47 / 208
第三章 氷の国
第七話 ヴァルボラガ
しおりを挟む
オロドーアの後を追って、フラム達は山間の谷間の道を進んでいた。すると、少しずつ熱気を感じると共に、周りの雪が溶けていて山肌が剥き出しになっている場所が目立つようになって来た。
やがて進行方向から、複数の魔獣と思われる鳴き声が聞こえて来る。
「何か居るのは間違いなさそうね。それも、一匹は炎魔獣って事か」
シャルルが氷魔獣と喋れると言うのは半信半疑であったものの、徐々に信憑性を帯び、そして確信へと変わった。
「本当に居た」
谷間の中でも少し開けた場所で、体に纏いし炎を|単滾たぎ》らせる一匹の魔獣、それは紛れもなくシャルルがオロドーアから聞いたと言う炎魔獣のヴァルボラガだった。
「フラム、あそこにシャルルの錫杖があるでヤンス」
ヴァルボラガの近くの地面に、一本の錫杖が突き刺さっている。それは、特徴のあるシャルルの錫杖である事は直ぐに分かった。
「でも、どうしてあんな所に?」
その理由は直ぐに分かった。
ヴァルボラガが見上げる上空に、空を舞うサウロンの姿があった。
上空から滑空して来たサウロンが、口にくわえている大きな石をヴァルボラガに向かって落とした。
石はヴァルボラガに直撃したものの、さほど利いた風もなく、ヴァルボラガがサウロンに向かって炎を吐き出す。
サウロンも直ぐに上昇して炎が届かない所まで退避する。
「なるほどね。あのサウロンにとってもヴァルボラガは邪魔者って事ね。だから投擲出来る物を探して来てはああやってぶつけている訳だ」
「それで、どうするでヤンス?」
「これだけ周りに迷惑が掛かっているなら何とかしてあげたいけど、ヴァルボラガはなかなか近寄らせてくれないでしょうから……」
それを受けてか、オロドーアがシャルルに何かを訴えかける。
「足止めぐらいなら何とかやってみるって言ってますけど」
「オロドーアの冷気でヴァルボラガの炎が抑えられるかしら。まあ、やってみるしかないわね」
「それじゃあ、頼みます」
シャルルの言葉を受けてオロドーアは深く頷くと、ゆっくりとした足取りで静かにヴァルボラガに近寄り、上空のサウロンに気を取られているヴァルボラガに向かって冷気を吐き出した。
直ぐに気付いて向きを変えるヴァルボラガの体を氷が覆って行くが、体を覆う炎も火力が上がり、氷に亀裂が走る。
オロドーアも諦めずに必死に冷気を吐き続けるが、明らかにヴァルボラガの火力が勝って見える。
「やっぱりダメね」
ヴァルボラガが反撃の動きを見せようとした時、上空のサウロンが下りて来て、飛びながらヴァルボラガに冷気を吐き付けて加勢する。
「微力ながら、私もお手伝いさせて貰います」
シャルルは地面に刺さっている自分の錫杖を握る。
「アルシオンボルトーア」
錫杖を中心に魔獣召喚陣が光り輝き、錫杖を引き抜くと共に召喚陣を前にして錫杖を手にしたまま印を組む。
「魔界に住みし氷の魔獣よ。開かれし門を潜り出でて我が命に従え」
シャルルの手の印が形を変える。
「あの召喚法、他にも使える人が居るのかしら?」
「確かにあの方に似てるでヤンス」
「出でよ、氷魔獣ブリーバ!」
召喚陣の光が増し、そこから飛び出して来たのは可愛さ満点の魔獣だった。
ブリーバは現れるなり、ヴァルボラガを見て驚き、シャルルの背後に隠れてしまった。
「ブリーバさん、頑張って下さい」
シャルルのが命令しても、ブリーバはガタガタ震えて動こうとしない。
「思い違いみたいね」
「でヤンス」
「仕方ないわね。そこの二匹だけでも頑張ってよ」
フラムは駆け出し、オロドーアとサウロンに冷気を吹き付けられて凍り付くのを何とか阻止しようと炎を燃やすヴァルボラガの近くでしゃがみ、右手を地に下ろす。
「アルシオンボルトーア!」
ヴァルボラガの足元を中心に、召喚陣が現れる。
やがて進行方向から、複数の魔獣と思われる鳴き声が聞こえて来る。
「何か居るのは間違いなさそうね。それも、一匹は炎魔獣って事か」
シャルルが氷魔獣と喋れると言うのは半信半疑であったものの、徐々に信憑性を帯び、そして確信へと変わった。
「本当に居た」
谷間の中でも少し開けた場所で、体に纏いし炎を|単滾たぎ》らせる一匹の魔獣、それは紛れもなくシャルルがオロドーアから聞いたと言う炎魔獣のヴァルボラガだった。
「フラム、あそこにシャルルの錫杖があるでヤンス」
ヴァルボラガの近くの地面に、一本の錫杖が突き刺さっている。それは、特徴のあるシャルルの錫杖である事は直ぐに分かった。
「でも、どうしてあんな所に?」
その理由は直ぐに分かった。
ヴァルボラガが見上げる上空に、空を舞うサウロンの姿があった。
上空から滑空して来たサウロンが、口にくわえている大きな石をヴァルボラガに向かって落とした。
石はヴァルボラガに直撃したものの、さほど利いた風もなく、ヴァルボラガがサウロンに向かって炎を吐き出す。
サウロンも直ぐに上昇して炎が届かない所まで退避する。
「なるほどね。あのサウロンにとってもヴァルボラガは邪魔者って事ね。だから投擲出来る物を探して来てはああやってぶつけている訳だ」
「それで、どうするでヤンス?」
「これだけ周りに迷惑が掛かっているなら何とかしてあげたいけど、ヴァルボラガはなかなか近寄らせてくれないでしょうから……」
それを受けてか、オロドーアがシャルルに何かを訴えかける。
「足止めぐらいなら何とかやってみるって言ってますけど」
「オロドーアの冷気でヴァルボラガの炎が抑えられるかしら。まあ、やってみるしかないわね」
「それじゃあ、頼みます」
シャルルの言葉を受けてオロドーアは深く頷くと、ゆっくりとした足取りで静かにヴァルボラガに近寄り、上空のサウロンに気を取られているヴァルボラガに向かって冷気を吐き出した。
直ぐに気付いて向きを変えるヴァルボラガの体を氷が覆って行くが、体を覆う炎も火力が上がり、氷に亀裂が走る。
オロドーアも諦めずに必死に冷気を吐き続けるが、明らかにヴァルボラガの火力が勝って見える。
「やっぱりダメね」
ヴァルボラガが反撃の動きを見せようとした時、上空のサウロンが下りて来て、飛びながらヴァルボラガに冷気を吐き付けて加勢する。
「微力ながら、私もお手伝いさせて貰います」
シャルルは地面に刺さっている自分の錫杖を握る。
「アルシオンボルトーア」
錫杖を中心に魔獣召喚陣が光り輝き、錫杖を引き抜くと共に召喚陣を前にして錫杖を手にしたまま印を組む。
「魔界に住みし氷の魔獣よ。開かれし門を潜り出でて我が命に従え」
シャルルの手の印が形を変える。
「あの召喚法、他にも使える人が居るのかしら?」
「確かにあの方に似てるでヤンス」
「出でよ、氷魔獣ブリーバ!」
召喚陣の光が増し、そこから飛び出して来たのは可愛さ満点の魔獣だった。
ブリーバは現れるなり、ヴァルボラガを見て驚き、シャルルの背後に隠れてしまった。
「ブリーバさん、頑張って下さい」
シャルルのが命令しても、ブリーバはガタガタ震えて動こうとしない。
「思い違いみたいね」
「でヤンス」
「仕方ないわね。そこの二匹だけでも頑張ってよ」
フラムは駆け出し、オロドーアとサウロンに冷気を吹き付けられて凍り付くのを何とか阻止しようと炎を燃やすヴァルボラガの近くでしゃがみ、右手を地に下ろす。
「アルシオンボルトーア!」
ヴァルボラガの足元を中心に、召喚陣が現れる。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる