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嫌そうな素振りを見せてきたが、私は自分の平穏のためにダニエルとできる限り一緒に過ごした。
ダニエルといることで少しずつ他の人とも話せるようになったが、一番話すのはダニエルだった。
以前の私はダニエルに嫌味を言ったり、物を投げつけたり目に余る行為のオンパレードだった。
黒い髪と黒い眼と両方に黒が揃う者は、100年に一度現れるかないかの、貴重な存在であった。魔力が高い証であり、それを羨んだ者達から忌々しい存在として扱われることもあった。
以前の私はとりわけその容姿の批判、蔑みをしており、時にはダニエルの本当の両親を蔑視する発言も繰り返していた。
何度か謝罪をしたが、ダニエルはなかなか受け入れてはくれなかったが、それでも生来の優しい気質からか、ただ甘えるだけの私を無碍にすることはなかった。
べったりの私に徐々にダニエルは絆されていき、数年も経つといつの間にか立場が逆転してしまい、超シスコンになってしまった。
これまで王子含め何人もの子息から婚約の打診があったが、病弱を理由にお断りを入れてもらっていた。
ただの対人恐怖症の引きこもりだが、お茶会などに徹底して不参加であることが理由を裏付けた。
学園入学の16歳までに上位貴族であれば婚約者が決まっているのが一般的だ。
学園には独身の貴族と平民が通うが、一部の下級貴族や平民は婚約はしていない。ゲームのヒロインも婚約をしていなかった。
しかし、もうすぐ入学するダニエルもその一つ歳下の私にも婚約者は今のところいない。
黒髪黒眼とはいえ攻略対象の中でも取り分け際立つ美貌に、最年少国家魔導士となる将来性に女性たちが寄ってこない訳がない。
侯爵家を継がないとはいえ、かなりの数の御令嬢から婚約の打診があったが、ダニエルが頑なに拒否をしていた。
ゲームでは10歳の時私は王子の婚約者となり、ゲーム開始より前にはダニエルは侯爵令嬢のローズと婚約していたはずなのに、ズレが生じているのは、私が前世を思い出したからなのだろうか…
両親も最近では婿取りは諦めたらしく、ダニエルとの婚約を勧めてくるようになった。
「ポピー、ダニエルと婚約するのはダメなのかい?こんなに仲良くしているじゃないか」
何度目かの説得を試みてくる父。
ダニエルは私が平穏でいられる唯一の人だから、側にいて欲しいし、いなくなったら何を支えに生きていけば良いのだろう。
こういった時、小説やゲームだと、修道院や平民として逃げたりするが、外国人恐怖症の私にはそれは難しい。
でも、ダニエルと婚約をしてしまうと、ゲームの渦に巻き込まれてしまう。
「…うっ…ダニーのことは好きだけどダメっ…ぐすっ…」
泣き出す私の髪を横にいるダニエルが優しく撫でてくる。
「どうしてダメなんだい?誰か他に好きな人でもいるのかい?」
聞いたこともないような低い声でダニエルが言う。
引きこもっている私には出会いがないとわかっているだろうに…
「ううん…ぐすっ…いない…」
「じゃあ、ポピーは私のどこがダメなんだい?」
私の涙を優しく指で拭う。
「ううん…ダニーには私よりもお似合いの人がいるもの。学園で出会うの」
もうすぐ入学するダニエル。1年後にはヒロインのリリーが入学し、彼女に心を奪われてしまう。
振られることを知っていて婚約することは嫌だ。
同じく1年後に入学した私はいちゃつく2人に嫉妬する。婚約者が別の女性に心を奪われるんだから当然のことだ。
でも、兄なら耐えられる。恋人…婚約者ではないもの…
「ポピー、まだ見ぬ女性に妬いているのかい?私はポピー以外に目を向けることはないよ」
涙ぐむ私とは逆に何故かダニエルは嬉しそう。
「だって…ダニーはこんなに素敵なんですもの。しょうがないんです…ぐすっ…」
次から次へと涙がとめどなく溢れてくる。
「ポピーも、綺麗で可愛らしくて素敵だよ。私の唯一なんだから。それにしても困ったなぁ。こんなに愛しいポピーを不安にさせてしまうなんて…
うむ…免除試験を受けるか!ポピー、私は学校には通わないことにするよ。幸い仕事にも就いているし、わざわざ通学する必要もないしね。
でも、私が通わないのに、可愛いポピーだけを学園に通わせるのも心配だなぁ。他に変な虫がついてもいけないし」
「そうだな、ダニエル。お前なら免除試験は合格できるだろう。ポピーも入学前に結婚してしまえば通学の必要はないな」
父とダニエルの間でトントンと話が進み、すぐ婚約、私が15になる歳に結婚をすることになった。
「綺麗だ。愛してるよ、ポピー。君と結婚できて幸せだ」
「ダニー、私も幸せです。私も愛しています」
結婚後すぐに子宝にも恵まれ、愛する夫と子ども、両親に囲まれた幸せな人生を過ごしている。
卒業パーティーで王子が婚約破棄を言い渡したとか、廃嫡されたとか噂をチラホラ耳にしたが、社交活動をほとんどしない私は詳しくはよく知らない。
ダニエルといることで少しずつ他の人とも話せるようになったが、一番話すのはダニエルだった。
以前の私はダニエルに嫌味を言ったり、物を投げつけたり目に余る行為のオンパレードだった。
黒い髪と黒い眼と両方に黒が揃う者は、100年に一度現れるかないかの、貴重な存在であった。魔力が高い証であり、それを羨んだ者達から忌々しい存在として扱われることもあった。
以前の私はとりわけその容姿の批判、蔑みをしており、時にはダニエルの本当の両親を蔑視する発言も繰り返していた。
何度か謝罪をしたが、ダニエルはなかなか受け入れてはくれなかったが、それでも生来の優しい気質からか、ただ甘えるだけの私を無碍にすることはなかった。
べったりの私に徐々にダニエルは絆されていき、数年も経つといつの間にか立場が逆転してしまい、超シスコンになってしまった。
これまで王子含め何人もの子息から婚約の打診があったが、病弱を理由にお断りを入れてもらっていた。
ただの対人恐怖症の引きこもりだが、お茶会などに徹底して不参加であることが理由を裏付けた。
学園入学の16歳までに上位貴族であれば婚約者が決まっているのが一般的だ。
学園には独身の貴族と平民が通うが、一部の下級貴族や平民は婚約はしていない。ゲームのヒロインも婚約をしていなかった。
しかし、もうすぐ入学するダニエルもその一つ歳下の私にも婚約者は今のところいない。
黒髪黒眼とはいえ攻略対象の中でも取り分け際立つ美貌に、最年少国家魔導士となる将来性に女性たちが寄ってこない訳がない。
侯爵家を継がないとはいえ、かなりの数の御令嬢から婚約の打診があったが、ダニエルが頑なに拒否をしていた。
ゲームでは10歳の時私は王子の婚約者となり、ゲーム開始より前にはダニエルは侯爵令嬢のローズと婚約していたはずなのに、ズレが生じているのは、私が前世を思い出したからなのだろうか…
両親も最近では婿取りは諦めたらしく、ダニエルとの婚約を勧めてくるようになった。
「ポピー、ダニエルと婚約するのはダメなのかい?こんなに仲良くしているじゃないか」
何度目かの説得を試みてくる父。
ダニエルは私が平穏でいられる唯一の人だから、側にいて欲しいし、いなくなったら何を支えに生きていけば良いのだろう。
こういった時、小説やゲームだと、修道院や平民として逃げたりするが、外国人恐怖症の私にはそれは難しい。
でも、ダニエルと婚約をしてしまうと、ゲームの渦に巻き込まれてしまう。
「…うっ…ダニーのことは好きだけどダメっ…ぐすっ…」
泣き出す私の髪を横にいるダニエルが優しく撫でてくる。
「どうしてダメなんだい?誰か他に好きな人でもいるのかい?」
聞いたこともないような低い声でダニエルが言う。
引きこもっている私には出会いがないとわかっているだろうに…
「ううん…ぐすっ…いない…」
「じゃあ、ポピーは私のどこがダメなんだい?」
私の涙を優しく指で拭う。
「ううん…ダニーには私よりもお似合いの人がいるもの。学園で出会うの」
もうすぐ入学するダニエル。1年後にはヒロインのリリーが入学し、彼女に心を奪われてしまう。
振られることを知っていて婚約することは嫌だ。
同じく1年後に入学した私はいちゃつく2人に嫉妬する。婚約者が別の女性に心を奪われるんだから当然のことだ。
でも、兄なら耐えられる。恋人…婚約者ではないもの…
「ポピー、まだ見ぬ女性に妬いているのかい?私はポピー以外に目を向けることはないよ」
涙ぐむ私とは逆に何故かダニエルは嬉しそう。
「だって…ダニーはこんなに素敵なんですもの。しょうがないんです…ぐすっ…」
次から次へと涙がとめどなく溢れてくる。
「ポピーも、綺麗で可愛らしくて素敵だよ。私の唯一なんだから。それにしても困ったなぁ。こんなに愛しいポピーを不安にさせてしまうなんて…
うむ…免除試験を受けるか!ポピー、私は学校には通わないことにするよ。幸い仕事にも就いているし、わざわざ通学する必要もないしね。
でも、私が通わないのに、可愛いポピーだけを学園に通わせるのも心配だなぁ。他に変な虫がついてもいけないし」
「そうだな、ダニエル。お前なら免除試験は合格できるだろう。ポピーも入学前に結婚してしまえば通学の必要はないな」
父とダニエルの間でトントンと話が進み、すぐ婚約、私が15になる歳に結婚をすることになった。
「綺麗だ。愛してるよ、ポピー。君と結婚できて幸せだ」
「ダニー、私も幸せです。私も愛しています」
結婚後すぐに子宝にも恵まれ、愛する夫と子ども、両親に囲まれた幸せな人生を過ごしている。
卒業パーティーで王子が婚約破棄を言い渡したとか、廃嫡されたとか噂をチラホラ耳にしたが、社交活動をほとんどしない私は詳しくはよく知らない。
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