炎の魔獣召喚士

平岡春太

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最終章 戦いの果てに

 第四話 残る望みは

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 上空で雷帝に対して風帝、氷帝の三匹の前代未聞の激しい戦いが繰り広げられる。
 竜魔獣のそれぞれの属性の頂点に位置する五帝同士の戦いは今までにない。
 それは勿論、それぞれが属性の魔獣召喚士を冠する者達が所有し、反目することがなかったからだ。
 それが今、目の前で行われ、フラム達は目で追うだけがやっとの先の見えない戦いを地上から傍観する。

「何か近づいて行くでヤンスよ」

 壮絶なる三匹の戦いの場に近付く姿を、パルがいち早く見つける。
 それは、翼魔獣に乗る数人の生き残り達であった。

「加勢するつもりだろうな」
「無茶よ。力量が違い過ぎるわ」

 本人達もそれは承知の上であったかもしれない。

「引き返しなさい!」
「無駄に命を散らしてはならん!」

 アインベルクとビエントの忠告も時既に遅く、加勢に来た者達の視界から雷帝が消えた。
 突然現れた、そう見えるほどの速さで加勢に来た翼魔獣の集団の中に雷帝が居た。

「場をわきまえぬゴミムシどもが。ライディシュラーク!!」

 スパークした雷帝の体から放出された電撃が翼魔獣を襲い、それに乗る人間ともども黒き屍と化し、あえなくその全てが地上へと落ちて行った。

「さて━━ん?」

 戦いの再開だと言わんばかりの笑みを向けたケイハルトの視界から風帝の姿が消えていた。
 顔を振り向ける間もなく雷帝の背後から激しい衝撃を受ける。
 それは、隙を突いて背後に廻った風帝の体当たりだった。
 バランスを崩したケイハルトも雷帝から吹っ飛ばされ、そのまま下に落ちて行く。

「そなた達の死を無駄にするものか!」

 ビエントも後を追って風帝の頭上から飛び降りる。

「その通りです!」

 アインベルクも氷帝から飛び降りる。
 雷帝が主を拾うべく降下しようとするが、その行く手を風帝と氷帝が立ちはだかる。
 雷帝から落とされたケイハルトをビエントとアインベルクが追うが、当然同じ様な速度で降下して行く為、差は縮まらない。
 そこで、ビエントは後方で三叉戟を廻転させ、
アインベルクも同様に後方で錫杖を廻転させて推進力を生み、ケイハルトに迫る。
 さすがに剣を武具とするケイハルトは、推進力を生む程に剣を廻転する事は叶わず、二人を迎え撃つ。
 先に向かって来たビエントの三叉戟の突きを上手く捌くも、その背後に迫っていたアインベルクが振るった錫杖がケイハルトの背中を殴打する。

「空中戦こそ我等が真骨頂よ!」
「あなたは若さを手に入れたかしれませんが、私達にはそれを補う経験があります!」
「図に乗るな!」

 ケイハルトが横薙ぎに振るった剣を、アインベルクは錫杖で防ぐも、弾かれて遠ざかる。
 更に迫って来たビエントの突きを捌こうと剣を返そうとした手が上手く動かない。
 手首の辺りがいつの間にか凍っていた。

「先程弾いた時か」
「捉えたぞ!」

 ビエントの三叉戟が突き出されたその時、激しい突風と共にケイハルトの姿が消えた。
 少し飛ばされたビエントとアインベルクの目が捉えたのは、雷帝の頭上に乗るケイハルトの姿だった。

「風帝と氷帝は?」

 見上げた先で、風帝と氷帝は痺れるように体を震わせて苦しんでいた。

「もう少しと言う所で残念だったな。そのまま地面に叩き付けられて死ぬがいい」

 勝ち誇ったケイハルトだが、落ちて行くビエントをグリードが、そしてアインベルクをサウロンが攫って行く。
 更に、痺れが消えて雷帝の前方に舞い降りて来た風帝と氷帝に合流し、それぞれの頭上に飛び移る。

「先に召喚していたか。残念だ」

 とは言えケイハルトに悔しがる表情はない。

「確かに今のは焦ったぞ。ただ、絶対的な力を誇る雷帝の前では無に帰す。せめて攻撃に長けた炎帝が居れば面白くはなろうが、ヴァルカンが我が手によって果てた今、それも見果てぬ夢か」

 焦りのない要因はそこか。しかし、
 
「いえ、そうでもありませんよ」
「何?」
「待て。あの子に召喚出来るのか?」

 先に焦りを見せたのはケイハルトではなくビエントだった。

「あの子? 待て。そう言えばヴァルカンの弟子が居たのだったな」

 ケイハルトの視線は地上に居るフラムに落とされた。
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