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第一章
第8話:従魔都市バルフェム
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それからしばらく進み、楓の視界に何やら大きな外壁が見えてきた。
「ティアナさん! もしかしてあそこですか?」
「その通り。あそこが目的の従魔都市バルフェムよ」
王都に勝るとも劣らない外壁の高さを有しており、中がどのようになっているのかは分からない。
しかし、近づくにつれて分かってきたこともある。
「……おぉ……なんだか、獣の匂いがしますね!」
「あはは! そりゃそうよ。だって従魔都市だもの!」
まさしくその通りだと思った楓は苦笑しながらも、ここでなら自分のスキルを活かせるとワクワクし始める。
「そういえば、どうしてカエデは従魔都市に?」
そこへティアナがそんな質問を口にした。
「私のスキルが従魔に関する外れスキルだったんです」
「そうなの?」
「はい。〈従魔具職人〉です」
楓が〈従魔具職人〉だと答えると、ティアナは納得顔で頷く。
「あー、なるほど。それなら確かに、バルフェムに来たくなっちゃうか」
「ここにはたくさんの従魔がいるんですよね?」
「いるわよ! それも騎士たちが使う従魔だけじゃなくて、私たちみたいな冒険者が使う従魔もね!」
「おぉー! それは楽しみです!」
ティアナの言葉に楓は興奮を隠せない。
実際に〈従魔具職人〉がどんなスキルなのかは分かっていないが、間違いなく従魔が身につけるものを作る職業だろうと、楓は感じている。
(人付き合いは難しいけど、従魔付き合いならきっと上手くやれる! ……はず!)
そんなことを考えながら、バルフェムの門の前までやってきた。
「身分証を拝見いたします」
門番の男性からそう言われ、楓はハッとした表情を浮かべる。
「身分証……私、持ってない」
「そうなの?」
「はい。……あ、でも、確か門でこれを見せれば大丈夫的なことを言われたような……ちょっと待ってくださいね……」
背負っていた鞄を漁り始めた楓は、レイスから手渡された一枚の書類を門番に差し出す。
「これなんですけど……」
「なんだ、これは? ……んん? …………こ、これは!? 班長! 班長~!」
最初こそ手渡された書類を見て怪訝な表情を浮かべていた門番の男性だったが、徐々に表情が真剣なものへと変わり、上司に確認を取るべく詰め所へ駆け出していった。
「……カエデ、いったい何を渡したの?」
「さ、さあ? でも、レイス様……第二王子殿下から渡されたものなんですけど」
「だ、第二王子殿下ですって!?」
まさかの名前を聞いたティアナも驚きの声を上げた。
「はい。……え? でも、ミリアさんはレイス様の護衛騎士なので、私がレイス様のことを知っていてもおかしくはないですよね?」
「いやいや! 普通は王子殿下と知り合いなんてこと、あり得ないから! それも直接何かを受け取っているだなんて!」
勇者召喚のせいで、最初に顔を合わせたのが王子様たちだった。
だからだろう、楓の中ではそこまで大事ではなかったのだが、よくよく考えると普通は王子様と顔を合わせるなんてことすら珍しいことなのだから、驚かれるのも当然だろう。
「……まあ、成り行きで?」
「成り行きで王子様と会うだなんて、絶対にないからね?」
「……ですよね~」
そんなやり取りをしていると、詰め所から先ほどの門番の男性と一緒に、中年の男性が戻ってきた。
「お、お待たせいたしました! こちらで問題なく入場可能でございます!」
「ありがとうございます」
楓がニコリと微笑むと、何故か門番とその上司はビクッと体を震わせた。
その様子を見ていたティアナは呆れたように肩を竦めていたが、何かを言及することはなかった。
そうしてバルフェムに入った楓が見た光景は――
「……うわあっ! すごい、すごいよ、ティアナさん! 従魔が普通に通りを歩いてますよ!」
王都では一匹も見かけなかった従魔が、当たり前のように通りを歩き、人に寄り添っている。
犬や猫に似ているが、大きさは日本の動物の比ではないくらいに大きい。
他にも二足歩行の従魔や、バルフェムまでの道中でティアナが倒したハイグァナに似た従魔もいる。
レイスは従魔の糞尿が原因で王城にはいないと言っていた。それは王都でも同じなのだろうと楓は解釈している。
しかし、バルフェムの中は特に臭いがきついということはなく、王都と変わらない澄んだ空気をしているように思えてならない。
「通りに出ている従魔は、きちんと躾をされた従魔たちだからね。躾がまだ終わっていない従魔は都市の中央にある、従魔棟に集められているの」
楓の疑問に気づいたティアナが説明してくれた。
「そうなんですね。……でも、何かを身に着けている従魔って、少ないんですね」
通りを歩く従魔を観察しながら、楓は別の疑問を口にした。
するとティアナは困ったように言葉を続ける。
「あー……まあ、従魔に装備を着けさせる人なんて、あまりいないかな」
「え? そうなんですか?」
スキルとして〈従魔具職人〉があるのだから、従魔に装備を身に着けさせることが当たり前だと、楓は勝手に思い込んでいた。
「従魔はあくまでも魔獣だと考える人の方が多いの。だから、魔獣にお金を掛ける人も少ないってわけね」
「……そ、そんな!」
まさかの事実に、楓は愕然としてしまう。
(だから〈従魔具職人〉は外れスキルだってこと? でも、だとしたら私は、どうやって稼げばいいのよ~!)
内心でそんなことを考えながら、楓は思わず頭を抱えてしまった。
「ティアナさん! もしかしてあそこですか?」
「その通り。あそこが目的の従魔都市バルフェムよ」
王都に勝るとも劣らない外壁の高さを有しており、中がどのようになっているのかは分からない。
しかし、近づくにつれて分かってきたこともある。
「……おぉ……なんだか、獣の匂いがしますね!」
「あはは! そりゃそうよ。だって従魔都市だもの!」
まさしくその通りだと思った楓は苦笑しながらも、ここでなら自分のスキルを活かせるとワクワクし始める。
「そういえば、どうしてカエデは従魔都市に?」
そこへティアナがそんな質問を口にした。
「私のスキルが従魔に関する外れスキルだったんです」
「そうなの?」
「はい。〈従魔具職人〉です」
楓が〈従魔具職人〉だと答えると、ティアナは納得顔で頷く。
「あー、なるほど。それなら確かに、バルフェムに来たくなっちゃうか」
「ここにはたくさんの従魔がいるんですよね?」
「いるわよ! それも騎士たちが使う従魔だけじゃなくて、私たちみたいな冒険者が使う従魔もね!」
「おぉー! それは楽しみです!」
ティアナの言葉に楓は興奮を隠せない。
実際に〈従魔具職人〉がどんなスキルなのかは分かっていないが、間違いなく従魔が身につけるものを作る職業だろうと、楓は感じている。
(人付き合いは難しいけど、従魔付き合いならきっと上手くやれる! ……はず!)
そんなことを考えながら、バルフェムの門の前までやってきた。
「身分証を拝見いたします」
門番の男性からそう言われ、楓はハッとした表情を浮かべる。
「身分証……私、持ってない」
「そうなの?」
「はい。……あ、でも、確か門でこれを見せれば大丈夫的なことを言われたような……ちょっと待ってくださいね……」
背負っていた鞄を漁り始めた楓は、レイスから手渡された一枚の書類を門番に差し出す。
「これなんですけど……」
「なんだ、これは? ……んん? …………こ、これは!? 班長! 班長~!」
最初こそ手渡された書類を見て怪訝な表情を浮かべていた門番の男性だったが、徐々に表情が真剣なものへと変わり、上司に確認を取るべく詰め所へ駆け出していった。
「……カエデ、いったい何を渡したの?」
「さ、さあ? でも、レイス様……第二王子殿下から渡されたものなんですけど」
「だ、第二王子殿下ですって!?」
まさかの名前を聞いたティアナも驚きの声を上げた。
「はい。……え? でも、ミリアさんはレイス様の護衛騎士なので、私がレイス様のことを知っていてもおかしくはないですよね?」
「いやいや! 普通は王子殿下と知り合いなんてこと、あり得ないから! それも直接何かを受け取っているだなんて!」
勇者召喚のせいで、最初に顔を合わせたのが王子様たちだった。
だからだろう、楓の中ではそこまで大事ではなかったのだが、よくよく考えると普通は王子様と顔を合わせるなんてことすら珍しいことなのだから、驚かれるのも当然だろう。
「……まあ、成り行きで?」
「成り行きで王子様と会うだなんて、絶対にないからね?」
「……ですよね~」
そんなやり取りをしていると、詰め所から先ほどの門番の男性と一緒に、中年の男性が戻ってきた。
「お、お待たせいたしました! こちらで問題なく入場可能でございます!」
「ありがとうございます」
楓がニコリと微笑むと、何故か門番とその上司はビクッと体を震わせた。
その様子を見ていたティアナは呆れたように肩を竦めていたが、何かを言及することはなかった。
そうしてバルフェムに入った楓が見た光景は――
「……うわあっ! すごい、すごいよ、ティアナさん! 従魔が普通に通りを歩いてますよ!」
王都では一匹も見かけなかった従魔が、当たり前のように通りを歩き、人に寄り添っている。
犬や猫に似ているが、大きさは日本の動物の比ではないくらいに大きい。
他にも二足歩行の従魔や、バルフェムまでの道中でティアナが倒したハイグァナに似た従魔もいる。
レイスは従魔の糞尿が原因で王城にはいないと言っていた。それは王都でも同じなのだろうと楓は解釈している。
しかし、バルフェムの中は特に臭いがきついということはなく、王都と変わらない澄んだ空気をしているように思えてならない。
「通りに出ている従魔は、きちんと躾をされた従魔たちだからね。躾がまだ終わっていない従魔は都市の中央にある、従魔棟に集められているの」
楓の疑問に気づいたティアナが説明してくれた。
「そうなんですね。……でも、何かを身に着けている従魔って、少ないんですね」
通りを歩く従魔を観察しながら、楓は別の疑問を口にした。
するとティアナは困ったように言葉を続ける。
「あー……まあ、従魔に装備を着けさせる人なんて、あまりいないかな」
「え? そうなんですか?」
スキルとして〈従魔具職人〉があるのだから、従魔に装備を身に着けさせることが当たり前だと、楓は勝手に思い込んでいた。
「従魔はあくまでも魔獣だと考える人の方が多いの。だから、魔獣にお金を掛ける人も少ないってわけね」
「……そ、そんな!」
まさかの事実に、楓は愕然としてしまう。
(だから〈従魔具職人〉は外れスキルだってこと? でも、だとしたら私は、どうやって稼げばいいのよ~!)
内心でそんなことを考えながら、楓は思わず頭を抱えてしまった。
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