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第36話 ドプラー教授 前編
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定期的にオーグから届く、分厚い詳細なレポートにマリアンナは困惑の度合いを深めていた。
レポートのかなりの部分を占める、数式が全くわからないのである。
そこを読み飛ばして読み進むも、結局良くわからない。
実のところ、毎回感想は
(なんかスゴそうですね、たはは)
こんな感じでしかなかった。
この感想を元に返信する訳にもいかず、兄皇帝に数学者か物理学者の家庭教師を頼んだのだった。
兄皇帝は、きっとオーグからの手紙を検閲しているからであろう、マリアンナの悩みに帝国一の数物理学者アンドレ·ドプラーを派遣してくれた。
「初めましてドプラー教授、お忙しい貴方様に子供のようなことを尋ねてごめんなさいね。この手紙を読んでわたくしに理解できるように、説明して貰いたいんですの。」
マリアンナはオーグから届いた初めの手紙レポートをアンドレに渡した。
パラパラと中身を速読していったアンドレが、徐に数式を書き出して、その下に別の数式を書いた。
「この数式は、この基礎的な数式を理解すればお分かりになります。」
事も無げにそう言ってアンドレは口をへの字に結んだ。
渡された数式を書きなぐった紙を手に持ち途方に暮れて、
「ではこの数式の説明もお願いします。」
マリアンナは眉を下げてそう言った。
アンドレはへの字の口のまま少し片方の眉を上げながら、別の数式をさらさらと書いた。
「それではこの数式を理解されたらその延長線上にあるとお分かりになるでしょう?」
更に渡された紙を受け取ると、じっとその数式を見る。
しばらくして、やっぱり
「あの、申し訳ないのだけど、これをも、もっと噛み砕いて説明して貰えないかしら?」
マリアンナは絶望で顔を青くしながらも、もう一度頼んだのだった。
アンドレは不機嫌さを隠すことも無く、
「この数式をご存じ無い?中級程度もわかっておられないのであれば、私のゼミなど殿下と言えどもお迎え出来ませんが。」
と、大袈裟にため息を吐きつつそう言い放った。
その言葉に驚いたマリアンナは、手をバタバタさせて
「待って待って。ゼミって何のお話か存じませんが、わたくしはこの定期的に届くレポートを理解したいだけで、貴方様に師事するつもりも、そんな才能も有りませんわ。」
マリアンナがあたふたと慌てて否定した。
するとアンドレは大きな声を上げ、
「え、ええー。では殿下はなぜこんな高等数学を網羅したようなレポートをお読みになっているのですか。こんなもの、誰それと理解できる物では無いでしょうに。」
そう驚くアンドレに、マリアンナはオーグのことを伏せながら、帝国がリンネ王国と行っている事業報告だと、それが解らず苦労していることを伝えたのだったが、いや寧ろ、このオーグから送られているのは文通の手紙のはずなのだが、頭の中が数式でいっぱいいっぱいなマリアンナには、そこをセルフツッコミ出来る余裕は無かった。
話を聞き、もう一度報告書を読み直したアンドレが、厳かな口調で告げた。
「では、率直な感想なんですが、この報告書を殿下がここまで事細かに理解する必要が実際おありなのでしょうか。むしろ、書く側が殿下に理解出来るように説明責任を果たすべきでは?」
「え?」
「王宮の文官のような一般的な人物であっても、この報告書では理解出来ませんよ。ここまで数式で説明する必要もない。つまりこれが言いたいのは、圧力がかかる部位があって難儀だったが締まりの良い強いネジに変えたら巧くいった、こんな話だと、思うのですが。ネジにかかる圧力の計算式って必要あります?」
と、アンドレは困った顔をして話を続けた。
「この観測者と震動源との相対運動によって振動数が変化する数式は私が発表したものでしたから、殿下が私の推薦で大学に進学し、私のゼミで数学を極めたいのかと、早とちりをしてしまいました。申し訳ありません。」
アンドレは先程の顔つきとは、打って変わって、小さくなって詫びた。
「まあ、そうだったのですね、きっと陛下はそれをご存じで貴方様にお声をかけたのでしょう。上の兄姉たちと違って、私はお勉強はからっきし、特に数学はそれほど深く学んで来なかったものですから。」
そう言うマリアンナに、
「幼い陛下に数学をお教えしたのが私だったので、陛下はご存じだったでしょう。ただその陛下でさえ、このレベルの数式を完全に理解出来るか怪しい所ですよ。報告書を理解したいのならば、この報告者に、もっと簡潔に解りやすく記載するように告げる方が早く確実です。」
アンドレはそう言って、朗らかに笑った。
そして、マリアンナは何通目かの手紙を受け取った末、やっとオーグに返事を書くことができたのだった。
まあ、返信内容など、
『とてもスゴソウだとは思いますが、数式が難しくて理解出来ません。もう少し簡単に書いて貰えたら嬉しいです』だけであったが。
そんなことがあって、頻繁にアンドレはマリアンナの離宮を訪ねて来るようになった。
「いや、まだまだ小難しく書いてきおって。これはきっと殿下に少しでも良いところを見せたいという、男心ですかな。」
返信の後、何通目かの送られてきたオーグの手紙レポートを読んだアンドレは、気安くそんな軽口を言った。
滅多に姿を見せぬ王女は思った以上に勉強家で、慎ましく、下級貴族出身の学者にも侮った態度を取らないそんなマリアンナをアンドレは気に入っていた。
何通も目を通せばその報告書が、実は王女殿下に自分の日常を知って欲しい男の純情が隠されている手紙の類いであることをアンドレは気付いたが、
(ただ、まあこれじゃあ王女殿下でなくとも、世間の女性には伝わらんぞ)
と、会ったこともないその男に心で渇を入れたのだった。
「まあ、教授ったら数式だけでなくそんなことまでお分かりになりますの?」
真っ赤になってシドロモドロな返事を返すマリアンナの姿に、マリアンナもまた難しい数式を学んでまでも返事を書きたい相手なのだろうとアンドレは理解した。
「なるほど、なるほど。甘酸っぱい青春時代を思い出しますな。」
アンドレが途端に俗物らしい顔つきでニマニマとそう言った。
「な、なんですの。わたくしは少しでも陛下のお力になれるようにと、精進しているだけですわ。とはいえ、兄姉のような遠くを見るほど出来が良いわけでもありませんから。」
始めの勢いが途中から無くなって、所在なさげな呟きになった。
「同じである必要など無いのです。殿下には殿下の為さりたい道が有るのでは?学びに優劣など無いと学者の端くれである、私が断言しましょうぞ。」
「わたくしは怖いのです。わたくしが良かれと思った行いが、巡り巡って手に終えない悪事となったらと思うと。ですからわたくしが自ら行うことは、ほんの些細事しかできません。」
マリアンナが自虐的にそう言うと、
「些細事が悪いこととはついぞ思いませんが、殿下は農業改革を陛下に進言したとお聞きしました。素晴らしい事だと思います。農学が些細事でしょうか?」
アンドレが片方の眉を上げてそう聞いた。
「農学が些細事だと卑下している訳では無いのです。ただ農業は豊作で作物の値段が下がったとしても、影響範囲はたかが知れておりますわ、だって作物は置いとけばいずれ腐ってしまうのですもの。反対に不作はみな等しく困りますでしょ、食べ物が無ければ王子も孤児も等しく飢えてしまいますもの。多くの人に利益をもたらす農学はわたくしには丁度良いのです。」
マリアンナが困惑気味に答えた。
「なるほど。殿下は普遍的な問題解決をしたいのですね。」
「え、普遍的な問題とは?」
「身分に関わらず誰彼抱える困難な問題、それを解決されたらよろしい。」
「そんな大それた事などわたくしが出来るはず有りませんわ。でも、それって何のお話なのでしょう。」
「普遍的な問題、即ち死です。死なない者はおりません、死は平等に人々に課せられるのです。」
突然始まった問答のようなアンドレの意見の飛躍に、困惑して目を泳がせたマリアンナ。
そのマリアンナの目を真っ直ぐ見つめて、アンドレが言った。
「やはり、殿下は女帝陛下のお子で有らせられるのですね。平民も王族も、生まれた子の半分は幼くして死んでしまう。これは大変深刻な問題です。しかし、先代女帝陛下は7人のお子をお産みになられて、5人が成人された。それは偶然では無く、女帝陛下が指示された数々の事柄が関係しているのですよ。そして今現在もブラッシュアップをし続けた研究の結果、お孫様たちは一人も欠けることのなく成長しておられる。」
「え?お母様が?何を?ドプラー教授、全くお話が見えませんわ。」
マリアンナは突然出てきた母親の名に目を白黒させていた。
「殿下、モンスト公国の離宮へお行きなさい。そこで女帝陛下に教えを乞うのです。」
アンドレは決定事項のように力強くそう断言するのだった。
レポートのかなりの部分を占める、数式が全くわからないのである。
そこを読み飛ばして読み進むも、結局良くわからない。
実のところ、毎回感想は
(なんかスゴそうですね、たはは)
こんな感じでしかなかった。
この感想を元に返信する訳にもいかず、兄皇帝に数学者か物理学者の家庭教師を頼んだのだった。
兄皇帝は、きっとオーグからの手紙を検閲しているからであろう、マリアンナの悩みに帝国一の数物理学者アンドレ·ドプラーを派遣してくれた。
「初めましてドプラー教授、お忙しい貴方様に子供のようなことを尋ねてごめんなさいね。この手紙を読んでわたくしに理解できるように、説明して貰いたいんですの。」
マリアンナはオーグから届いた初めの手紙レポートをアンドレに渡した。
パラパラと中身を速読していったアンドレが、徐に数式を書き出して、その下に別の数式を書いた。
「この数式は、この基礎的な数式を理解すればお分かりになります。」
事も無げにそう言ってアンドレは口をへの字に結んだ。
渡された数式を書きなぐった紙を手に持ち途方に暮れて、
「ではこの数式の説明もお願いします。」
マリアンナは眉を下げてそう言った。
アンドレはへの字の口のまま少し片方の眉を上げながら、別の数式をさらさらと書いた。
「それではこの数式を理解されたらその延長線上にあるとお分かりになるでしょう?」
更に渡された紙を受け取ると、じっとその数式を見る。
しばらくして、やっぱり
「あの、申し訳ないのだけど、これをも、もっと噛み砕いて説明して貰えないかしら?」
マリアンナは絶望で顔を青くしながらも、もう一度頼んだのだった。
アンドレは不機嫌さを隠すことも無く、
「この数式をご存じ無い?中級程度もわかっておられないのであれば、私のゼミなど殿下と言えどもお迎え出来ませんが。」
と、大袈裟にため息を吐きつつそう言い放った。
その言葉に驚いたマリアンナは、手をバタバタさせて
「待って待って。ゼミって何のお話か存じませんが、わたくしはこの定期的に届くレポートを理解したいだけで、貴方様に師事するつもりも、そんな才能も有りませんわ。」
マリアンナがあたふたと慌てて否定した。
するとアンドレは大きな声を上げ、
「え、ええー。では殿下はなぜこんな高等数学を網羅したようなレポートをお読みになっているのですか。こんなもの、誰それと理解できる物では無いでしょうに。」
そう驚くアンドレに、マリアンナはオーグのことを伏せながら、帝国がリンネ王国と行っている事業報告だと、それが解らず苦労していることを伝えたのだったが、いや寧ろ、このオーグから送られているのは文通の手紙のはずなのだが、頭の中が数式でいっぱいいっぱいなマリアンナには、そこをセルフツッコミ出来る余裕は無かった。
話を聞き、もう一度報告書を読み直したアンドレが、厳かな口調で告げた。
「では、率直な感想なんですが、この報告書を殿下がここまで事細かに理解する必要が実際おありなのでしょうか。むしろ、書く側が殿下に理解出来るように説明責任を果たすべきでは?」
「え?」
「王宮の文官のような一般的な人物であっても、この報告書では理解出来ませんよ。ここまで数式で説明する必要もない。つまりこれが言いたいのは、圧力がかかる部位があって難儀だったが締まりの良い強いネジに変えたら巧くいった、こんな話だと、思うのですが。ネジにかかる圧力の計算式って必要あります?」
と、アンドレは困った顔をして話を続けた。
「この観測者と震動源との相対運動によって振動数が変化する数式は私が発表したものでしたから、殿下が私の推薦で大学に進学し、私のゼミで数学を極めたいのかと、早とちりをしてしまいました。申し訳ありません。」
アンドレは先程の顔つきとは、打って変わって、小さくなって詫びた。
「まあ、そうだったのですね、きっと陛下はそれをご存じで貴方様にお声をかけたのでしょう。上の兄姉たちと違って、私はお勉強はからっきし、特に数学はそれほど深く学んで来なかったものですから。」
そう言うマリアンナに、
「幼い陛下に数学をお教えしたのが私だったので、陛下はご存じだったでしょう。ただその陛下でさえ、このレベルの数式を完全に理解出来るか怪しい所ですよ。報告書を理解したいのならば、この報告者に、もっと簡潔に解りやすく記載するように告げる方が早く確実です。」
アンドレはそう言って、朗らかに笑った。
そして、マリアンナは何通目かの手紙を受け取った末、やっとオーグに返事を書くことができたのだった。
まあ、返信内容など、
『とてもスゴソウだとは思いますが、数式が難しくて理解出来ません。もう少し簡単に書いて貰えたら嬉しいです』だけであったが。
そんなことがあって、頻繁にアンドレはマリアンナの離宮を訪ねて来るようになった。
「いや、まだまだ小難しく書いてきおって。これはきっと殿下に少しでも良いところを見せたいという、男心ですかな。」
返信の後、何通目かの送られてきたオーグの手紙レポートを読んだアンドレは、気安くそんな軽口を言った。
滅多に姿を見せぬ王女は思った以上に勉強家で、慎ましく、下級貴族出身の学者にも侮った態度を取らないそんなマリアンナをアンドレは気に入っていた。
何通も目を通せばその報告書が、実は王女殿下に自分の日常を知って欲しい男の純情が隠されている手紙の類いであることをアンドレは気付いたが、
(ただ、まあこれじゃあ王女殿下でなくとも、世間の女性には伝わらんぞ)
と、会ったこともないその男に心で渇を入れたのだった。
「まあ、教授ったら数式だけでなくそんなことまでお分かりになりますの?」
真っ赤になってシドロモドロな返事を返すマリアンナの姿に、マリアンナもまた難しい数式を学んでまでも返事を書きたい相手なのだろうとアンドレは理解した。
「なるほど、なるほど。甘酸っぱい青春時代を思い出しますな。」
アンドレが途端に俗物らしい顔つきでニマニマとそう言った。
「な、なんですの。わたくしは少しでも陛下のお力になれるようにと、精進しているだけですわ。とはいえ、兄姉のような遠くを見るほど出来が良いわけでもありませんから。」
始めの勢いが途中から無くなって、所在なさげな呟きになった。
「同じである必要など無いのです。殿下には殿下の為さりたい道が有るのでは?学びに優劣など無いと学者の端くれである、私が断言しましょうぞ。」
「わたくしは怖いのです。わたくしが良かれと思った行いが、巡り巡って手に終えない悪事となったらと思うと。ですからわたくしが自ら行うことは、ほんの些細事しかできません。」
マリアンナが自虐的にそう言うと、
「些細事が悪いこととはついぞ思いませんが、殿下は農業改革を陛下に進言したとお聞きしました。素晴らしい事だと思います。農学が些細事でしょうか?」
アンドレが片方の眉を上げてそう聞いた。
「農学が些細事だと卑下している訳では無いのです。ただ農業は豊作で作物の値段が下がったとしても、影響範囲はたかが知れておりますわ、だって作物は置いとけばいずれ腐ってしまうのですもの。反対に不作はみな等しく困りますでしょ、食べ物が無ければ王子も孤児も等しく飢えてしまいますもの。多くの人に利益をもたらす農学はわたくしには丁度良いのです。」
マリアンナが困惑気味に答えた。
「なるほど。殿下は普遍的な問題解決をしたいのですね。」
「え、普遍的な問題とは?」
「身分に関わらず誰彼抱える困難な問題、それを解決されたらよろしい。」
「そんな大それた事などわたくしが出来るはず有りませんわ。でも、それって何のお話なのでしょう。」
「普遍的な問題、即ち死です。死なない者はおりません、死は平等に人々に課せられるのです。」
突然始まった問答のようなアンドレの意見の飛躍に、困惑して目を泳がせたマリアンナ。
そのマリアンナの目を真っ直ぐ見つめて、アンドレが言った。
「やはり、殿下は女帝陛下のお子で有らせられるのですね。平民も王族も、生まれた子の半分は幼くして死んでしまう。これは大変深刻な問題です。しかし、先代女帝陛下は7人のお子をお産みになられて、5人が成人された。それは偶然では無く、女帝陛下が指示された数々の事柄が関係しているのですよ。そして今現在もブラッシュアップをし続けた研究の結果、お孫様たちは一人も欠けることのなく成長しておられる。」
「え?お母様が?何を?ドプラー教授、全くお話が見えませんわ。」
マリアンナは突然出てきた母親の名に目を白黒させていた。
「殿下、モンスト公国の離宮へお行きなさい。そこで女帝陛下に教えを乞うのです。」
アンドレは決定事項のように力強くそう断言するのだった。
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※小説家になろう様にも掲載しています。
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