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1話 終わりと始まり
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……私はここまでなのか? 私はこの女がどんな人間か知っている。以前訪れ情報収集のため訪れていた国で、この女も若き王子と共にその国を訪れていた、聖女と呼ばれていた女だ。
ほんの1年ほど前に、突如この世界へ現れ、たくさんの奇跡を起こし、世界中に人々を救い。今ではどの国でもどんな人間達も、聖女を神聖な神のように崇めている。
しかし私がたまたま見かけた聖女は……。皆が言うような神聖な存在などではなく、沢山の男を侍らせ、そしてその男達を良いように操り、何でも言うことをけかせる、とんでもない女だった。
が、いくら経っても、聖女のそういった様子を、彼女の本性の事を告げる者は誰1人とおらず、おかしいとは思っていた。
また聖女の魔獣に対する扱いは、あまり良いものではなく。そのため私は聖女がここへ来た時の事を考え対策を取っていたのだが。
そうして私の戦略の全てを知っていた? 私は本当に信頼する者にしか話した事がなかった。そうしてその者達が全て殺されてしまい。と言う事は、誰かが裏切ったわけでないないだろう。では何故?
「はぁ、なんであんたみたいなモブと魔獣どもが、こんなに何でも揃ってて素晴らしい国に住んでるわけ? どう考えたっておかしいでしょ。あんたたちみたいな連中には、素敵なものなんて何一つない、そこらで人が死んでるような最悪な国がお似合いなのに」
『グオォォォォォォッ!!』
『グギャアァァァァァァッ!!』
「嫌だわ、来たときと魔獣達の鳴き声の数が全然変わってないじゃない。もしかして、まだ1匹も倒せてないなんて言わないわよね? あれだけ私が力を貸してあげたのに。まさか、まだこいつが張った結界を破れてないとか? もう! 私、待つのは嫌いだって何度も言ってるのに!」
聖女が祈りの姿勢をとる。まずい、このままでは私の大切な家族たちが危ない。
……皆聞こえるか。すまない、どうやら私はここまでのようだ。最後までお前たちと一緒にいられないのは寂しいが、今、この時を持って契約を解除する。そして結界を張り直した後、お前たちを安全な場所へ転移させた。はぁ、これでもう大丈夫だ。
「あら? 急に何も聞こえなくなったわね。倒したのかしら? それにしては、魔獣達の気配が一切なくなったけど。ちゃんと死体は残しておいてもらわないと困るわ。後であいつらを使って、いろいろ素敵な物を作る予定なのに。それにあの気持ちの良い毛皮も、体に埋め込まれている綺麗な魔力の結晶も、ぜーんぶ私の物なのよ」
……良かった。私の大切な家族が、こんな女の手に渡らなくて。
「はぁ、早くみんな来ないかしら」
聖女が独り言を言いながら、俺が今まで座っていた王座へと座る。
「それにしても、こんなに早く第1部が終わるなんて。次の部が始まるまで、少し時間があるわけだけど、その間何をしようかしら。まぁ、せっかく全てを知っているラノベの世界に転生したんだから、完璧なハーレムを作るための準備はするけど。それだけじゃ時間が余っちゃうわよね。新しい男でも探そうかしら」
……何だ? 何の話しをしている? やはりだらしのない女だと言う事は分かったが、lラノベとは何だ?
俺は王座見ながら床に横たわっているため、玉座の聖女の様子が見えた。聖女は長い髪の毛の先を、くるくると指に絡ませながら、大きなあくびをした。あの聖女の姿。あれも皆おかしいとは思わないのか。
真っ赤なドレスに、濃すぎる化粧、そしてそれだけの宝石を身に纏っているか。本当に神聖な存在ならば、それらを民のために使いそうなものだが。どれだけの魔獣達と人間が幸せに暮らせると?
聖女が私を見る。
「……それにしても、どうして作者は、あんたみたいな中途半端な悪役モブを作ったのかしら。悪役のくせに子供には優しいし、魔獣に関しては完璧に悪人じゃないし。どうせなら、もっとカッコいい悪役を作って、その悪役ともハーレムさせてくれれば良かったのに」
先ほどから本当に何を言っている? 作者が作った? 悪役モブ? ハーレム? 何の事かさっぱり分からない。
「そうだわ! みんなが来るまでの暇つぶしに、あなたにこの世界の真実を教えてあげるわ! きっと驚くわよ。全ての物、感情、そしてあなた自身さえも、この世界では作られた存在なんて知ったら。驚くよりも酷いショックを受けるかもしれないわね。ふふふ、アハハハハハッ!! そのショックを抱えたまま、あなたはここで物語から消えるのよ」
聖女がまた祈りの姿勢をとる。そうしてすぐに光が溢れ始め、その光が私を包むと、私の中にたくさんの情報が流れ込んできた。
……何だこれは!? 私は一体!? ……これがこの世界の真実。まさかそんな!? 私も私の家族達も、全てが作られた物だというのか!! そんなはずはない!! この感情は本物のはずだ!!
……何だこれは!? 私は一体!? これが、この世界の真実だというのか。まさかそんな!? 私も、私の家族たちも、全てが作られた存在だと!? そんなはずはない!!
私は今までずっと彼らと共に生きてきたのだ。喜びも悲しみも怒りも、全てを共に感じながら。そう、そうしてずっと生きてきた。これがそんな事があってたまるか!!
私は今まで、ずっと彼らと共に生きてきた。喜びも、悲しみも、怒りも、全てを共に感じながら。共に歩んできたのだ!!
その全ての日々が、全これが作られた物だなんて、そんなことあってたまるか!! たまるか!! グアァァァァァァァッ!!
体全体に激しい痛みが走る。みろ、この痛みも本物ではないか!!
「聖女様!!」
「やっと来たわね。まったく遅いったら。……ふぅ。王子!! 私はここです。悪の者はこちらに!!」
「聖女様!! そのような者にそんなに近づいてはなりません!! さぁ、こちらへ」
たくさんの兵と王子達が入ってきて、私から聖女を離なす。体の痛みが激しくなるのとは裏腹に、私の意識はどんどん薄れていく。
そんな中、私は聖女を見た。今までの表情とは裏腹に、弱々しい表情を見せている聖女。だが、俺と目が合った瞬間、聖女の表情は醜い笑いに変わり。その瞬間、最大の痛みが私を襲った。
=================================
ピピピピピピッ!!
「グアァァァッ!?」
俺は息を荒げながらガバッ!! と起き上がった。
「はぁはぁ、今のは……?」
枕元の目覚ましは鳴り続けているが、それどころじゃない。あまりにも鮮明すぎる夢。
……夢? いや、待て。本当に夢だったのか? 考えろ、思い出せ……。
「あの殺された男は、前世の俺……。そして、起きた出来事も全て現実に起きた事。……そうだ、思い出したぞ。俺は魔獣の国の王、マクファーデンだ!」
ほんの1年ほど前に、突如この世界へ現れ、たくさんの奇跡を起こし、世界中に人々を救い。今ではどの国でもどんな人間達も、聖女を神聖な神のように崇めている。
しかし私がたまたま見かけた聖女は……。皆が言うような神聖な存在などではなく、沢山の男を侍らせ、そしてその男達を良いように操り、何でも言うことをけかせる、とんでもない女だった。
が、いくら経っても、聖女のそういった様子を、彼女の本性の事を告げる者は誰1人とおらず、おかしいとは思っていた。
また聖女の魔獣に対する扱いは、あまり良いものではなく。そのため私は聖女がここへ来た時の事を考え対策を取っていたのだが。
そうして私の戦略の全てを知っていた? 私は本当に信頼する者にしか話した事がなかった。そうしてその者達が全て殺されてしまい。と言う事は、誰かが裏切ったわけでないないだろう。では何故?
「はぁ、なんであんたみたいなモブと魔獣どもが、こんなに何でも揃ってて素晴らしい国に住んでるわけ? どう考えたっておかしいでしょ。あんたたちみたいな連中には、素敵なものなんて何一つない、そこらで人が死んでるような最悪な国がお似合いなのに」
『グオォォォォォォッ!!』
『グギャアァァァァァァッ!!』
「嫌だわ、来たときと魔獣達の鳴き声の数が全然変わってないじゃない。もしかして、まだ1匹も倒せてないなんて言わないわよね? あれだけ私が力を貸してあげたのに。まさか、まだこいつが張った結界を破れてないとか? もう! 私、待つのは嫌いだって何度も言ってるのに!」
聖女が祈りの姿勢をとる。まずい、このままでは私の大切な家族たちが危ない。
……皆聞こえるか。すまない、どうやら私はここまでのようだ。最後までお前たちと一緒にいられないのは寂しいが、今、この時を持って契約を解除する。そして結界を張り直した後、お前たちを安全な場所へ転移させた。はぁ、これでもう大丈夫だ。
「あら? 急に何も聞こえなくなったわね。倒したのかしら? それにしては、魔獣達の気配が一切なくなったけど。ちゃんと死体は残しておいてもらわないと困るわ。後であいつらを使って、いろいろ素敵な物を作る予定なのに。それにあの気持ちの良い毛皮も、体に埋め込まれている綺麗な魔力の結晶も、ぜーんぶ私の物なのよ」
……良かった。私の大切な家族が、こんな女の手に渡らなくて。
「はぁ、早くみんな来ないかしら」
聖女が独り言を言いながら、俺が今まで座っていた王座へと座る。
「それにしても、こんなに早く第1部が終わるなんて。次の部が始まるまで、少し時間があるわけだけど、その間何をしようかしら。まぁ、せっかく全てを知っているラノベの世界に転生したんだから、完璧なハーレムを作るための準備はするけど。それだけじゃ時間が余っちゃうわよね。新しい男でも探そうかしら」
……何だ? 何の話しをしている? やはりだらしのない女だと言う事は分かったが、lラノベとは何だ?
俺は王座見ながら床に横たわっているため、玉座の聖女の様子が見えた。聖女は長い髪の毛の先を、くるくると指に絡ませながら、大きなあくびをした。あの聖女の姿。あれも皆おかしいとは思わないのか。
真っ赤なドレスに、濃すぎる化粧、そしてそれだけの宝石を身に纏っているか。本当に神聖な存在ならば、それらを民のために使いそうなものだが。どれだけの魔獣達と人間が幸せに暮らせると?
聖女が私を見る。
「……それにしても、どうして作者は、あんたみたいな中途半端な悪役モブを作ったのかしら。悪役のくせに子供には優しいし、魔獣に関しては完璧に悪人じゃないし。どうせなら、もっとカッコいい悪役を作って、その悪役ともハーレムさせてくれれば良かったのに」
先ほどから本当に何を言っている? 作者が作った? 悪役モブ? ハーレム? 何の事かさっぱり分からない。
「そうだわ! みんなが来るまでの暇つぶしに、あなたにこの世界の真実を教えてあげるわ! きっと驚くわよ。全ての物、感情、そしてあなた自身さえも、この世界では作られた存在なんて知ったら。驚くよりも酷いショックを受けるかもしれないわね。ふふふ、アハハハハハッ!! そのショックを抱えたまま、あなたはここで物語から消えるのよ」
聖女がまた祈りの姿勢をとる。そうしてすぐに光が溢れ始め、その光が私を包むと、私の中にたくさんの情報が流れ込んできた。
……何だこれは!? 私は一体!? ……これがこの世界の真実。まさかそんな!? 私も私の家族達も、全てが作られた物だというのか!! そんなはずはない!! この感情は本物のはずだ!!
……何だこれは!? 私は一体!? これが、この世界の真実だというのか。まさかそんな!? 私も、私の家族たちも、全てが作られた存在だと!? そんなはずはない!!
私は今までずっと彼らと共に生きてきたのだ。喜びも悲しみも怒りも、全てを共に感じながら。そう、そうしてずっと生きてきた。これがそんな事があってたまるか!!
私は今まで、ずっと彼らと共に生きてきた。喜びも、悲しみも、怒りも、全てを共に感じながら。共に歩んできたのだ!!
その全ての日々が、全これが作られた物だなんて、そんなことあってたまるか!! たまるか!! グアァァァァァァァッ!!
体全体に激しい痛みが走る。みろ、この痛みも本物ではないか!!
「聖女様!!」
「やっと来たわね。まったく遅いったら。……ふぅ。王子!! 私はここです。悪の者はこちらに!!」
「聖女様!! そのような者にそんなに近づいてはなりません!! さぁ、こちらへ」
たくさんの兵と王子達が入ってきて、私から聖女を離なす。体の痛みが激しくなるのとは裏腹に、私の意識はどんどん薄れていく。
そんな中、私は聖女を見た。今までの表情とは裏腹に、弱々しい表情を見せている聖女。だが、俺と目が合った瞬間、聖女の表情は醜い笑いに変わり。その瞬間、最大の痛みが私を襲った。
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ピピピピピピッ!!
「グアァァァッ!?」
俺は息を荒げながらガバッ!! と起き上がった。
「はぁはぁ、今のは……?」
枕元の目覚ましは鳴り続けているが、それどころじゃない。あまりにも鮮明すぎる夢。
……夢? いや、待て。本当に夢だったのか? 考えろ、思い出せ……。
「あの殺された男は、前世の俺……。そして、起きた出来事も全て現実に起きた事。……そうだ、思い出したぞ。俺は魔獣の国の王、マクファーデンだ!」
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