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第二章 里帰り
第八話 髭の採集完了
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「フラム! 来る! 来る! 来るでヤンス!」
「わかってるわよ」
フラムはパルを水面の上にぶら下げたまま、川に沿って下流に走り出した。
ポポがその後を追って川を下り始めた。
「早く! 早く! 早くでヤンス!」
「だからわかってるわよ」
少しずつ差を縮めて来るポポに対し、直ぐにドゥーブが開けた大穴が見えて来た。開けられた大きな穴は、直径が一〇〇メートルを超えるもので、深さも五メートル以上はある。
さすがに五匹のドゥーブも疲れたのか、穴の近くでへたり込んでいたが、先に来ていたディコが一匹のドゥーブの体を弾ませて遊んでいた。
「あ、お姉ちゃん! ポポ!」
「ドゥーブ、もうひと仕事だけ頼むわよ! 川と掘った穴を繋げてくれる! 急いで!」
へたり込んでいた五匹のドゥーブだが、川と穴を繋ぐのは、ほんの一瞬で遣って退け、川の水が穴の中に一気に流れ込んでいく。
「フラム、もうそこまで来てるでヤンス!!」
ポポがお尻に何度も咬みつこうとするのを、パルは尻尾を引っ込めて躱している。
「これで最後よ!」
フラムが竿を振り上げると、パルが大きく舞い上げると共にポポが川から飛び上がった。
「食われるでヤンス!!!!」
大きく口を開けたポポが、パルを丸呑みしようとする寸前、フラムが竿を引っ張り、ギリギリの所でパルは食われるのを逃れた。
パルを食い損ねたポポは、そのままある程度の水が溜まって来ていたドゥーブが掘った穴の中にダイブした。
「食われると思ったでヤンスよ……」
「少しは信用しなさいよ」
「フラムは釣りをした事があるでヤンスか?」
「もちろん、初めてよ。これを機に始めようかしら」
「二度としないで欲しいでヤンス」
やがて穴の中に一杯の水が溜まり、川からの流れも止まる。
「ドゥーブ、掘ったばかりで悪いけど、川から流れ込む水が少しになるように埋め直しておいて」
川を繋ぐ水路を小さくする事で、ポポが川に戻るのを防げる。
「お姉ちゃん」
パルの体を縛るロープを解いているフラムに、ディコが寄って来た。
「ここに居ればいつでもポポに会えるでしょう」
「うん。ありがとう」
「喜んでるところ悪いんだけど、ポポの髭を貰わなきゃいけないんだけど。どうしたらポポに近寄れるかな?」
「ちょっと待ってて」
ディコは巨大な池となった水辺に立ち、両手を口に当てる。
「ポポ!」
まだ濁りのある水の中に大きな影が浮かんだのも束の間、ディコの目の前の水が大きく盛り上がり、ポポが姿を見せてディコに向かって大きな口を開ける。
「ディコ、危ない!」
「心配しないで」
直ぐに口を閉じたポポは、ディコが差し出した手に頭をスリスリと擦り付ける。
「へえ~、慣れたもんね。ちゃんとディコの事を覚えてるんだ」
「もちろん。それより本当に大丈夫? 傷つけないようにひげを斬るなんて」
「それは任せといて」
フラムは剣を抜く。
「そのまま懐かせといてね」
真剣な眼差しで剣を構えるその姿は、とある剣士を思わせる。更にポポの髭に剣を一閃したその速さこそその剣士には劣るものの、その剣技はまるでその剣士そのものであった。
ポポは自分の髭が地面に落ちても斬られたことさえ分からないのか、ディコの手に頭を擦り付けている。
「後は傷口を塞ぐだけね。パル、頼んだわよ」
「オイラがでヤンスか?」
「あんたの炎じゃないと出来ないでしょう」
「怒らないでヤンスか?」
「私みたいに気づかれないようにやれば何とかなるんじゃないの」
「そんなの無理に決まってるでヤンスよ」
パルは溜息を洩らしてから、ポポの斬り落とされた髭の切り口に向かって炎を吹き付けた。
ジリジリと音を立て、焼け焦げた臭いがして来た時、ポポが奇声を上げ、パルに目を向けた。
「やっぱりこうなるでヤンス!」
水の上を飛び廻るパルを、ポポが追い駆け廻す。
「止めるでヤンス! オイラは血止めにやっただけでヤンスよ!」
「何やってんだか。陸の方に逃げればポポも追って来ないでしょうに」
「でも、大丈夫かな。ポポが居なくなったら、大騒ぎになるんじゃあ……」
「だったら後で召喚したフリゴメを上流に十匹ぐらい放り込んでおくわよ。その中に変異種が居れば、また観光名物になるでしょう。それでここのポポも狙われる事もなくなるでしょうから」
少しして陸地の方に逃げてポポから逃れたパルが、力なくフラフラとフラムの元に飛んで来た。
「フラム、お腹が減ったでヤンス……」
この日は町に戻り、フラムは宿屋で一泊する事にした。
「わかってるわよ」
フラムはパルを水面の上にぶら下げたまま、川に沿って下流に走り出した。
ポポがその後を追って川を下り始めた。
「早く! 早く! 早くでヤンス!」
「だからわかってるわよ」
少しずつ差を縮めて来るポポに対し、直ぐにドゥーブが開けた大穴が見えて来た。開けられた大きな穴は、直径が一〇〇メートルを超えるもので、深さも五メートル以上はある。
さすがに五匹のドゥーブも疲れたのか、穴の近くでへたり込んでいたが、先に来ていたディコが一匹のドゥーブの体を弾ませて遊んでいた。
「あ、お姉ちゃん! ポポ!」
「ドゥーブ、もうひと仕事だけ頼むわよ! 川と掘った穴を繋げてくれる! 急いで!」
へたり込んでいた五匹のドゥーブだが、川と穴を繋ぐのは、ほんの一瞬で遣って退け、川の水が穴の中に一気に流れ込んでいく。
「フラム、もうそこまで来てるでヤンス!!」
ポポがお尻に何度も咬みつこうとするのを、パルは尻尾を引っ込めて躱している。
「これで最後よ!」
フラムが竿を振り上げると、パルが大きく舞い上げると共にポポが川から飛び上がった。
「食われるでヤンス!!!!」
大きく口を開けたポポが、パルを丸呑みしようとする寸前、フラムが竿を引っ張り、ギリギリの所でパルは食われるのを逃れた。
パルを食い損ねたポポは、そのままある程度の水が溜まって来ていたドゥーブが掘った穴の中にダイブした。
「食われると思ったでヤンスよ……」
「少しは信用しなさいよ」
「フラムは釣りをした事があるでヤンスか?」
「もちろん、初めてよ。これを機に始めようかしら」
「二度としないで欲しいでヤンス」
やがて穴の中に一杯の水が溜まり、川からの流れも止まる。
「ドゥーブ、掘ったばかりで悪いけど、川から流れ込む水が少しになるように埋め直しておいて」
川を繋ぐ水路を小さくする事で、ポポが川に戻るのを防げる。
「お姉ちゃん」
パルの体を縛るロープを解いているフラムに、ディコが寄って来た。
「ここに居ればいつでもポポに会えるでしょう」
「うん。ありがとう」
「喜んでるところ悪いんだけど、ポポの髭を貰わなきゃいけないんだけど。どうしたらポポに近寄れるかな?」
「ちょっと待ってて」
ディコは巨大な池となった水辺に立ち、両手を口に当てる。
「ポポ!」
まだ濁りのある水の中に大きな影が浮かんだのも束の間、ディコの目の前の水が大きく盛り上がり、ポポが姿を見せてディコに向かって大きな口を開ける。
「ディコ、危ない!」
「心配しないで」
直ぐに口を閉じたポポは、ディコが差し出した手に頭をスリスリと擦り付ける。
「へえ~、慣れたもんね。ちゃんとディコの事を覚えてるんだ」
「もちろん。それより本当に大丈夫? 傷つけないようにひげを斬るなんて」
「それは任せといて」
フラムは剣を抜く。
「そのまま懐かせといてね」
真剣な眼差しで剣を構えるその姿は、とある剣士を思わせる。更にポポの髭に剣を一閃したその速さこそその剣士には劣るものの、その剣技はまるでその剣士そのものであった。
ポポは自分の髭が地面に落ちても斬られたことさえ分からないのか、ディコの手に頭を擦り付けている。
「後は傷口を塞ぐだけね。パル、頼んだわよ」
「オイラがでヤンスか?」
「あんたの炎じゃないと出来ないでしょう」
「怒らないでヤンスか?」
「私みたいに気づかれないようにやれば何とかなるんじゃないの」
「そんなの無理に決まってるでヤンスよ」
パルは溜息を洩らしてから、ポポの斬り落とされた髭の切り口に向かって炎を吹き付けた。
ジリジリと音を立て、焼け焦げた臭いがして来た時、ポポが奇声を上げ、パルに目を向けた。
「やっぱりこうなるでヤンス!」
水の上を飛び廻るパルを、ポポが追い駆け廻す。
「止めるでヤンス! オイラは血止めにやっただけでヤンスよ!」
「何やってんだか。陸の方に逃げればポポも追って来ないでしょうに」
「でも、大丈夫かな。ポポが居なくなったら、大騒ぎになるんじゃあ……」
「だったら後で召喚したフリゴメを上流に十匹ぐらい放り込んでおくわよ。その中に変異種が居れば、また観光名物になるでしょう。それでここのポポも狙われる事もなくなるでしょうから」
少しして陸地の方に逃げてポポから逃れたパルが、力なくフラフラとフラムの元に飛んで来た。
「フラム、お腹が減ったでヤンス……」
この日は町に戻り、フラムは宿屋で一泊する事にした。
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