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どういうことだと思い、心都がアイゼルを見つめると、こちらをまっすぐに見つめ返したアイゼルが口を開いた。
「心都……好き、です。俺と、結婚して、ください!」
耳まで赤くなったアイゼルが心都を見つめてこちらの答えを待つ。心都は再び日本語だというのは分かるけれどまったく理解できない状況に陥っていた。
「え……? 結婚……? もしかして、僕のこと女の子だと、思ってる……?」
心都は小さい頃から『可愛い』と言われて育ってきた。小学生まではそれは誉め言葉として受け取ってきたのだが、中学に入り、男である自分にとってそれはあまりいい言葉ではないのかもしれないと思い始めた。細い手足も、伸びない身長も二重に長いまつ毛の大きな瞳も、なかなか焼けない肌も『男らしくない』という言葉に変わっていった。私服で歩いていると女の子に間違えられたりもして女の子には『男の子だけど妹みたい』と言われて全くモテず、男として平凡以下の心都はほとんど恋愛をしたことがない。
だから、アイゼルのその言葉は本当に驚いた。
「心都、アイゼルのいたところでは、恋愛に性別は関係ないんだ。魔法使いがいて、その人に頼めば男同士でも女同士でも子どもが作れるから」
悠隆がにこにことしながらお茶をすする。
そんな環境で生きてきている人だから、今の言葉は間違いないよ、と言いたいのだろう。そんな環境はともかく、心都は『初めまして』から三十分しか経っていない男と結婚できるほど勇気のある方ではない。
「えっと……今は、ごめんなさい、でいいかな……」
心都が眉を下げてアイゼルを見やると、その顔はしおれるように落ち込んだ表情になっていく。そんなアイゼルの背中を悠隆が叩いて笑った。
「ちょっと早かったな。でも、心都は『今は』って言ったよ。未来は分からない」
「そうか……分かった! 悠隆、俺、頑張る」
アイゼルと悠隆の間では妙な友情が芽生えているらしい。アイゼルがキラキラした瞳を取り戻し、心都に視線を戻した。
「心都、好きになってもらうから」
頑張る、と言われ、心都は思わず頷いてしまった。それを見ていたアイゼルと悠隆が嬉しそうに笑いあった。
「そういうわけで、しばらくアイゼルのこと頼むよ。うち実家だから、アイゼルのこと家族に上手く説明できないし、アイゼルも心都の傍の方がいいだろう?」
「俺、心都といる」
「いやいや、何がそういうわけなのか分からないし、勝手に僕といること決めてるし……」
心都が慌てて口を挟むと、悠隆とアイゼルが、ダメ? と言葉を合わせる。
自分が断ったら、二人はどこに頼ることになるのだろう。実家は無理そうだし、悠隆は他にたくさん友達はいるけれど、どこから来たかも分らないような男を泊めてくれるような人はいるだろうか――ひとしきりそんなことを考えてから、心都はため息を吐いた。
「……分かった。預かる。でも、アイゼルが僕の意に反することをしたらその時点で悠隆の家に連れて行くから」
いいね、と心都が悠隆とアイゼルの両方に視線を向ける。アイゼルは悠隆の顔を一瞬見てから、心都に視線を向けて頷いた。
「心都の嫌がることはしない。困らせない」
「そうしてくれると助かるよ。いい? 悠隆」
アイゼルの言葉を聞いて、悠隆に聞くと、悠隆はそれに頷いた。
「アイゼルが心都の言葉を理解したなら、大丈夫だろ。おれも様子見に来るし、色々協力もする」
「悠隆は、アイゼルを元の世界に戻す方法も探してよ。僕じゃ分らないから」
「それは……アイゼルが戻りたいって言ったらな」
悠隆が殊更明るく笑う。
これは全く当てがないのだなと気づいて、心都は大きくため息を吐いた。
「心都……好き、です。俺と、結婚して、ください!」
耳まで赤くなったアイゼルが心都を見つめてこちらの答えを待つ。心都は再び日本語だというのは分かるけれどまったく理解できない状況に陥っていた。
「え……? 結婚……? もしかして、僕のこと女の子だと、思ってる……?」
心都は小さい頃から『可愛い』と言われて育ってきた。小学生まではそれは誉め言葉として受け取ってきたのだが、中学に入り、男である自分にとってそれはあまりいい言葉ではないのかもしれないと思い始めた。細い手足も、伸びない身長も二重に長いまつ毛の大きな瞳も、なかなか焼けない肌も『男らしくない』という言葉に変わっていった。私服で歩いていると女の子に間違えられたりもして女の子には『男の子だけど妹みたい』と言われて全くモテず、男として平凡以下の心都はほとんど恋愛をしたことがない。
だから、アイゼルのその言葉は本当に驚いた。
「心都、アイゼルのいたところでは、恋愛に性別は関係ないんだ。魔法使いがいて、その人に頼めば男同士でも女同士でも子どもが作れるから」
悠隆がにこにことしながらお茶をすする。
そんな環境で生きてきている人だから、今の言葉は間違いないよ、と言いたいのだろう。そんな環境はともかく、心都は『初めまして』から三十分しか経っていない男と結婚できるほど勇気のある方ではない。
「えっと……今は、ごめんなさい、でいいかな……」
心都が眉を下げてアイゼルを見やると、その顔はしおれるように落ち込んだ表情になっていく。そんなアイゼルの背中を悠隆が叩いて笑った。
「ちょっと早かったな。でも、心都は『今は』って言ったよ。未来は分からない」
「そうか……分かった! 悠隆、俺、頑張る」
アイゼルと悠隆の間では妙な友情が芽生えているらしい。アイゼルがキラキラした瞳を取り戻し、心都に視線を戻した。
「心都、好きになってもらうから」
頑張る、と言われ、心都は思わず頷いてしまった。それを見ていたアイゼルと悠隆が嬉しそうに笑いあった。
「そういうわけで、しばらくアイゼルのこと頼むよ。うち実家だから、アイゼルのこと家族に上手く説明できないし、アイゼルも心都の傍の方がいいだろう?」
「俺、心都といる」
「いやいや、何がそういうわけなのか分からないし、勝手に僕といること決めてるし……」
心都が慌てて口を挟むと、悠隆とアイゼルが、ダメ? と言葉を合わせる。
自分が断ったら、二人はどこに頼ることになるのだろう。実家は無理そうだし、悠隆は他にたくさん友達はいるけれど、どこから来たかも分らないような男を泊めてくれるような人はいるだろうか――ひとしきりそんなことを考えてから、心都はため息を吐いた。
「……分かった。預かる。でも、アイゼルが僕の意に反することをしたらその時点で悠隆の家に連れて行くから」
いいね、と心都が悠隆とアイゼルの両方に視線を向ける。アイゼルは悠隆の顔を一瞬見てから、心都に視線を向けて頷いた。
「心都の嫌がることはしない。困らせない」
「そうしてくれると助かるよ。いい? 悠隆」
アイゼルの言葉を聞いて、悠隆に聞くと、悠隆はそれに頷いた。
「アイゼルが心都の言葉を理解したなら、大丈夫だろ。おれも様子見に来るし、色々協力もする」
「悠隆は、アイゼルを元の世界に戻す方法も探してよ。僕じゃ分らないから」
「それは……アイゼルが戻りたいって言ったらな」
悠隆が殊更明るく笑う。
これは全く当てがないのだなと気づいて、心都は大きくため息を吐いた。
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