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沖縄沖の鎮魂歌
非理法権天の旗の下
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午前3時30分。夜明けまで約3時間という闇の中
大和のカタパルトから、轟音と共に零式水上偵察機が
次々と射出されていった。4機の大和搭載機が
夜の帳を切り裂いて大空へと舞い上がる。
それに続き、軽巡洋艦・矢矧からも2機の零式水上偵察機が発進した。
合計6機の偵察機は、南東方面に存在すると思われる米艦隊を索敵するため
それぞれが担当する索敵線上へと散開していった。
偵察機のパイロットたちは、夜間の索敵という極めて困難な任務に挑んでいた。
計器の光だけが頼りの中、彼らは双眼鏡を覗き込み
かすかな艦影や光を見逃すまいと集中する。彼らの任務は、敵艦隊を発見し
その位置を正確に報告すること。
それは、来るべき艦隊決戦の行方を左右する、極めて重要な任務だった。
午前3時59分。索敵機からの
定期的連絡時刻、まさにその時だった。
「伊藤長官! 南南東索敵線上の大和4号機より入電!
『敵艦隊発見!』と報じたのちに、通信途絶!」
通信士官の声が、緊迫した艦橋に響き渡る。
敵艦隊を発見した直後の通信途絶。それは
4号機が敵艦隊の猛烈な対空砲火によって撃墜されたことを意味していた。
しかし、同時に、それは敵艦隊がすぐ近くにいるという、確実な情報でもあった。
「よし! 4号機方面に敵艦隊ありと判断!」
伊藤整一長官は、迷うことなく指示を出した。
彼の目は、羅針盤の南南東を示す方向に固定されていた。
「全艦、30度転舵! 目標、敵艦隊!」
大和の巨体が、ゆっくりと、しかし確実に針路を変更していく。
それに続き、残る巡洋艦と駆逐艦も
夜の闇の中を、大和の航跡を追うように一斉に転舵した。
「総員に第一種警戒配置を発令!」
艦内放送が、けたたましく鳴り響く。第一種警戒配置。
それは、戦闘開始直前の最高厳戒態勢を意味していた。
将兵たちは、それぞれの持ち場へと急ぎ、最終準備を整える。
主砲の砲弾が装填され、砲手たちは照準器に目を凝らす。
機関室では、ボイラーの圧力が最大に高められ
艦隊はいつでも最大戦速を出せる態勢に入った。
静寂と緊張が支配する中、刻一刻と時間が過ぎていく。
誰もが、敵艦隊の出現を固唾を飲んで待っていた。
午前4時29分。夜明けまであと約1時間45分。
薄明かりがわずかに東の空を染め始めた、まさにその時だった。
「敵艦隊発見! 距離23キロメートル! 南南東方向!」
大和の見張り員が、双眼鏡を覗き込みながら、震える声で叫んだ。
彼の指差す方向には、夜の闇に浮かび上がる、無数の巨大な影があった。
それは、紛れもなくデヨ少将率いる米海軍第54任務部隊だった。
巨大な艦影が、徐々にその姿を現し始める。
戦艦、巡洋艦、そして駆逐艦の群れが、夜の闇の中から
まるで幻のように現れ出た。それは、日本の第二艦隊と
米軍の砲戦艦隊が、互いに姿を現した瞬間だった。
午前4時31分。米艦隊発見の報からわずか2分後。
伊藤長官は、その全てを賭ける、最後の命令を下した。
「全艦に対し、突撃命令!」
彼の声は、艦橋にいる全ての将兵の心に、深く突き刺さった。
それは、この艦隊が、この海で
自らの全てを賭けて戦うという、揺るぎない決意の表明だった。
「マストに非理法権天の旗を掲げよ!」
伊藤長官の命令と共に、大和のマストに
海軍旗と共に、楠正成が掲げた、非理法権天の文字が描かれた旗が掲げられた
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず」
しかし、この戦いにおいて、彼らは
その「天」すらも超えて、理不尽な運命に立ち向かう覚悟を示していた。
同時に、伊藤長官は、最後の航空戦力である母艦群に対し、指示を出した。
「母艦群は北方にゆっくりと退避せよ」
瑞鶴、翔鶴、そして損傷した信濃といった空母は
もはや攻撃用の航空機を搭載しておらず、艦隊決戦においては
むしろ格好の標的となる。彼らを温存し
あるいは後方に退避させることで、戦艦を中心とした砲戦艦隊の負担を軽減し
同時に、万が一の奇跡に賭けるための、最後の生残の可能性を残したのだ。
そして、残る艦隊は、その全ての機関に火を入れ
最大戦速で米軍艦隊へと向かって突き進んでいった。
「我々に残された道は、これしかない。進め! 日本の未来のために!」
伊藤長官の胸中には、様々な思いが去来していた。
多くの命が失われ、日本の国力は限界に達していた。
しかし、この瞬間、彼らは、祖国の命運をかけた
最後の艦隊決戦へと挑む、一縷の希望を胸に、闇夜の海を突き進んでいった。
デヨ少将率いる第54任務部隊と、伊藤長官率いる日本の第二艦隊。
互いに航空戦力を失い、純粋な艦砲射撃のみで雌雄を決する
史上最後の大規模艦隊決戦の火蓋が、今まさに、夜明け前の沖縄の海で
静かに、しかし確実に切って落とされようとしていた。
大和のカタパルトから、轟音と共に零式水上偵察機が
次々と射出されていった。4機の大和搭載機が
夜の帳を切り裂いて大空へと舞い上がる。
それに続き、軽巡洋艦・矢矧からも2機の零式水上偵察機が発進した。
合計6機の偵察機は、南東方面に存在すると思われる米艦隊を索敵するため
それぞれが担当する索敵線上へと散開していった。
偵察機のパイロットたちは、夜間の索敵という極めて困難な任務に挑んでいた。
計器の光だけが頼りの中、彼らは双眼鏡を覗き込み
かすかな艦影や光を見逃すまいと集中する。彼らの任務は、敵艦隊を発見し
その位置を正確に報告すること。
それは、来るべき艦隊決戦の行方を左右する、極めて重要な任務だった。
午前3時59分。索敵機からの
定期的連絡時刻、まさにその時だった。
「伊藤長官! 南南東索敵線上の大和4号機より入電!
『敵艦隊発見!』と報じたのちに、通信途絶!」
通信士官の声が、緊迫した艦橋に響き渡る。
敵艦隊を発見した直後の通信途絶。それは
4号機が敵艦隊の猛烈な対空砲火によって撃墜されたことを意味していた。
しかし、同時に、それは敵艦隊がすぐ近くにいるという、確実な情報でもあった。
「よし! 4号機方面に敵艦隊ありと判断!」
伊藤整一長官は、迷うことなく指示を出した。
彼の目は、羅針盤の南南東を示す方向に固定されていた。
「全艦、30度転舵! 目標、敵艦隊!」
大和の巨体が、ゆっくりと、しかし確実に針路を変更していく。
それに続き、残る巡洋艦と駆逐艦も
夜の闇の中を、大和の航跡を追うように一斉に転舵した。
「総員に第一種警戒配置を発令!」
艦内放送が、けたたましく鳴り響く。第一種警戒配置。
それは、戦闘開始直前の最高厳戒態勢を意味していた。
将兵たちは、それぞれの持ち場へと急ぎ、最終準備を整える。
主砲の砲弾が装填され、砲手たちは照準器に目を凝らす。
機関室では、ボイラーの圧力が最大に高められ
艦隊はいつでも最大戦速を出せる態勢に入った。
静寂と緊張が支配する中、刻一刻と時間が過ぎていく。
誰もが、敵艦隊の出現を固唾を飲んで待っていた。
午前4時29分。夜明けまであと約1時間45分。
薄明かりがわずかに東の空を染め始めた、まさにその時だった。
「敵艦隊発見! 距離23キロメートル! 南南東方向!」
大和の見張り員が、双眼鏡を覗き込みながら、震える声で叫んだ。
彼の指差す方向には、夜の闇に浮かび上がる、無数の巨大な影があった。
それは、紛れもなくデヨ少将率いる米海軍第54任務部隊だった。
巨大な艦影が、徐々にその姿を現し始める。
戦艦、巡洋艦、そして駆逐艦の群れが、夜の闇の中から
まるで幻のように現れ出た。それは、日本の第二艦隊と
米軍の砲戦艦隊が、互いに姿を現した瞬間だった。
午前4時31分。米艦隊発見の報からわずか2分後。
伊藤長官は、その全てを賭ける、最後の命令を下した。
「全艦に対し、突撃命令!」
彼の声は、艦橋にいる全ての将兵の心に、深く突き刺さった。
それは、この艦隊が、この海で
自らの全てを賭けて戦うという、揺るぎない決意の表明だった。
「マストに非理法権天の旗を掲げよ!」
伊藤長官の命令と共に、大和のマストに
海軍旗と共に、楠正成が掲げた、非理法権天の文字が描かれた旗が掲げられた
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず」
しかし、この戦いにおいて、彼らは
その「天」すらも超えて、理不尽な運命に立ち向かう覚悟を示していた。
同時に、伊藤長官は、最後の航空戦力である母艦群に対し、指示を出した。
「母艦群は北方にゆっくりと退避せよ」
瑞鶴、翔鶴、そして損傷した信濃といった空母は
もはや攻撃用の航空機を搭載しておらず、艦隊決戦においては
むしろ格好の標的となる。彼らを温存し
あるいは後方に退避させることで、戦艦を中心とした砲戦艦隊の負担を軽減し
同時に、万が一の奇跡に賭けるための、最後の生残の可能性を残したのだ。
そして、残る艦隊は、その全ての機関に火を入れ
最大戦速で米軍艦隊へと向かって突き進んでいった。
「我々に残された道は、これしかない。進め! 日本の未来のために!」
伊藤長官の胸中には、様々な思いが去来していた。
多くの命が失われ、日本の国力は限界に達していた。
しかし、この瞬間、彼らは、祖国の命運をかけた
最後の艦隊決戦へと挑む、一縷の希望を胸に、闇夜の海を突き進んでいった。
デヨ少将率いる第54任務部隊と、伊藤長官率いる日本の第二艦隊。
互いに航空戦力を失い、純粋な艦砲射撃のみで雌雄を決する
史上最後の大規模艦隊決戦の火蓋が、今まさに、夜明け前の沖縄の海で
静かに、しかし確実に切って落とされようとしていた。
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