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最終章 戦いの果てに
最終話 誓い
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後に第二次アルブトラ大戦と呼ばれる戦いを終えて数か月が過ぎていた。
戦いの傷と疲れを癒やしたフラムの姿は、故郷であるオルディアンにあった。
薄暗い洞窟を歩くその手には、抱える程の多くの花がある。
いつもは肩に乗っているパルの姿はない。
洞窟の奥が徐々に明るさを帯び始め、少しして洞窟を抜けた。
目の前には、沢山のお墓が並んでいる。
右を見ても左を見ても、何処までも墓が点在している。
「おお、フラムじゃないか!」
直ぐにフラムの姿を認めた墓守のダリルが、手を振りながら歩み寄って来た。
「ダリルさん、久しぶり!」
「随分と大変だったそうだな。お前さんの活躍も聞いとるぞ」
「活躍だなんて、そんな」
「謙遜しなさんな。お前さんはかのルディア様の血を継ぎ、高名なヴァルカン様の弟子なんだぞ。大口を叩いても誰も文句は言やあせんさ。まあ、これでヴァルカン様や両親にいい報告が出来るな。両親の墓はちゃんとしといたぞ。出来てから来るのは初めてだろう?」
「ええ、ありがとう」
「それよりも、もう一つの墓は誰のだ? 送られて来た手紙に、遺体はないけど墓を作ってくれって書いてあって、不思議だったんだが、とりあえず作ってはおいたがな」
「重ね重ねありがとう」
「まさか、お前さんの恋人か?」
「そんなんじゃあ━━」
言い出して止めたフラムは、露骨に分かりやすく顔を赤らめる。
「あ、いや、これはいかんな。墓があると言う事は、死んでしまったと言う事か。儂としたことが、申し訳ない」
「いいんですよ。もう行きますね。早く報告しなくちゃ」
「おっと、これも悪かったな。さあ、行っておいで」
フラムは手を振りつつその場を離れた。
「フラムのやつ、驚くだろうな」
ダリルと別れ、少し奥に進むと、少し小高くなっている辺りの頂に、前に来た時と変わらずにヴァルカンの墓があった。
ただ、前と違うのはその両側に少し離れて一つずつ新たな墓が作られている事だ。
そして、
「これは……!!」
以前に来た時は、一つしかなかったヴァルカンの墓の前に多くの花が手向けられていて、その人望の高さに驚かされたが、今回はそれ以上に驚く光景が広がっていた。
墓が三つ並ぶだけの小高い丘が、まるで自生しているかのように多くの花で埋め尽くされていた。
「まさかダリルさんが? そんな訳ないわよね」
フラムは行く手を塞いでいる花を少し掻き分けながら前に進み、墓が並ぶ所まで辿り着いた。
先ずは真ん中の墓の前まで来て、抱えている花の三分の一程を手向ける。
勿論その墓石には、『ヴァルカン・ブロージオ ここに永眠す』と刻まれている。
一旦抱えている花を横手に置き、片膝をついて墓石に向かって黙祷する。
「師匠、ようやくいい報告が出来ます。師匠の仇を━━いえ、ケイハルトを止める事が出来ました。安心して眠って下さい」
その脳裏にヴァルカンが良くやったと頭を撫でてくれる光景が浮かぶ。
再び花を抱えて立ち上がったフラムは、右隣の墓に向かって立つ。
残る花の内の半分の花を手向けたその墓石には、『エルベルト・アスカールとリーズ・アスカールここに永眠す』と刻まれている。
再び片膝を落とし、残る花を横において手を合わせ、墓に向かって黙祷する。
「お父さん、お母さん、やっとゆっくり話が出来ますね。物心ついた時にはもう居なかったから、どんな人だったかは聞いてる分しか分からないけど。またちょくちょく戻って来るから。それと、あの憎ったらしい奴がそっちに行ったら、幾らでもやり返してやって。何ならもう一回殺してやってもいいから」
最後に目を開けて笑顔を振りまいてから、残る花を持って立ち上がり、最後に向かって左端の墓の前まで行って立ち止まる。
残った花全てを手向けたその墓には、『フリードここに永眠す?』と刻まれている。
それを見てフラムは思わず吹き出す。
「遺体がないからって、ダリルさんも馬鹿正直に墓石に疑問文もないでしょうに」
残った花を墓石の前に置き、同じ様に片膝を地に落として手を合わせ、黙祷する。
「えっと…………あんたはそこに居ないから、いいわね」
立ち上がったその脳裏に、フリードがズッコケる姿が過る。
そして最後に、ヴァルカンの墓から少し離れて三つの墓が見える場所で向かい合って立ち、拳を握った右腕を横にして前に構える。
「師匠、お父さん、お母さん、そしてフリード、あんたはそこに居ないけど、何処かで聞いてくれてるわよね。私、フラム・ブロージオはここに誓います。今はまだ冠してはいないけど、いづれ炎の魔獣召喚士としてこのダルメキアを、人と魔獣が共存し、平和な世界にして見せます」
誓いを立て、フラムが感慨に耽っていると、後方から何やら騒がしい声が近付いて来る。
「痛いでヤンスよ!」
顔を顰めてパルが飛んで向かって来る。
更にその隣には、パルにそっくりな小竜が並んで飛んでいる。ただ、その肌の色はパルが赤いのに対して黄金色だ。
「お前が寝てたさかい、起こしてやったんやないか」
「だからって、電撃で起こすことはないでヤンスよ。普通に起こせばいいでヤンス」
「普通に起こしてやったがな。でも、起きひんから仕方なくやったんやないか……ん? ちょっと待て」
前を向いた黄金色の小竜がパルを止める。
「何でヤンス?」
「お前のご主人、何や怒ってないか?」
少し前に居るフラムは背を向けてはいるが、目で見て分かるほどにその肩がわなわなと震えている。
「確かに怒ってるでヤンスね」
「何で怒ってんねん?」
「知らないでヤンスよ。お前が悪いんじゃないでヤンスか?」
「何で俺やねん!」
「あんた達ね。いい加減にしなさいよ……人が静かに眠るこの場所でがやがやと……」
怒りを含むフラムの声に、二匹の小竜の背中に悪寒が走る。
「何かヤバないか?」
「爆発寸前でヤンス」
「こう言う時はどうすんねん?」
「決まってるでヤンス。逃げるでヤンスよ!」
パルは一目散にその場を離れる。
「こら、ズルいぞ。待たんかい!」
黄金色の小竜も慌てて後を追う。
「そっちこそ待ちなさい! パル! ゼル! 今直ぐにあんた達の墓も立ててやるんだから!!」
一番大きな声を張り上げて、フラムも後を追って行った。
《完》
最後まで読んで戴き、有り難う御座いました!
m(_ _)m
戦いの傷と疲れを癒やしたフラムの姿は、故郷であるオルディアンにあった。
薄暗い洞窟を歩くその手には、抱える程の多くの花がある。
いつもは肩に乗っているパルの姿はない。
洞窟の奥が徐々に明るさを帯び始め、少しして洞窟を抜けた。
目の前には、沢山のお墓が並んでいる。
右を見ても左を見ても、何処までも墓が点在している。
「おお、フラムじゃないか!」
直ぐにフラムの姿を認めた墓守のダリルが、手を振りながら歩み寄って来た。
「ダリルさん、久しぶり!」
「随分と大変だったそうだな。お前さんの活躍も聞いとるぞ」
「活躍だなんて、そんな」
「謙遜しなさんな。お前さんはかのルディア様の血を継ぎ、高名なヴァルカン様の弟子なんだぞ。大口を叩いても誰も文句は言やあせんさ。まあ、これでヴァルカン様や両親にいい報告が出来るな。両親の墓はちゃんとしといたぞ。出来てから来るのは初めてだろう?」
「ええ、ありがとう」
「それよりも、もう一つの墓は誰のだ? 送られて来た手紙に、遺体はないけど墓を作ってくれって書いてあって、不思議だったんだが、とりあえず作ってはおいたがな」
「重ね重ねありがとう」
「まさか、お前さんの恋人か?」
「そんなんじゃあ━━」
言い出して止めたフラムは、露骨に分かりやすく顔を赤らめる。
「あ、いや、これはいかんな。墓があると言う事は、死んでしまったと言う事か。儂としたことが、申し訳ない」
「いいんですよ。もう行きますね。早く報告しなくちゃ」
「おっと、これも悪かったな。さあ、行っておいで」
フラムは手を振りつつその場を離れた。
「フラムのやつ、驚くだろうな」
ダリルと別れ、少し奥に進むと、少し小高くなっている辺りの頂に、前に来た時と変わらずにヴァルカンの墓があった。
ただ、前と違うのはその両側に少し離れて一つずつ新たな墓が作られている事だ。
そして、
「これは……!!」
以前に来た時は、一つしかなかったヴァルカンの墓の前に多くの花が手向けられていて、その人望の高さに驚かされたが、今回はそれ以上に驚く光景が広がっていた。
墓が三つ並ぶだけの小高い丘が、まるで自生しているかのように多くの花で埋め尽くされていた。
「まさかダリルさんが? そんな訳ないわよね」
フラムは行く手を塞いでいる花を少し掻き分けながら前に進み、墓が並ぶ所まで辿り着いた。
先ずは真ん中の墓の前まで来て、抱えている花の三分の一程を手向ける。
勿論その墓石には、『ヴァルカン・ブロージオ ここに永眠す』と刻まれている。
一旦抱えている花を横手に置き、片膝をついて墓石に向かって黙祷する。
「師匠、ようやくいい報告が出来ます。師匠の仇を━━いえ、ケイハルトを止める事が出来ました。安心して眠って下さい」
その脳裏にヴァルカンが良くやったと頭を撫でてくれる光景が浮かぶ。
再び花を抱えて立ち上がったフラムは、右隣の墓に向かって立つ。
残る花の内の半分の花を手向けたその墓石には、『エルベルト・アスカールとリーズ・アスカールここに永眠す』と刻まれている。
再び片膝を落とし、残る花を横において手を合わせ、墓に向かって黙祷する。
「お父さん、お母さん、やっとゆっくり話が出来ますね。物心ついた時にはもう居なかったから、どんな人だったかは聞いてる分しか分からないけど。またちょくちょく戻って来るから。それと、あの憎ったらしい奴がそっちに行ったら、幾らでもやり返してやって。何ならもう一回殺してやってもいいから」
最後に目を開けて笑顔を振りまいてから、残る花を持って立ち上がり、最後に向かって左端の墓の前まで行って立ち止まる。
残った花全てを手向けたその墓には、『フリードここに永眠す?』と刻まれている。
それを見てフラムは思わず吹き出す。
「遺体がないからって、ダリルさんも馬鹿正直に墓石に疑問文もないでしょうに」
残った花を墓石の前に置き、同じ様に片膝を地に落として手を合わせ、黙祷する。
「えっと…………あんたはそこに居ないから、いいわね」
立ち上がったその脳裏に、フリードがズッコケる姿が過る。
そして最後に、ヴァルカンの墓から少し離れて三つの墓が見える場所で向かい合って立ち、拳を握った右腕を横にして前に構える。
「師匠、お父さん、お母さん、そしてフリード、あんたはそこに居ないけど、何処かで聞いてくれてるわよね。私、フラム・ブロージオはここに誓います。今はまだ冠してはいないけど、いづれ炎の魔獣召喚士としてこのダルメキアを、人と魔獣が共存し、平和な世界にして見せます」
誓いを立て、フラムが感慨に耽っていると、後方から何やら騒がしい声が近付いて来る。
「痛いでヤンスよ!」
顔を顰めてパルが飛んで向かって来る。
更にその隣には、パルにそっくりな小竜が並んで飛んでいる。ただ、その肌の色はパルが赤いのに対して黄金色だ。
「お前が寝てたさかい、起こしてやったんやないか」
「だからって、電撃で起こすことはないでヤンスよ。普通に起こせばいいでヤンス」
「普通に起こしてやったがな。でも、起きひんから仕方なくやったんやないか……ん? ちょっと待て」
前を向いた黄金色の小竜がパルを止める。
「何でヤンス?」
「お前のご主人、何や怒ってないか?」
少し前に居るフラムは背を向けてはいるが、目で見て分かるほどにその肩がわなわなと震えている。
「確かに怒ってるでヤンスね」
「何で怒ってんねん?」
「知らないでヤンスよ。お前が悪いんじゃないでヤンスか?」
「何で俺やねん!」
「あんた達ね。いい加減にしなさいよ……人が静かに眠るこの場所でがやがやと……」
怒りを含むフラムの声に、二匹の小竜の背中に悪寒が走る。
「何かヤバないか?」
「爆発寸前でヤンス」
「こう言う時はどうすんねん?」
「決まってるでヤンス。逃げるでヤンスよ!」
パルは一目散にその場を離れる。
「こら、ズルいぞ。待たんかい!」
黄金色の小竜も慌てて後を追う。
「そっちこそ待ちなさい! パル! ゼル! 今直ぐにあんた達の墓も立ててやるんだから!!」
一番大きな声を張り上げて、フラムも後を追って行った。
《完》
最後まで読んで戴き、有り難う御座いました!
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