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最終章 戦いの果てに
第十六話 愛と言う名の奇跡
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猛スピードで炎帝に近付いて来た氷帝の頭上に居るアインベルクが、炎帝の頭上に飛び移る。
「何と言う事です……」
炎に包まれたフラムは、アインベルクの姿にも反応せず、立ってはいるもののその目はただ一点を見つめて動かない。
「フラム、聞こえますか! 気を静めなさい! 怒りを増幅してはなりません!」
その声にもまるで反応はない。
「やはり、もう声は届きませんか。しかしこのままでは……ならば力尽くで!」
アインベルクが錫杖を頭上で激しく廻転させると辺りに冷気が漂い始め、フラムを包む炎の周りに取り巻いて行く。
更に強まる冷気にフラムを包む炎が周りから凍り始め、一気に氷の彫刻を創り上げた。
「このまま一気に抑え込めれば━━」
突如として氷に無数の亀裂が走り、閉じ込められていた炎が一気に噴き出した。
激しい熱風にアインベルクは吹っ飛ばされ、炎帝の頭上から落ちてしまった。
直ぐ近くで待機していた氷帝が頭で受け止める。
「これでは打つ手が……あれは?」
アインベルクが見上げた先に、一匹のサウロンが炎帝の頭上に近付いて来る。
その背には胸元にオロドーアを抱いたシャルロアが乗っている。
更にその後ろには、フリードの姿もあった。両眼を閉じ、シャルロアの肩に手を置いている。
「それじゃあ、頼みますよ」
炎帝の頭上に到着するなり、オロドーアを放り投げた。
オロドーアは着地を失敗し、炎帝の頭上に俯せになって落ちた。
やったとばかりにシャルロアが痛そうな顔をする中、直ぐに立ち上がったオロドーアが大丈夫だと言わんばかりに両腕を掲げる姿に苦笑いするしかない。
「そろそろ俺もいいか?」
「はい。下でオロドーアさんが受け止めると言っていましたが、余り当てにしないで下さい。そう高さもありませんし、怪我もしないでしょうから」
「助かったよ。ただ、ここに居れば何が起こるかわからないからな。もしもの為に、俺がオロドーアを投げたらそれを拾ってここを離れてくれ」
「分かりました。お気を付けて。何とかフラムさんを」
「ああ、何とかやってみる。それじゃあ」
目を閉じたままのフリードをシャルロアが誘導し、サウロンの縁を示唆すると、フリードは迷わずサウロンから飛び降りた。
下で待ち受けているオロドーアが、両腕を掲げて右往左往する。
そこに丁度フリードが落ちて来て、見事にキャッチした━━かに見えたが、見事に潰れた。
「いてて……」
尻餅を突いたフリードは、ようやく目を開ける。
巨躯を持つアオスヴォルカーノは、頭上も広々として下を待つもに見ずに済んだ。
「これなら大丈夫だ」
安心した所で、下敷きになっているオロドーアの騒ぐ声に気付いて慌てて立ち上がる。
「おっと。悪い、悪い」
身を起こしたオロドーアは、怒り心頭にフリードに食って掛かるが、突然吹いて来た熱風に驚き、慌てて炎帝の頭上から飛び出して行った。
「さすがに氷魔獣はこのあつさじゃな」
落ちたオロドーアをサウロンに乗っているシャルロアが拾い、フリードに言われた通りに少し離れて飛んで行く。
「さて……」
厳しい顔を向けた先には、炎に包まれたフラムの姿がある。
先程よりも炎は明らかに勢いを増している。
歩み始めたフリードは、徐々に熱さを増していく中、躊躇する事なく炎の中に足を踏み入れた。
ただ、余りの暑さにその顔は少し歪む。
「よくこんな中を平然としていられたな」
それは、以前にブレアが属性魔力の暴走をした時に、同じくその炎に身を投じたイグニアに向けてのものだ。
「属性の耐性はあっただろうが、この暑さは異常だぞ」
フラムは直ぐそこに立っているのに、それ以上の距離を感じる。
それでもフラムの前に立ったフリードは、その両肩を掴んだ。
「おい、しっかりしろ! このままだと、ダルメキアがなくなっちまうぞ!」
肩を揺すりつつ、何度も呼び掛けるが、フラムは生気を失ったようにまるで反応がない。
「やっぱりダメか。時間がない。あれしか」
フリードは徐に眼を閉じ、その顔をフラムに近付け、その唇をフラムのそれに重ねた。
その瞬間、炎は治まるどころか一気に燃え上がり、更に風が周りに渦を巻く。しかし、その炎が一瞬にして凍ったかと思うと亀裂が走り、砕け散った。
ただ、先程のアインベルクの時とは違い、炎は完全に消えていた。
「馬鹿な!? 暴走が止まっただと?」
「ありえん事が起こった……」
雷帝と風帝の頭上で遣り合っていたケイハルトとビエントも動きを止め、驚かずにいられなかった。
「奇跡としか言いようがありませんね」
笑みを溢すアインベルクもまた、そしてサウロンに乗るシャルロアは顔を赤らめ、オロドーアの両目を塞いでいる。
当然地帝の頭上に居るルシェールも例外ではない。
「ほう、これはこれは愛の力かのお」
「愛の力? 何が起こったのです?」
「属性魔力の暴走が止まったのじゃ」
「止まった? どうやって?」
「それはお前さんは知らぬ方がよいかものお」
目が見えないだけに、ラファールには全く意味が分からない。
今まで生気を失っていたフラムの目に光が灯った刹那、フラムはフリードを軽く突き放すと同時に、迅速のフリードさえ躱せない速さの平手打ちをフリードの頬にお見舞いした。
乾いた音が辺りに響き渡る。
「何と言う事です……」
炎に包まれたフラムは、アインベルクの姿にも反応せず、立ってはいるもののその目はただ一点を見つめて動かない。
「フラム、聞こえますか! 気を静めなさい! 怒りを増幅してはなりません!」
その声にもまるで反応はない。
「やはり、もう声は届きませんか。しかしこのままでは……ならば力尽くで!」
アインベルクが錫杖を頭上で激しく廻転させると辺りに冷気が漂い始め、フラムを包む炎の周りに取り巻いて行く。
更に強まる冷気にフラムを包む炎が周りから凍り始め、一気に氷の彫刻を創り上げた。
「このまま一気に抑え込めれば━━」
突如として氷に無数の亀裂が走り、閉じ込められていた炎が一気に噴き出した。
激しい熱風にアインベルクは吹っ飛ばされ、炎帝の頭上から落ちてしまった。
直ぐ近くで待機していた氷帝が頭で受け止める。
「これでは打つ手が……あれは?」
アインベルクが見上げた先に、一匹のサウロンが炎帝の頭上に近付いて来る。
その背には胸元にオロドーアを抱いたシャルロアが乗っている。
更にその後ろには、フリードの姿もあった。両眼を閉じ、シャルロアの肩に手を置いている。
「それじゃあ、頼みますよ」
炎帝の頭上に到着するなり、オロドーアを放り投げた。
オロドーアは着地を失敗し、炎帝の頭上に俯せになって落ちた。
やったとばかりにシャルロアが痛そうな顔をする中、直ぐに立ち上がったオロドーアが大丈夫だと言わんばかりに両腕を掲げる姿に苦笑いするしかない。
「そろそろ俺もいいか?」
「はい。下でオロドーアさんが受け止めると言っていましたが、余り当てにしないで下さい。そう高さもありませんし、怪我もしないでしょうから」
「助かったよ。ただ、ここに居れば何が起こるかわからないからな。もしもの為に、俺がオロドーアを投げたらそれを拾ってここを離れてくれ」
「分かりました。お気を付けて。何とかフラムさんを」
「ああ、何とかやってみる。それじゃあ」
目を閉じたままのフリードをシャルロアが誘導し、サウロンの縁を示唆すると、フリードは迷わずサウロンから飛び降りた。
下で待ち受けているオロドーアが、両腕を掲げて右往左往する。
そこに丁度フリードが落ちて来て、見事にキャッチした━━かに見えたが、見事に潰れた。
「いてて……」
尻餅を突いたフリードは、ようやく目を開ける。
巨躯を持つアオスヴォルカーノは、頭上も広々として下を待つもに見ずに済んだ。
「これなら大丈夫だ」
安心した所で、下敷きになっているオロドーアの騒ぐ声に気付いて慌てて立ち上がる。
「おっと。悪い、悪い」
身を起こしたオロドーアは、怒り心頭にフリードに食って掛かるが、突然吹いて来た熱風に驚き、慌てて炎帝の頭上から飛び出して行った。
「さすがに氷魔獣はこのあつさじゃな」
落ちたオロドーアをサウロンに乗っているシャルロアが拾い、フリードに言われた通りに少し離れて飛んで行く。
「さて……」
厳しい顔を向けた先には、炎に包まれたフラムの姿がある。
先程よりも炎は明らかに勢いを増している。
歩み始めたフリードは、徐々に熱さを増していく中、躊躇する事なく炎の中に足を踏み入れた。
ただ、余りの暑さにその顔は少し歪む。
「よくこんな中を平然としていられたな」
それは、以前にブレアが属性魔力の暴走をした時に、同じくその炎に身を投じたイグニアに向けてのものだ。
「属性の耐性はあっただろうが、この暑さは異常だぞ」
フラムは直ぐそこに立っているのに、それ以上の距離を感じる。
それでもフラムの前に立ったフリードは、その両肩を掴んだ。
「おい、しっかりしろ! このままだと、ダルメキアがなくなっちまうぞ!」
肩を揺すりつつ、何度も呼び掛けるが、フラムは生気を失ったようにまるで反応がない。
「やっぱりダメか。時間がない。あれしか」
フリードは徐に眼を閉じ、その顔をフラムに近付け、その唇をフラムのそれに重ねた。
その瞬間、炎は治まるどころか一気に燃え上がり、更に風が周りに渦を巻く。しかし、その炎が一瞬にして凍ったかと思うと亀裂が走り、砕け散った。
ただ、先程のアインベルクの時とは違い、炎は完全に消えていた。
「馬鹿な!? 暴走が止まっただと?」
「ありえん事が起こった……」
雷帝と風帝の頭上で遣り合っていたケイハルトとビエントも動きを止め、驚かずにいられなかった。
「奇跡としか言いようがありませんね」
笑みを溢すアインベルクもまた、そしてサウロンに乗るシャルロアは顔を赤らめ、オロドーアの両目を塞いでいる。
当然地帝の頭上に居るルシェールも例外ではない。
「ほう、これはこれは愛の力かのお」
「愛の力? 何が起こったのです?」
「属性魔力の暴走が止まったのじゃ」
「止まった? どうやって?」
「それはお前さんは知らぬ方がよいかものお」
目が見えないだけに、ラファールには全く意味が分からない。
今まで生気を失っていたフラムの目に光が灯った刹那、フラムはフリードを軽く突き放すと同時に、迅速のフリードさえ躱せない速さの平手打ちをフリードの頬にお見舞いした。
乾いた音が辺りに響き渡る。
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