炎の魔獣召喚士

平岡春太

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第六章 邂逅(かいこう)

 第十三話 霧の中に

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 再びフラムが召喚したボロンゴに乗ったフラムとフリードが荒野を抜け、森の中に走る一本の道を疾走していると、辺りに霧が立ち込め始めた。

「ボロンゴ、止まって」

 フラムが呼び止めて二匹のボロンゴが足を止めた時には、フラムとフリードが互いに姿を辛うじて確認出来る程に霧が周りを隠していた。

「この辺りってこんなに霧が深い場所なの?」
「いや、いつもは見通しがいいんだけどな」
「だとすると気象が関係してるんじゃなくて、氷魔獣か何かが作用しているのかしら? ケーレってこの道を進めばあるのよね?」
「ああ」
「こんなに霧が深いんじゃあ、ボロンゴだと道を外れ兼ねないし、ここから先は歩いて道なりに行くしかないわね」

 魔獣召喚陣を作り、その中に二匹のボロンゴを戻してから、道なりに歩み始めた。

「まったく先が見えないわね。あんたはどう?」
「魔獣の目でもさすがにこんな霧じゃあ見えないでヤンスよ」

 フラムの肩の上でパルも両掌を上に向けて首を振る。

「もうそろそろ着いていいと思うんだけどな……」
「ちょっと待つでヤンス。前から何か来るでヤンスよ」

 直ぐにフラムとフリードは、剣の柄に手を掛けて身構える。
 濃い霧に人のシルエットが浮かび上がったのも束の間、霧の中から猛然と駆け出して来た人物に、フラムとフリード、更にパルまでが「あっ!」と言う顔で固まる横を、その人物は駆け抜けて行ってしまった。

「今のって確か、エドアールだったわよね?」
「ああ、間違いなくエドアールだった……って、お前エドアールを知ってるのか?」
「あれ、言ってなかったっけ。小さい頃に何度か会ってたんだけど━━」
「フラム、また何か来るでヤンスよ」
「また?」

 再び身構える二人の前方の霧の中に、今度は少し小さなシルエットが浮かび上がる。

「パッポ? いえ、少し違うわね」

 霧の中から出て来たのは、氷魔獣のパッポに似た見た目が可愛いい魔獣だった。

「知らない魔獣か?」
「ええ、大国立魔導図書館で見た文献の中には載ってなかったと思う。でも、エドアールはあんな魔獣から逃げていたのかしら? 見た目で強さは分からないけど」
「あんな魔獣なら、オイラでも倒せるでヤンスよ」
「あ、ちょっと!」

 フラムの肩から飛び立ったパルが、近寄った事で威嚇を始めたその魔獣に向かって大きく口を開けたその時、魔獣の体がスパークし、パルの体に電撃が走る。
 パルは激しく痙攣し、その場に落ちてしまった。

「どうやら雷魔獣の様ね。それにしても、見た目では分からないって言ったでしょうに。初めて見る魔獣に迂闊うかつに近寄るバカがいる?」
「ちょ、ちょっと油断しただけでヤンスよ」

 体から白煙を上げるパルは、反撃とばかりに体を起こし様に炎を吐いた。
 また威嚇していた魔獣は、躱そうとしたもののお尻の辺りを掠め、尻尾に炎が灯ってしまった。
 悲痛な声を上げ、走り廻る。

「ざまあみろでヤンス!」

 してやったりとパルは胸を張るが、魔獣の後ろに広がる霧に突如として大きな影が浮かび上がり、現れた巨大な魔獣の姿に焦りを見せる。

「あれは何でヤンス?」

 小さな魔獣に口から冷気を吐いて尻尾の炎を消したその魔獣は、姿こそ小さな魔獣に似ているものの、その大きさは遥かに大きい。

「見た目からして親のようだけど、子供が雷魔獣で親が氷魔獣って、有り得ないわよね……」
「おい、あいつ子供がやられて怒ってるみたいだぞ」

 大きな魔獣が明らかな敵意をフラム達に向けている。
 パルは慌ててフラムの肩に飛んで戻る。

「何逃げて来てんのよ。あんたのせいでしょう。何とかしなさいよ」
「無茶言わないでくれでヤンス。親がいるなんて知らないでヤンスよ」
「おいおい、喧嘩してる場合じゃないぞ。周りをもっとよく見ろって」
「周り?」

 親子らしき魔獣の周りの霧に、大きな影が浮かび上がり、大きな魔獣と同じ魔獣が姿を現した。
 それに留まらず、また一匹、更に一匹と次々と姿を現し、その数は十を超え、まだ増えて行く。
 その全てがフラム達に向かって威嚇を始める。

「どうやらエドアールが逃げていた理由はこれね」
「俺達もヤバくないか、これ?」

 フラムにフリード、それにパルの顔が引き攣る。

「こう言う時はあれしかないわね」
「同感」

 後ろを振り返るなり、一目散に逃げ出した。
 その後を魔獣達も雄叫びを上げながら一斉に追い始めた。

「何でこうなるのよ!」
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