では、話にもならないのだ。
剣だけでなく、槍や弓を使った模擬戦も行ったが、どの武器も簡単に使いこなしてしまうメシアには、まったく歯が立たなかった。
「剣を使えと言ったが、私とお前では実力が違う。ならば、剣以外のあらゆるものを使え」
「腕や足、その辺の砂や石に至るまで、勝つためなら何でも使えってことですよね」
勝利のために手段を選ばないことは、先の戦争で宗一自身が行なったことだ。故にそれは、身をもって理解している。
この場合は、剣を使った模擬戦ではあるが、普段から剣を使用しているメシアに、馬鹿正直に剣で挑んでも勝ち目はない。ならば、剣以外のあらゆる武器を使い、手段を選ばず目の前の敵を倒せと、彼女は言っているのだ。
「模擬戦であろうと関係ない。お前がどんな時でもそうでなければ、旅の道中に敵と遭遇すれば、死ぬぞ」
「はい」
「一人で複数の敵と戦う時も手段を選ぶな。道中に野盗などと出会えば、一対一の戦いはないだろう」
「一対複数だと厳しいですね。なにか戦う時のコツとかないですか?」
聞かれたメシアは少し考える。騎士団長で経験豊富な彼女であれば、宗一の想像できない、戦闘の仕方を心得ているかも知れない。そう思っていた。
「根性だ。大抵はそれでなんとかなる」
「まさかの根性論ですか!?」
実際そうかも知れない。軍隊とは基本根性論である。騎士も兵士もそれは変わらないはずだ。
戦いの場で、最後にものをいうのは根性だろう。現に宗一自身も、先の戦争では根性で戦っていた。
「リック。女王陛下のため、なにを求める?」
「どうしたんですか急に」
「答えろリック」
「・・・・・・圧倒的な力を。彼女のためになる力を求めます」
「そうか」
女王ユリーシアは宗一の生きる意味だ。彼女のためには何でもしたい。
交わした約束を叶えるためには、力がいる。オーデルのような強大な敵が相手になろうとも、それらを尽く粉砕できるだけの、圧倒的な力。
今のヴァスティナ帝国の軍事力を大きく凌駕する、大陸最強の軍隊。ユリーシアのためにこれを創設し、彼女の力とする。軍を指揮するのは宗一であり、同じようにメシアにも、指揮者になって貰う。
メシアが宗一の望みを聞いてくれるかはわからない。だが、女王に忠誠を誓っている彼女ならば、力を貸してくれるだろう。
後は最強の兵士たちを揃え、帝国に絶対的な忠誠を誓わせる。帝国は強大な力を手に入れるのだ。
「それにしても、団長の口から根性論が聞けるとは。もっと知的かと思ってましたけど、意外とメシア団長って単純なんですね」
「・・・・・次は徒手格闘の訓練をするぞ。構えろ」
「ちょっ、剣が終わったら休憩じゃなかったですか!?なんで格闘訓練になって、ぐはっ!!」
慌てている宗一に、容赦なく拳を繰り出すメシア。呆気なくボコボコにされ続ける最中、遠のく意識で理解したこと。
(俺は彼女を怒らせた。地雷踏んづけたか・・・・・・)
あの演習場での修業は、宗一を強くした。おもに打たれ強さがだ。
修行の成果なのか、今現在その打たれ強さは実践されている。二人の武術家に殴られている中、思い出したのはメシアとの修行と、この二人の体術以上に、騎士団長の方が何倍も恐ろしかったということ。
メシア団長相手の模擬戦と比べれば、こんな戦いは全然苦ではない。宗一は心の中で、自分にそう言い聞かせ続け、今も戦い続けているのだ。
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