35 / 77
第3章
第35話
しおりを挟む
昼休み、私と深雪は静姉に仕事を頼まれたため、ちび助だけ先にいつもの場所に向かって貰った。文句を言われたが、藤宮を待たせるわけにもいかない。
まぁ、彼女は私達を待っているわけではないんだろうけど。
それにしても、意外だと思う。藤宮がベンチに座り、私たちはその隣でレジャーシートを広げて喧しく食事をしていることが。
それについて、不満そうな顔をしながらも、文句ひとつ言わない。まるで私達を受け入れてくれているように見える。本当、不思議な話だ。
いつもより10分以上遅れて、私と深雪は待ち合わせ場所に向かう。
そこに予想外の人物が一人紛れ込んでいた。
その人物は――バスケ部エースの小倉。
身長は180cm近くもあり、物凄く足が長くモデル体型。髪はショートにしており、顔はイケメン野郎で、本当に気に食わない人物だ。
そんな小倉と藤宮がベンチ前で向かい合わせに立っていた。そして、ちび助が二人の前に立ち塞がり、まるで小倉から藤宮を守るよう――必死に両腕を広げている。
私は嫌な予感がして、三人の所まで走った。
ちび助と藤宮は小倉を睨みつけている。
「何があった?」
そう言って、私は彼女たちの前で足を止めた。深雪も足を止め、私の背中に隠れる。
小倉は私の方に振り向くと、困った表情。
そんな顔は初めて見た。いつも自信に満ちた顔しかしないのに。
小倉はすぐに笑みを浮かべると、キザったらしく髪をかき上げた。
「奈々、このあと少しだけ顔を貸して貰ってもいいだろうか」
「は?」
何で関係のない私が?
「奈々先輩! そんな奴、コテンパンにしてやってくださいね!」
だから、何で関係のない私が、そんなことをしなければならない?
「ふふふ、仔犬くんは本当に忠義が厚いようだね。気に入ったよ。君はいずれ立派な犬になれるだろう。あの、忠犬ハチ公のようにね」
小倉は芝居がかった口調でふざけたことを口にする。しかし、本人は至って真面目だ。
「な、なんで私が仔犬なんですか!?」
「心配しなくてもいい、いずれ立派な犬になれると僕は言ったんだよ。あの、忠犬ハチ公のようにね」
小倉はいつもの自信に満ちた顔へ戻っていた。いつもなら、彼女の周りに纏わりつく腰巾着共が黄色い声を上げていることだろう。
「だから、なんで私を犬扱いするんですか!」
正直な話、犬扱いしたくなる気持ちは良く分かる。
「ふふふ、僕の詩的な表現さ。君には少し早すぎたかな? 気にしなくても構わないよ。いずれ分かるさ」
「気にするから言ってるんですけど!?」
「藤宮さん、僕の気持ちは本気だよ。球技大会で優勝し、君の気持ちを盗んで見せよう」
「ちょ、なんか私のこと、無視してませんかね?」
小倉は優雅に回れ右を行うと、私の方に視線を向けた。
「それでは奈々、向こうで――僕と少しだけお話しようか」
彼女は私の返事を聞くことなく歩き出す。
私がついてこないことなど、少しも疑っていないようだ。何か意地でもついていきたくないが、そんなことをすれば確実に、後で面倒くさいことになる。
私は少しだけ躊躇したものの、小倉の後を追った。
「奈々先輩、後は任せましたよ!」
と、ちび助の無責任な言葉を背中に受けながら、私は足を動かした。
まぁ、彼女は私達を待っているわけではないんだろうけど。
それにしても、意外だと思う。藤宮がベンチに座り、私たちはその隣でレジャーシートを広げて喧しく食事をしていることが。
それについて、不満そうな顔をしながらも、文句ひとつ言わない。まるで私達を受け入れてくれているように見える。本当、不思議な話だ。
いつもより10分以上遅れて、私と深雪は待ち合わせ場所に向かう。
そこに予想外の人物が一人紛れ込んでいた。
その人物は――バスケ部エースの小倉。
身長は180cm近くもあり、物凄く足が長くモデル体型。髪はショートにしており、顔はイケメン野郎で、本当に気に食わない人物だ。
そんな小倉と藤宮がベンチ前で向かい合わせに立っていた。そして、ちび助が二人の前に立ち塞がり、まるで小倉から藤宮を守るよう――必死に両腕を広げている。
私は嫌な予感がして、三人の所まで走った。
ちび助と藤宮は小倉を睨みつけている。
「何があった?」
そう言って、私は彼女たちの前で足を止めた。深雪も足を止め、私の背中に隠れる。
小倉は私の方に振り向くと、困った表情。
そんな顔は初めて見た。いつも自信に満ちた顔しかしないのに。
小倉はすぐに笑みを浮かべると、キザったらしく髪をかき上げた。
「奈々、このあと少しだけ顔を貸して貰ってもいいだろうか」
「は?」
何で関係のない私が?
「奈々先輩! そんな奴、コテンパンにしてやってくださいね!」
だから、何で関係のない私が、そんなことをしなければならない?
「ふふふ、仔犬くんは本当に忠義が厚いようだね。気に入ったよ。君はいずれ立派な犬になれるだろう。あの、忠犬ハチ公のようにね」
小倉は芝居がかった口調でふざけたことを口にする。しかし、本人は至って真面目だ。
「な、なんで私が仔犬なんですか!?」
「心配しなくてもいい、いずれ立派な犬になれると僕は言ったんだよ。あの、忠犬ハチ公のようにね」
小倉はいつもの自信に満ちた顔へ戻っていた。いつもなら、彼女の周りに纏わりつく腰巾着共が黄色い声を上げていることだろう。
「だから、なんで私を犬扱いするんですか!」
正直な話、犬扱いしたくなる気持ちは良く分かる。
「ふふふ、僕の詩的な表現さ。君には少し早すぎたかな? 気にしなくても構わないよ。いずれ分かるさ」
「気にするから言ってるんですけど!?」
「藤宮さん、僕の気持ちは本気だよ。球技大会で優勝し、君の気持ちを盗んで見せよう」
「ちょ、なんか私のこと、無視してませんかね?」
小倉は優雅に回れ右を行うと、私の方に視線を向けた。
「それでは奈々、向こうで――僕と少しだけお話しようか」
彼女は私の返事を聞くことなく歩き出す。
私がついてこないことなど、少しも疑っていないようだ。何か意地でもついていきたくないが、そんなことをすれば確実に、後で面倒くさいことになる。
私は少しだけ躊躇したものの、小倉の後を追った。
「奈々先輩、後は任せましたよ!」
と、ちび助の無責任な言葉を背中に受けながら、私は足を動かした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
恋してしまった、それだけのこと
雄樹
恋愛
小学3年生の女の子が、母の妹に恋をした。
星野未来(ほしのみく)は、母の妹である水瀬沙織(みなせさおり)に恋をした。
出会ったとき、未来は8歳。
沙織は20歳の大学生だった。
優しくて、少し不器用で、どこか寂しそうなその人が好きな人は、私ではなく…私の「母」だった。
一生でたったひとつの初恋。
言葉にできない想いを抱えたまま、少女は季節を重ねていく。
あなたは私の叔母で。
あなたは私と同性で。
あなたは私と12歳も歳が離れていて。
あなたが好きな人は…私じゃなくて。
それでも、この初恋を諦めることは出来なかった。
これは、ひとりの少女の、恋のはじまりと記憶の物語。
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる