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第二章 里帰り
最終話 次の目的地
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翌々日、十分に静養したフラムは、ベルデュールを出て、カチャッカ火山に向かった。
住み慣れた場所、さほど遠くない場所、更に町からも見えるその山は、歩いても直ぐに辿り着ける場所にあった。
山の麓には、幾つもの洞窟の入り口が開いていたが、その中でも取り分け大きな穴の入り口にやって来た。
「ここには余り来たくなかったんだけど」
「ご主人が亡くなった場所でヤンスからね」
フラム、そして肩に乗るパルも、神妙な面持ちで洞窟の中へと歩みを進める。
洞窟の中は、ヒカリゴケがかなり多く生息している上に、独自発行するガンナマイト鉱石が多く剥き出しになっていて、かなりの明るさがあった。
道の途中、幾つかの分かれ道があったが、フラムは迷う事なく、先へと進んで行く。
やがて足を止めたフラムの目の前には、地面から天井まで氷で出来た壁が行く手を塞いでいる。
「あの時以来か。昔は良く、修行だって師匠に連れて来られて、その時に召喚出来る最高の火力を持つ炎魔獣を呼び出して、この氷を溶かしてみろって言われたけど、全く解けなかったのよね」
「だから永久氷壁って言うでヤンスよ」
「それなのに、わざわざ依頼書にまでして溶かせって、何かあるのかしら……」
「とにかくやってみるしかないでヤンスよ」
「そうね」
フラムはその場にしゃがみ、地に右手を下ろす。
「アルシオンボルトーア!」
魔獣召喚陣が現れて光り輝き、立ち上がってそれを前にして印を組む。
「魔界に住みし炎の魔獣よ。開かれし門を潜り出でて我が命に従え」
フラムの手の印が形を変える。
「出でよ、炎魔獣フレイバルド!」
召喚陣の光が増し、その中からフラントの倍はあろうかと言う体躯の獣が姿を現した。
「前に来た時はまだ召喚する事が出来なかったけど、今私が召喚する事が出来る火力が最強の魔獣よ。これでダメなら……」
話すフラムの息は少し荒い。
「大丈夫でヤンスか?」
「今日はもう、大した魔獣は召喚する事が出来ないでしょうね。さあフレイバルド、あの氷の壁を溶かしちゃって!」
咆哮を上げたフレイバルドの体が、一気に炎に包まれる。そして大きく開けた口から炎が吐き出され、氷の壁に吹き付けられる。
フレイバルドが吐く炎の火力が徐々に上がって行く。
「……フラム、ちょっとヤバくないでヤンスか?」
「確かにちょっと暑いわね」
次第に炎の耐性があるパルが少し危険を感じる熱さが伝わって来る。
「ちょっと待って、フレイバルド!」
フラムが呼び止めるが、フレイバルドは炎を弱めるどころか体の炎が火力を増すと共に、口から吐く炎も威力を増す。
伝わって来る熱さも尋常ではない。
「逃げた方がいいでヤンス!!」
フラムは慌てて印を解いて召喚陣を消すと共に踵を返し、走り出した。
「どうなってんのよ、私の言う事を全然聞かないし! 久々に召喚したからなの?」
「恐らく氷が溶けないから、意地になってるでヤンスよ!」
「何よ、それ!」
必死になって出入り口に向かって走る中、背後から迫って来る熱風は更に熱さを増して行く。
「ちょっと待って!」
「丸焼きになるでヤンス!」
前方に明かりが見え、フラムはようやく外に飛び出し、更に直ぐに横に逸れる。
フラムを追って洞窟の穴から熱風が吹き出した直後、炎が噴き出した。
「危なかったわ……」
「でヤンス……」
暫くすると穴から噴き出していた炎が消え、ゆっくりと暑さも感じなくなり、恐る恐るながらフラムは再び洞窟の中へと足を踏み入れた。
奥まで戻ると、フレイバルドは全てを出し切ったように地に付してへばっていた。
「もう、そこまでやれって言ってないのに」
フラムは再び召喚陣を作り、フレイバルドを光の中に戻してから召喚陣を消した。
「それにしても……」
フレイバルドによってそれなりに氷の壁は解けてはいるようだが、まだまだ氷は奥の方まで続いている。
「フレイバルドは炎魔獣の中でも火力は最高クラスなのに、これ以上どうやって溶かせっていうのよ……」
「フラム、あそこに何か見えるでヤンス」
氷の表面が解けた事によって氷のかなり奥までクリアに見えるようになっていたが、パルの視線の先に何か黒い影が二つ見える。
「あれは……人? 倒れているみたいだけど……」
「確かに人でヤンスよ」
パルの目をもってしてようやく人だと分かるが、倒れ伏していてそれが誰かまで分からない。
「師匠はあの人達を見せたかったのかしら」
「でも、どうして氷の中に居るでヤンス?」
「理由は聞くしかないわね」
「聞く? 誰にでヤンス?」
「この氷を作った人よ」
「作ったって、誰かが凍らせたって事でヤンスか?」
「人が亡くなってから凍ったなら、幾ら気温が低くても、これだけの氷が出来るまでの時間が掛かれば骨と皮になっているはずよ。でも、あそこの人達は骨と皮にならずに氷の中に居る。つまり、誰かが一瞬にして凍らせたって事よ。それも、こんな事が出来るのは、この世で一人しかいない」
「と言う事は、あの方でヤンスか?」
「ええ。だから行くわよ、アルファンド城に」
《第三章へと続く》
住み慣れた場所、さほど遠くない場所、更に町からも見えるその山は、歩いても直ぐに辿り着ける場所にあった。
山の麓には、幾つもの洞窟の入り口が開いていたが、その中でも取り分け大きな穴の入り口にやって来た。
「ここには余り来たくなかったんだけど」
「ご主人が亡くなった場所でヤンスからね」
フラム、そして肩に乗るパルも、神妙な面持ちで洞窟の中へと歩みを進める。
洞窟の中は、ヒカリゴケがかなり多く生息している上に、独自発行するガンナマイト鉱石が多く剥き出しになっていて、かなりの明るさがあった。
道の途中、幾つかの分かれ道があったが、フラムは迷う事なく、先へと進んで行く。
やがて足を止めたフラムの目の前には、地面から天井まで氷で出来た壁が行く手を塞いでいる。
「あの時以来か。昔は良く、修行だって師匠に連れて来られて、その時に召喚出来る最高の火力を持つ炎魔獣を呼び出して、この氷を溶かしてみろって言われたけど、全く解けなかったのよね」
「だから永久氷壁って言うでヤンスよ」
「それなのに、わざわざ依頼書にまでして溶かせって、何かあるのかしら……」
「とにかくやってみるしかないでヤンスよ」
「そうね」
フラムはその場にしゃがみ、地に右手を下ろす。
「アルシオンボルトーア!」
魔獣召喚陣が現れて光り輝き、立ち上がってそれを前にして印を組む。
「魔界に住みし炎の魔獣よ。開かれし門を潜り出でて我が命に従え」
フラムの手の印が形を変える。
「出でよ、炎魔獣フレイバルド!」
召喚陣の光が増し、その中からフラントの倍はあろうかと言う体躯の獣が姿を現した。
「前に来た時はまだ召喚する事が出来なかったけど、今私が召喚する事が出来る火力が最強の魔獣よ。これでダメなら……」
話すフラムの息は少し荒い。
「大丈夫でヤンスか?」
「今日はもう、大した魔獣は召喚する事が出来ないでしょうね。さあフレイバルド、あの氷の壁を溶かしちゃって!」
咆哮を上げたフレイバルドの体が、一気に炎に包まれる。そして大きく開けた口から炎が吐き出され、氷の壁に吹き付けられる。
フレイバルドが吐く炎の火力が徐々に上がって行く。
「……フラム、ちょっとヤバくないでヤンスか?」
「確かにちょっと暑いわね」
次第に炎の耐性があるパルが少し危険を感じる熱さが伝わって来る。
「ちょっと待って、フレイバルド!」
フラムが呼び止めるが、フレイバルドは炎を弱めるどころか体の炎が火力を増すと共に、口から吐く炎も威力を増す。
伝わって来る熱さも尋常ではない。
「逃げた方がいいでヤンス!!」
フラムは慌てて印を解いて召喚陣を消すと共に踵を返し、走り出した。
「どうなってんのよ、私の言う事を全然聞かないし! 久々に召喚したからなの?」
「恐らく氷が溶けないから、意地になってるでヤンスよ!」
「何よ、それ!」
必死になって出入り口に向かって走る中、背後から迫って来る熱風は更に熱さを増して行く。
「ちょっと待って!」
「丸焼きになるでヤンス!」
前方に明かりが見え、フラムはようやく外に飛び出し、更に直ぐに横に逸れる。
フラムを追って洞窟の穴から熱風が吹き出した直後、炎が噴き出した。
「危なかったわ……」
「でヤンス……」
暫くすると穴から噴き出していた炎が消え、ゆっくりと暑さも感じなくなり、恐る恐るながらフラムは再び洞窟の中へと足を踏み入れた。
奥まで戻ると、フレイバルドは全てを出し切ったように地に付してへばっていた。
「もう、そこまでやれって言ってないのに」
フラムは再び召喚陣を作り、フレイバルドを光の中に戻してから召喚陣を消した。
「それにしても……」
フレイバルドによってそれなりに氷の壁は解けてはいるようだが、まだまだ氷は奥の方まで続いている。
「フレイバルドは炎魔獣の中でも火力は最高クラスなのに、これ以上どうやって溶かせっていうのよ……」
「フラム、あそこに何か見えるでヤンス」
氷の表面が解けた事によって氷のかなり奥までクリアに見えるようになっていたが、パルの視線の先に何か黒い影が二つ見える。
「あれは……人? 倒れているみたいだけど……」
「確かに人でヤンスよ」
パルの目をもってしてようやく人だと分かるが、倒れ伏していてそれが誰かまで分からない。
「師匠はあの人達を見せたかったのかしら」
「でも、どうして氷の中に居るでヤンス?」
「理由は聞くしかないわね」
「聞く? 誰にでヤンス?」
「この氷を作った人よ」
「作ったって、誰かが凍らせたって事でヤンスか?」
「人が亡くなってから凍ったなら、幾ら気温が低くても、これだけの氷が出来るまでの時間が掛かれば骨と皮になっているはずよ。でも、あそこの人達は骨と皮にならずに氷の中に居る。つまり、誰かが一瞬にして凍らせたって事よ。それも、こんな事が出来るのは、この世で一人しかいない」
「と言う事は、あの方でヤンスか?」
「ええ。だから行くわよ、アルファンド城に」
《第三章へと続く》
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