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第四話 リクトビア・フローレンス
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数日後。色々ありはしたが、無事帝国に帰国したリックたち一行。
帰国したリックは、メシアに挨拶しようと、帝国軍演習場へと向かったのだが・・・・・。
「なっ・・・・・なんだこれ」
一言で表すならば、死屍累々。死んではいないが。
演習場でリックたちを待っていたのは、見慣れた者たちと、帝国騎士団の倒れ伏した姿。そして、皆が倒れている中、ただ一人、凛として立っているメシアの姿であった。
「戻ったか、リック」
「はっ、はい。今戻りましたけど、この状況は何なんですか・・・・・」
この状況を作りだした者。それはメシア以外にありえない。
それはわかるのだが・・・・・・。
「はあ、はあ、はあ、やっと戻ったのかよリック」
「おっ、おかえりなんだな・・・・・」
「クリスにゴリオン!?大丈夫か、ボロボロだぞ」
立ち上げれない程疲れ切ったクリス。リック配下の一人であり、常人を超えた巨体を持つゴリオンもまた、地面に倒れ伏して動けないでいた。
よく見ると、クリスとゴリオン以外にも、ヘルベルトら鉄血部隊の面々の姿もある。皆一様に、ボロボロの状態であった。
「隊長!?もう勘弁してくださいよ、誰のせいでこうなったと思うんすか!」
「えっ、もしかして俺のせい?」
倒れ伏した者たち全員が同時に頷き、リリカとレイナも同じように頷いた。
リリカとレイナにはわかっている。この場の惨状は、メシアの不機嫌によって引き起こされたのだと。
リックが帰還した今日までの間、メシアはこの演習場で、毎日模擬戦を行なった。模擬戦の相手は、彼女の指揮する騎士団、帝国軍の兵士、リック配下のクリスやゴリオン、そして鉄血部隊にまで及んだ。殆ど無理やり、彼女が相手に選び、毎日模擬戦で彼らを叩き潰した。
リックのいない間、不機嫌であった彼女は、騎士団と兵士を徒手格闘訓練で全滅させ、クリスを剣の勝負でねじ伏せ、ゴリオンを投げ飛ばして、精鋭の鉄血部隊すら粉砕したのだ。
帝国最強の騎士は、恐ろしい程の武を見せ、叩き潰した彼らに、恐怖を植え付けたのである。
しかし、この地獄はもう終わる。何故ならば、不機嫌の原因であったリックが、ようやく帰還したのだから。
「私はこれから城に戻る。お前も一緒に来るか?」
「すみません、これからシャランドラのとこに用があるんです。城には後で行きますね」
「そうか。城に戻ったら陛下にお会いしろ。お前の帰りを心待ちにしている」
いつものような鋭い視線と、真面目な表情の彼女は、用事があってこの場を離れる、リックたちを見送る。
演習場には先程と同じく、メシアと多くの犠牲者が残された。
待ち望んでいたリックの帰還により、安堵の溜め息を漏らした犠牲者たち。地獄は終わったかに見えたのだが・・・・・・。
「休憩は終わりだ。立て」
その一言。その一言は、地獄を再開させる宣告であった。誰の目からも希望が消え、その表情は恐怖に青ざめる。
ついさっき、城に戻ると言ったにもかかわらず、彼女は地獄の演習を再開させようとしている。
クリスとヘルベルトは急いで異を唱えようとしたが、できなかった。
視線はいつも通り、表情もいつも通りであるのに、彼女はこれまで見せたことのない、不機嫌オーラを放っていたのだ。
そう。待ち望んでいた者が、またも自分のもとを離れてしまった。堪え切れない怒りを滾らせてしまう。
今まで以上に不機嫌な彼女相手に、異を唱えることなど、できるはずがなかった。それが、地獄へと向かう、最悪の選択だとわかっていても。
結局この日もまた、この演習場から悲鳴が絶えることは、日が暮れるまでなかった・・・・・・。
帰国したリックは、メシアに挨拶しようと、帝国軍演習場へと向かったのだが・・・・・。
「なっ・・・・・なんだこれ」
一言で表すならば、死屍累々。死んではいないが。
演習場でリックたちを待っていたのは、見慣れた者たちと、帝国騎士団の倒れ伏した姿。そして、皆が倒れている中、ただ一人、凛として立っているメシアの姿であった。
「戻ったか、リック」
「はっ、はい。今戻りましたけど、この状況は何なんですか・・・・・」
この状況を作りだした者。それはメシア以外にありえない。
それはわかるのだが・・・・・・。
「はあ、はあ、はあ、やっと戻ったのかよリック」
「おっ、おかえりなんだな・・・・・」
「クリスにゴリオン!?大丈夫か、ボロボロだぞ」
立ち上げれない程疲れ切ったクリス。リック配下の一人であり、常人を超えた巨体を持つゴリオンもまた、地面に倒れ伏して動けないでいた。
よく見ると、クリスとゴリオン以外にも、ヘルベルトら鉄血部隊の面々の姿もある。皆一様に、ボロボロの状態であった。
「隊長!?もう勘弁してくださいよ、誰のせいでこうなったと思うんすか!」
「えっ、もしかして俺のせい?」
倒れ伏した者たち全員が同時に頷き、リリカとレイナも同じように頷いた。
リリカとレイナにはわかっている。この場の惨状は、メシアの不機嫌によって引き起こされたのだと。
リックが帰還した今日までの間、メシアはこの演習場で、毎日模擬戦を行なった。模擬戦の相手は、彼女の指揮する騎士団、帝国軍の兵士、リック配下のクリスやゴリオン、そして鉄血部隊にまで及んだ。殆ど無理やり、彼女が相手に選び、毎日模擬戦で彼らを叩き潰した。
リックのいない間、不機嫌であった彼女は、騎士団と兵士を徒手格闘訓練で全滅させ、クリスを剣の勝負でねじ伏せ、ゴリオンを投げ飛ばして、精鋭の鉄血部隊すら粉砕したのだ。
帝国最強の騎士は、恐ろしい程の武を見せ、叩き潰した彼らに、恐怖を植え付けたのである。
しかし、この地獄はもう終わる。何故ならば、不機嫌の原因であったリックが、ようやく帰還したのだから。
「私はこれから城に戻る。お前も一緒に来るか?」
「すみません、これからシャランドラのとこに用があるんです。城には後で行きますね」
「そうか。城に戻ったら陛下にお会いしろ。お前の帰りを心待ちにしている」
いつものような鋭い視線と、真面目な表情の彼女は、用事があってこの場を離れる、リックたちを見送る。
演習場には先程と同じく、メシアと多くの犠牲者が残された。
待ち望んでいたリックの帰還により、安堵の溜め息を漏らした犠牲者たち。地獄は終わったかに見えたのだが・・・・・・。
「休憩は終わりだ。立て」
その一言。その一言は、地獄を再開させる宣告であった。誰の目からも希望が消え、その表情は恐怖に青ざめる。
ついさっき、城に戻ると言ったにもかかわらず、彼女は地獄の演習を再開させようとしている。
クリスとヘルベルトは急いで異を唱えようとしたが、できなかった。
視線はいつも通り、表情もいつも通りであるのに、彼女はこれまで見せたことのない、不機嫌オーラを放っていたのだ。
そう。待ち望んでいた者が、またも自分のもとを離れてしまった。堪え切れない怒りを滾らせてしまう。
今まで以上に不機嫌な彼女相手に、異を唱えることなど、できるはずがなかった。それが、地獄へと向かう、最悪の選択だとわかっていても。
結局この日もまた、この演習場から悲鳴が絶えることは、日が暮れるまでなかった・・・・・・。
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