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第七章 剣聖
第四話 アルブトラ大戦
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森を抜けた先には、何一つない無の大地が広がっていた。
フラムとフリードがケーレを目指して移動した荒野も荒涼としていたが、そこは更に荒野も荒野、見渡す限りの地平線が広がっている。
「ここは最果ての地ヴィークザーム。第二のアルブトラ大戦が行われた場所だ」
「アルブトラ大戦って、あの?」
「知らないものが居ない、あのアルブトラ大戦だ。その昔、ディオドスの影響で禁断の魔獣やら、得体の知れない魔獣やら、魔界から大量に手の付けられない魔獣が現れてダルメキアが危機に瀕したあの戦いだ」
今より五十年以上前、魔界とを繋ぐ地面の裂け目から、危険な魔獣が次々とダルメキアに押し寄せた事件があった。
近くに居た人々は魔獣達に襲われ、数多くの命が失われたと言う。
ダルメキア中から腕のいい剣士や魔獣召喚士が集まって対策に当たったが、その殆どが返り討ちにあって命を落としてしまった。
そんな中、大きな活躍を見せたのが、ルディアとウォルンタースであった。
後にアルブトラ大戦と呼ばれるだけあって、長きの月日に渡って戦いが繰り広げられたが、二人の活躍によって戦いは終焉を迎えた。
その後、戦いの功績を称えられて、ルディアは大賢人、ウォルンタースは剣聖と呼ばれるようになったと言う。
「でも、アルブトラ大戦って確か、ここじゃなかったわよね」
「ああ、ここではアルブトラ大戦の数年後に同じ様な事態が起こったんだ。その収拾に当たったのもルディア様と先生と言う話だ」
「そんな話、初耳だわ……」
「見ての通り広大に見えるがアルブトラ大戦よりは規模が小さい。だから事態の混乱を避ける為に内密の内に収拾し、余り伝えられる事はなかったそうだ」
「あんたはどうして知ってるのよ? 難しい話なんて関心がなさそうなのに」
「でヤンスね」
「おいおい、そりゃないだろう」
フリードは肩を落とす。
「まあいいさ。全部ジオーネに訊いたんだよ」
「なるほどね。あっちは頭がよさそうだったから」
「でヤンスね」
更に肩を落とす。
「分かったから。それで?」
「アルブトラは周知されているから周りに人が寄り付かなくなった事で、危険な場所に人が居なくなって見守る必要がなくなったんだが、ここは逆に知られてない事が仇となって周りに人が集まっちまった。それもこの近くには、魔界とをつなぐ穴が幾つもある━━らしい」
「らしいって、あんたね」
「仕方ないんだ。人に知られないように、俺すら全ての穴の位置は教えられてないからな」
「なるほど、以前にエドアールとこそこそ話してたのはその事か」
「まあな。で、ディオドスが来る度にその穴全てをルディア様と先生でほぼほぼ監視して来たらしい。ところが、ルディア様は病死してしまった」
「じゃあ……」
「ああ、それからは先生が中心となって一手に監視する事となった訳だ。その後、ジオーネもその一端を担う事で先生の負担も少しは減ったようだが、言った通りジオーネは魔界で死んでしまった。お前がジオーネに会った所は、恐らく強力な魔獣が出てくる場所で、だからこそ、そこにジオーネの亡骸を眠らせて、その思念を守護に当たらせてあるんだろうな。本来ならちゃんと埋葬して墓を作るべきだろうけど……」
儚さを見せるフリードの横で、フラムとパルはあの場所にジオーネの亡骸があると想像して、再びその背中に悪寒を感じていた。
「まあ、それでも世に放たれた禁断の魔獣やら、知られていない魔獣は、残っている五賢人や特別に組織された機関によって討伐や封印がされているらしいがな」
「それは何となく聞いた事があるけど」
「お前、人が善人か悪人か、見た目だけで判断できるか?」
「何よ、唐突に?」
「先生は来るものは拒まず、去る者を追わぬ主義だと言っておられる。ケイハルトも先生の下で学んでいた時は善人だったろうな。その後、悪人になるなんて誰が思う?」
「それはそうだけど……」
「まあ、先生の下で学んでいた時にはもう、悪人だったかもしれない。ただ、善人を装っていたらそれが誰に分かる? 詐欺師が詐欺師だって感じで寄って来るか? 悪人面がみんな悪人か? 分からないだろう」
「……」
「先生は見て分かる通り高齢だ。先生やルディア様の様な逸材で善人がぽっと現れれば問題がないんだろうが、いつ現れるかそんな事分かるはずもないし、来る者全てに修行をつけてその中で出来る限り優秀な者を育てるのが現実的だろう。そうでもしなきゃあ、このダルメキアは━━」
話している最中にフリードの顔が険しく変わる。
「何、この恐ろしい感覚は?」
フラムも何かを感じ、パルは身を震わせる。
「こんな時に、面倒臭いのが来たみたいだな」
フリードは鞘から剣を抜いた。
フラムとフリードがケーレを目指して移動した荒野も荒涼としていたが、そこは更に荒野も荒野、見渡す限りの地平線が広がっている。
「ここは最果ての地ヴィークザーム。第二のアルブトラ大戦が行われた場所だ」
「アルブトラ大戦って、あの?」
「知らないものが居ない、あのアルブトラ大戦だ。その昔、ディオドスの影響で禁断の魔獣やら、得体の知れない魔獣やら、魔界から大量に手の付けられない魔獣が現れてダルメキアが危機に瀕したあの戦いだ」
今より五十年以上前、魔界とを繋ぐ地面の裂け目から、危険な魔獣が次々とダルメキアに押し寄せた事件があった。
近くに居た人々は魔獣達に襲われ、数多くの命が失われたと言う。
ダルメキア中から腕のいい剣士や魔獣召喚士が集まって対策に当たったが、その殆どが返り討ちにあって命を落としてしまった。
そんな中、大きな活躍を見せたのが、ルディアとウォルンタースであった。
後にアルブトラ大戦と呼ばれるだけあって、長きの月日に渡って戦いが繰り広げられたが、二人の活躍によって戦いは終焉を迎えた。
その後、戦いの功績を称えられて、ルディアは大賢人、ウォルンタースは剣聖と呼ばれるようになったと言う。
「でも、アルブトラ大戦って確か、ここじゃなかったわよね」
「ああ、ここではアルブトラ大戦の数年後に同じ様な事態が起こったんだ。その収拾に当たったのもルディア様と先生と言う話だ」
「そんな話、初耳だわ……」
「見ての通り広大に見えるがアルブトラ大戦よりは規模が小さい。だから事態の混乱を避ける為に内密の内に収拾し、余り伝えられる事はなかったそうだ」
「あんたはどうして知ってるのよ? 難しい話なんて関心がなさそうなのに」
「でヤンスね」
「おいおい、そりゃないだろう」
フリードは肩を落とす。
「まあいいさ。全部ジオーネに訊いたんだよ」
「なるほどね。あっちは頭がよさそうだったから」
「でヤンスね」
更に肩を落とす。
「分かったから。それで?」
「アルブトラは周知されているから周りに人が寄り付かなくなった事で、危険な場所に人が居なくなって見守る必要がなくなったんだが、ここは逆に知られてない事が仇となって周りに人が集まっちまった。それもこの近くには、魔界とをつなぐ穴が幾つもある━━らしい」
「らしいって、あんたね」
「仕方ないんだ。人に知られないように、俺すら全ての穴の位置は教えられてないからな」
「なるほど、以前にエドアールとこそこそ話してたのはその事か」
「まあな。で、ディオドスが来る度にその穴全てをルディア様と先生でほぼほぼ監視して来たらしい。ところが、ルディア様は病死してしまった」
「じゃあ……」
「ああ、それからは先生が中心となって一手に監視する事となった訳だ。その後、ジオーネもその一端を担う事で先生の負担も少しは減ったようだが、言った通りジオーネは魔界で死んでしまった。お前がジオーネに会った所は、恐らく強力な魔獣が出てくる場所で、だからこそ、そこにジオーネの亡骸を眠らせて、その思念を守護に当たらせてあるんだろうな。本来ならちゃんと埋葬して墓を作るべきだろうけど……」
儚さを見せるフリードの横で、フラムとパルはあの場所にジオーネの亡骸があると想像して、再びその背中に悪寒を感じていた。
「まあ、それでも世に放たれた禁断の魔獣やら、知られていない魔獣は、残っている五賢人や特別に組織された機関によって討伐や封印がされているらしいがな」
「それは何となく聞いた事があるけど」
「お前、人が善人か悪人か、見た目だけで判断できるか?」
「何よ、唐突に?」
「先生は来るものは拒まず、去る者を追わぬ主義だと言っておられる。ケイハルトも先生の下で学んでいた時は善人だったろうな。その後、悪人になるなんて誰が思う?」
「それはそうだけど……」
「まあ、先生の下で学んでいた時にはもう、悪人だったかもしれない。ただ、善人を装っていたらそれが誰に分かる? 詐欺師が詐欺師だって感じで寄って来るか? 悪人面がみんな悪人か? 分からないだろう」
「……」
「先生は見て分かる通り高齢だ。先生やルディア様の様な逸材で善人がぽっと現れれば問題がないんだろうが、いつ現れるかそんな事分かるはずもないし、来る者全てに修行をつけてその中で出来る限り優秀な者を育てるのが現実的だろう。そうでもしなきゃあ、このダルメキアは━━」
話している最中にフリードの顔が険しく変わる。
「何、この恐ろしい感覚は?」
フラムも何かを感じ、パルは身を震わせる。
「こんな時に、面倒臭いのが来たみたいだな」
フリードは鞘から剣を抜いた。
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