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ニューギニア防衛戦
終結
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ビスマルク海の夜は、地獄絵図と化していた。
大和と金剛型戦艦が放つ巨弾、そして日米駆逐艦隊による魚雷の応酬が
闇を切り裂き、海面を血と炎で染め上げた。金剛と比叡の沈没
ワシントンとサウスダコダの損傷。両艦隊は
もはや限界に達しつつあった。そして、遠く東の空が、かすかに白み始めた。
戦艦大和の艦橋は、もはや静寂とは程遠い
緊迫した空気に包まれていた。砲声はまだ響いているが
その密度は明らかに低下していた。高倉義人中将は
額の汗を拭いもせず、冷静な目で戦況板を見つめていた。
彼の脳裏には、金剛と比叡の最期の炎が焼き付いていた。
「金剛、沈没確認……比叡も、間もなく……」
報告する参謀の声は、震えていた。日本艦隊は
この夜戦で二隻の主力戦艦を失った。
榛名、霧島も多数被弾し、その動きは鈍くなっていた。
駆逐艦隊も、激しい対水雷戦闘で多数の損傷艦を出し
一部は沈没していた。高倉は、敵艦隊の損害報告にも目を通した。
ワシントンとサウスダコダは中破。他の米戦艦も
完全に無傷ではないだろう。
米駆逐艦も、日本の魚雷によって確実に数を減らしている。
「敵も、相当な損害を受けているはずだ……」
高倉は呟いた。このまま戦闘を続ければ、両艦隊が共倒れになる可能性が高い。
特に、日本艦隊は、夜が明ければ米軍の圧倒的な
航空戦力に再び晒されることになる。エセックスと
エンタープライズに致命傷を与えたとはいえ
米軍の残存航空機が再び脅威となることは明白だった。
夜明けは、日本の艦隊にとって、絶好の隠蔽を奪う天敵となる。
高倉は、深く息を吸い込み、そして、苦渋の決断を下した。
「全艦隊に告ぐ。これより、撤退を開始する」
彼の声は、静かでありながら、艦橋の隅々にまで響き渡った。
その命令は、将兵たちにとって、安堵と同時に
言い知れぬ悔しさを伴うものだった。金剛と比叡
そして多くの命を失いながら、このまま引き下がるのか。
しかし、高倉は、これ以上の無益な消耗戦は避けるべきだと判断したのだ。
彼の心中には、戦果と引き換えの犠牲
そして、まだ終わらない戦争への重い責任感が交錯していた。
「駆逐艦隊は、残存の魚雷を全て投射し
煙幕を展開せよ!戦艦部隊の撤退を援護する!」
高倉は、迅速に次の指示を下した。駆逐艦隊は
残された最後の力を振り絞り、煙幕を張り巡らせる。
夜明け前の薄明かりの中、黒い煙が海面を覆い尽くし
日本艦隊の姿を隠していく。そして
残された魚雷も、米艦隊へ向けて発射された。
一方、米艦隊の司令官チェスター・W・ニミッツ大将もまた
夜明け前の空を見上げていた。ワシントンとサウスダコダの損傷は深刻で
駆逐艦隊も大きな被害を受けていた。
日本の艦隊も消耗しているのは明らかだが
彼らの夜戦における粘り強さは、ニミッツの想像をはるかに超えていた。
「日本艦隊、煙幕を展開中!後方へ反転する模様!」
見張り員からの報告が、ニミッツの耳に届いた。
日本の撤退。それは、追撃のチャンスでもあった。
しかし、ニミッツは冷静に状況を分析した。
「ワシントン、サウスダコダの損傷はどの程度だ?追撃に耐えうるか?」
「ワシントンはレーダーが機能せず、主砲も一部使用不能。
サウスダコダも艦速が低下しております。このまま追撃を続ければ
さらなる損傷を負う可能性があります」
参謀の報告は、追撃の困難さを示唆していた。
ニミッツは、深く考え込んだ。日本の航空母艦には致命傷を与えた。
それは、大きな戦略的勝利だ。しかし、このまま追撃を続けて
日本の戦艦に深手を負わせられなかった場合
逆に自らの艦隊がさらなる危険に晒される。
特に、夜が明ければ、エセックスとエンタープライズの修理が始まるまでは
航空支援が望めない状況だった。
ニミッツの脳裏には、日本の空母への攻撃で失われた
ホーネットの痛ましい姿がよぎった。
これ以上の無用な消耗は避けるべきだ。彼は、苦渋の決断を下した。
「追撃を断念する。全艦隊、離脱せよ。
各艦、損傷状況を確認し、空母の修理を最優先とせよ」
ニミッツの命令は、米艦隊全体に伝達された。
彼らは、日本の撤退を追撃することなく、ビスマルク海から離れていく。
彼の心中には、日本の夜戦における驚くべき粘り強さと
これまでの損害に対する深い悔しさが残っていた。
この戦いは、予想をはるかに超える消耗戦となったのだ。
夜明けと共に、ビスマルク海の戦場に
ついに静寂が訪れた。朝焼けの光が、血と油に染まった海面を照らし出す。
そこには、炎上する残骸や、浮遊する破片が散らばっていた。
日本の戦艦金剛が沈んだ場所には、わずかな重油の膜が残るだけだった。
戦艦比叡もまた、夜闇にその巨体を沈め、海面に巨大な煙の柱だけを残していた。
日米両艦隊は、それぞれの母港へ向けて撤退を開始した。
日本の艦艇は、損傷した艦体を抱えながら、西へと針路を取った。
米艦隊もまた、東へと向かい
損傷した空母と戦艦を護衛しながら、ビスマルク海を後にする。
このビスマルク海海戦は、両軍にとって、大きな損失を伴う結果となった。
日本艦隊の損害
航空母艦翔鶴 大破。自力航行は可能だが
大規模な修理が必要であり、数ヶ月の戦線離脱は避けられない。
戦艦金剛 沈没
戦艦比叡 沈没
重巡洋艦高雄 中破 魚雷命中により浸水
一部兵装使用不能。艦隊からの離脱を余儀なくされる。
重巡洋艦愛宕 軽微な損傷
軽巡洋艦能代 軽微な損傷
軽巡洋艦矢矧 軽微な損傷
駆逐艦玉波 中破
機関室被弾により航行能力が著しく低下。
駆逐艦藤波 沈没
その他駆逐艦:複数隻が軽微な損傷を負った。
航空機:第一次、第二次攻撃隊で
計120機以上の航空機と、それに伴う熟練パイロットの喪失
米艦隊の損害
航空母艦ホーネット
壊滅的損傷。自力航行不能、曳航による後送後、事実上の廃棄処分が決定する。
航空母艦エセックス
大破。航行不能、大規模な修理が必要であり、戦線復帰には半年以上を要する見込み。
航空母艦エンタープライズ
中破。低速航行が可能だが、一時的な修理で前線復帰するには限界がある。
戦艦ワシントン
中破 レーダー破壊、主砲一部使用不能。修理には数週間を要する。
戦艦サウスダコタ
中破。複数被弾、艦速低下、主砲一部使用不能。こちらも修理が必要。
重巡洋艦サンフランシスコ 軽微な損傷。
軽巡洋艦クリーブランド 軽微な損傷。
駆逐艦オバノン 沈没。
駆逐艦ポッター 大破。
駆逐艦フレッチャー 軽微な損傷。
その他駆逐艦:複数隻が損傷。
このビスマルク海海戦は、統計的には日本の辛勝と位置づけられるだろう。
日本は、米海軍の航空戦力の中核である正規空母3隻のうち
2隻に致命的な打撃を与え、1隻を中破させたことで
米太平洋艦隊の航空優勢を一時的にではあるが
大きく減退させることに成功した。これは
日本の作戦目標であったニューギニア方面への大規模な援軍輸送を
一時的に可能にする、大きな戦果のように見えた。
戦艦大和の艦橋で、高倉は、遠ざかるビスマルク海の
水平線を静かに見つめていた。彼の表情には
疲労と、そして勝利への確信、そして失われた命への哀悼が入り混じっていた。
「今回の戦いは、大きな犠牲を伴った。
だが、我々は空母戦力において、敵に決定的な打撃を与えた。
これで、当面、敵は航空優勢を保てなくなるだろう」
彼の言葉には、戦略的な勝利への確信が込められていた。
しかし、同時に、彼が背負う重い責任も感じられた。
失われた二隻の戦艦、そして熟練のパイロットたちの穴は
決して小さくはない。日本の国力では
これらの損失を短期間で補うことは困難だった。
一方、米艦隊のニミッツは、旗艦の艦橋で
日本の夜戦における粘り強さに、改めて戦慄していた。
彼の脳裏には、日本の酸素魚雷の脅威と、比叡の捨て身の突撃が焼き付いていた。
「日本は、やはり夜の鬼神だ。しかし、我々はこれを乗り越える。
航空母艦の修理を急げ。そして、次の戦いでは、決して同じ轍は踏まない」
ニミッツの言葉には、日本の奮戦に対する敬意と
決して屈しないという強い決意が込められていた。
米国の工業力は、失われた艦艇や航空機を短期間で補充できることを、彼は知っていた。
しかし、ビスマルク海海戦における日本の勝利は
本質的に目指していた「ニューギニア方面の支援作戦」を行うことができなかったため
戦略的には失敗とも捉えられた。 消耗した艦隊では
大規模な輸送船団を護衛し、敵の航空攻撃から守り抜くことは不可能だった。
日本の艦隊は、戦術的な勝利を収めたものの
戦略的な目標は達成できなかったのだ。
この戦いは、太平洋戦争全体において、両軍の消耗戦の激しさを改めて浮き彫りにした。
米軍は、この後、空母戦力の補充と、より効果的な対夜戦術の開発を加速させるだろう。
ビスマルク海海戦は、太平洋戦争の戦局において、
大きな転換点となった。日本の空母戦力は健在であることを示し、
米軍に大きな痛手を与えた一方で、両軍は互いに甚大な犠牲を払った。
この戦いで得た教訓は、その後の太平洋戦争の行方を
大きく左右することになるだろう。そして、ビスマルク海の深淵には
日米両軍の多くの艦艇と、その中で散っていった兵士たちの魂が
静かに眠り続けている。戦いは、まだ終わっていなかった。
この血の代償は、次の戦場で、さらに大きな波紋を広げることになるだろう。
大和と金剛型戦艦が放つ巨弾、そして日米駆逐艦隊による魚雷の応酬が
闇を切り裂き、海面を血と炎で染め上げた。金剛と比叡の沈没
ワシントンとサウスダコダの損傷。両艦隊は
もはや限界に達しつつあった。そして、遠く東の空が、かすかに白み始めた。
戦艦大和の艦橋は、もはや静寂とは程遠い
緊迫した空気に包まれていた。砲声はまだ響いているが
その密度は明らかに低下していた。高倉義人中将は
額の汗を拭いもせず、冷静な目で戦況板を見つめていた。
彼の脳裏には、金剛と比叡の最期の炎が焼き付いていた。
「金剛、沈没確認……比叡も、間もなく……」
報告する参謀の声は、震えていた。日本艦隊は
この夜戦で二隻の主力戦艦を失った。
榛名、霧島も多数被弾し、その動きは鈍くなっていた。
駆逐艦隊も、激しい対水雷戦闘で多数の損傷艦を出し
一部は沈没していた。高倉は、敵艦隊の損害報告にも目を通した。
ワシントンとサウスダコダは中破。他の米戦艦も
完全に無傷ではないだろう。
米駆逐艦も、日本の魚雷によって確実に数を減らしている。
「敵も、相当な損害を受けているはずだ……」
高倉は呟いた。このまま戦闘を続ければ、両艦隊が共倒れになる可能性が高い。
特に、日本艦隊は、夜が明ければ米軍の圧倒的な
航空戦力に再び晒されることになる。エセックスと
エンタープライズに致命傷を与えたとはいえ
米軍の残存航空機が再び脅威となることは明白だった。
夜明けは、日本の艦隊にとって、絶好の隠蔽を奪う天敵となる。
高倉は、深く息を吸い込み、そして、苦渋の決断を下した。
「全艦隊に告ぐ。これより、撤退を開始する」
彼の声は、静かでありながら、艦橋の隅々にまで響き渡った。
その命令は、将兵たちにとって、安堵と同時に
言い知れぬ悔しさを伴うものだった。金剛と比叡
そして多くの命を失いながら、このまま引き下がるのか。
しかし、高倉は、これ以上の無益な消耗戦は避けるべきだと判断したのだ。
彼の心中には、戦果と引き換えの犠牲
そして、まだ終わらない戦争への重い責任感が交錯していた。
「駆逐艦隊は、残存の魚雷を全て投射し
煙幕を展開せよ!戦艦部隊の撤退を援護する!」
高倉は、迅速に次の指示を下した。駆逐艦隊は
残された最後の力を振り絞り、煙幕を張り巡らせる。
夜明け前の薄明かりの中、黒い煙が海面を覆い尽くし
日本艦隊の姿を隠していく。そして
残された魚雷も、米艦隊へ向けて発射された。
一方、米艦隊の司令官チェスター・W・ニミッツ大将もまた
夜明け前の空を見上げていた。ワシントンとサウスダコダの損傷は深刻で
駆逐艦隊も大きな被害を受けていた。
日本の艦隊も消耗しているのは明らかだが
彼らの夜戦における粘り強さは、ニミッツの想像をはるかに超えていた。
「日本艦隊、煙幕を展開中!後方へ反転する模様!」
見張り員からの報告が、ニミッツの耳に届いた。
日本の撤退。それは、追撃のチャンスでもあった。
しかし、ニミッツは冷静に状況を分析した。
「ワシントン、サウスダコダの損傷はどの程度だ?追撃に耐えうるか?」
「ワシントンはレーダーが機能せず、主砲も一部使用不能。
サウスダコダも艦速が低下しております。このまま追撃を続ければ
さらなる損傷を負う可能性があります」
参謀の報告は、追撃の困難さを示唆していた。
ニミッツは、深く考え込んだ。日本の航空母艦には致命傷を与えた。
それは、大きな戦略的勝利だ。しかし、このまま追撃を続けて
日本の戦艦に深手を負わせられなかった場合
逆に自らの艦隊がさらなる危険に晒される。
特に、夜が明ければ、エセックスとエンタープライズの修理が始まるまでは
航空支援が望めない状況だった。
ニミッツの脳裏には、日本の空母への攻撃で失われた
ホーネットの痛ましい姿がよぎった。
これ以上の無用な消耗は避けるべきだ。彼は、苦渋の決断を下した。
「追撃を断念する。全艦隊、離脱せよ。
各艦、損傷状況を確認し、空母の修理を最優先とせよ」
ニミッツの命令は、米艦隊全体に伝達された。
彼らは、日本の撤退を追撃することなく、ビスマルク海から離れていく。
彼の心中には、日本の夜戦における驚くべき粘り強さと
これまでの損害に対する深い悔しさが残っていた。
この戦いは、予想をはるかに超える消耗戦となったのだ。
夜明けと共に、ビスマルク海の戦場に
ついに静寂が訪れた。朝焼けの光が、血と油に染まった海面を照らし出す。
そこには、炎上する残骸や、浮遊する破片が散らばっていた。
日本の戦艦金剛が沈んだ場所には、わずかな重油の膜が残るだけだった。
戦艦比叡もまた、夜闇にその巨体を沈め、海面に巨大な煙の柱だけを残していた。
日米両艦隊は、それぞれの母港へ向けて撤退を開始した。
日本の艦艇は、損傷した艦体を抱えながら、西へと針路を取った。
米艦隊もまた、東へと向かい
損傷した空母と戦艦を護衛しながら、ビスマルク海を後にする。
このビスマルク海海戦は、両軍にとって、大きな損失を伴う結果となった。
日本艦隊の損害
航空母艦翔鶴 大破。自力航行は可能だが
大規模な修理が必要であり、数ヶ月の戦線離脱は避けられない。
戦艦金剛 沈没
戦艦比叡 沈没
重巡洋艦高雄 中破 魚雷命中により浸水
一部兵装使用不能。艦隊からの離脱を余儀なくされる。
重巡洋艦愛宕 軽微な損傷
軽巡洋艦能代 軽微な損傷
軽巡洋艦矢矧 軽微な損傷
駆逐艦玉波 中破
機関室被弾により航行能力が著しく低下。
駆逐艦藤波 沈没
その他駆逐艦:複数隻が軽微な損傷を負った。
航空機:第一次、第二次攻撃隊で
計120機以上の航空機と、それに伴う熟練パイロットの喪失
米艦隊の損害
航空母艦ホーネット
壊滅的損傷。自力航行不能、曳航による後送後、事実上の廃棄処分が決定する。
航空母艦エセックス
大破。航行不能、大規模な修理が必要であり、戦線復帰には半年以上を要する見込み。
航空母艦エンタープライズ
中破。低速航行が可能だが、一時的な修理で前線復帰するには限界がある。
戦艦ワシントン
中破 レーダー破壊、主砲一部使用不能。修理には数週間を要する。
戦艦サウスダコタ
中破。複数被弾、艦速低下、主砲一部使用不能。こちらも修理が必要。
重巡洋艦サンフランシスコ 軽微な損傷。
軽巡洋艦クリーブランド 軽微な損傷。
駆逐艦オバノン 沈没。
駆逐艦ポッター 大破。
駆逐艦フレッチャー 軽微な損傷。
その他駆逐艦:複数隻が損傷。
このビスマルク海海戦は、統計的には日本の辛勝と位置づけられるだろう。
日本は、米海軍の航空戦力の中核である正規空母3隻のうち
2隻に致命的な打撃を与え、1隻を中破させたことで
米太平洋艦隊の航空優勢を一時的にではあるが
大きく減退させることに成功した。これは
日本の作戦目標であったニューギニア方面への大規模な援軍輸送を
一時的に可能にする、大きな戦果のように見えた。
戦艦大和の艦橋で、高倉は、遠ざかるビスマルク海の
水平線を静かに見つめていた。彼の表情には
疲労と、そして勝利への確信、そして失われた命への哀悼が入り混じっていた。
「今回の戦いは、大きな犠牲を伴った。
だが、我々は空母戦力において、敵に決定的な打撃を与えた。
これで、当面、敵は航空優勢を保てなくなるだろう」
彼の言葉には、戦略的な勝利への確信が込められていた。
しかし、同時に、彼が背負う重い責任も感じられた。
失われた二隻の戦艦、そして熟練のパイロットたちの穴は
決して小さくはない。日本の国力では
これらの損失を短期間で補うことは困難だった。
一方、米艦隊のニミッツは、旗艦の艦橋で
日本の夜戦における粘り強さに、改めて戦慄していた。
彼の脳裏には、日本の酸素魚雷の脅威と、比叡の捨て身の突撃が焼き付いていた。
「日本は、やはり夜の鬼神だ。しかし、我々はこれを乗り越える。
航空母艦の修理を急げ。そして、次の戦いでは、決して同じ轍は踏まない」
ニミッツの言葉には、日本の奮戦に対する敬意と
決して屈しないという強い決意が込められていた。
米国の工業力は、失われた艦艇や航空機を短期間で補充できることを、彼は知っていた。
しかし、ビスマルク海海戦における日本の勝利は
本質的に目指していた「ニューギニア方面の支援作戦」を行うことができなかったため
戦略的には失敗とも捉えられた。 消耗した艦隊では
大規模な輸送船団を護衛し、敵の航空攻撃から守り抜くことは不可能だった。
日本の艦隊は、戦術的な勝利を収めたものの
戦略的な目標は達成できなかったのだ。
この戦いは、太平洋戦争全体において、両軍の消耗戦の激しさを改めて浮き彫りにした。
米軍は、この後、空母戦力の補充と、より効果的な対夜戦術の開発を加速させるだろう。
ビスマルク海海戦は、太平洋戦争の戦局において、
大きな転換点となった。日本の空母戦力は健在であることを示し、
米軍に大きな痛手を与えた一方で、両軍は互いに甚大な犠牲を払った。
この戦いで得た教訓は、その後の太平洋戦争の行方を
大きく左右することになるだろう。そして、ビスマルク海の深淵には
日米両軍の多くの艦艇と、その中で散っていった兵士たちの魂が
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