悪役令嬢はゲームに参加できない

西楓

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内から湧き出る恐怖

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「大丈夫ですか?ポピーお嬢様、すぐに旦那様と奥様をお呼びいたします」
「……!…」
動揺で声が出ないので、首を縦に振って返事をした。
すぐに侍女は父と母を伴って戻ってきた。

「ポピー、熱が下がったのになかなか目覚めなくて心配したよ。もう体調は問題ないかい?」
心配そうに父が私の顔を覗き込む。

「ポピー、まだ顔色がよくないわ。ゆっくり休んでいなさいね」
母が優しく私の髪を撫でる。

そう、この人達は私の実の両親だ。決して虐待されたりなどしていない。むしろ大事に大事に育てられた。
蝶よ花よと愛され慈しまれて育った私は若干わがままに育った。
身体の震えが止まらないのは、動揺が止まないのは、私がわがままだからでも、熱の後遺症でもない。
どうしよう…
大好きなはずなのに…
怖い…

「…っ…(怖い怖い怖い怖い怖い)」
恐怖で声が上手く出せない。無理矢理笑顔を作るが震えが止まらず頬が引き攣るのが自分でもわかった。

心配そうな両親だったが、「体力は落ちてるけど主治医の身体には問題ない。自然に声は出るようになりますのでゆっくり養生してください」との診断に、ホッとしたように部屋を後にした。






まさか、外国人に転生してしまったなんて…
どうしよう。水色の髪に青い眼とか、金髪に緑の眼とか…
無理無理無理無理無理
結菜のゲームのキャラクターも紫の髪とか赤い髪とかカラフルだったけど、あれは二次元だから問題ない。

でも、現実では外国人は苦手だった。
前世で子供の頃に突然、知らない数人の外国人に取り囲まれ知らぬ外国語で怒鳴られた経験が、トラウマになっていた。
大きくなってもトラウマは解消されず、むしろ悪化し、なるべく人と接しない研究職に就くことにしたのだった。

今まで大丈夫だったのに…
記憶が蘇るとともに恐怖心も復活してしまったらしく、父と母が怖い。侍女もブラウンの髪はよいが、シルバーの瞳とかあり得ない。
思い出しただけで震えが止まらない。
どうしよう。これで生活出来るんだろうか。
せっかく生まれ変わったのに…思い出したくなかった…
前世を思い出しても今のところメリットが浮かばない。こんな恐怖心だけ植え付けられるなんてむしろデメリットのが多い気がする。
前途多難だわ…
涙が溢れてとまらない。
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