贖罪の救世主

水野アヤト

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第二話 狂犬の戦士たち

30

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 ヴァスティナ帝国城門前。
 戦いを終えた宗一は、自らの帰るべき場所へと戻ってきていた。無論、リリカを筆頭に、レイナとクリス、ヘルベルト率いる鉄血部隊も連れてである。

「どうだお前たち。俺の言った通り、最高の戦いだっただろ?」
「こんなやばい戦いをしたのは初めてですぜ隊長!六十対一万とか絶望的もいいとこだ」
「そりゃあそうだろう。戦争中毒のお前たちには、これぐらいの刺激が必要だと思ってな」
「最高でしたぜ。俺もこいつらもあんたのイカレ具合に惚れちまった。隊長のもとで、これからも戦わせてもらいますよ」

 これまでにない戦闘を楽しんだ鉄血部隊の面々は、ヘルベルトを筆頭に、全員が宗一を隊長として、これから先も付いて行くことを決めたのだ。
 それが嬉しくて仕方がない宗一が、今度はレイナとクリスを見まわす。

「リック様、私は・・・・・・。生きる意味も価値もありません。破廉恥剣士の言う通り、中途半端な女です」
「・・・・・・・・」
「生きる意味を見失い始めた私の前に、あなたは現れた。そして、私を叩き伏せ、鉄血部隊を我が物とし、敗北しかないように思えた此度の戦いを、あなたは勝利に導きました」
「槍女、なにが言いたいんだよ?」
「私に生きる意味をください、リック様」

 彼女は、自分の力と技を証明したいと言った。しかし、己の限界を知ってしまった彼女には、それができない。
 そう思っていたのだが、目の前のこの男は、限界や不可能など知らないとでも言うように、勝利を重ね続けた。そんな彼に付いて行けば、己の限界を越えられるのではと考えたのだ。

「生きる意味はやる。ただし、俺がお前に与えてやれるのは戦いだけだ」
「・・・・・・」
「お前の望みは戦いの中で叶えろ。大丈夫、レイナなら最強の槍士になれるさ。そして証明するんだ。俺が美しいと思ったお前を否定する糞な奴らにな」
「リッ、リック様!?私は美しくなど--------」
「お前は綺麗だよ。だから、俺に絶対の忠誠を誓え!俺はお前が欲しい!」

 宗一の言葉に覚悟を決めたレイナ。生きる意味を与えられた槍士は、その場に膝をつき、絶対の忠誠を誓う。
 少女が膝をついて忠誠を誓う様に、少々驚いた宗一であったが、すぐにその顔は嬉しさに染まる。

「レイナ・ミカズキ。御身に生涯忠誠を誓います」
「ありがとうレイナ」

 残る一人は、大陸最強の剣士を目指す青年一人。

「俺も忠誠を誓うぜ。・・・・・・お前に惚れたからな、愛してる」
「・・・・・・・・・・・・・はっ?」
「だから惚れたんだって。愛してるぜリック」
「ちょっ、俺に同性愛の趣味ないから!冗談だろ?!」
「冗談じゃねぇよ。これからよろしくな、リック」
「ふふふふっ、よかったねリック。男に惚れられて」

 宗一を含め、周りが唖然とする。リリカだけは何故か爆笑しているが・・・・・・。
 そうこうしていると城門が開き、中からは、銀髪褐色肌の女性と騎士団が、宗一たちを出迎えた。久しぶりに憧れの女性に再会して、胸が高鳴るのを抑えられない。
 ヴァスティナ帝国騎士団長メシア。戦場では軍神と呼ばれている、帝国最強の女性だ。
 再会の嬉しさに、駆け足でメシアへと近付く宗一。話しかけようと口を開いた瞬間、彼女は宗一へと腕を回して、優しく抱きしめた。

「メシア団長・・・・・?!」
「待っていたぞリック、オーデル軍を倒したのはお前だな。必ず来ると信じていた」

 またも突然のことに、唖然とする周りの面々。リリカだけは、その光景に嫉妬する様な目を向ける。
 メシアの温もりに包まれた宗一は、恥ずかしさと緊張で、完全に固まってしまっていた。

「女王陛下がお待ちだ。付いて来い、リック」

 その言葉に正気を取り戻し、美しく儚い、女王の顔を思い出す。彼女にも再び会うことができるのだ。
 宗一の生きる意味。そして、どうしようもなく惚れこんだ存在。

(ユリーシア陛下・・・・・。俺は、貴女のための力を集めてきました)
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