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ニューギニア防衛戦
被弾炎上
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日本の第一次攻撃隊による死力を尽くした攻撃は
米空母「ホーネット」に壊滅的な打撃を与えた。
しかし、安堵する間もなく、戦場は新たな局面を迎える。
攻撃を完了した日本の攻撃隊が母艦への帰還を開始したその時
ビスマルク海の空は再び鉛色の暗雲に覆われようとしていた。
満身創痍の日本の攻撃隊は、次々と母艦へと帰投してきた。
空母の飛行甲板は、着艦する機体で埋め尽くされ
艦内では第二次攻撃隊の準備が急ピッチで進められている。
燃料や弾薬の補給、機体の整備、損傷箇所の応急処置など
地上要員たちは休む間もなく作業に追われていた。パイロットたちは
疲労困憊の体に鞭打ち、愛機を降りると、すぐに状況報告のために
司令部へと向かっていった。彼らの顔には、激戦をくぐり抜けた者だけが持つ
憔悴と達成感が混じり合っていた。
その時だ。
「敵機!敵機来襲!」
甲板の混乱の中、見張り員からの悲鳴にも似た報告が艦隊全体に響き渡った。
警戒レーダーが捉えた反応は、急速に数を増やし
日本の艦隊へと迫っていた。敵空母から発艦したTBFアベンジャー雷撃機隊と
それに続くSBDドーントレス急降下爆撃機隊が
日本の機動艦隊へと殺到してきたのだ。その数は、第一次攻撃隊に劣らぬ規模と見られた。
日本の各空母は、着艦したばかりの機体で飛行甲板が埋まり
加えて第二次攻撃隊の機体が兵装を搭載中のため
迎撃機を発艦させることすらできないという絶望的な状況に陥っていた。
格納庫には、損傷を受けた機体や、整備中の機体がひしめき合っている。
この状況下で、たとえ発艦できたとしても、十分な数の迎撃機を送り出すことは不可能だった。
頼れるのは、各艦に備えられた対空砲火のみ。
艦隊全体が、文字通り「対空の壁」を形成し
迫り来る敵機を迎え撃つしか術はなかった。各艦の砲員たちは
訓練通りの迅速な動きで持ち場につき、銃身を敵機へと向けた。
彼らの生命線は、この対空砲火に全てかかっていた。
その中でも一際異彩を放ったのは、旗艦「大和」の主砲だった。
世界最大の巨砲である46cm砲から、対空戦闘のために開発された特殊な散弾
三式弾が火を吹いたのだ。大和艦橋の戦闘指揮所では
高倉中将が腕組みをして戦況を見守っていた。
ドォォォォン!
雷鳴のような轟音と共に腹の底から響くような巨大な砲弾が発射された。
砲塔から噴き出す白煙が、艦橋を覆い隠す。
発射された三式弾は、空中で炸裂し、無数の焼夷弾子を撒き散らした。
まるで空に巨大な花火が咲いたかのような光景が広がる。
しかし、広範囲をカバーする三式弾といえども、初弾での敵機撃破はならず
敵機編隊は三式弾の弾幕をすり抜けて、日本の艦隊へと迫る。
しかし米軍機は巧みに回避行動を取りながら、その弾幕を突破してくる。
大和の主砲に続き、艦隊を構成する各艦の高角砲や機銃が火を噴いた。
一瞬にして、空は曳光弾の網で覆われ、炸裂する砲弾の火花が夜明け前の空を彩った。
ビスマルク海は、銃砲の轟音と航空機のエンジン音が織りなす
凄まじい大音響に包まれた。25mm三連装機銃、12.7cm連装高角砲
そして多数の機関砲が、それぞれ異なるリズムで火を噴き、空中で火花を散らす。
それでも、米軍パイロットたちは、熟練の技で日本の対空砲火をすり抜け
自らの目標へと迫り続けた。彼らは、日本の空母を確実に撃沈し
航空戦力を無力化するという明確な目標を持っていた。
特に激しい攻撃に晒されたのは、日本の主力空母「翔鶴」だった。
TBF雷撃機隊は、巧みな連携で翔鶴を挟み撃ちにしようと試みた。
複数の方向から同時に魚雷を放ち、翔鶴の回避行動を困難にしようと目論んだのだ。
しかし、翔鶴は、4万トン級の巨大な船体とは思えないほどの巧みな回避運動を見せた。
西風雅中佐の指揮の下、翔鶴は艦体を大きく傾け
魚雷の航跡をぎりぎりでかわしていく。その操艦は
まさに神業と呼ぶにふさわしかった。
水面には、回避された魚雷の白い航跡が幾筋も残された。
しかし、魚雷を回避した安堵も束の間
上空からSBDドーントレス急降下爆撃機隊が
その名の通り恐れを知らぬ突撃を敢行した。
キィィィィィーンという独特の急降下音を響かせながら
爆撃機は垂直に近い角度で翔鶴へと突っ込んでくる。
1発目、2発目、3発目と、爆弾は惜しくも至近弾となり
翔鶴の飛行甲板を掠めるのみだった。爆風と破片が甲板に降り注ぎ
着艦したばかりの機体を揺らす。しかし、回避運動を続ける翔鶴に対し
修正された4発目、そして5発目が、ついにその飛行甲板に直撃弾として着弾したのだ。
ドォォォォン!ドォォォォン!
雷鳴のような轟音と共に、翔鶴の飛行甲板に巨大な火柱が次々と上がった。
しかも最悪なことに、甲板上や格納庫内には
兵装搭載中の第二次攻撃隊の機体や、帰還したばかりの第一次攻撃隊の機体が
燃料や弾薬を積んだまま駐機していたのだ。
命中弾は、次々に弾薬や燃料に誘爆を起こした。爆発は連鎖的に発生し
艦内を地獄絵図と化した。凄まじい衝撃波が翔鶴の巨体を揺さぶり
甲板は歪み、ひび割れた。甲板の中央に位置する一番エレベーターは
爆発の衝撃で3メートルほども宙に浮き上がった後
歪んだ金属音を立てて落下した。飛行甲板は炎上し
黒煙が天高く舞い上がっていく。格納庫から
濃密な煙が噴き出し、翔鶴は瞬く間に巨大な火だるまのようになりつつあった。
「翔鶴被弾!弾火薬誘爆の模様!詳細被害不明!」
大和の戦闘艦橋にいた高倉は、見張り員の報告を受けた。
彼の顔には、一瞬、苦渋の表情が浮かんだ。
彼の指揮下にある主力空母が、かくも甚大な被害を受けたのだ。
「ちっ、やられたか」
彼は舌打ちを一つすると、すぐに冷静な指示を飛ばした。
その声には、一切の動揺が感じられなかった。
「翔鶴に極力艦の保全に努めよと送れ。全力を尽くし
艦の沈没を防げ。まぁ…あいつなら大丈夫だろうがな」
そう高倉が信頼を寄せるのは、現在の翔鶴艦長、西風雅中佐だ。
彼は高倉と同郷の同期であり、共に海軍兵学校で学び
互いの実力を認め合ってきた間柄だ。富永恭次少将による「富永事件」の後
翔鶴の艦長に就任した西風は、元々海軍兵学校で被弾時の艦の保全と
応急処置について講義をしていたほど、その分野の知識と経験が豊富だった。
彼の知識は、実践において何度も艦を危機から救ってきた。
高倉は、彼の冷静な判断力と、いかなる困難な状況下でも
最善を尽くすことができる能力を誰よりも理解していた。
「西風なら、この状況を乗り切れる。艦は失わせぬ」
高倉の言葉には、確固たる信頼が込められていた。
燃え盛る翔鶴を見ながらも、高倉は自らの判断に揺るぎなかった。
彼は、西風が必ず翔鶴を生き残らせると信じていた。
ビスマルク海は、まだ夜明けの空の下で激しい戦火に包まれていたが
日本海軍は、その底力を見せつけようとしていた。
翔鶴の被害は甚大だが、西風中佐の指揮の下、果たしてその巨艦は
再び日本の空を支えることができるのだろうか。
高倉は再び海図に目を向けた。敵の航空攻撃はまだ終わっていない。
そして、ホーネットに致命傷を与えたとはいえ、敵艦隊の主力は健在だ。
日本の戦いは、これからが本番だった。このビスマルク海で
両軍の命運をかけた激しい消耗戦が繰り広げられるだろう。
日本は、この窮地を乗り越え、勝利を掴むことができるのか。
戦いの行方は、まだ誰にも予測できなかった。
米空母「ホーネット」に壊滅的な打撃を与えた。
しかし、安堵する間もなく、戦場は新たな局面を迎える。
攻撃を完了した日本の攻撃隊が母艦への帰還を開始したその時
ビスマルク海の空は再び鉛色の暗雲に覆われようとしていた。
満身創痍の日本の攻撃隊は、次々と母艦へと帰投してきた。
空母の飛行甲板は、着艦する機体で埋め尽くされ
艦内では第二次攻撃隊の準備が急ピッチで進められている。
燃料や弾薬の補給、機体の整備、損傷箇所の応急処置など
地上要員たちは休む間もなく作業に追われていた。パイロットたちは
疲労困憊の体に鞭打ち、愛機を降りると、すぐに状況報告のために
司令部へと向かっていった。彼らの顔には、激戦をくぐり抜けた者だけが持つ
憔悴と達成感が混じり合っていた。
その時だ。
「敵機!敵機来襲!」
甲板の混乱の中、見張り員からの悲鳴にも似た報告が艦隊全体に響き渡った。
警戒レーダーが捉えた反応は、急速に数を増やし
日本の艦隊へと迫っていた。敵空母から発艦したTBFアベンジャー雷撃機隊と
それに続くSBDドーントレス急降下爆撃機隊が
日本の機動艦隊へと殺到してきたのだ。その数は、第一次攻撃隊に劣らぬ規模と見られた。
日本の各空母は、着艦したばかりの機体で飛行甲板が埋まり
加えて第二次攻撃隊の機体が兵装を搭載中のため
迎撃機を発艦させることすらできないという絶望的な状況に陥っていた。
格納庫には、損傷を受けた機体や、整備中の機体がひしめき合っている。
この状況下で、たとえ発艦できたとしても、十分な数の迎撃機を送り出すことは不可能だった。
頼れるのは、各艦に備えられた対空砲火のみ。
艦隊全体が、文字通り「対空の壁」を形成し
迫り来る敵機を迎え撃つしか術はなかった。各艦の砲員たちは
訓練通りの迅速な動きで持ち場につき、銃身を敵機へと向けた。
彼らの生命線は、この対空砲火に全てかかっていた。
その中でも一際異彩を放ったのは、旗艦「大和」の主砲だった。
世界最大の巨砲である46cm砲から、対空戦闘のために開発された特殊な散弾
三式弾が火を吹いたのだ。大和艦橋の戦闘指揮所では
高倉中将が腕組みをして戦況を見守っていた。
ドォォォォン!
雷鳴のような轟音と共に腹の底から響くような巨大な砲弾が発射された。
砲塔から噴き出す白煙が、艦橋を覆い隠す。
発射された三式弾は、空中で炸裂し、無数の焼夷弾子を撒き散らした。
まるで空に巨大な花火が咲いたかのような光景が広がる。
しかし、広範囲をカバーする三式弾といえども、初弾での敵機撃破はならず
敵機編隊は三式弾の弾幕をすり抜けて、日本の艦隊へと迫る。
しかし米軍機は巧みに回避行動を取りながら、その弾幕を突破してくる。
大和の主砲に続き、艦隊を構成する各艦の高角砲や機銃が火を噴いた。
一瞬にして、空は曳光弾の網で覆われ、炸裂する砲弾の火花が夜明け前の空を彩った。
ビスマルク海は、銃砲の轟音と航空機のエンジン音が織りなす
凄まじい大音響に包まれた。25mm三連装機銃、12.7cm連装高角砲
そして多数の機関砲が、それぞれ異なるリズムで火を噴き、空中で火花を散らす。
それでも、米軍パイロットたちは、熟練の技で日本の対空砲火をすり抜け
自らの目標へと迫り続けた。彼らは、日本の空母を確実に撃沈し
航空戦力を無力化するという明確な目標を持っていた。
特に激しい攻撃に晒されたのは、日本の主力空母「翔鶴」だった。
TBF雷撃機隊は、巧みな連携で翔鶴を挟み撃ちにしようと試みた。
複数の方向から同時に魚雷を放ち、翔鶴の回避行動を困難にしようと目論んだのだ。
しかし、翔鶴は、4万トン級の巨大な船体とは思えないほどの巧みな回避運動を見せた。
西風雅中佐の指揮の下、翔鶴は艦体を大きく傾け
魚雷の航跡をぎりぎりでかわしていく。その操艦は
まさに神業と呼ぶにふさわしかった。
水面には、回避された魚雷の白い航跡が幾筋も残された。
しかし、魚雷を回避した安堵も束の間
上空からSBDドーントレス急降下爆撃機隊が
その名の通り恐れを知らぬ突撃を敢行した。
キィィィィィーンという独特の急降下音を響かせながら
爆撃機は垂直に近い角度で翔鶴へと突っ込んでくる。
1発目、2発目、3発目と、爆弾は惜しくも至近弾となり
翔鶴の飛行甲板を掠めるのみだった。爆風と破片が甲板に降り注ぎ
着艦したばかりの機体を揺らす。しかし、回避運動を続ける翔鶴に対し
修正された4発目、そして5発目が、ついにその飛行甲板に直撃弾として着弾したのだ。
ドォォォォン!ドォォォォン!
雷鳴のような轟音と共に、翔鶴の飛行甲板に巨大な火柱が次々と上がった。
しかも最悪なことに、甲板上や格納庫内には
兵装搭載中の第二次攻撃隊の機体や、帰還したばかりの第一次攻撃隊の機体が
燃料や弾薬を積んだまま駐機していたのだ。
命中弾は、次々に弾薬や燃料に誘爆を起こした。爆発は連鎖的に発生し
艦内を地獄絵図と化した。凄まじい衝撃波が翔鶴の巨体を揺さぶり
甲板は歪み、ひび割れた。甲板の中央に位置する一番エレベーターは
爆発の衝撃で3メートルほども宙に浮き上がった後
歪んだ金属音を立てて落下した。飛行甲板は炎上し
黒煙が天高く舞い上がっていく。格納庫から
濃密な煙が噴き出し、翔鶴は瞬く間に巨大な火だるまのようになりつつあった。
「翔鶴被弾!弾火薬誘爆の模様!詳細被害不明!」
大和の戦闘艦橋にいた高倉は、見張り員の報告を受けた。
彼の顔には、一瞬、苦渋の表情が浮かんだ。
彼の指揮下にある主力空母が、かくも甚大な被害を受けたのだ。
「ちっ、やられたか」
彼は舌打ちを一つすると、すぐに冷静な指示を飛ばした。
その声には、一切の動揺が感じられなかった。
「翔鶴に極力艦の保全に努めよと送れ。全力を尽くし
艦の沈没を防げ。まぁ…あいつなら大丈夫だろうがな」
そう高倉が信頼を寄せるのは、現在の翔鶴艦長、西風雅中佐だ。
彼は高倉と同郷の同期であり、共に海軍兵学校で学び
互いの実力を認め合ってきた間柄だ。富永恭次少将による「富永事件」の後
翔鶴の艦長に就任した西風は、元々海軍兵学校で被弾時の艦の保全と
応急処置について講義をしていたほど、その分野の知識と経験が豊富だった。
彼の知識は、実践において何度も艦を危機から救ってきた。
高倉は、彼の冷静な判断力と、いかなる困難な状況下でも
最善を尽くすことができる能力を誰よりも理解していた。
「西風なら、この状況を乗り切れる。艦は失わせぬ」
高倉の言葉には、確固たる信頼が込められていた。
燃え盛る翔鶴を見ながらも、高倉は自らの判断に揺るぎなかった。
彼は、西風が必ず翔鶴を生き残らせると信じていた。
ビスマルク海は、まだ夜明けの空の下で激しい戦火に包まれていたが
日本海軍は、その底力を見せつけようとしていた。
翔鶴の被害は甚大だが、西風中佐の指揮の下、果たしてその巨艦は
再び日本の空を支えることができるのだろうか。
高倉は再び海図に目を向けた。敵の航空攻撃はまだ終わっていない。
そして、ホーネットに致命傷を与えたとはいえ、敵艦隊の主力は健在だ。
日本の戦いは、これからが本番だった。このビスマルク海で
両軍の命運をかけた激しい消耗戦が繰り広げられるだろう。
日本は、この窮地を乗り越え、勝利を掴むことができるのか。
戦いの行方は、まだ誰にも予測できなかった。
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