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238話 - 感傷
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シュッ……パリーン
ホワ~……
おお、ファントムが天に召されていく……
「おばあ様の超神水すごいですねぇ」
『ゴースト系には特攻だよねぇ。これ人に使ったらどうなるんだろ……』
「我目線だと肌つやが凄く綺麗になるんじゃがの?今のお気に入りじゃ」
「それは私も興味ありますねぇ、ふふ♪」
「お?飲んでもええぞ?いくらでもあるのじゃ?」
おばあちゃんに取っては美容品扱いの超神水……。
でも人には絶対に出さないでおこう。
寿命伸びたりしたらそれを巡る戦争が起きそうで怖いよ……。
エステルは……うん。
家族だしいいんじゃないかな?
今はダンジョン92階層に入ったところ。
様子見ながらのんびりきたんだけどやっぱそれなりに階層は広い。
のんびりきたって言っても僕等感覚ね?
平均時速100kmくらいは出てると思うよ。
なにかありそうなら止まって、ダッシュしてを繰り返してる。
暗黒大陸よりは狭いかな?
でも溶岩階層よりは広いかなって感じ。
1階層進むのに5日かかっちゃった。
『雪風すごいし進みにくいな……。この階層もしっかり疲れるよ……』
「そうですねぇ。でもクロムさんの転移魔法のおかげで以前よりかなり楽ですけどね?」
『とちゅうでおうちかえれるしねぇ~』
溶岩エリアで作った転移魔石。
暗黒大陸では一気に駆け抜けたから使い所が無かった。
実際攻略に転移魔石を使ってみると……
これ、とってもズルい。
転移魔石適当に隠して、普通に家に帰って寝る。
それどころか、なんなら進むのに飽きたら帰る。
で、気が向いたら転移してきてそこからリスタートできちゃうんだよ。
セーフティーゾーンとかいらないんだもん。
転移魔石ってダンジョン泣かせだなぁ。
ファントムはなにもしてこない。
念の為、階層入ったところで待ち伏せて倒す。
そこからは5日もかけてゆっくり来たけど新たなファントムの出現はしてこなかった。
ソフィア様が言ってた通りだ。
一応確認の為ゆっくり進んだんだ。
途中で家に帰ったりしながらね。
やっぱ突然なにかしらのバグで即死魔法使われたら怖いしなぁ。
他の敵は氷雪で勝手に居なくなる。
結果。この階層、時間かかるだけで何もすることない……。
要するに飽き飽きだ。
超億劫だ。
『クラムおもいっきりしーるどするからとぶ~?クラムもまっしろであきた~』
「……うん。……ぼくも飽きた。敵居ないし飛ぼ?」
氷雪がきついっていっても敵が何もしてこないなら全然飛べるかな。
氷雪退けるほうに全力出せばいいんだもんね。
それに、そろそろ確認も終わったかな。
『じゃあ、そろそろそうしますか!おばあちゃん、飛行いけそう?』
「よいのじゃ?ただ風がきついのじゃ……。この氷雪と暴風はなんとかなるかぇ?」
『全然大丈夫!風無くすことも出来るし、逆に放出して氷雪ごと吹き飛ばしちゃうのもできるかな?どっちが飛びやすい?』
「風を無くしてくれる方が飛びやすいのじゃ。早く飛べば飛ぶほど風の影響を受けてしまうからの?上から降ってくる氷雪なら飛行で問題なく耐えられるのじゃ」
『おっけ~!”凪”ッ。うん、余裕!』
『ゆきはクラムがはじくね~!”きゅーぶ”ッ!』
「じゃあ、私が音消していいですか!?」
そうそう、面白いことがわかったんだよ。
エステルってずっと魔法使えなかったの……ただね?
・
・
・
91階層入口前……
『”ど~む”っ……。うるさああああい!』(バチバチバチバチッ)
『うるさっ!”消音”。はい、これでクラムのシールドに衝突するモノの音は消したよ。この階層って結界に当たる氷雪が凄い音立てるんだよなぁ……』
「あの……、その魔法って私にもできませんか?」
『あれ?エステルって精霊が魔力食べちゃうんじゃ……』
「その音魔法の魔力に精霊さんが誰も興味を示さないんです。これなら……」
そうか。
白炎や蒼氷、その他創造魔法は属性魔力を使ってる。
無属性は無属性で逆に精霊は皆好むんだよ。
ただ、音魔法ってきっと僕が属性ごと作ったんだもんな?
魔力が既存の精霊が好む属性から外れちゃったんだ……
『おっけ!じゃあちょっとイメージ伝えてみるね?』
・
・
・
「ふふ♪やっと私も魔法が使えるようになりました♪”消音”」
エステルだけ創造魔法が使えないのちょっと気にしてたみたいなんだ。
精霊が協力してくれるのってめっちゃすごいと思うんだけどねぇ。
エステルは属性に関係しなさそうな創造魔法なら覚えられるって事か。
「他にも創造魔法作ってくださいね?ふふ♪」
属性に関与しない魔法って全く思い浮かばないよ!?
なんかあればいいけどなぁ……。
せっかくエステルが覚えたことだし、今は音のボリューム調整しかしてない音魔法だけどなにかいい技考えてみようかなぁ。
95階層セーフティーゾーン。
ここは洞窟になっていた。
雪や氷が積もってなくて、ここがセーフティーゾーンですってあからさまにわかるんだよね。
他の階層もそうなの。
前言ったっけ?
今更だけどセーフティーゾーンって旗が立ってたりするわけじゃないんだ。
地面の草が円形に生えてなかったり綺麗な円形の空間があったり……
見れば結構露骨にここだなってわかっちゃう感じなの。
敵も露骨に避けてたり、見えてるハズなのに近づいてこなかったりね。
『おうちにかえらないの~?』
『まぁ、ここは雪も降ってないしさ?雰囲気楽しむのもありでしょ?それにここがダンジョン最後のセーフティーエリアだしね』
「そうじゃの。最後の休息場ならのんびり過ごすのもよいのじゃ」
「……うん。じゃあぼく肉焼く」
クラマは肉焼き機を取り出して肉を焼いてくれるようだ。
雪山の洞窟で焼いた肉に齧り付くってなかなか贅沢かも。
アリだね?
温度変化無効のおかげで寒かったりはしないしね。
洞窟での寝泊りも結構いいもんだなぁ。
敢えて家は出さずに温度変化無効エリアだけをだした。
食物とか飲物が一瞬で凍っちゃうからね。
食事を作った後、みんなで焚火を囲いながらご飯を食べたり、紅茶やワインを飲んでいる。
のんびりした家族の団欒だね。
こういう時間とっても好きだな。
「クロムさん、もうすぐスライムじゃなくなるのは怖いですか?」
『パパこわいの~?』
「……?」(モグモグ)
あ、僕が感慨深くなっちゃってたの気付かれたか。
怖くは、ないかな?
もう長らく考えてちゃんと折り合いをつけたんだ。
ただ、色々思い出しちゃうんだよね。
エステルと出会ったのもクラマと出会ったのもこの姿でしょ?
姿の事だけじゃなくてさ?
転移魔石作れたこともそうだし、ハイエルフの救出や今の生活にダンジョンってすごく密接だったんだ。
凄く濃い時間だったなぁ。
そんな思い出が一気に押し寄せてるってだけだ。
皆とは明日からもずっと家族だ。
特別何を話そうとかはない。
100階層まで到達したら、ダンジョン攻略はおしまい。
そして、もう寄生は目前だ。
だからダンジョン内で少し家族とのんびりしたかっただけなんだ。
『柄にもなく感傷に浸ってただけだよ?あはは。そういえばおばあちゃん聞いた!?ダンジョンに入った時にいきなり喧嘩してさ?あの時のみんなすっごい怖かったんだ!』
「ほう?興味ある話じゃのぉ?」
「それをクロムさんがいいますか!?」
『パパがいちばんこわいんだよ~!?』
『うん……。怒ってるパパ……すごくこわい……』
その夜はちょっと夜更かしして思い出話に花を咲かせた。
寒いはずの氷エリアの洞窟。
でもとても暖かな一夜だった……。
・
・
・
100階層。
最終エリアに到着した。
おばあちゃんに飛んでもらえれば直ぐだった。
このエリアも洞窟だ。
氷雪は全く吹き込んでこない。
雰囲気的に、ドラゴン系が出ていたボスエリアと同じ感じかな?
いつも通りとても大きな石門があり、中は見えない……。
『じゃあ、この階層は僕が貰うよ?』
「……もちろん」
『うん~!パパ1かいもやってないもんねー!おばあちゃんはいいの~?』
「我は極力戦いたくはないのじゃ!気にせんでええのじゃ」
「クロムさん、気持ちの整理はつきましたか?」
『うん……。大丈夫、だと思う』
また何かあればスライムに戻る。
だから平気。そう思うことにする。
悩んでいるといつまで経っても進めない。
だから勢いで行くって決めてたんだ。
ここまでのダンジョンのボスの傾向。
なにかしらそこまでのエリアに関係のあるボスが出てくるんだ。
この氷エリアはパッと見魔物は見つからない。
そしてファントムにとても悩まされた。
だからファントムの印象がとても強いけど、でもあいつは神様特別製の掃除機なんだ。
ゆっくり進行しながら周りを見てきた。
実は魔物を観察するって意図もあって最初はゆっくり進行したんだ。
直ぐリスキルされちゃうけど、このエリアには空を飛ぶ鷲みたいな魔物や雪男みたいな魔物も居る様子だった。
きっと他にも居たんだろうと思う。
ただ、圧倒的に多かったのは狼類……。
様々な属性の狼が居たんだよ。
だからきっと僕は……
『よし!じゃあ、行くよ……』(ギギギギギギ……)
石壁をゆっくり開くとそこにはとても美しい毛並みの魔物が鎮座していた。
いきなりブレスをしてきたりもしない。
すごい風格だ……。
とても穏やかに見える。
そしてその美しさに目が引き込まれてしまいそうだ……。
そんな感覚を目の前の階層主から感じた。
最終階層主はとてもゆっくりこちらを向いて、とてもゆっくり体を起こした。
『やっぱり。そうなるよね』
だから昨日ゆっくり時間をとってみんなと話したんだ。
最後のスライム主体の時間は家族とゆっくり満喫したかったんだ。
きっと最後のボスは狼類……
それが分かってたから。
ここで僕はスライム生を終了するんだ。
でも具体的に何の魔物、とは想像できなかった。
大きい狼なのか、強い狼なのか……
きっと狼類なんだろうなって思ってただけだった。
この疑似生命体は何がルーツなんだろうか……
とても美しく青がかった銀色の長い毛並み。
特に首回りが長い。
とってもモフモフしてる。
抱き着けるなら抱き着きたい気持ちになるなぁ。
それに狼種にしても長い尾が生えている……。
体長は5mくらいはありそうだ。
とても澄んだ蒼色の瞳でこちらをじっと見つめている……。
『”鑑定”……あぁ、なるほどなぁ。そうくるか……』
AOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!
ホワ~……
おお、ファントムが天に召されていく……
「おばあ様の超神水すごいですねぇ」
『ゴースト系には特攻だよねぇ。これ人に使ったらどうなるんだろ……』
「我目線だと肌つやが凄く綺麗になるんじゃがの?今のお気に入りじゃ」
「それは私も興味ありますねぇ、ふふ♪」
「お?飲んでもええぞ?いくらでもあるのじゃ?」
おばあちゃんに取っては美容品扱いの超神水……。
でも人には絶対に出さないでおこう。
寿命伸びたりしたらそれを巡る戦争が起きそうで怖いよ……。
エステルは……うん。
家族だしいいんじゃないかな?
今はダンジョン92階層に入ったところ。
様子見ながらのんびりきたんだけどやっぱそれなりに階層は広い。
のんびりきたって言っても僕等感覚ね?
平均時速100kmくらいは出てると思うよ。
なにかありそうなら止まって、ダッシュしてを繰り返してる。
暗黒大陸よりは狭いかな?
でも溶岩階層よりは広いかなって感じ。
1階層進むのに5日かかっちゃった。
『雪風すごいし進みにくいな……。この階層もしっかり疲れるよ……』
「そうですねぇ。でもクロムさんの転移魔法のおかげで以前よりかなり楽ですけどね?」
『とちゅうでおうちかえれるしねぇ~』
溶岩エリアで作った転移魔石。
暗黒大陸では一気に駆け抜けたから使い所が無かった。
実際攻略に転移魔石を使ってみると……
これ、とってもズルい。
転移魔石適当に隠して、普通に家に帰って寝る。
それどころか、なんなら進むのに飽きたら帰る。
で、気が向いたら転移してきてそこからリスタートできちゃうんだよ。
セーフティーゾーンとかいらないんだもん。
転移魔石ってダンジョン泣かせだなぁ。
ファントムはなにもしてこない。
念の為、階層入ったところで待ち伏せて倒す。
そこからは5日もかけてゆっくり来たけど新たなファントムの出現はしてこなかった。
ソフィア様が言ってた通りだ。
一応確認の為ゆっくり進んだんだ。
途中で家に帰ったりしながらね。
やっぱ突然なにかしらのバグで即死魔法使われたら怖いしなぁ。
他の敵は氷雪で勝手に居なくなる。
結果。この階層、時間かかるだけで何もすることない……。
要するに飽き飽きだ。
超億劫だ。
『クラムおもいっきりしーるどするからとぶ~?クラムもまっしろであきた~』
「……うん。……ぼくも飽きた。敵居ないし飛ぼ?」
氷雪がきついっていっても敵が何もしてこないなら全然飛べるかな。
氷雪退けるほうに全力出せばいいんだもんね。
それに、そろそろ確認も終わったかな。
『じゃあ、そろそろそうしますか!おばあちゃん、飛行いけそう?』
「よいのじゃ?ただ風がきついのじゃ……。この氷雪と暴風はなんとかなるかぇ?」
『全然大丈夫!風無くすことも出来るし、逆に放出して氷雪ごと吹き飛ばしちゃうのもできるかな?どっちが飛びやすい?』
「風を無くしてくれる方が飛びやすいのじゃ。早く飛べば飛ぶほど風の影響を受けてしまうからの?上から降ってくる氷雪なら飛行で問題なく耐えられるのじゃ」
『おっけ~!”凪”ッ。うん、余裕!』
『ゆきはクラムがはじくね~!”きゅーぶ”ッ!』
「じゃあ、私が音消していいですか!?」
そうそう、面白いことがわかったんだよ。
エステルってずっと魔法使えなかったの……ただね?
・
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91階層入口前……
『”ど~む”っ……。うるさああああい!』(バチバチバチバチッ)
『うるさっ!”消音”。はい、これでクラムのシールドに衝突するモノの音は消したよ。この階層って結界に当たる氷雪が凄い音立てるんだよなぁ……』
「あの……、その魔法って私にもできませんか?」
『あれ?エステルって精霊が魔力食べちゃうんじゃ……』
「その音魔法の魔力に精霊さんが誰も興味を示さないんです。これなら……」
そうか。
白炎や蒼氷、その他創造魔法は属性魔力を使ってる。
無属性は無属性で逆に精霊は皆好むんだよ。
ただ、音魔法ってきっと僕が属性ごと作ったんだもんな?
魔力が既存の精霊が好む属性から外れちゃったんだ……
『おっけ!じゃあちょっとイメージ伝えてみるね?』
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「ふふ♪やっと私も魔法が使えるようになりました♪”消音”」
エステルだけ創造魔法が使えないのちょっと気にしてたみたいなんだ。
精霊が協力してくれるのってめっちゃすごいと思うんだけどねぇ。
エステルは属性に関係しなさそうな創造魔法なら覚えられるって事か。
「他にも創造魔法作ってくださいね?ふふ♪」
属性に関与しない魔法って全く思い浮かばないよ!?
なんかあればいいけどなぁ……。
せっかくエステルが覚えたことだし、今は音のボリューム調整しかしてない音魔法だけどなにかいい技考えてみようかなぁ。
95階層セーフティーゾーン。
ここは洞窟になっていた。
雪や氷が積もってなくて、ここがセーフティーゾーンですってあからさまにわかるんだよね。
他の階層もそうなの。
前言ったっけ?
今更だけどセーフティーゾーンって旗が立ってたりするわけじゃないんだ。
地面の草が円形に生えてなかったり綺麗な円形の空間があったり……
見れば結構露骨にここだなってわかっちゃう感じなの。
敵も露骨に避けてたり、見えてるハズなのに近づいてこなかったりね。
『おうちにかえらないの~?』
『まぁ、ここは雪も降ってないしさ?雰囲気楽しむのもありでしょ?それにここがダンジョン最後のセーフティーエリアだしね』
「そうじゃの。最後の休息場ならのんびり過ごすのもよいのじゃ」
「……うん。じゃあぼく肉焼く」
クラマは肉焼き機を取り出して肉を焼いてくれるようだ。
雪山の洞窟で焼いた肉に齧り付くってなかなか贅沢かも。
アリだね?
温度変化無効のおかげで寒かったりはしないしね。
洞窟での寝泊りも結構いいもんだなぁ。
敢えて家は出さずに温度変化無効エリアだけをだした。
食物とか飲物が一瞬で凍っちゃうからね。
食事を作った後、みんなで焚火を囲いながらご飯を食べたり、紅茶やワインを飲んでいる。
のんびりした家族の団欒だね。
こういう時間とっても好きだな。
「クロムさん、もうすぐスライムじゃなくなるのは怖いですか?」
『パパこわいの~?』
「……?」(モグモグ)
あ、僕が感慨深くなっちゃってたの気付かれたか。
怖くは、ないかな?
もう長らく考えてちゃんと折り合いをつけたんだ。
ただ、色々思い出しちゃうんだよね。
エステルと出会ったのもクラマと出会ったのもこの姿でしょ?
姿の事だけじゃなくてさ?
転移魔石作れたこともそうだし、ハイエルフの救出や今の生活にダンジョンってすごく密接だったんだ。
凄く濃い時間だったなぁ。
そんな思い出が一気に押し寄せてるってだけだ。
皆とは明日からもずっと家族だ。
特別何を話そうとかはない。
100階層まで到達したら、ダンジョン攻略はおしまい。
そして、もう寄生は目前だ。
だからダンジョン内で少し家族とのんびりしたかっただけなんだ。
『柄にもなく感傷に浸ってただけだよ?あはは。そういえばおばあちゃん聞いた!?ダンジョンに入った時にいきなり喧嘩してさ?あの時のみんなすっごい怖かったんだ!』
「ほう?興味ある話じゃのぉ?」
「それをクロムさんがいいますか!?」
『パパがいちばんこわいんだよ~!?』
『うん……。怒ってるパパ……すごくこわい……』
その夜はちょっと夜更かしして思い出話に花を咲かせた。
寒いはずの氷エリアの洞窟。
でもとても暖かな一夜だった……。
・
・
・
100階層。
最終エリアに到着した。
おばあちゃんに飛んでもらえれば直ぐだった。
このエリアも洞窟だ。
氷雪は全く吹き込んでこない。
雰囲気的に、ドラゴン系が出ていたボスエリアと同じ感じかな?
いつも通りとても大きな石門があり、中は見えない……。
『じゃあ、この階層は僕が貰うよ?』
「……もちろん」
『うん~!パパ1かいもやってないもんねー!おばあちゃんはいいの~?』
「我は極力戦いたくはないのじゃ!気にせんでええのじゃ」
「クロムさん、気持ちの整理はつきましたか?」
『うん……。大丈夫、だと思う』
また何かあればスライムに戻る。
だから平気。そう思うことにする。
悩んでいるといつまで経っても進めない。
だから勢いで行くって決めてたんだ。
ここまでのダンジョンのボスの傾向。
なにかしらそこまでのエリアに関係のあるボスが出てくるんだ。
この氷エリアはパッと見魔物は見つからない。
そしてファントムにとても悩まされた。
だからファントムの印象がとても強いけど、でもあいつは神様特別製の掃除機なんだ。
ゆっくり進行しながら周りを見てきた。
実は魔物を観察するって意図もあって最初はゆっくり進行したんだ。
直ぐリスキルされちゃうけど、このエリアには空を飛ぶ鷲みたいな魔物や雪男みたいな魔物も居る様子だった。
きっと他にも居たんだろうと思う。
ただ、圧倒的に多かったのは狼類……。
様々な属性の狼が居たんだよ。
だからきっと僕は……
『よし!じゃあ、行くよ……』(ギギギギギギ……)
石壁をゆっくり開くとそこにはとても美しい毛並みの魔物が鎮座していた。
いきなりブレスをしてきたりもしない。
すごい風格だ……。
とても穏やかに見える。
そしてその美しさに目が引き込まれてしまいそうだ……。
そんな感覚を目の前の階層主から感じた。
最終階層主はとてもゆっくりこちらを向いて、とてもゆっくり体を起こした。
『やっぱり。そうなるよね』
だから昨日ゆっくり時間をとってみんなと話したんだ。
最後のスライム主体の時間は家族とゆっくり満喫したかったんだ。
きっと最後のボスは狼類……
それが分かってたから。
ここで僕はスライム生を終了するんだ。
でも具体的に何の魔物、とは想像できなかった。
大きい狼なのか、強い狼なのか……
きっと狼類なんだろうなって思ってただけだった。
この疑似生命体は何がルーツなんだろうか……
とても美しく青がかった銀色の長い毛並み。
特に首回りが長い。
とってもモフモフしてる。
抱き着けるなら抱き着きたい気持ちになるなぁ。
それに狼種にしても長い尾が生えている……。
体長は5mくらいはありそうだ。
とても澄んだ蒼色の瞳でこちらをじっと見つめている……。
『”鑑定”……あぁ、なるほどなぁ。そうくるか……』
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ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
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