炎の魔獣召喚士

平岡春太

文字の大きさ
128 / 208
第六章 邂逅(かいこう)

 第二十八話 危機の連発

しおりを挟む
 ディコと両親は慌てて森に入る少し前まで下がって行く。
 それを見送ったフラムも、魔獣召喚陣から少し離れる。
 アドルフォも立ち上がり、フラム達とは魔獣召喚陣を挟んで反対の外まで出て魔獣召喚陣に向き直り、両手で印を組む。

「魔界に住みし氷の魔獣よ。開かれし門を潜り出でて我が命に従え」

 両手の印が形を変える。

「出でよ、氷魔獣フリデレオラ!」

 魔獣召喚陣が強烈な光を放ち、その中から八本の足を持つ巨大な氷の魔獣が姿を現した。

「フリデレオラって、まったく、本当に面倒な魔獣を呼び出すんだから」
「どうだ。ビビっ、ビビっ……」

 鼻高々に胸を張ろうとしたアドルフォが、力なくその場にへたり込んだ。

「アドルフォちゃん!?」

 母親が直ぐに駆け寄り、父親もそれに続く。

「どうしようもないわね。アルドの魔導具は自らの魔力を増幅するものじゃないんだから、身の丈に合わない魔獣を呼び出したら自分の命まで危うくなる事ぐらい分かりそうなもんだけど。まだ死ななかっただけましと思いなさい」

 とは言え、更に悪い事は続くもので、フリデレオラがアドルフォとその両親を三本の足でそれぞれを掴み上げた。

「パル、ディコ達を頼むわよ」
「まさか一人で戦うつもりでヤンスか?」
「私が巻き込んだみたいなもんだから、ディコ達を危険に晒せないでしょう」
「大丈夫でヤンスか?」
「あんたこそちゃんと守んなさいよ。さあ!」

 一抹の不安を抱えながらも、フラムの声に押されてパルはフラムの肩から飛び立った。

「さてと」

 フラムは駆け出しつつ一本の剣を鞘から抜き放つ。

「助けてくれ!!」

 わめくアドルフォの体が軽々と持ち上がり、フリデレオラの大きな口へと運ばれる寸前、飛び上がったフラムの炎を纏った剣が一閃、フリデレオラの足を斬り落とした。
 更に休まず、王を捉えている足、王妃を捉えている足と、斬り落とした。

「助かった。でも、どうして?」

 アドルフォは、体に絡まるフリデレオラの足を取りながら、少し前に立つフラムの顔を見る。

「私達はあなたを殺そうとその化け物を呼び出したのですよ」
「それはムカついてるわよ。でも、そのまま見殺しにしたら、あんた達と変わらないでしょう」

 仕返ししようとした相手にそう言われては、三人は悔しさと惨めさにさいなまれる。
 三本の足を斬り落とされたフリデレオラは、苦しみ悶えていたが、直ぐに斬られた断面から新たな足が伸びて復活し、敵意剥き出しの目をフラムに向ける。

「あらあら、怒らせちゃったみたいね」

 フリデレオラがフラムに向かって冷気を吹き付ける。
 フラムが横に飛び退いてこれを躱すと、今度は足で掴み掛かる。

「舐めないでよね!」

 再び剣に炎を纏わせて足を斬り落とそうとするが、炎は直ぐに消えてしまった。

「しまった!」

 向かって来たフリデレオラの足に剣を合わせるも、弾かれてしまい、飛ばされた剣が少し離れた場所に突き刺さる。
 更に間髪入れずにもう一本の足が剣を失ったフラムに迫る。

「フラム!」
「お姉ちゃん!」

 伸びて来たフリデレオラの足に捕まえられる寸前、フラムはもう一本の剣を抜きざまに足を弾くと共に飛び退った。
 今度は剣を弾かれずに握っている。

「もう一本剣があって助かったわ━━おっと!」

 休まずに襲い掛かって来るフリデレオラに、フラムは逃げ廻るしかない。

「フリデレオラの弱点は体だって分かっているのに、足が邪魔で近寄る事も出来ないわね。足は斬っても直ぐにまた生えて来るだろうし……」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...