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第一章
第14話:従魔具の性能と駆けるラッシュ
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「……よし! これで完成です!」
「ガウーン!(やったー!)」
楓は最後に魔力を込めた魔石を従魔具のくぼみにはめ込み、初めての従魔具を完成させた。
それはラッシュの四肢にピッタリとはまり、まるで素足のような、装着感がほとんどない最高の仕上がりになっていた。
「ガウン! ガウアッ!(セリシャ! 走りたい!)」
「うふふ。ラッシュ君は早く走りたいみたいですよ?」
楓がラッシュの言葉を翻訳すると、セリシャは苦笑しながら小さく頷く。
「従魔具の性能も確認しなければならないし、一緒に外へ行ってみましょうか?」
「いいんですか! やったー!」
「ガウーン!(やったー!)」
楓はセリシャの言葉通りで初めての従魔具の性能を確かめられるため、一方でラッシュは全力疾走できると分かり、お互い歓喜の声を上げた。
「それじゃあ、行きましょうか」
「はい!」
「ガウッ!(うん!)」
こうして楓は、セリシャとラッシュと一緒に、バルフェムの外へ向かった。
バルフェムの外は広大な草原が広がっている。
そのことを楓は、ここまでの道中で把握していたものの、その理由までは考えていなかった。
そして、ラッシュがワクワクしながら草原に立った時、従魔を思いっきり走らせるためなのではないかと思うようになっていた。
「それじゃあ、ラッシュ。全力で走ってごらんなさい」
「ガウガウッ!」
セリシャの言葉に合わせてラッシュが鳴くと、四肢に力が入ったのが分かった。
すると、四肢に装着された従魔具の魔石が緑色の光を放ち、ラッシュに力を与えていく。
「ガルル……ガルラアアアアッ!!」
雄叫びを上げながら駆け出したラッシュは、一瞬にして草原の中間地点を越え、端の方へと駆けていく。
「はっやああああっ!?」
驚きの声を上げたのは、従魔具を作った楓だ。
草原は直線距離で一キロの長さがある。
ラッシュは一キロの距離を五秒と掛からず駆け抜け、そのまま折り返して戻ってきたのだ。
「ガウガウッ! ギャウギャギャン! キャンガウンッ!」
戻ってきたラッシュは大興奮でセリシャに体を擦りつけているのだが、楓が触れているわけではないので何を言っているのかが分からない。
それでも、とてつもなく速く走れたことがたまらなく嬉しかったことは誰の目から見ても明らかだ。
「よかったわね、ラッシュ」
「ガウッ!」
セリシャが満足気に頷きながらそう口にすると、ラッシュは元気よく鳴いてから、今度は楓の方へ駆けよっていく。
「どうしたの、ラッシュ君?」
「ガウガウンッ!(ありがとう!)」
「どういたしまして」
ラッシュからのお礼の言葉を受け取った楓は、微笑みながら優しく彼の頭を撫でた。
「ガウガウッ! ガウーン!」
それからラッシュは、再び草原へと駆けていき、思う存分走り回るつもりのようだ。
「ありがとう、カエデさん」
すると今度はセリシャからお礼の言葉が飛び出した。
「そんな! こちらこそ、材料まで提供してもらって、本当に楽しかったです!」
セリシャの言葉に満面の笑みでそう返した楓。
その笑みを見たセリシャも微笑み、そして従魔具の性能について語り出す。
「カエデさんが作ってくれた従魔具は、とても素晴らしい性能だと思うわ。すぐに売りに出しても問題ないほどにね」
「ほ、本当ですか!」
「えぇ、そうよ。私が見てきた中で、一番の性能だもの」
「またまた~! それは褒め過ぎですよ、セリシャ様~!」
お世辞だと言うことは分かっていても、楓は嬉しくてにやけてしまう。
しかしセリシャは本気でそう口にしており、彼女の話はこれだけで終わらなかった。
「是非とも商業ギルドで登録してほしいのだけれど、構わないかしら?」
「いいんですか!」
「もちろんです。ですが……一つだけ、条件がございます」
登録できると聞いて歓喜の声を上げた楓だったが、続けて発せられたセリシャの言葉に、ごくりと唾を呑みこみながら姿勢を正す。
「カエデさんの〈従魔具職人EX〉は、レベルもそうですが、作り出される従魔具の性能も規格外のようです。ですので、秘匿するべき情報でもございます」
「そ、それほどのものなんですか?」
「はい。ラッシュに作ってくれた従魔具の性能を見れば、明らかですから」
今もなお走り回っているラッシュを見て、楓はここでもごくりと唾を呑む。
「それに、カエデさんはオーダーメイドで従魔具を作ってあげたいのですよね?」
「可能であれば。既製品が大事だということも理解しているんですけど、せっかく作ってあげるなら、その子に合った従魔具であってほしいので」
日本にも既製品は溢れるほどに存在していた。
楓も日常では既製品しか使用しておらず、オーダーメイドで何かを作ってもらったことなど一度もなかった。
だからこそオーダーメイドは、楓の一つの憧れでもあったのかもしれない。
まさか作ってもらうのではなく、自分が作る側に回るとは夢にも思っていなかったが、本当に作れるのであれば、その相手が気に入ってくれるものを作ってあげたと強く思う。
「そうね。既製品ももちろん大事だわ。だけれど、作り手側の想いも私たちは大事にしたいと思っています」
商業ギルドのギルドマスターという立場であれば、薄利多売で稼ぐことのできる既製品を作ってほしいところだろう。
しかし、それで作り手側にストレスが溜まってしまえば、それは本末転倒だ。
そうならないためにも、セリシャは作り手側の想いを大事にしたギルド運営を行っていた。
「しばらくは私が窓口になります。お客様も私の知り合いになってしまうけれど、それでも構わないかしら?」
「ご迷惑でなければ、お願いしたいくらいです!」
「ありがとう、カエデさん」
「そんな! こちらこそ、ありがとうございます、セリシャ様!」
楓の従魔具は、セリシャに認められた。
それが楓にはとても嬉しく、興奮しながらお礼を口にしていた。
「ガウガウッ! ヘッヘッヘッヘッ!」
するとここで、全力で駆け回ったラッシュが満足気な表情で戻ってきた。
「ラッシュ君! 私、従魔具職人として頑張るね!」
「ギャウギャウン!(頑張ってね!)」
「うふふ。ありがとう!」
ラッシュのモフモフを堪能しながら、楓は彼からのエールを受け取り、笑顔でそう答えたのだった。
「ガウーン!(やったー!)」
楓は最後に魔力を込めた魔石を従魔具のくぼみにはめ込み、初めての従魔具を完成させた。
それはラッシュの四肢にピッタリとはまり、まるで素足のような、装着感がほとんどない最高の仕上がりになっていた。
「ガウン! ガウアッ!(セリシャ! 走りたい!)」
「うふふ。ラッシュ君は早く走りたいみたいですよ?」
楓がラッシュの言葉を翻訳すると、セリシャは苦笑しながら小さく頷く。
「従魔具の性能も確認しなければならないし、一緒に外へ行ってみましょうか?」
「いいんですか! やったー!」
「ガウーン!(やったー!)」
楓はセリシャの言葉通りで初めての従魔具の性能を確かめられるため、一方でラッシュは全力疾走できると分かり、お互い歓喜の声を上げた。
「それじゃあ、行きましょうか」
「はい!」
「ガウッ!(うん!)」
こうして楓は、セリシャとラッシュと一緒に、バルフェムの外へ向かった。
バルフェムの外は広大な草原が広がっている。
そのことを楓は、ここまでの道中で把握していたものの、その理由までは考えていなかった。
そして、ラッシュがワクワクしながら草原に立った時、従魔を思いっきり走らせるためなのではないかと思うようになっていた。
「それじゃあ、ラッシュ。全力で走ってごらんなさい」
「ガウガウッ!」
セリシャの言葉に合わせてラッシュが鳴くと、四肢に力が入ったのが分かった。
すると、四肢に装着された従魔具の魔石が緑色の光を放ち、ラッシュに力を与えていく。
「ガルル……ガルラアアアアッ!!」
雄叫びを上げながら駆け出したラッシュは、一瞬にして草原の中間地点を越え、端の方へと駆けていく。
「はっやああああっ!?」
驚きの声を上げたのは、従魔具を作った楓だ。
草原は直線距離で一キロの長さがある。
ラッシュは一キロの距離を五秒と掛からず駆け抜け、そのまま折り返して戻ってきたのだ。
「ガウガウッ! ギャウギャギャン! キャンガウンッ!」
戻ってきたラッシュは大興奮でセリシャに体を擦りつけているのだが、楓が触れているわけではないので何を言っているのかが分からない。
それでも、とてつもなく速く走れたことがたまらなく嬉しかったことは誰の目から見ても明らかだ。
「よかったわね、ラッシュ」
「ガウッ!」
セリシャが満足気に頷きながらそう口にすると、ラッシュは元気よく鳴いてから、今度は楓の方へ駆けよっていく。
「どうしたの、ラッシュ君?」
「ガウガウンッ!(ありがとう!)」
「どういたしまして」
ラッシュからのお礼の言葉を受け取った楓は、微笑みながら優しく彼の頭を撫でた。
「ガウガウッ! ガウーン!」
それからラッシュは、再び草原へと駆けていき、思う存分走り回るつもりのようだ。
「ありがとう、カエデさん」
すると今度はセリシャからお礼の言葉が飛び出した。
「そんな! こちらこそ、材料まで提供してもらって、本当に楽しかったです!」
セリシャの言葉に満面の笑みでそう返した楓。
その笑みを見たセリシャも微笑み、そして従魔具の性能について語り出す。
「カエデさんが作ってくれた従魔具は、とても素晴らしい性能だと思うわ。すぐに売りに出しても問題ないほどにね」
「ほ、本当ですか!」
「えぇ、そうよ。私が見てきた中で、一番の性能だもの」
「またまた~! それは褒め過ぎですよ、セリシャ様~!」
お世辞だと言うことは分かっていても、楓は嬉しくてにやけてしまう。
しかしセリシャは本気でそう口にしており、彼女の話はこれだけで終わらなかった。
「是非とも商業ギルドで登録してほしいのだけれど、構わないかしら?」
「いいんですか!」
「もちろんです。ですが……一つだけ、条件がございます」
登録できると聞いて歓喜の声を上げた楓だったが、続けて発せられたセリシャの言葉に、ごくりと唾を呑みこみながら姿勢を正す。
「カエデさんの〈従魔具職人EX〉は、レベルもそうですが、作り出される従魔具の性能も規格外のようです。ですので、秘匿するべき情報でもございます」
「そ、それほどのものなんですか?」
「はい。ラッシュに作ってくれた従魔具の性能を見れば、明らかですから」
今もなお走り回っているラッシュを見て、楓はここでもごくりと唾を呑む。
「それに、カエデさんはオーダーメイドで従魔具を作ってあげたいのですよね?」
「可能であれば。既製品が大事だということも理解しているんですけど、せっかく作ってあげるなら、その子に合った従魔具であってほしいので」
日本にも既製品は溢れるほどに存在していた。
楓も日常では既製品しか使用しておらず、オーダーメイドで何かを作ってもらったことなど一度もなかった。
だからこそオーダーメイドは、楓の一つの憧れでもあったのかもしれない。
まさか作ってもらうのではなく、自分が作る側に回るとは夢にも思っていなかったが、本当に作れるのであれば、その相手が気に入ってくれるものを作ってあげたと強く思う。
「そうね。既製品ももちろん大事だわ。だけれど、作り手側の想いも私たちは大事にしたいと思っています」
商業ギルドのギルドマスターという立場であれば、薄利多売で稼ぐことのできる既製品を作ってほしいところだろう。
しかし、それで作り手側にストレスが溜まってしまえば、それは本末転倒だ。
そうならないためにも、セリシャは作り手側の想いを大事にしたギルド運営を行っていた。
「しばらくは私が窓口になります。お客様も私の知り合いになってしまうけれど、それでも構わないかしら?」
「ご迷惑でなければ、お願いしたいくらいです!」
「ありがとう、カエデさん」
「そんな! こちらこそ、ありがとうございます、セリシャ様!」
楓の従魔具は、セリシャに認められた。
それが楓にはとても嬉しく、興奮しながらお礼を口にしていた。
「ガウガウッ! ヘッヘッヘッヘッ!」
するとここで、全力で駆け回ったラッシュが満足気な表情で戻ってきた。
「ラッシュ君! 私、従魔具職人として頑張るね!」
「ギャウギャウン!(頑張ってね!)」
「うふふ。ありがとう!」
ラッシュのモフモフを堪能しながら、楓は彼からのエールを受け取り、笑顔でそう答えたのだった。
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