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最終章 戦いの果てに
第六話 救いの主
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「あれが魔獣だって? 嘘だろう。さっきのジェモグリエって奴でも相当でかかったんだぞ。あれはそれどころの大きさじゃないぞ。それが魔獣だって言うのか?」
「私も見たことがないからはっきりは━━いえ、絶対にあれは魔獣、それもダルメキアで知られている魔獣の中では最大の大きさを誇る魔獣。あれが地帝ボーデヴァルヴェルグよ」
雷帝や風帝、そして氷帝のように羽は持っていないものの、体の表面全てを岩で覆われたその巨躯は他の三匹を圧倒する。
それ故、四つ足の歩みを進める度に、地面割るほどの衝撃と地響きを引き起こす。
「地帝。それではあの魔獣を召喚したのは……」
シャルロアの顔にも希望と言う光を生む笑みが浮かぶ。
「来てくれたんだわ」
地上から遠目に見上げる地帝の頭部は、単なる巨大な岩の塊にしか見えないが、目や鼻、口と竜のそれを形作っている。
そして、その頭部の上には、フラムがよく知る人物が乗っている。
地の魔獣召喚士たるルシェールだ。
ただ、胡座をかいて前を見据えるルシェールの顔は、あからさまに不満に満ちている。
「どうして儂がこんな所に来なければならんのじゃ」
愚痴を溢すルシェールが振り向いた少し後ろには、もう一人杖を突いた人物が立っていた。
「確かラファールとか言ったな」
目元に包帯を巻いていて、顔は分からないが、特徴ある長髪を靡かせるのはラファールだった。
目は見えないものの、ルシェールの声に何かを感じたのか、姿勢を正す。
「な、何でしょうか?」
「儂が人嫌いなのは言うたのお。儂は定期的に居場所を変えておる。それはダルメキアに居るまだ知られておらぬ魔獣の研究の為もあるが、居場所を知られない為でもある。なのに、どうして居場所が分かったのじゃ?」
「私が居る組織には色々と情報が集まって来ますので」
ルシェールは首を横に振る。
「全く、何処に居ても見張られておると言う事か。嫌気がさすの」
「いえ、決して見張っている訳では」
「そちらの意図はそうでも、儂にしたら見張られておるのと変わらんわい」
そう言われればラファールも返す言葉がない。
「全く、この戦いが終わったらビエントに言うておけよ。この貸しは高くつくぞとな」
「どうして私がビエント様と繋がりがあると?」
「あやつが密かにいかがわしい集団を組織した事はとうに知っておる。儂の居場所が分かるほどの組織ならばそこしかなかろう」
「なるほど、さすがは五賢人の中でも見識のある方ですね。それにしても、いかがわしい組織とは……ただ、言っておきますが、今回の事は私が独断でしたことで、ビエント様は一切与り知らぬ事ですよ」
「そんな事は分かっておるわ。さすがにビエントともあろうものが、お前みたいな者に頭を下げさせるような姑息な真似を使うとは思わんからのお」
「姑息とは手厳しい」
「違うと申すのか? そんな姿で頭を下げられたら、断るものも断れんじゃろうて」
全て見透かれていて、ラファールは押し黙る。
「まあ、このままケイハルトを野放しにして、ダルメキアに大事があれば、儂としても魔獣の研究が出来なくなるからのお。それに、フラムに何かあれば、ルディア様に怒鳴られそうで敵わんからな」
「ルディア様? どうしてです?」
「ほう、儂の居場所が分かるのに、それは知らぬのか」
「幾ら情報が集まると言っても、全てを網羅することは不可能ですよ。況して私など、知らぬ事があり過ぎて、まだまだ未熟者です」
「随分と殊勝な事だ。上の三人にも、少しはその心構えがあればのお」
三人とは当然、残る五賢人の三人だ。
「それで、先程のルディア様の件は?」
「知らぬなら知らぬ方がよい。人間、全てを知ってしまえば興味を失い、生きる糧も失ってしまうものじゃ。魔獣の探求は面白いぞ。常に新しい魔獣が現れ、飽きる事はないからのお」
「聞いていた通りの方のようですね」
ルシェールは鼻であしらう。
「どうせ悪口であろう。偏屈なおっさんだとな」
「いえいえ、そんな事は」
「謙遜はいい。さて」
ゆっくりと立ち上がる。
「せっかく来たのじゃ。少しは暴れさせてもらうかのお。ボーデヴァルヴェルグよ、もう一発お見舞いしてやれ」
小さな魔獣なら吸い込まれそうな大きな口が開き、その中から先程雷帝を襲った巨大な岩の塊が勢い良く吐き出された。
「ビエントよ、ちゃんと儂の意図を汲み取れよ」
「私も見たことがないからはっきりは━━いえ、絶対にあれは魔獣、それもダルメキアで知られている魔獣の中では最大の大きさを誇る魔獣。あれが地帝ボーデヴァルヴェルグよ」
雷帝や風帝、そして氷帝のように羽は持っていないものの、体の表面全てを岩で覆われたその巨躯は他の三匹を圧倒する。
それ故、四つ足の歩みを進める度に、地面割るほどの衝撃と地響きを引き起こす。
「地帝。それではあの魔獣を召喚したのは……」
シャルロアの顔にも希望と言う光を生む笑みが浮かぶ。
「来てくれたんだわ」
地上から遠目に見上げる地帝の頭部は、単なる巨大な岩の塊にしか見えないが、目や鼻、口と竜のそれを形作っている。
そして、その頭部の上には、フラムがよく知る人物が乗っている。
地の魔獣召喚士たるルシェールだ。
ただ、胡座をかいて前を見据えるルシェールの顔は、あからさまに不満に満ちている。
「どうして儂がこんな所に来なければならんのじゃ」
愚痴を溢すルシェールが振り向いた少し後ろには、もう一人杖を突いた人物が立っていた。
「確かラファールとか言ったな」
目元に包帯を巻いていて、顔は分からないが、特徴ある長髪を靡かせるのはラファールだった。
目は見えないものの、ルシェールの声に何かを感じたのか、姿勢を正す。
「な、何でしょうか?」
「儂が人嫌いなのは言うたのお。儂は定期的に居場所を変えておる。それはダルメキアに居るまだ知られておらぬ魔獣の研究の為もあるが、居場所を知られない為でもある。なのに、どうして居場所が分かったのじゃ?」
「私が居る組織には色々と情報が集まって来ますので」
ルシェールは首を横に振る。
「全く、何処に居ても見張られておると言う事か。嫌気がさすの」
「いえ、決して見張っている訳では」
「そちらの意図はそうでも、儂にしたら見張られておるのと変わらんわい」
そう言われればラファールも返す言葉がない。
「全く、この戦いが終わったらビエントに言うておけよ。この貸しは高くつくぞとな」
「どうして私がビエント様と繋がりがあると?」
「あやつが密かにいかがわしい集団を組織した事はとうに知っておる。儂の居場所が分かるほどの組織ならばそこしかなかろう」
「なるほど、さすがは五賢人の中でも見識のある方ですね。それにしても、いかがわしい組織とは……ただ、言っておきますが、今回の事は私が独断でしたことで、ビエント様は一切与り知らぬ事ですよ」
「そんな事は分かっておるわ。さすがにビエントともあろうものが、お前みたいな者に頭を下げさせるような姑息な真似を使うとは思わんからのお」
「姑息とは手厳しい」
「違うと申すのか? そんな姿で頭を下げられたら、断るものも断れんじゃろうて」
全て見透かれていて、ラファールは押し黙る。
「まあ、このままケイハルトを野放しにして、ダルメキアに大事があれば、儂としても魔獣の研究が出来なくなるからのお。それに、フラムに何かあれば、ルディア様に怒鳴られそうで敵わんからな」
「ルディア様? どうしてです?」
「ほう、儂の居場所が分かるのに、それは知らぬのか」
「幾ら情報が集まると言っても、全てを網羅することは不可能ですよ。況して私など、知らぬ事があり過ぎて、まだまだ未熟者です」
「随分と殊勝な事だ。上の三人にも、少しはその心構えがあればのお」
三人とは当然、残る五賢人の三人だ。
「それで、先程のルディア様の件は?」
「知らぬなら知らぬ方がよい。人間、全てを知ってしまえば興味を失い、生きる糧も失ってしまうものじゃ。魔獣の探求は面白いぞ。常に新しい魔獣が現れ、飽きる事はないからのお」
「聞いていた通りの方のようですね」
ルシェールは鼻であしらう。
「どうせ悪口であろう。偏屈なおっさんだとな」
「いえいえ、そんな事は」
「謙遜はいい。さて」
ゆっくりと立ち上がる。
「せっかく来たのじゃ。少しは暴れさせてもらうかのお。ボーデヴァルヴェルグよ、もう一発お見舞いしてやれ」
小さな魔獣なら吸い込まれそうな大きな口が開き、その中から先程雷帝を襲った巨大な岩の塊が勢い良く吐き出された。
「ビエントよ、ちゃんと儂の意図を汲み取れよ」
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