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第七章 剣聖
第一話 ジオーネの正体
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ウォルンタースの家では、フリードが淹れたお茶をウォルンタースに出していた所だった。
「どうやらもう一人分必要のようじゃのお」
「もう一人分? じゃあ!」
フリードが笑みを振り向けた家のドアが勢い良く開き、パルを肩に乗せたフラムが顔を見せた。
「随分と遅かったのお」
「遅かったですって?」
フラムはムッとした顔で家の中に入って来るなり、お茶を飲むウォルンタースに詰め寄る。
「一体何なのよあれは! 剣を取って来るって言っただけなのに、目茶苦茶大変だったわよ」
「儂はただ取って来るだけだと言うとらんはずじゃが?」
「何すっ呆けてんのよ、この偏屈ジジイは」
「偏屈ジジイって、お前な。でも、やっぱり何か隠してたんですね、先生。いつもいつも、悪ふざけが過ぎますよ」
「悪ふざけですって? 勘弁してよね。こっちは死ぬ思いをしたのよ。雷魔獣のボルドーネは出て来るわ。やたら目ったら強い魔獣召喚士も居たし。そいつ、剣まで凄かったし。その上何なのよ、あの剣は。刃の部分がないのに、あれはもう、反則よ」
「刃がない!?」
フリードの表情が一変し、突然フラムに詰め寄る。
「おい、そいつの名前は?」
「何なのよ、一体?」
「いいから名前を言えって」
「先生によろしくって言ってたからあんたと同じ弟子なんでしょう? 名前は確か……そう、ジオーネって言ってたかしら」
「ジオーネだって……」
今度は顔色を少し蒼白とさせ、フリードはゆっくりと後退る。
「どうしたのよ、一体?」
「ジオーネは……ジオーネは……先生の息子なんだよ」
「息子? いや、どう見ても孫でしょう。私達とそう変わらない年に見えたけど。あっ、まさかスケベジジイ、若い子に手を出したとか?」
「何を馬鹿な事を言っとるんじゃ」
「そうじゃない。ジオーネは、随分前に魔界で死んでいるんだよ」
「死んでる? あんたこそ何バカなこと言ってんのよ。昨日そのジオーネとわたしは一戦交えて来たとこなのよ」
「オイラもちゃんとこの目で見たでヤンスよ」
「だから俺も驚いてんだろう。先生、一体どうなってるんですか?」
「あれはジオーネの思念じゃよ」
「思念?」
お茶を飲み干したウォルンタースは、ゆっくりと席を立った。
「フラムよ、あの洞窟の奥に何かを感じなんだか?」
「感じたも何も、ジオーネは奥には来るなって言ってたんだけど、来いって言われても行きたくなくなるほどに恐ろしいまでの魔力と殺気が押し寄せて来ましたけど」
「それって。先生、もしかして、そこにも魔界への出入口が?」
「そうなるかのお。ほっ、ほっ、ほっ。ああ、そうじゃ。ボルドーネは本物じゃぞ。それじゃあ儂は、ボケ防止にちょっくら散歩でもして来ようかのお。ほっ、ほっ、ほっ……」
「ちょっと、ちょっと、散歩って。まだ話が━━」
ウォルンタースははぐらかすように家から出て行ってしまった。
「まったく、ばつが悪くなると逃げる習性って、あんた師匠譲りなんじゃないの?」
「それについては何とも言えないな……」
「まあ、あんたでもいいわ」
「俺でもいいって、お前な……」
「で、本当にジオーネって人は死んでるの?」
「まあな。小さい頃から俺の憧れだった人だよ。剣の腕も、人としてもな」
「確かに斬ったと思ったら斬った感覚もなかったし、死んでるとなったらそれも合点は行くけど。つまりは幽霊って事でしょう。ああ、今になって怖くなって来た」
「そう言われたら、オイラもでヤンス」
フラムとパルは揃って体を震わせる。
「でも剣は手に入れたんだろう。良かったじゃないか」
「全然良かないわよ。さっきも言ったけど、死ぬ思いをしたのよ。文句の一つや二つ、いいえ、言い続けてやろうと思ったけど逃げちゃうし」
「お前、先生に教わりに来たのか? それとも文句言いに来たのか?」
「両方よ!」
「フラムはこうなったらなかなか収まらないでヤンスよ」
「恐らく先生の性格からしてもフラムとは水と油だな。これじゃあ先が思いやられるぞ……」
フリードとパルは苦笑いするしかなかった。
「そう言えば忘れてたけど、エドアールは? 姿がないようだけど、またあのいけ好かない先生に何か頼まれごと?」
「いや、突然姿が見えなくなって、探したら部屋に一枚書置きがあって。探さないで下さいってさ」
「あいつ、逃げたわね」
「でヤンスね」
「どうやらもう一人分必要のようじゃのお」
「もう一人分? じゃあ!」
フリードが笑みを振り向けた家のドアが勢い良く開き、パルを肩に乗せたフラムが顔を見せた。
「随分と遅かったのお」
「遅かったですって?」
フラムはムッとした顔で家の中に入って来るなり、お茶を飲むウォルンタースに詰め寄る。
「一体何なのよあれは! 剣を取って来るって言っただけなのに、目茶苦茶大変だったわよ」
「儂はただ取って来るだけだと言うとらんはずじゃが?」
「何すっ呆けてんのよ、この偏屈ジジイは」
「偏屈ジジイって、お前な。でも、やっぱり何か隠してたんですね、先生。いつもいつも、悪ふざけが過ぎますよ」
「悪ふざけですって? 勘弁してよね。こっちは死ぬ思いをしたのよ。雷魔獣のボルドーネは出て来るわ。やたら目ったら強い魔獣召喚士も居たし。そいつ、剣まで凄かったし。その上何なのよ、あの剣は。刃の部分がないのに、あれはもう、反則よ」
「刃がない!?」
フリードの表情が一変し、突然フラムに詰め寄る。
「おい、そいつの名前は?」
「何なのよ、一体?」
「いいから名前を言えって」
「先生によろしくって言ってたからあんたと同じ弟子なんでしょう? 名前は確か……そう、ジオーネって言ってたかしら」
「ジオーネだって……」
今度は顔色を少し蒼白とさせ、フリードはゆっくりと後退る。
「どうしたのよ、一体?」
「ジオーネは……ジオーネは……先生の息子なんだよ」
「息子? いや、どう見ても孫でしょう。私達とそう変わらない年に見えたけど。あっ、まさかスケベジジイ、若い子に手を出したとか?」
「何を馬鹿な事を言っとるんじゃ」
「そうじゃない。ジオーネは、随分前に魔界で死んでいるんだよ」
「死んでる? あんたこそ何バカなこと言ってんのよ。昨日そのジオーネとわたしは一戦交えて来たとこなのよ」
「オイラもちゃんとこの目で見たでヤンスよ」
「だから俺も驚いてんだろう。先生、一体どうなってるんですか?」
「あれはジオーネの思念じゃよ」
「思念?」
お茶を飲み干したウォルンタースは、ゆっくりと席を立った。
「フラムよ、あの洞窟の奥に何かを感じなんだか?」
「感じたも何も、ジオーネは奥には来るなって言ってたんだけど、来いって言われても行きたくなくなるほどに恐ろしいまでの魔力と殺気が押し寄せて来ましたけど」
「それって。先生、もしかして、そこにも魔界への出入口が?」
「そうなるかのお。ほっ、ほっ、ほっ。ああ、そうじゃ。ボルドーネは本物じゃぞ。それじゃあ儂は、ボケ防止にちょっくら散歩でもして来ようかのお。ほっ、ほっ、ほっ……」
「ちょっと、ちょっと、散歩って。まだ話が━━」
ウォルンタースははぐらかすように家から出て行ってしまった。
「まったく、ばつが悪くなると逃げる習性って、あんた師匠譲りなんじゃないの?」
「それについては何とも言えないな……」
「まあ、あんたでもいいわ」
「俺でもいいって、お前な……」
「で、本当にジオーネって人は死んでるの?」
「まあな。小さい頃から俺の憧れだった人だよ。剣の腕も、人としてもな」
「確かに斬ったと思ったら斬った感覚もなかったし、死んでるとなったらそれも合点は行くけど。つまりは幽霊って事でしょう。ああ、今になって怖くなって来た」
「そう言われたら、オイラもでヤンス」
フラムとパルは揃って体を震わせる。
「でも剣は手に入れたんだろう。良かったじゃないか」
「全然良かないわよ。さっきも言ったけど、死ぬ思いをしたのよ。文句の一つや二つ、いいえ、言い続けてやろうと思ったけど逃げちゃうし」
「お前、先生に教わりに来たのか? それとも文句言いに来たのか?」
「両方よ!」
「フラムはこうなったらなかなか収まらないでヤンスよ」
「恐らく先生の性格からしてもフラムとは水と油だな。これじゃあ先が思いやられるぞ……」
フリードとパルは苦笑いするしかなかった。
「そう言えば忘れてたけど、エドアールは? 姿がないようだけど、またあのいけ好かない先生に何か頼まれごと?」
「いや、突然姿が見えなくなって、探したら部屋に一枚書置きがあって。探さないで下さいってさ」
「あいつ、逃げたわね」
「でヤンスね」
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