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第九章 サバイバル
第六話 因縁再燃
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「全く、シュレーゲンの奴、えらいもん呼び出しやがって」
ビエントとの戦いを邪魔されたヴェルクは、恨めしそうな顔で上空で対峙する三匹の翼魔獣の姿を見上げていた。
「御蔭で大物の首を取り損ねたじゃねえか。俺もバインドを召喚してあの戦いに参加するか? それとも地上に居るもう一人の首を取るか?」
その目が見据える先には、アインベルクの姿が。
「いや、もっといい奴があそこに居るな」
狙いを定めたヴェルクは、その大柄な体躯を感じさせない速さで駆け出し、行く手を遮る敵味方関係なく蹴散らして行く。
そして、一人の男の背中を認め、巨大なアックスの一撃をその頭頂に振り下ろした。
普通の者なら真っ二つにされたその一撃は、素早く反転した男の剣によって受け止められた。
「何のつもりだ?」
冷たい双眸を向けるその男は、ライオだ。
「この戦いが終わればどうなるか分からねえからな。この際だから先に決着を付けさせて貰おうと思ってな」
「ふざけているのか?」
「至って真面目だぜ。あん時、お前のせいで俺の人生は変わっちまったんだからな……」
今から十年程前…………。
ダルメキアのとある片田舎に、ヴェルクは恋人であるシエイナと共にひっそりと暮らしていた。
ヴェルクは魔獣召喚士として仕事をこなし、シエイナは家事に勤しみと、ごくごく普通の生活を過ごしていた。
ところが、ある日突然シエイナが病で倒れてしまった。
「待ってくれ! 治らねえってどう言うこった?」
家の中で連れて来た医者の診療を終え、出て来た医者から病状を伝えられたヴェルクが医者に食って掛かった。
「あの病は一度掛かればもう……」
「何言ってやがる! 手前は医者だろうが、何とかしろよ! 金なら幾らでも出すって言ってんだろう!」
「そう言う話ではない。例え大きな町の医者に見せても同じ事を言われるはずだ。私の腕がどうこうと言う話ではない」
「手前!」
「ヴェルク、止めて!」
騒ぎを聞きつけて家から顔を覗かせたシエイナが、医者に殴り掛からんとしたヴェルクを止める。
「シエイナ!」
咳込みながら膝を折るシエイナを、慌てて駆け寄ったヴェルクが抱き留める。
「寝てなきゃ駄目じゃねえか」
「私の事はいいの。もう覚悟は出来ているから。だから先生を責めないで」
「だってお前…………」
ヴェルクの目からは今にも溢れ出さんばかりの光るものがあった。
「一つだけ、手立てがない訳じゃあないんだが……」
二人の健気な姿に、医者がポツリと洩らす。
「何だ、あるのかよ」
「いや、確実に治ると言う保証はない」
「それでもいい。どうすりゃあいい?」
「四つの魔獣の部位を煎じた薬を飲めば治るかもしれないと聞いた事がある」
「四つの魔獣の部位?」
「そうだ。炎魔獣エングの尻尾。氷魔獣トウガの牙。風魔獣リンガの舌。この三つはお金を出せば手に入るだろう。ただ、残る一つが問題だ」
「問題?」
「地魔獣ランドルの生き血なんだが……」
「ランドルなら俺が召喚出来る」
ヴェルクが嬉々とした顔で言うが、医者は沈んだ顔で首を振る。
「ただのランドルでは駄目なんだ。特異種のランドルでないとな。お前も地魔獣遣いなら知っているだろう、特異種のランドルを探すのがどんなに大変か」
「特異種のランドルか。確かに大変そうだ。でも、そいつを持ってくりゃあ、助かるんだよな?」
「確証はないと言っただろう」
「それでもいい。一縷の望みがあるならなんでもやってやる」
シエイナを大きな町にある病院に預けたヴェルクは、医者が言っていた薬の素材集めに走った。
四つの素材の内の三つ、炎魔獣エングの尻尾、氷魔獣トウガの牙、風魔獣リンガの舌はお金を出す事もなく、比較的に容易くヴェルクが直接野生の魔獣を狩って確保する事が出来た。しかし最後の一つ、特異種のランドルだけは、その居場所すら掴むのに時間を要した。
ただ、地魔獣を召喚する事に長けているヴェルクには、その特性も熟知している事もあって、比較的に早くドロシェンと呼ばれる山の頂に居ると言う特異種のランドルの目撃情報を得た。
シエイナの病が進行する中、急ぎヴェルクはドロシェン山に向かった。
そこに情報通り特異種のランドルは居た。
居たのは居たのだが、そこでヴェルクが見たのものは、絶望の光景でしかなかった。
「何だこりゃあ……!?」
ビエントとの戦いを邪魔されたヴェルクは、恨めしそうな顔で上空で対峙する三匹の翼魔獣の姿を見上げていた。
「御蔭で大物の首を取り損ねたじゃねえか。俺もバインドを召喚してあの戦いに参加するか? それとも地上に居るもう一人の首を取るか?」
その目が見据える先には、アインベルクの姿が。
「いや、もっといい奴があそこに居るな」
狙いを定めたヴェルクは、その大柄な体躯を感じさせない速さで駆け出し、行く手を遮る敵味方関係なく蹴散らして行く。
そして、一人の男の背中を認め、巨大なアックスの一撃をその頭頂に振り下ろした。
普通の者なら真っ二つにされたその一撃は、素早く反転した男の剣によって受け止められた。
「何のつもりだ?」
冷たい双眸を向けるその男は、ライオだ。
「この戦いが終わればどうなるか分からねえからな。この際だから先に決着を付けさせて貰おうと思ってな」
「ふざけているのか?」
「至って真面目だぜ。あん時、お前のせいで俺の人生は変わっちまったんだからな……」
今から十年程前…………。
ダルメキアのとある片田舎に、ヴェルクは恋人であるシエイナと共にひっそりと暮らしていた。
ヴェルクは魔獣召喚士として仕事をこなし、シエイナは家事に勤しみと、ごくごく普通の生活を過ごしていた。
ところが、ある日突然シエイナが病で倒れてしまった。
「待ってくれ! 治らねえってどう言うこった?」
家の中で連れて来た医者の診療を終え、出て来た医者から病状を伝えられたヴェルクが医者に食って掛かった。
「あの病は一度掛かればもう……」
「何言ってやがる! 手前は医者だろうが、何とかしろよ! 金なら幾らでも出すって言ってんだろう!」
「そう言う話ではない。例え大きな町の医者に見せても同じ事を言われるはずだ。私の腕がどうこうと言う話ではない」
「手前!」
「ヴェルク、止めて!」
騒ぎを聞きつけて家から顔を覗かせたシエイナが、医者に殴り掛からんとしたヴェルクを止める。
「シエイナ!」
咳込みながら膝を折るシエイナを、慌てて駆け寄ったヴェルクが抱き留める。
「寝てなきゃ駄目じゃねえか」
「私の事はいいの。もう覚悟は出来ているから。だから先生を責めないで」
「だってお前…………」
ヴェルクの目からは今にも溢れ出さんばかりの光るものがあった。
「一つだけ、手立てがない訳じゃあないんだが……」
二人の健気な姿に、医者がポツリと洩らす。
「何だ、あるのかよ」
「いや、確実に治ると言う保証はない」
「それでもいい。どうすりゃあいい?」
「四つの魔獣の部位を煎じた薬を飲めば治るかもしれないと聞いた事がある」
「四つの魔獣の部位?」
「そうだ。炎魔獣エングの尻尾。氷魔獣トウガの牙。風魔獣リンガの舌。この三つはお金を出せば手に入るだろう。ただ、残る一つが問題だ」
「問題?」
「地魔獣ランドルの生き血なんだが……」
「ランドルなら俺が召喚出来る」
ヴェルクが嬉々とした顔で言うが、医者は沈んだ顔で首を振る。
「ただのランドルでは駄目なんだ。特異種のランドルでないとな。お前も地魔獣遣いなら知っているだろう、特異種のランドルを探すのがどんなに大変か」
「特異種のランドルか。確かに大変そうだ。でも、そいつを持ってくりゃあ、助かるんだよな?」
「確証はないと言っただろう」
「それでもいい。一縷の望みがあるならなんでもやってやる」
シエイナを大きな町にある病院に預けたヴェルクは、医者が言っていた薬の素材集めに走った。
四つの素材の内の三つ、炎魔獣エングの尻尾、氷魔獣トウガの牙、風魔獣リンガの舌はお金を出す事もなく、比較的に容易くヴェルクが直接野生の魔獣を狩って確保する事が出来た。しかし最後の一つ、特異種のランドルだけは、その居場所すら掴むのに時間を要した。
ただ、地魔獣を召喚する事に長けているヴェルクには、その特性も熟知している事もあって、比較的に早くドロシェンと呼ばれる山の頂に居ると言う特異種のランドルの目撃情報を得た。
シエイナの病が進行する中、急ぎヴェルクはドロシェン山に向かった。
そこに情報通り特異種のランドルは居た。
居たのは居たのだが、そこでヴェルクが見たのものは、絶望の光景でしかなかった。
「何だこりゃあ……!?」
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