10 / 77
第1章
第10話
しおりを挟む
いつもの待ち合わせ場所。
私はスクールバッグを肩にかけ、ちび助は大きなリュックサックを背負い、一緒に帰宅する。
「私、スーパーに寄るけど?」
「え? 当然、私も寄りますよ。先輩だって、深雪先輩へのお見舞い品買うんですよね?」
そもそも、お見舞いをする必要などないと――私は何度も言っている。
だから、私は特に返答することなくスーパーの中へ入った。そして、かごを手に取る。ちび助も後に続いた。
私は今日の特売を見て回る。献立が決まると必要なものをかごの中に入れた。
「いつも思いますけど、凄いですよね。特に悩む様子がないんですから。何を作るかはお店に入ってから考えるんですよね?」
「だって、何が安いか分かんないからね。まあ、こんなのはただの慣れだから」
「何事も、慣れるまでが大変かと思いますけど?」
まあ、確かにその通りだ。
「奈々先輩は、何を買っていったほうがいいと思います?」
「私なんかに聞くより、スマホで本人に聞いたら?」
「深雪先輩が素直に何が欲しいかなんて、言ってくれる訳ないじゃないですかぁ」
まぁ、確かにその通りだ。
「それに、サプライズの方がきっと喜びますよ。そして何より、ちょうど欲しかったものを私が買っていけば――運命を感じて頂けるかもしれません」
ちび助は顎に手をやり、ニヒルな笑みを浮かべた。
「それで、奈々先輩は何にするつもりですか?」
「だから、何も買わないって」
「本当ですか? 抜け駆けをするつもりじゃないですよね?」
ちび助はジト目を向けてくる。
「本当だって何度も言ってるじゃん。あんまりしつこいと、いい加減怒るんだけど」
「すみません。以後、気をつけますのでどうかご容赦を。――とは言え、すでにもう怒ってますよね?」
手をすり合わせ、直ぐに謝ってくる。しかし、あまり真剣味は感じない。最後の余計な台詞に私はイラッとしたため、ちび助の頭を軽く小突いた。
「な、何で殴るんです?」
ちび助は頭を押さえ、抗議の目を向けてくる。
「だって、腹が立ったから」
「なんと理不尽な!」
大げさに反応された。
絶対にわざとだ。
馬鹿にされているとしか思えない。
私からしたら、こいつの存在そのものが理不尽だと思う。
「私の可愛い頭に触れたんですから、奈々先輩も一緒に考えてくださいよぉ」
「絶対に、嫌」
「本当、冷たいですよねぇ、奈々先輩は」
なんだかんだでわざわざ相手している私に対して――とんだ言い草である。
「あ、ちょっと待ってください」
ちび助が止まる。
デザートコーナーだ。
私は一瞬、悩んだものの足を止めてやった。
「やっぱり、ゼリーとかですかね? でもなぁー、あまりにもド定番すぎるので、普通に先輩のお母さんが買ってきてそうなんですよねぇ」
うむむ――と、ちび助は悩みだす。
そして、ひとつの商品を手に取った。
「あ――」
私はつい、声をだしてしまう。
「どうかしましたか?」
「……何で、それを選んだの?」
ちび助が手に取ったのは、少しマイナーなカップヨーグルト。
「私が熱を出したときには、いつもこれなので。もしかして、何かまずいですかね?」
「……別に、いいんじゃないの」
まさか、深雪の好きな物を選ぶとは思わなかった。
「そうですか? では、これにします」
ちび助は手に取った物をかごの中に入れた。
「で――本当に、それにするつもり?」
「だって、奈々先輩がそれでいいんじゃない? と、言ってくれたじゃないですか」
「少しは疑ったら? もしかしたら、深雪の嫌いなものかもしれないじゃん」
「奈々先輩は意地悪な人ですけど、深雪先輩のことに関しては――私、信用してますから」
そう言って、ちび助は笑った。
何となく、腹が立ったので、デコピンをかました。
口喧しく文句を言われたが、無視することにした。
その後も、ちび助は色々とかごの中に入れた。
風邪のときにはこれがおすすめだとか、色々と自慢気に語ってくれた。
うざい――と感じたものの、大人しく話を聞いてやることにした。
私はエコバッグを片手に、ちび助はビニール袋を片手にスーパーから出た。
少しだけ重くなった荷物を持ち、家まで歩を進める。
「そう言えば、奈々先輩が待ち合わせ場所で私を待っていてくれたときですけど、何かずっと睨んでいた人がいましたよ。――心当たりとかありますかね?」
そんな心当たりなど――――あるっちゃ、ある。
「もしかして、髪の後ろに少し大きめな黒いリボンをして、細身で――黒いストッキングを履いてた?」
「あ、そうです。そんな感じです。そして、めちゃくちゃ美人でした! けど、凄く怖かったんですよねぇ」
間違いない。
藤宮だ。
「――それで、奈々先輩は何をやらかしたんです? なんなら、謝るの手伝いますけど」
私は、小学生か。
私はスクールバッグを肩にかけ、ちび助は大きなリュックサックを背負い、一緒に帰宅する。
「私、スーパーに寄るけど?」
「え? 当然、私も寄りますよ。先輩だって、深雪先輩へのお見舞い品買うんですよね?」
そもそも、お見舞いをする必要などないと――私は何度も言っている。
だから、私は特に返答することなくスーパーの中へ入った。そして、かごを手に取る。ちび助も後に続いた。
私は今日の特売を見て回る。献立が決まると必要なものをかごの中に入れた。
「いつも思いますけど、凄いですよね。特に悩む様子がないんですから。何を作るかはお店に入ってから考えるんですよね?」
「だって、何が安いか分かんないからね。まあ、こんなのはただの慣れだから」
「何事も、慣れるまでが大変かと思いますけど?」
まあ、確かにその通りだ。
「奈々先輩は、何を買っていったほうがいいと思います?」
「私なんかに聞くより、スマホで本人に聞いたら?」
「深雪先輩が素直に何が欲しいかなんて、言ってくれる訳ないじゃないですかぁ」
まぁ、確かにその通りだ。
「それに、サプライズの方がきっと喜びますよ。そして何より、ちょうど欲しかったものを私が買っていけば――運命を感じて頂けるかもしれません」
ちび助は顎に手をやり、ニヒルな笑みを浮かべた。
「それで、奈々先輩は何にするつもりですか?」
「だから、何も買わないって」
「本当ですか? 抜け駆けをするつもりじゃないですよね?」
ちび助はジト目を向けてくる。
「本当だって何度も言ってるじゃん。あんまりしつこいと、いい加減怒るんだけど」
「すみません。以後、気をつけますのでどうかご容赦を。――とは言え、すでにもう怒ってますよね?」
手をすり合わせ、直ぐに謝ってくる。しかし、あまり真剣味は感じない。最後の余計な台詞に私はイラッとしたため、ちび助の頭を軽く小突いた。
「な、何で殴るんです?」
ちび助は頭を押さえ、抗議の目を向けてくる。
「だって、腹が立ったから」
「なんと理不尽な!」
大げさに反応された。
絶対にわざとだ。
馬鹿にされているとしか思えない。
私からしたら、こいつの存在そのものが理不尽だと思う。
「私の可愛い頭に触れたんですから、奈々先輩も一緒に考えてくださいよぉ」
「絶対に、嫌」
「本当、冷たいですよねぇ、奈々先輩は」
なんだかんだでわざわざ相手している私に対して――とんだ言い草である。
「あ、ちょっと待ってください」
ちび助が止まる。
デザートコーナーだ。
私は一瞬、悩んだものの足を止めてやった。
「やっぱり、ゼリーとかですかね? でもなぁー、あまりにもド定番すぎるので、普通に先輩のお母さんが買ってきてそうなんですよねぇ」
うむむ――と、ちび助は悩みだす。
そして、ひとつの商品を手に取った。
「あ――」
私はつい、声をだしてしまう。
「どうかしましたか?」
「……何で、それを選んだの?」
ちび助が手に取ったのは、少しマイナーなカップヨーグルト。
「私が熱を出したときには、いつもこれなので。もしかして、何かまずいですかね?」
「……別に、いいんじゃないの」
まさか、深雪の好きな物を選ぶとは思わなかった。
「そうですか? では、これにします」
ちび助は手に取った物をかごの中に入れた。
「で――本当に、それにするつもり?」
「だって、奈々先輩がそれでいいんじゃない? と、言ってくれたじゃないですか」
「少しは疑ったら? もしかしたら、深雪の嫌いなものかもしれないじゃん」
「奈々先輩は意地悪な人ですけど、深雪先輩のことに関しては――私、信用してますから」
そう言って、ちび助は笑った。
何となく、腹が立ったので、デコピンをかました。
口喧しく文句を言われたが、無視することにした。
その後も、ちび助は色々とかごの中に入れた。
風邪のときにはこれがおすすめだとか、色々と自慢気に語ってくれた。
うざい――と感じたものの、大人しく話を聞いてやることにした。
私はエコバッグを片手に、ちび助はビニール袋を片手にスーパーから出た。
少しだけ重くなった荷物を持ち、家まで歩を進める。
「そう言えば、奈々先輩が待ち合わせ場所で私を待っていてくれたときですけど、何かずっと睨んでいた人がいましたよ。――心当たりとかありますかね?」
そんな心当たりなど――――あるっちゃ、ある。
「もしかして、髪の後ろに少し大きめな黒いリボンをして、細身で――黒いストッキングを履いてた?」
「あ、そうです。そんな感じです。そして、めちゃくちゃ美人でした! けど、凄く怖かったんですよねぇ」
間違いない。
藤宮だ。
「――それで、奈々先輩は何をやらかしたんです? なんなら、謝るの手伝いますけど」
私は、小学生か。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
恋してしまった、それだけのこと
雄樹
恋愛
小学3年生の女の子が、母の妹に恋をした。
星野未来(ほしのみく)は、母の妹である水瀬沙織(みなせさおり)に恋をした。
出会ったとき、未来は8歳。
沙織は20歳の大学生だった。
優しくて、少し不器用で、どこか寂しそうなその人が好きな人は、私ではなく…私の「母」だった。
一生でたったひとつの初恋。
言葉にできない想いを抱えたまま、少女は季節を重ねていく。
あなたは私の叔母で。
あなたは私と同性で。
あなたは私と12歳も歳が離れていて。
あなたが好きな人は…私じゃなくて。
それでも、この初恋を諦めることは出来なかった。
これは、ひとりの少女の、恋のはじまりと記憶の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる