118 / 217
決戦 あ号作戦
基地航空隊強襲
しおりを挟む
午後7時過ぎ。マリアナ沖の夕日は、空と海を血のように赤く染め上げていた。
小沢機動部隊の艦載機部隊が、命をかけた攻撃を終え
帰投するその時、基地航空隊の第二次攻撃隊が、米機動部隊に迫っていた。
彼らの編隊は、四式重爆12機、キ74 14機
銀河13機、一式陸攻11機からなる、混成部隊だった。
彼らは、敵の直掩戦闘機がいないことを幸いと
各々の持ち味を活かした波状攻撃を仕掛けようとしていた。
一式陸攻は、九一式魚雷改三を1本搭載し
海面スレスレの高度4メートルを最高速度で飛行しながら
ヨーイング(機体を左右に振る動き)をかけて対空砲を避けようと試みる。
彼らの目的は、敵艦の喫水線下に魚雷を命中させ、致命的なダメージを与えることだ。
「…行くぞ!魚雷命中させるまで、絶対に諦めるな!」
パイロットの叫び声が、機内に響く。
しかし、彼らが敵艦隊に接近するにつれて、VT信管を積んだ5インチ砲や
ボフォース40ミリ機関砲が、火を噴き始めた。
一式陸攻は、天山や彗星よりも大型だ。
そのため、VT信管に簡単に捕捉され、次々と撃墜されていった。
「指揮官機、被弾!」
「七番機、直撃で爆散!」
「左エンジン被弾!」
編隊に響き渡る大量の悲鳴。一式陸攻隊は
魚雷を投下する射点につく前に、全機が海に散った。
四式重爆は、高度5,000メートルから、水平爆撃を敢行する。
命中率は低いが、もし命中すれば、敵艦に大きなダメージを与えられる。
しかし、彼らの放った二十五番対艦通常爆弾は、一本も命中しなかった。
さらに、敵の対空砲火によって、6機が失われた。
銀河隊は、高度4,000メートルで敵艦隊上空に突入し
反転して急降下爆撃を敢行する。彼らの放った八十番徹甲爆弾は
ワスプIIに1発が命中した。しかし、それは、飛行甲板を貫通しただけで
致命的な打撃にはならなかった。銀河隊は、この攻撃で5機を失った。
そんな中、ほぼ無被害で、敵の防空網を突破する編隊があった。
それは、キ74からなる金剛隊だ。
彼らは、急降下で増した時速700キロメートルという
驚異的な速度で、対空砲火を切り抜けた。
「2、1、爆弾倉解放!全弾投下!投下!」
キ74のパイロットは、叫んだ。
合計28発の二十五番対艦徹甲弾が、空から投下される。
命中弾は、戦艦『ワシントン』に対し、わずか2発のみだった。
しかし、そのうちの1発が、後部艦橋に直撃し、全壊させるという、大きな被害を与えた。
「…やった…!」
奇跡的に生き残ったキ74のパイロットは、安堵の声を上げた。
彼らは、多くの仲間を失ったが、その命を無駄にせず
敵に一矢報いることができた。しかし、金剛隊も、この攻撃で2機を失った。
『ワシントン』の艦橋では
ミッチャー提督が、その光景を目の当たりにし、絶句していた。
「…馬鹿な…!まだ、攻撃機が来るのか…!」
彼は、日本の航空戦力が、すでに壊滅していると信じていた。
しかし、彼らが目の当たりにしたのは、日本の、無尽蔵とも思える執念だった。
「提督!後部艦橋に直撃です!全壊しました!」
部下の報告に、ミッチャーは、顔を青ざめさせた。
日本の航空機は、彼が想像していたよりも
遥かに洗練された戦術で、彼らに襲い掛かってくる。
しかし、その後の報告に、ミッチャーは安堵の息を漏らした。
「ワスプへの命中弾は、飛行甲板のみです!応急修理で復旧可能です!」
「フランクリンとバンカーヒルへの攻撃はありましたが、さらなる被害はありません!」
彼は、日本の基地航空隊が、この日の戦いで
大した戦果を挙げられなかったことを知り、安堵した。
彼らは、多くの犠牲を払ったが
その代償として、敵に致命的な打撃を与えることはできなかったのだ。
「…よし…!ワスプの修理を急がせろ!すぐにでも、次の攻撃に備えなければならん!」
ミッチャーは、そう叫んだ。彼の心には
日本の執念に対する恐怖と、そして、この戦いに勝利するという
強い決意が、入り混じっていた。
彼は、日本の第二次攻撃隊が、自らの艦隊に戦果を挙げていると信じ
この日の戦いの勝利を確信していた。
しかし、彼らが知らないところで、日本の基地航空隊は、そのほとんどが壊滅していた。
「…くそ…!何も…何もできなかった…!」
墜落していく一式陸攻のパイロットは、そう叫んだ。
彼の目には、海に散っていく仲間たちの姿が映っていた。
彼らは、祖国を守るために、命をかけて戦った。
しかし、彼らの犠牲は、報われることはなかった。
「…ごめんな…みんな…!」
被弾した四式重爆のパイロットは、そう呟き、機体を海へと向かわせた。
彼の心には、仲間たちへの深い謝罪と、そして、この戦争の無力感だけが残っていた。
この日の戦いは、多くの犠牲を生んだ。
しかし、それは、日米両軍のどちらにも
決定的な勝利をもたらすことはなかった。
この戦いは、まだ終わっていなかった。
そして、その結末は、誰にも予測できない
小沢機動部隊の艦載機部隊が、命をかけた攻撃を終え
帰投するその時、基地航空隊の第二次攻撃隊が、米機動部隊に迫っていた。
彼らの編隊は、四式重爆12機、キ74 14機
銀河13機、一式陸攻11機からなる、混成部隊だった。
彼らは、敵の直掩戦闘機がいないことを幸いと
各々の持ち味を活かした波状攻撃を仕掛けようとしていた。
一式陸攻は、九一式魚雷改三を1本搭載し
海面スレスレの高度4メートルを最高速度で飛行しながら
ヨーイング(機体を左右に振る動き)をかけて対空砲を避けようと試みる。
彼らの目的は、敵艦の喫水線下に魚雷を命中させ、致命的なダメージを与えることだ。
「…行くぞ!魚雷命中させるまで、絶対に諦めるな!」
パイロットの叫び声が、機内に響く。
しかし、彼らが敵艦隊に接近するにつれて、VT信管を積んだ5インチ砲や
ボフォース40ミリ機関砲が、火を噴き始めた。
一式陸攻は、天山や彗星よりも大型だ。
そのため、VT信管に簡単に捕捉され、次々と撃墜されていった。
「指揮官機、被弾!」
「七番機、直撃で爆散!」
「左エンジン被弾!」
編隊に響き渡る大量の悲鳴。一式陸攻隊は
魚雷を投下する射点につく前に、全機が海に散った。
四式重爆は、高度5,000メートルから、水平爆撃を敢行する。
命中率は低いが、もし命中すれば、敵艦に大きなダメージを与えられる。
しかし、彼らの放った二十五番対艦通常爆弾は、一本も命中しなかった。
さらに、敵の対空砲火によって、6機が失われた。
銀河隊は、高度4,000メートルで敵艦隊上空に突入し
反転して急降下爆撃を敢行する。彼らの放った八十番徹甲爆弾は
ワスプIIに1発が命中した。しかし、それは、飛行甲板を貫通しただけで
致命的な打撃にはならなかった。銀河隊は、この攻撃で5機を失った。
そんな中、ほぼ無被害で、敵の防空網を突破する編隊があった。
それは、キ74からなる金剛隊だ。
彼らは、急降下で増した時速700キロメートルという
驚異的な速度で、対空砲火を切り抜けた。
「2、1、爆弾倉解放!全弾投下!投下!」
キ74のパイロットは、叫んだ。
合計28発の二十五番対艦徹甲弾が、空から投下される。
命中弾は、戦艦『ワシントン』に対し、わずか2発のみだった。
しかし、そのうちの1発が、後部艦橋に直撃し、全壊させるという、大きな被害を与えた。
「…やった…!」
奇跡的に生き残ったキ74のパイロットは、安堵の声を上げた。
彼らは、多くの仲間を失ったが、その命を無駄にせず
敵に一矢報いることができた。しかし、金剛隊も、この攻撃で2機を失った。
『ワシントン』の艦橋では
ミッチャー提督が、その光景を目の当たりにし、絶句していた。
「…馬鹿な…!まだ、攻撃機が来るのか…!」
彼は、日本の航空戦力が、すでに壊滅していると信じていた。
しかし、彼らが目の当たりにしたのは、日本の、無尽蔵とも思える執念だった。
「提督!後部艦橋に直撃です!全壊しました!」
部下の報告に、ミッチャーは、顔を青ざめさせた。
日本の航空機は、彼が想像していたよりも
遥かに洗練された戦術で、彼らに襲い掛かってくる。
しかし、その後の報告に、ミッチャーは安堵の息を漏らした。
「ワスプへの命中弾は、飛行甲板のみです!応急修理で復旧可能です!」
「フランクリンとバンカーヒルへの攻撃はありましたが、さらなる被害はありません!」
彼は、日本の基地航空隊が、この日の戦いで
大した戦果を挙げられなかったことを知り、安堵した。
彼らは、多くの犠牲を払ったが
その代償として、敵に致命的な打撃を与えることはできなかったのだ。
「…よし…!ワスプの修理を急がせろ!すぐにでも、次の攻撃に備えなければならん!」
ミッチャーは、そう叫んだ。彼の心には
日本の執念に対する恐怖と、そして、この戦いに勝利するという
強い決意が、入り混じっていた。
彼は、日本の第二次攻撃隊が、自らの艦隊に戦果を挙げていると信じ
この日の戦いの勝利を確信していた。
しかし、彼らが知らないところで、日本の基地航空隊は、そのほとんどが壊滅していた。
「…くそ…!何も…何もできなかった…!」
墜落していく一式陸攻のパイロットは、そう叫んだ。
彼の目には、海に散っていく仲間たちの姿が映っていた。
彼らは、祖国を守るために、命をかけて戦った。
しかし、彼らの犠牲は、報われることはなかった。
「…ごめんな…みんな…!」
被弾した四式重爆のパイロットは、そう呟き、機体を海へと向かわせた。
彼の心には、仲間たちへの深い謝罪と、そして、この戦争の無力感だけが残っていた。
この日の戦いは、多くの犠牲を生んだ。
しかし、それは、日米両軍のどちらにも
決定的な勝利をもたらすことはなかった。
この戦いは、まだ終わっていなかった。
そして、その結末は、誰にも予測できない
14
あなたにおすすめの小説
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
劉禅が勝つ三国志
みらいつりびと
歴史・時代
中国の三国時代、炎興元年(263年)、蜀の第二代皇帝、劉禅は魏の大軍に首府成都を攻められ、降伏する。
蜀は滅亡し、劉禅は幽州の安楽県で安楽公に封じられる。
私は道を誤ったのだろうか、と後悔しながら、泰始七年(271年)、劉禅は六十五歳で生涯を終える。
ところが、劉禅は前世の記憶を持ったまま、再び劉禅として誕生する。
ときは建安十二年(207年)。
蜀による三国統一をめざし、劉禅のやり直し三国志が始まる。
第1部は劉禅が魏滅の戦略を立てるまでです。全8回。
第2部は劉禅が成都を落とすまでです。全12回。
第3部は劉禅が夏候淵軍に勝つまでです。全11回。
第4部は劉禅が曹操を倒し、新秩序を打ち立てるまで。全8回。第39話が全4部の最終回です。
世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。
克全
歴史・時代
西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。
幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。
北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。
清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。
色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。
一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。
印旛沼開拓は成功するのか?
蝦夷開拓は成功するのか?
オロシャとは戦争になるのか?
蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか?
それともオロシャになるのか?
西洋帆船は導入されるのか?
幕府は開国に踏み切れるのか?
アイヌとの関係はどうなるのか?
幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?
対ソ戦、準備せよ!
湖灯
歴史・時代
1940年、遂に欧州で第二次世界大戦がはじまります。
前作『対米戦、準備せよ!』で、中国での戦いを避けることができ、米国とも良好な経済関係を築くことに成功した日本にもやがて暗い影が押し寄せてきます。
未来の日本から来たという柳生、結城の2人によって1944年のサイパン戦後から1934年の日本に戻った大本営の特例を受けた柏原少佐は再びこの日本の危機を回避させることができるのでしょうか!?
小説家になろうでは、前作『対米戦、準備せよ!』のタイトルのまま先行配信中です!
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
大和型重装甲空母
ypaaaaaaa
歴史・時代
1937年10月にアメリカ海軍は日本海軍が”60000トンを超す巨大戦艦”を”4隻”建造しているという情報を掴んだ。海軍はすぐに対抗策を講じてサウスダコタ級戦艦に続いてアイオワ級戦艦を4隻建造することとした。そして1941年12月。日米は戦端を開いたが戦列に加わっていたのは巨大戦艦ではなく、”巨大空母”であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる