179 / 208
第九章 サバイバル
第十話 ドラゴンスレイヤー
しおりを挟む
「さっきから何なんだよ、このバカでかい魔獣は?」
「全くあんたは記憶も頼りないんだから。ウィルの村で戦ったでしょう。覚えてないの?」
「相変わらずでヤンス」
「ウィルの村? そうか、あの時の竜魔獣か。でもちょっと待てよ。あの魔獣なら倒しただろう」
「馬鹿な奴が死魔獣として甦らせたのよ」
「死魔獣!? こんなバカでかいのが死魔獣って、どう倒せってんだよ?」
「だからあんたにも手伝えって言ってんでしょう」
シュタイルはうんざりと言わんばかりの溜息を吐く。
「仕方がない。力をひけらかすつもりはないが、こいつの討伐ぐらいは手伝ってやろう。ツェントの試し切りにもなるだろうからな」
「知らないんでしょうけど、斬ったぐらいでは死魔獣は死なないのよ。第一、斬るって竜魔獣をどうやって斬るって言うのよ」
「お前こそ気付いていなかったのか?」
「何を?」
今度は上空からジェモグリエの右の頭が口から吐いた炎が降り注ぐ。
飛び上がったシュタイルが頭上でツェントを激しく廻転させると、降り注いだジェモグリエの炎が辺りに分散される。
更に、シュタイルがジェモグリエに向けてツェントを縦に一閃すると、ジェモグリエの体に大きな傷が開き、ジェモグリエの双頭の悲痛な叫びが響き渡る。
その傷は徐々に塞がって行くが、確実に斬れると実証はされた。
地面に着地したシュタイルは、ツェントに付いたジェモグリエの血を振り払う。
「十傑はその全てが基本、竜殺しの剣だ」
「え、そうなの!?」
フラムとフリードは自分の剣をまじまじと見る。
「考えれば分かる事でヤンス。ジェモグリエの炎袋を斬り裂くのも、普通の剣じゃ無理でヤンスよ」
「あんたも知らなかったでしょう」
いつものフラムの拳がパルの顎に。
「遊んでいる暇はないぞ。あいつを斬るのは俺とそいつでいいだろう」
「俺?」
フリードが答える。
「あいつが死魔獣なら、その後に燃やせばいいだろう。あいつを燃やせる程の魔獣を召喚出来るか? お前は炎魔獣を召喚出来るんだろう」
「まあ、火力ならヴァルボラガでしょうけど。吹き付けて燃やすなら、フレイバルドかしら━━って、燃やせば消滅するって知ってたの?」
「誰も知らないとは言っていないだろう」
「確かに言ってないでヤンス」
「何をあんたが乗っかって言ってんのよ」
フラムがパルの口を両側から引っ張る。
「遊んでいる暇はないと言ったはずだ。出来るのか? 出来ないのか?」
「本当に気に障る言い方しかできないのね。出来るわよ。フレイバルドを召喚すればいいんでしょう」
「それは私が許可しません」
割って入るように錫杖の鈴の音が近寄って来る。
「アインベルク様」
「アインベルク? 氷の女王か」
シュタイルが口にした言葉に、フラムとパルが慌てるが、時既に遅し。
「その呼び名は好みません」
張り詰めた空気が二人の間に走る中、アインベルクが眉を顰める。
「おや、あなた何処かで……そうです。あなたはシュタイルですね。小さき頃の面影がありますよ。随分と久しいですね」
「懐かしむ暇もないはずだ。今はこいつをどうにかする事が先決だろう」
「口の利き方が悪いのも変わってませんね」
「やっぱり昔からあんな風だったんだ」
「恐らく、嫌な子供だったでヤンスね」
フラムとパルは揃って強く頷く。
「でも、どうしてフレイバルドを召喚したらダメなんですか?」
「詳しくは言えませんが、状況によってはあなたの魔力が必要になるかもしれません。だから、今は魔力を多く消費する上位魔獣であるフレイバルドを召喚する事は許可出来ません」
「だったらどうする。これほど大きな魔獣を燃やせる程の術があるのか?」
「何もフレイバルドを召喚しなくとも、数を集めれば良き事です」
「お母様!」
遠くから聞こえて来たシャルロアの声に目を向けると、シャルロアの姿と避難させていた兵士達の姿があった。
それも、敵味方関係なく。
「炎魔獣を召喚出来る者達を連れて来るようにシャルロアに頼んでおいたのです」
「ケイハルトの部下も居るようだけど」
「ケイハルトに斬り捨てられたと伝えて、手を貸すように諭しなさいと言っておいたのですが、どうやら成功したようですね」
「数で燃やせるかどうか分からないけど。やってみるしかないわね」
「でヤンスね」
パルがきりっとした顔をジェモグリエに向けた刹那、飛び上がったオロドーアの拳が後頭部に炸裂する。
「痛いでヤンス!」
「全くあんたは記憶も頼りないんだから。ウィルの村で戦ったでしょう。覚えてないの?」
「相変わらずでヤンス」
「ウィルの村? そうか、あの時の竜魔獣か。でもちょっと待てよ。あの魔獣なら倒しただろう」
「馬鹿な奴が死魔獣として甦らせたのよ」
「死魔獣!? こんなバカでかいのが死魔獣って、どう倒せってんだよ?」
「だからあんたにも手伝えって言ってんでしょう」
シュタイルはうんざりと言わんばかりの溜息を吐く。
「仕方がない。力をひけらかすつもりはないが、こいつの討伐ぐらいは手伝ってやろう。ツェントの試し切りにもなるだろうからな」
「知らないんでしょうけど、斬ったぐらいでは死魔獣は死なないのよ。第一、斬るって竜魔獣をどうやって斬るって言うのよ」
「お前こそ気付いていなかったのか?」
「何を?」
今度は上空からジェモグリエの右の頭が口から吐いた炎が降り注ぐ。
飛び上がったシュタイルが頭上でツェントを激しく廻転させると、降り注いだジェモグリエの炎が辺りに分散される。
更に、シュタイルがジェモグリエに向けてツェントを縦に一閃すると、ジェモグリエの体に大きな傷が開き、ジェモグリエの双頭の悲痛な叫びが響き渡る。
その傷は徐々に塞がって行くが、確実に斬れると実証はされた。
地面に着地したシュタイルは、ツェントに付いたジェモグリエの血を振り払う。
「十傑はその全てが基本、竜殺しの剣だ」
「え、そうなの!?」
フラムとフリードは自分の剣をまじまじと見る。
「考えれば分かる事でヤンス。ジェモグリエの炎袋を斬り裂くのも、普通の剣じゃ無理でヤンスよ」
「あんたも知らなかったでしょう」
いつものフラムの拳がパルの顎に。
「遊んでいる暇はないぞ。あいつを斬るのは俺とそいつでいいだろう」
「俺?」
フリードが答える。
「あいつが死魔獣なら、その後に燃やせばいいだろう。あいつを燃やせる程の魔獣を召喚出来るか? お前は炎魔獣を召喚出来るんだろう」
「まあ、火力ならヴァルボラガでしょうけど。吹き付けて燃やすなら、フレイバルドかしら━━って、燃やせば消滅するって知ってたの?」
「誰も知らないとは言っていないだろう」
「確かに言ってないでヤンス」
「何をあんたが乗っかって言ってんのよ」
フラムがパルの口を両側から引っ張る。
「遊んでいる暇はないと言ったはずだ。出来るのか? 出来ないのか?」
「本当に気に障る言い方しかできないのね。出来るわよ。フレイバルドを召喚すればいいんでしょう」
「それは私が許可しません」
割って入るように錫杖の鈴の音が近寄って来る。
「アインベルク様」
「アインベルク? 氷の女王か」
シュタイルが口にした言葉に、フラムとパルが慌てるが、時既に遅し。
「その呼び名は好みません」
張り詰めた空気が二人の間に走る中、アインベルクが眉を顰める。
「おや、あなた何処かで……そうです。あなたはシュタイルですね。小さき頃の面影がありますよ。随分と久しいですね」
「懐かしむ暇もないはずだ。今はこいつをどうにかする事が先決だろう」
「口の利き方が悪いのも変わってませんね」
「やっぱり昔からあんな風だったんだ」
「恐らく、嫌な子供だったでヤンスね」
フラムとパルは揃って強く頷く。
「でも、どうしてフレイバルドを召喚したらダメなんですか?」
「詳しくは言えませんが、状況によってはあなたの魔力が必要になるかもしれません。だから、今は魔力を多く消費する上位魔獣であるフレイバルドを召喚する事は許可出来ません」
「だったらどうする。これほど大きな魔獣を燃やせる程の術があるのか?」
「何もフレイバルドを召喚しなくとも、数を集めれば良き事です」
「お母様!」
遠くから聞こえて来たシャルロアの声に目を向けると、シャルロアの姿と避難させていた兵士達の姿があった。
それも、敵味方関係なく。
「炎魔獣を召喚出来る者達を連れて来るようにシャルロアに頼んでおいたのです」
「ケイハルトの部下も居るようだけど」
「ケイハルトに斬り捨てられたと伝えて、手を貸すように諭しなさいと言っておいたのですが、どうやら成功したようですね」
「数で燃やせるかどうか分からないけど。やってみるしかないわね」
「でヤンスね」
パルがきりっとした顔をジェモグリエに向けた刹那、飛び上がったオロドーアの拳が後頭部に炸裂する。
「痛いでヤンス!」
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる