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混成攻撃隊
桜花隊
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米海軍機動部隊上空では
零戦隊とF6Fヘルキャット隊による壮絶な空中戦が繰り広げられていた。
零戦隊は、その圧倒的な数的不利にもかかわらず
文字通り命を賭して米軍戦闘機を引きつけ、後続の攻撃機群への道を切り開いていた。
空中には、被弾炎上する機体や、激しい機銃掃射の煙が渦巻き、戦場の異臭が漂っていた。
その激しい空中戦の真下を、日本海軍の攻撃隊が静かに
しかし確実に米艦隊へと接近していた。最初に陸海連合航空部隊の前方を
艦載機と基地航空隊が混在する編隊
(零戦、彗星、天山、一式陸攻、銀河)が進撃する
彼らは、米軍戦闘機が零戦隊に釘付けになっている隙を突き
米艦隊への突入を敢行する。
高空、高度8000メートルには、一式陸攻の編隊が
重々しいエンジン音を響かせながら進んでいた。
彼らは、胴体下にロケット特攻機桜花を抱いている。
その指揮を執るのは、陸攻隊指揮官・山岡少佐だった。
彼の顔には、この作戦の重圧と、部下たちへの責任感が深く刻まれていた。
彼らは、狙撃兵のように、敵艦隊を正確に捉え
桜花を確実に投下するという、極めて精密な任務を担っていた。
その遥か下方、高度3000メートルからは、天山と彗星の攻撃隊が
米艦隊へと向かっていた。彼らは、魚雷と爆弾を搭載し
米艦隊の防御網を突破して、艦艇に直接打撃を与える役割を担っていた。
「敵攻撃隊、接近! 高度8000と3000に大編隊!」
米海軍第58任務部隊の艦隊上空には
既にF6Fヘルキャット隊と零戦隊の激しい空中戦が展開していたが
米艦隊のレーダーは、後続の攻撃隊の接近を正確に探知していた。
「全艦、対空戦闘用意! 5インチ砲、VT信管装填! 一斉射撃!」
ミッチャー中将の指示が、米艦隊の全艦艇に響き渡る。
駆逐艦から巡洋艦、そして戦艦に至るまで、米艦隊のあらゆる艦艇から
膨大な数の5インチ砲弾が空へと放たれた。
これらの砲弾は、日本が知る通常の時限信管とは異なり
目標に接近すると自動的に爆発するVT信管を装備していた。
それは、日本の攻撃機にとって、まさに死の壁だった。
ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン!
空中で無数の火花が咲き乱れ、白い煙が広がる。
見えない壁にぶつかったかのように、天山隊の機体が次々と爆炎に包まれた。
「うわぁぁぁ!」
「右翼被弾! コントロール不能!」
悲鳴のような無線が飛び交う。天山は、その多くが魚雷を搭載しており
低空からの雷撃を狙っていたが、VT信管の弾幕は
彼らの進路を完全に塞いだ。編隊の約半数が
目標に到達する前に、この恐るべき対空砲火によって撃墜されていった。
「彗星隊も、ほぼ壊滅状態です!」
後方の攻撃機隊からも、絶望的な報告が入る。
爆弾を搭載した彗星隊も、天山隊と同様に、VT信管の餌食となった。
彼らは、急降下爆撃を敢行する間もなく、空中で爆散していく。
しかし、その地獄のような対空砲火を
奇跡的に潜り抜けてくる編隊があった。
高度8000メートルを進む陸攻隊だった。
彼らは、高高度を飛行していたため
5インチ砲のVT信管の有効射程圏外を飛行できたのだ。
「陸攻隊、ほぼ無傷で射点直前まで到達しました!」
日本艦隊から上がった歓声は、しかし、すぐに絶望へと変わる。
「馬鹿な……!」
山岡少佐は、肉眼で米艦隊の姿を捉えた。
まさに射点、桜花を切り離すための最終侵入高度への
降下を開始しようとしたその時だった。
「敵編隊、第二波が到達!」
見張り員の叫びが、機内に響き渡る。
米軍は、零戦隊との空中戦で手間取ったF6Fに加えて
高高度性能の高いF4Uコルセア隊を、陸攻隊の迎撃に差し向けたのだ。
漆黒の機体に逆ガル翼を持つF4Uは、猛烈な勢いで陸攻隊へと肉薄してきた。
ダダダダダッ!
F4Uの強力な機銃が火を噴き、陸攻隊の機体が次々と被弾していく。
桜花を積んで重たい一式陸攻は、機動性に劣り、F4Uの餌食となった。
「右エンジン被弾!火を吹いています!」
山岡少佐の指揮官機も、被弾した。
燃料を多量に積む翼内燃料タンクに火が引火し
ワンショットライターと揶揄された陸攻の最大の弱点が露呈する。
炎が右翼を舐め、機体が激しく揺れる。
「はっはっは、まだ飛べる! 右翼内燃料投棄!」
山岡少佐は、血を吐くような声で叫んだ。
炎上する燃料を投棄し、火災の鎮火を図る。
機体が傾き、爆煙がコックピットにまで流れ込む。
「でも!それでは陸攻が帰れません!」
後方の桜花コクピットに乗り込んでいる桜花搭乗員・高橋少尉が
必死の形相で叫んだ。燃料を投棄すれば、陸攻は帰投できなくなる。
それは、搭乗員全員の命を捨てることを意味する。
山岡少佐は、振り返って高橋少尉の顔を見た。その目には、迷いはなかった。
「若いもんを殺して俺だけ生き残ろうとは思わん!」
そう言って、彼は燃料コックを捻った。炎は勢いを失い
やがて鎮火した。しかし、被弾した右エンジンは不調を訴え
航続距離は絶望的になった。
だが、F4Uの追撃は止まらない。
再び敵機が機銃掃射をかけてくる。機体が激しく揺れ、新たな被弾音が響く。
「俺を切り離してくれ! そうすれば逃げれる!」
高橋少尉が、再び叫んだ。桜花を切り離せば
陸攻は機体が軽くなり、多少なりとも速度と機動性を得られる。
「ダメだ。お前を切り離すのは敵艦を捉えてからだ。それまでは絶対に放さんぞ!」
山岡少佐は、頑として首を縦に振らなかった。
彼の脳裏には、基地での訓練の日々が蘇っていた。
「桜花は、精密兵器だ。必ず目標に叩き込め」
そのためには、陸攻が最大限に射点まで近づき
有利な位置で投下しなければならない。
その間も、陸攻の尾部の銃座が火を噴き
辛くも追撃に来た敵機一機を撃墜した。
しかし、周囲を見渡せば、陸攻隊は残り3機となっていた。
ほとんどの機体が、射点直前で高高度性能を持つF4Uの餌食となり、空中分解していったのだ。
しかも、そのうちの一機は、桜花の推進機構に被弾し、不調を訴えていた。
機体はグラつき、いつ爆発してもおかしくない状態だった。
山岡少佐が、コクピットを覗き込むと、その機長は三番機の佐々木中尉らしい。
山岡少佐は、決断した。このままでは全滅する。
しかし、この戦いの「真実」を伝える者がいなければならない。
「佐々木中尉機に告ぐ。貴機は桜花を投下
そのまま基地へ帰投し、戦いの最後を伝えよ。
これは私からの最後の命令だ。以上。生きよ。」
そう言って、山岡少佐は通信機を置いた。
彼は、自分の命と引き換えに、佐々木中尉を帰還させ
この戦いの意味を後世に伝えようとしたのだ。
そして、山岡少佐は、桜花のコクピットの中の高橋少尉に、最後の言葉を告げた。
「高橋少尉。頼んだ。皆の分まで。」
高橋少尉は、山岡少佐の顔を食い入るように見つめた。
その目には、悲壮な決意と、託された使命への重みが宿っていた。彼は、深く頷いた。
「了解しました。やってきます。……射出!」
その瞬間、桜花を抱えた一式陸攻の機体から、桜花が切り離された。
それは、山岡少佐たちの命、そして日本の未来を乗せた
最後の希望の矢だった。ロケット推進機は
一瞬の静寂の後、猛烈な噴射音と共に、沖縄の海へと
まるで花が切って落とされるように、急降下を開始した。
零戦隊とF6Fヘルキャット隊による壮絶な空中戦が繰り広げられていた。
零戦隊は、その圧倒的な数的不利にもかかわらず
文字通り命を賭して米軍戦闘機を引きつけ、後続の攻撃機群への道を切り開いていた。
空中には、被弾炎上する機体や、激しい機銃掃射の煙が渦巻き、戦場の異臭が漂っていた。
その激しい空中戦の真下を、日本海軍の攻撃隊が静かに
しかし確実に米艦隊へと接近していた。最初に陸海連合航空部隊の前方を
艦載機と基地航空隊が混在する編隊
(零戦、彗星、天山、一式陸攻、銀河)が進撃する
彼らは、米軍戦闘機が零戦隊に釘付けになっている隙を突き
米艦隊への突入を敢行する。
高空、高度8000メートルには、一式陸攻の編隊が
重々しいエンジン音を響かせながら進んでいた。
彼らは、胴体下にロケット特攻機桜花を抱いている。
その指揮を執るのは、陸攻隊指揮官・山岡少佐だった。
彼の顔には、この作戦の重圧と、部下たちへの責任感が深く刻まれていた。
彼らは、狙撃兵のように、敵艦隊を正確に捉え
桜花を確実に投下するという、極めて精密な任務を担っていた。
その遥か下方、高度3000メートルからは、天山と彗星の攻撃隊が
米艦隊へと向かっていた。彼らは、魚雷と爆弾を搭載し
米艦隊の防御網を突破して、艦艇に直接打撃を与える役割を担っていた。
「敵攻撃隊、接近! 高度8000と3000に大編隊!」
米海軍第58任務部隊の艦隊上空には
既にF6Fヘルキャット隊と零戦隊の激しい空中戦が展開していたが
米艦隊のレーダーは、後続の攻撃隊の接近を正確に探知していた。
「全艦、対空戦闘用意! 5インチ砲、VT信管装填! 一斉射撃!」
ミッチャー中将の指示が、米艦隊の全艦艇に響き渡る。
駆逐艦から巡洋艦、そして戦艦に至るまで、米艦隊のあらゆる艦艇から
膨大な数の5インチ砲弾が空へと放たれた。
これらの砲弾は、日本が知る通常の時限信管とは異なり
目標に接近すると自動的に爆発するVT信管を装備していた。
それは、日本の攻撃機にとって、まさに死の壁だった。
ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン!
空中で無数の火花が咲き乱れ、白い煙が広がる。
見えない壁にぶつかったかのように、天山隊の機体が次々と爆炎に包まれた。
「うわぁぁぁ!」
「右翼被弾! コントロール不能!」
悲鳴のような無線が飛び交う。天山は、その多くが魚雷を搭載しており
低空からの雷撃を狙っていたが、VT信管の弾幕は
彼らの進路を完全に塞いだ。編隊の約半数が
目標に到達する前に、この恐るべき対空砲火によって撃墜されていった。
「彗星隊も、ほぼ壊滅状態です!」
後方の攻撃機隊からも、絶望的な報告が入る。
爆弾を搭載した彗星隊も、天山隊と同様に、VT信管の餌食となった。
彼らは、急降下爆撃を敢行する間もなく、空中で爆散していく。
しかし、その地獄のような対空砲火を
奇跡的に潜り抜けてくる編隊があった。
高度8000メートルを進む陸攻隊だった。
彼らは、高高度を飛行していたため
5インチ砲のVT信管の有効射程圏外を飛行できたのだ。
「陸攻隊、ほぼ無傷で射点直前まで到達しました!」
日本艦隊から上がった歓声は、しかし、すぐに絶望へと変わる。
「馬鹿な……!」
山岡少佐は、肉眼で米艦隊の姿を捉えた。
まさに射点、桜花を切り離すための最終侵入高度への
降下を開始しようとしたその時だった。
「敵編隊、第二波が到達!」
見張り員の叫びが、機内に響き渡る。
米軍は、零戦隊との空中戦で手間取ったF6Fに加えて
高高度性能の高いF4Uコルセア隊を、陸攻隊の迎撃に差し向けたのだ。
漆黒の機体に逆ガル翼を持つF4Uは、猛烈な勢いで陸攻隊へと肉薄してきた。
ダダダダダッ!
F4Uの強力な機銃が火を噴き、陸攻隊の機体が次々と被弾していく。
桜花を積んで重たい一式陸攻は、機動性に劣り、F4Uの餌食となった。
「右エンジン被弾!火を吹いています!」
山岡少佐の指揮官機も、被弾した。
燃料を多量に積む翼内燃料タンクに火が引火し
ワンショットライターと揶揄された陸攻の最大の弱点が露呈する。
炎が右翼を舐め、機体が激しく揺れる。
「はっはっは、まだ飛べる! 右翼内燃料投棄!」
山岡少佐は、血を吐くような声で叫んだ。
炎上する燃料を投棄し、火災の鎮火を図る。
機体が傾き、爆煙がコックピットにまで流れ込む。
「でも!それでは陸攻が帰れません!」
後方の桜花コクピットに乗り込んでいる桜花搭乗員・高橋少尉が
必死の形相で叫んだ。燃料を投棄すれば、陸攻は帰投できなくなる。
それは、搭乗員全員の命を捨てることを意味する。
山岡少佐は、振り返って高橋少尉の顔を見た。その目には、迷いはなかった。
「若いもんを殺して俺だけ生き残ろうとは思わん!」
そう言って、彼は燃料コックを捻った。炎は勢いを失い
やがて鎮火した。しかし、被弾した右エンジンは不調を訴え
航続距離は絶望的になった。
だが、F4Uの追撃は止まらない。
再び敵機が機銃掃射をかけてくる。機体が激しく揺れ、新たな被弾音が響く。
「俺を切り離してくれ! そうすれば逃げれる!」
高橋少尉が、再び叫んだ。桜花を切り離せば
陸攻は機体が軽くなり、多少なりとも速度と機動性を得られる。
「ダメだ。お前を切り離すのは敵艦を捉えてからだ。それまでは絶対に放さんぞ!」
山岡少佐は、頑として首を縦に振らなかった。
彼の脳裏には、基地での訓練の日々が蘇っていた。
「桜花は、精密兵器だ。必ず目標に叩き込め」
そのためには、陸攻が最大限に射点まで近づき
有利な位置で投下しなければならない。
その間も、陸攻の尾部の銃座が火を噴き
辛くも追撃に来た敵機一機を撃墜した。
しかし、周囲を見渡せば、陸攻隊は残り3機となっていた。
ほとんどの機体が、射点直前で高高度性能を持つF4Uの餌食となり、空中分解していったのだ。
しかも、そのうちの一機は、桜花の推進機構に被弾し、不調を訴えていた。
機体はグラつき、いつ爆発してもおかしくない状態だった。
山岡少佐が、コクピットを覗き込むと、その機長は三番機の佐々木中尉らしい。
山岡少佐は、決断した。このままでは全滅する。
しかし、この戦いの「真実」を伝える者がいなければならない。
「佐々木中尉機に告ぐ。貴機は桜花を投下
そのまま基地へ帰投し、戦いの最後を伝えよ。
これは私からの最後の命令だ。以上。生きよ。」
そう言って、山岡少佐は通信機を置いた。
彼は、自分の命と引き換えに、佐々木中尉を帰還させ
この戦いの意味を後世に伝えようとしたのだ。
そして、山岡少佐は、桜花のコクピットの中の高橋少尉に、最後の言葉を告げた。
「高橋少尉。頼んだ。皆の分まで。」
高橋少尉は、山岡少佐の顔を食い入るように見つめた。
その目には、悲壮な決意と、託された使命への重みが宿っていた。彼は、深く頷いた。
「了解しました。やってきます。……射出!」
その瞬間、桜花を抱えた一式陸攻の機体から、桜花が切り離された。
それは、山岡少佐たちの命、そして日本の未来を乗せた
最後の希望の矢だった。ロケット推進機は
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