ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士

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みー婆とゴロゴロしながら陽だまりの中でうとうとしているといつの間にかフードを被った三人組に囲まれていた。全く気づかんかった…みー婆教えてくれよ。

『ナァ~』

声かけたわよ、と尻尾でてしてししてくるみー婆に俺はうりゃうりゃとお腹あたりを撫で回して戯れる。声掛けても気づかなきゃ意味ないでしょ。

「……宜しいか?」
「あ、はい。すいません」

戯れていたらしびれを切らした1人がこほんと咳払いをして声をかけてくる。声色からして男性だろう、フードを目深く被ってるからわからないけど。

「突然尋ねて申し訳ない、貴方はその背もたれにしている魔獣の飼い主で宜しいか?」
「みー婆の飼い主ですよ? それが何か?」

んー?いきなりどうしたと言うんだろうか? もしかして日向ぼっこの仲間に入れて欲しいのだろうか?

「良かった、実は先ほどそちらの魔獣が狩ったジャイアントフォレストランナーを譲って欲しいのだ」
「ジャイアントフォレストランナー?  えっと、さっきいたでかい鳥みたいなやつですか?」
「そうだ。中々獲れない魔鳥なのは百も承知だがこの通りだ、頼む」

いきなり頭を下げられてもなぁ…譲るのはいいけどなんで必要なんだろうか? たかりとかそんな感じ?もしかして。

「えっと…譲るのはまぁ、構わないですけど…どうしてですか?」
「詳しくは言えぬ…だが我々には必要なのだ」

えぇ…そんな返事?なんか凄い怪しいんだけど……。みー婆はゴロゴロしてるから危険とかはないんだろうけどなんだかなぁ。

なんて渋ってると一番小柄のフードの人がいきなりフードを外して素顔を見せてきた。逆光でよく見えないけど……シルエットでは特徴的な耳の形をしていた。エルフとかかな?

「イーサル、それでは不信感を与えるだけです。下がりなさい」
「しかし姫様…我々のことはあまり安易に知られていいものではありません」
「あくまでこちらはお願いしている身です。立場を考えなさい。すみませんヒト族の方。我々はエルフ族の者です、そして私はエマ・ノービリス・エルファン。エルファン皇国の第一皇女を務めさせていただいております」

……え?第一皇女?それって…お姫様ってこと?

予想外のことにポカンとしていると残りの2人もフードを外して素顔を見せてくる。相変わらず逆光で見えないけど。

でも、なんで皇女様がでっかいダチョウを欲しがるんだろうか? ダチョウの皮のバックでも欲しいんだろうか?確かブランドであった気がしたけど…そう言う感じか?

なんて考えていたら皇女様が教えてくれた。どうやらもうじきサミット的なものが開かれるらしく、その開催国がエルファン皇国になり、他国の来賓の方達をもてなすのに必要なのだとか?このでっかいダチョウは中々食べれない珍味らしく美食家達に人気で、もし出すことが出来れば反応がいいらしい。

成る程…ってかこの世界の鳥ってなんか珍味とか多いな。ホロホロ鳥とか。

「無論タダで譲れとは申しません。ですが対等な取引ではないのは承知のうえでお願いしております」
「成る程…偉い人ってやっぱ大変なんですね。ちょっとみー婆に聞いてみます。正直言ってみー婆が獲ってきた物をこれが勝手にしていいってわけにはいかないんで…」

背凭れになってるみー婆は相変わらず我関せずとばかりに寛いでいる。なぁみー婆、このエルフさん達がさっきの鳥欲しいんだって。あげていい?

『ナァ~』

いいわよ~。って軽い感じの返事をするみー婆。みー婆は優しいなぁ。よしよし、いいこいいこ。

「みー婆もいいよって言ってるんでどうぞ?ここに出しちゃっていいですか?」
「へっ? あ、えぇ。構いません」

エルフの皇女様がなんかぽかんとした声をあげてるけどどうしたんだろうか?まぁ、いいか。はいどーぞ。

「えっと、ヒト族の方。 貴方は何を望みますか?」
「えっ?」
「えっ?」

ん?なんかくれるのかな? 対等な取引できないって言ってたし手持ちないんじゃないの?

首を傾げていると三人目のエルフの人が声をかけてきた。ちょっと若い感じの男の人っぽい。

「ヒト族の兄さん、もしかして世間知らずって言われない?」
「あー…こっちに来てから何度か言われてるかも…」

ジャックさん達に一応教わってはいるけど中々ね、モノの価値観って奴は手強いんだよね。

「こっちって事は兄さん他国の人か。まぁ、教えてやるけどこのジャイアントフォレストランナーってのは超高級食材なんだわ。それに後ろの猫ちゃんってイモータルリンクルだろ? 兄さん背凭れにしてっけど命知らずなのか?」
「ソーマ! 失礼だぞ!」

確かイーサルさんって呼ばれてたかな? その人が若いエルフを叱咤する、ソーマさんって言うんだ? エルフだけどなんかチャラいな。

「イーサルの旦那、ちゃんと価値とか教えてやって取引しないとそっちの方が失礼っすよ。なんか騙してるみたいじゃないっすか。兄さんも分かったら色々要求した方がいいぞ? うちの姫さん金持ってっから」

イヒヒなんて笑い声あげてすごいチャラ男感出てるけど嫌味な感じはない。でもいま欲しいもんとかないしなぁ。それにみー婆が勝手に獲ってきた物だし…あげちゃってもいいんだよなぁ。いまお金ないんだよね?

「……兄さんまじか? オレの話聞いてた? こっちとしてはすんげー有難いけどさ、申し訳ねぇってなってるぞ?」
「ヒト族の方、ソーマの言う通りです。エルファン家の者としてタダで譲ってもらうのは示しがつきません」

とは言ってもねぇ…んー、みー婆どうしよっか?なんか欲しいのある?

『ナァー』

別に要らないわよ。そんな風に返事をするみー婆に俺も頷く。ここは奥の手を使うか。

「えっと、今はパッと思いつかないんで…今度でもいいですか?エルファン皇国でしたっけ? 遊びに行った時にまたって感じで」

必殺後回しである! これで納得してくれ、いつかエルファン皇国に行くから。うん、行けたら行くわ。

「……分かりました。必ずいらっしゃってくださいね? イーサル、ソーマ。この事は墓場まで持っていきなさい」
「もちろんです姫様」
「しゃーなしですね。こちらも手持ちがないのは事実ですし、お言葉に甘えますか」
「ヒト族の方、お名前をお伺いしても宜しいですか?」
「あ、すいません…俺はジュンって言います。こっちの猫はみー婆って言って俺のペットです」
『ナァ~』

よろしくね~。と反応するみー婆だがむにゃむにゃと口元を動かしてるのを見ればさては、うとうとしてたな?

「ジュン様ですね?覚えました。我がエルファン皇国にいらした時は是非我々をお尋ねください。それとこちらを」

そう言って姫様は空間収納から翡翠色の玉石がついた指輪をくれた。ほぇー、エメラルドだと思ったけど違うんだな。それに透明度凄いな。

「そちらはエルファン皇国が友好国・・・に対して送っている指輪です。エルファン皇国を訪れる際は是非そちらをお見せください」
「ありがとうございます! みー婆、綺麗な指輪貰ったよー」

俺は友好の証としてもらったお洒落な指輪をみー婆に見せる。がみー婆ばちらっとみては目を閉じてしまった…たしかにあったかいからなぁ眠たいよなぁ。

「……兄さん、本当に世間知らずなんだな。イーサルの旦那もこればかりはそう思うだろ?」
「うむ…しかし姫様、渡して宜しかったので?」
「構いません、寧ろジャイアントフォレストランナーを無傷の状態で狩れる従魔を持つ方と縁が結べるのなら安い物でしょう。それにジュン様は悪用なんて微塵も考えてませんし」
「確かに、兄さんそう言った悪事とは無縁な感じするっすもんね」

うとうとしてるみー婆に指輪の感想を聞こうとしてる後ろでエルフの三人組が何やら話してたけど俺はみー婆を起こすのに忙しくて聞き取れなかった。きっとこのあとどうやって帰るのか話し合いでもしてるんじゃないかな?

あ、ちなみにエルフの三人は全員かなりの美形でした、やっぱエルフは美形っていうのが定番だし本当にその通りでちょっと感動したよ。






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