炎の魔獣召喚士

平岡春太

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第九章 サバイバル

 第十一話 共闘作戦

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 ジェモグリエの前方に、シュタイルとフリードが少し距離を取って並んでいる。
 シュタイルがジェモグリエの左の頭の前に、フリードが右の頭の前に。

「本当にこのでっかい奴が斬れんのかよ」
「不安なら辞めておけ。俺一人でも十分だ」
「あれ、二人じゃなかったらこいつを斬れないって言わなかったっけ?」
「そうは言っていない。こいつを斬るだけなら俺とお前だけで十分だと言っただけだ」
「一人でいいなら何でわざわざ俺を?」
「魔界でゼクスの使い方を修行して来たと言っていただろう。こいつはその成果を試すには打って付けの相手だろうと思っただけだ」
「ん? 成果を試す為って、じゃあ俺の為に?」
「そろそろ始まるぞ。準備はいいか?」

 ジェモグリエの周りに集まった兵士達が点在し、各々が魔獣召喚陣を作って、自分の持てる限りの炎を生み出せる炎魔獣を召喚する。
 異変に気付いたジェモグリエが暴れ出そうとするが、ジェモグリエの両側を挟むように陣取ったアインベルクとシャルロアが示し合わせたように地面に錫杖を突き刺し、その先から地面を走った氷の道がジェモグリエに達すると同時に足先からその体を徐々に凍らせて動きを封じる。
 その間にシュタイルがツェントを構えるのを見て、フリードもゼクスを構える。すると、ゼクスが長く伸び、刃の幅が広くなる。
 ただ、かなりの長さで、以前に剣聖の死魔獣と対した時の様に、バランスが取れずにふらつく。
 その姿を見たシュタイルは呆れ顔で首を振る。

「何を遊んでいる? 長ければいいと言うものでもないだろう。それでよくゼクスに選ばれたものだな」
「そんな事言ってもだな。と、と。これぐらい長くなきゃあ、と、と、あんな馬鹿でかい魔獣を斬れないだろう。と、と」
「このツェントはお前が持つゼクス程の伸縮性はない。それでジェモグリエを斬れると言っている意味が分からないのか? 仕方ない」

 シュタイルはジェモグリエに向かって構え直すと、ツェントを振り被って勢い良く縦に一閃した。
 ツェントから生じた一陣の風がジェモグリエの左の頭の中央を駆け抜けた刹那、凍り付いた下半身の氷を粉砕しようと暴れていたジェモグリエの動きが止まり、左半身が縦に切り裂かれて崩れ落ちて行く。

「どうだ?」
「なるほどな」

 ゼクスの大きさが、ルディアが扱っていた時の大剣より二廻りほど小さくなり、フリードのふらつきもなくなる。

「こんな感じか?」

 構えるのもそこそこに、ゼクスを大きく振りかぶり、ジェモグリエに向かって縦に一閃する。
 シュタイルの時の様にゼクスから生じた一陣の風がジェモグリエの右の頭を駆け抜けた刹那、今度はジェモグリエの右半身が縦に切り裂かれて崩れ落ちて行く。

「本当だ。これで斬れるのか」
「見ただけで出来る訳でもないんだがな。ゼクスが選んだのもそこか。俺には単なる馬鹿にしか見えないが」

 シュタイルはツェントを肩に担ぎ上げると、踵を返して歩み出した。

「おい、最後まで戦って行かないのか?」
「俺の用は終わった。あとはお前達で頑張るんだな」

 見事に三つに寸断されたジェモグリエだが、早くまた一つになろうと動き出している。
 そうはさせじと召喚された炎魔獣達が一斉にジェモグリエに向かって炎を吐きつける。
 燃え上がる炎は一つとなり、やがてジェモグリエの三つの肉片を包み込んだ。
 ここまでは順調に作戦が進み、周りから歓喜や安堵の声が上がるが、事はそう簡単に進まなかった。
 燃え上がる炎に包まれながらも、ジェモグリエの再生の動きは止まらず、燃えずに少しずつながら崩れた体が起き上がろうとしていた。
 喜びに沸いた声は失望へと変わる。

「この火力でも無理ですか……」

 新たなる対策を考えねばと見上げたアインベルクの目に、燃え盛るジェモグリエの上空を飛ぶフィールとその背に乗るフラムの姿が留まった。

「フラム? あそこで一体何を?」
「お母様!」

 訝しるアインベルクの元に、反対側に居たシャルロアがパルを伴って向かって来た。
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