装甲航空母艦信濃      南東の海へといざ参らん

みにみ

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チューク沖海戦

華の二水戦

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第二水雷戦隊の駆逐艦島風、長波、朝霜、岸波、沖波、藤波、浜波、玉波は
九三式魚雷を装填 米艦隊へ縦列陣で突進した

敵艦隊との距離30km地点において島風見張り員が敵艦隊発見

「敵駆逐艦9 巡洋艦4 戦艦4見ユ!」

「しゃあ……降りかかる火の粉 揉み消すぞ
 戦隊指揮権を長波に譲渡 我が島風最大戦速で敵艦に単艦突撃を行う
 各艦は続いて第五戦速34ノット 敵艦隊に突入せよ!」

駆逐艦たちが速度を上げて海面に白波を立てる
その中でも先頭、島風の加速力と速力は桁違いだった
他の駆逐艦をぐんぐん引き離し、敵艦隊へ向かう


米巡洋艦ニューオリンズのレーダー室では
レーダー員が悲鳴をあげていた

「敵駆逐艦高速接近 そのうち一艦は速力40ノット!!!
 単艦突っ込んできます!!!」

「Bull Shit!(嘘だろ!?ふざけるな!)」

「主砲斉射しますか」

「待てまだだ 引き付けて撃て 遠距離から撃っても当たらん
 それに5インチ砲なぞ受けても対して痛くない」


駆逐艦島風艦橋

「砲術長!目標は!」

「捉えました 目標敵一番巡洋艦」

「水雷は!」

「射点までこのまま航行で2分!」

「報告!敵駆逐艦四隻見ユ!こちらに突っ込んできます!」

「しゃっ!舵そのまま全速一杯 目標敵駆逐 主砲撃ち方始め!」

8時27分 島風12.7cm砲 第一斉射 命中なし
              第二斉射 命中1
              第三斉射 命中4 敵艦火災発生

この命中弾により敵駆逐隊が明々と照らされて格好の的になる

「二水戦の誇り見せつけちゃれ!てっ!」

8時28分 島風12.7cm砲 第四斉射 命中5
              第五斉射 命中3
              第六斉射 命中2  敵駆逐艦一隻撃破

と同時に巡洋艦部隊から砲弾が降り注ぐ

ドォン ドォンと高速航行中の艦の左右に着弾し
細い駆逐艦の艦体は大きく揺さぶられる

熟練の見張り員が敵艦の発砲炎から敵艦の位置、方向、距離を測定
雷撃戦に移る

「目標敵巡洋艦!」

「7度!」「3度!」「2度!」

「今や!投射開始!」

高速航行で艦が揺れる中
島風の五連装魚雷発射管三基から魚雷が15本ばら撒かれ
艦長は不敵な笑みを漏らした

「手前らの命 あと5分じゃ」

重巡洋艦ウィチタ艦橋

「さっきからあの駆逐艦が単発射で撃ってきてます」

「怖くない 5インチ砲なんてほぼないようなものだ」

「二陣目の敵駆逐艦が突入中 七隻35ノット」

「まぁいい 最接近の駆逐でも距離2万 二陣目は3万だ
 二陣目に対して重巡戦隊一斉射 駆逐隊は敵一隻単艦突入艦を仕留めr」

司令の言葉を遮るようにドドドォォンと水柱が
ウィチタの艦首から艦尾にかけて3本がそそり立つ

「嘘だろ!?Damage report!」

「機関部損傷!航行不能!」

「艦首部忘失!」

「一番砲直下命中 弾火薬庫誘爆!!!」

「後続艦に回避を命じろ ぶつかるぞ!」

後続のミネアポリスが回避行動をとるがその横腹にも魚雷が突き刺さる

「馬鹿な!敵艦を見逃したか!?」

「命中時まで航跡見ず!」

「何が起きている!?」

「畜生!なぜだ!ジャップの魚雷は1万八千じゃないのか!?」

「こんなの、ルンガ沖と同じじゃないか!」

米国は日本の魚雷は当初射程八千と考えていたが
ルンガ沖海戦で距離一万で被雷し大被害を受けたため
射程を距離一万八千としていた

だが、日本の魚雷の本気はその程度ではない
速力48ノットで射程二万メーター
38ノットまで四万メーター
そして1発当たれば巡洋艦をも戦闘不能に追い込む能力を持つ怪物なのだ
次々と後続艦にも突き刺さり
最終的にニューオーリンズ、ミネアポリス、サンフランシスコ、ウィチタの
四隻で編成の重巡戦隊全艦が海上に停止する

「なぜだ… なぜ巡洋艦四隻の戦隊が
 たった一隻のジャップごときの駆逐艦にやられる!?
 こちらは四隻だぞ!?それも重巡!」

「巡洋艦四隻が…たった一隻の駆逐風情に…」

しかし、米艦の主砲はまだ動き続ける

「次を撃たせるな!目標第二陣駆逐艦 撃て 撃て」

20.3cm三連装砲から砲弾が撃ち出されて
一番艦 長波の至近に着弾するが被害なし

「全艦転舵 30度 反航雷撃戦!」

七隻から各艦8本づつ
停止している敵艦に向けて計56本の魚雷がばら撒かれて
その死へのカウントダウンを敵艦に告げる
高速航行中の敵艦に当てる訓練をしてきたのだ
停止している艦など演習の初期目標に過ぎない

しかし米艦隊の砲撃も熾烈で朝霜の艦橋に命中弾2
艦長以下指揮系統全員戦死 朝霜は戦列から離脱する

「朝霜 大破!」

「朝霜から信号 我戦闘不能 貴艦らの幸運を祈る」

「…つ 次の魚雷装填急げ
 装填終わり次第反転 敵艦への雷撃を敢行する!」

第一射を撃ち終わった駆逐艦隊と入れ替わりに
第四・第七戦隊の重巡戦隊が敵艦隊に突入する
高雄、愛宕、摩耶、鳥海、熊野、鈴谷は
20cm砲で米重巡を牽制しつつ、魚雷戦を展開。愛宕の艦長が叫ぶ

「魚雷、発射準備完了 よーい てっ!」

計48本の酸素魚雷が米艦隊へ向かい 重巡戦隊には命中しなかったものの
外れたうちの5本が4km先の戦艦アイオワに命中
機関部、弾薬庫浸水でそのままトラック沖にその細長い船体を沈めた

「敵戦艦を仕留めた!次だ!」


午後8時40分、戦闘は激化していた
米戦艦は大和命中弾を受けていたアイオワが沈没、サウスダコタが損傷
3隻(ニュージャージー、ワシントン、アラバマ)が有効戦力
重巡戦隊は魚雷によって全滅 駆逐艦12隻が戦闘を継続した
日本側は榛名と金剛が損傷、駆逐艦朝霜が大破
大和と武蔵は装甲で耐え抜いたが、米軍のレーダー射撃に押され気味だった
森下は艦橋で海図を睨み、佐藤に言った。

「航空攻撃と雷撃で敵に打撃を与えたが
 まだ決着はつかん もっと命中弾を!」

大和の46センチ砲が再び轟き、夜の海に火柱が上がった
チューク沖海戦は、夜戦の混戦の中で両軍の命運を賭けた戦いが続いていた。
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