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第一章
第30話:コスパな従魔具作り
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セリシャの部屋に戻った楓は、腕まくりをしてから気合いを入れる。
「……よし! それじゃあ、作るわよ! コスパな従魔具を!」
「……コスパって何かしら?」
やる気満々に呟かれた楓の言葉に、セリシャが首を傾げながら声を掛けた。
「あー……コストパフォーマンスの略ですね。コストを抑えて、なおかつパフォーマンスのいいものを作りたいって意味です」
「なるほど……うふふ、いい言葉ね」
何やらセリシャの心に刺さったようだが、楓は深く考えることなく、再び意識を従魔具と山のように積まれた材料、そして従魔たちから聞いた希望の内容に向ける。
(まずはハオ君の従魔具だね。誰よりも速く飛びたい。そして、足に付けるもので飛ぶのに邪魔にならない従魔具、だったね)
頭の中で思考を巡らせながら、ハオに最適な従魔具を作りたいと強く願う。
すると、〈従魔具職人EX〉が発動し、頭の中に最適な従魔具の作り方が浮かび上がってくる。
しかし、現時点で浮かんでいるのは、楓の思考通り、ハオに最適な従魔具だ。
材料にも見境がなく、最高品質のものが選ばれている。
(これじゃあダメだ、作れない。私の目の前にある材料で、低予算で作れる、最高のパフォーマンスを発揮できる作り方をお願い!)
自分でも難しいことを考えていると理解はしている。
しかし、それができなければ従魔たちの主の想いに応えることはできない。
(従魔のために作る従魔具だけど、それが従魔具職人のエゴを押し通すものじゃダメなんだ。主の方にも満足してもらえるような従魔具を作る、それが私の目指す従魔具職人なんだ!)
楓が目指す従魔具職人像に呼応したのかは分からない。
しかし、楓がそう考えた途端、彼女の頭の中にはコスパ抜群の従魔具の作り方が浮かび上がってきた。
「……これなら、作れる!」
嬉しそうに声を上げた楓は、すぐに作業へ取り掛かった。
その様子をセリシャは無言で見守っている。
(使うのはスズの木、セキの木、そして雷鳴鋼!)
楓はまず、材料一つひとつを必要な形へ加工していく。
スズの木でハオの足に嵌められる足環を作り、セキの木を薄く糸状にしていく。
スズの木は丈夫で軽い木材だ。従魔具の土台によく使われており、色も茶と自然に沿っている。
セキの木はやや赤みを帯びた木材で、強い衝撃を与えると熱を発する特徴を持っている。
使い方を間違えると、従魔に軽い火傷を負わせてしまうため、楓は慎重に作業を進めていく。
(今回の要はセキの木と、雷鳴鋼。ここは絶対に失敗できない!)
そう自分に言い聞かせながら二つの材料の加工を終わらせると、楓は左右の手に加工した二つの材料を持ち、重ね合わせることで融合させた。
「……よし、できた。次は、雷鳴鋼ですね」
額に浮かんだ汗を拭いながら、楓は雷鳴鋼を両手で包み込む。
(〈従魔具職人EX〉は本当にすごいな。作り方だけじゃなくて、材料の特徴まで頭の中で理解できちゃうんだもの)
雷鳴鋼は名前の通り、雷属性に適した特徴を持っている。
ハオの「誰よりも速く飛びたい」という希望を叶えるためには、絶対に欠かせない材料だ。
(雷属性の魔力を込める! 壊れないギリギリまで、ハオ君を少しでも速く飛ばせるために!)
目を閉じ、意識を雷鳴鋼と注ぎ込む魔力に集中させる楓。
しばらくして、指の隙間から黄色の光が漏れ出てくるのが確認できた。
(やはり、カエデさんはすごい。もしかすると、全属性の魔力を使えるのではないかしら?)
静かに作業を見守っているセリシャがそんな感想を抱く中、楓の作業は大詰めを迎えていく。
「……できた! 最後に雷鳴鋼を、足環のくぼみにはめれば完成です!」
そう口にした楓だったが、内心ではドキドキしていた。
ラッシュの従魔具を作った時は、セリシャから最高の材料を提供されていた。
しかし今回は違う。
自分で依頼を出し、現地まで赴き、材料を確保した、正真正銘自分だけで作った従魔具なのだ。
そのドキドキのまま、楓は雷鳴鋼を足環のくぼみにはめ込んだ。
――カチッ!
雷鳴鋼を留めるための爪が心地よい音を響かせ、ピッタリとはまった。
「……はあぁぁ~! よかった~!」
「うふふ。おめでとう、カエデさん。これで本当の意味で、従魔具職人としての一歩を踏み出したわね」
大きく息を吐いた楓に対して、セリシャは拍手を送りながらそう言葉を贈った。
「……はい!」
楓も自覚していたからか、満面の笑みを浮かべながら返事をした。
完成した従魔具の性能を確かめるには、実際に使ってもらわなければならない。
なので、今すぐには無理だ。従魔具は一度、主に手渡してから従魔に渡る。
楓はおのずと、主から感想を聞くことになる。
「これと同じくらいの出来で完成すれば、みんな大満足だと思うわ」
「だといいんですが……」
いくつもの従魔具を見てきたセリシャは自信を持っての発言だったが、初めて自分一人で作り上げた従魔具なのだから、楓としては不安が尽きない。
実際に主から、そして従魔から、満足の言葉を聞くまではドキドキは止まらないだろう。
それでも今の自分にできることは、全力で従魔具を作ることしかない。
「残り四つの従魔具も、全力で頑張ります!」
そう宣言した楓は休むことなく、残り四つの従魔具も作り上げたのだった。
「……よし! それじゃあ、作るわよ! コスパな従魔具を!」
「……コスパって何かしら?」
やる気満々に呟かれた楓の言葉に、セリシャが首を傾げながら声を掛けた。
「あー……コストパフォーマンスの略ですね。コストを抑えて、なおかつパフォーマンスのいいものを作りたいって意味です」
「なるほど……うふふ、いい言葉ね」
何やらセリシャの心に刺さったようだが、楓は深く考えることなく、再び意識を従魔具と山のように積まれた材料、そして従魔たちから聞いた希望の内容に向ける。
(まずはハオ君の従魔具だね。誰よりも速く飛びたい。そして、足に付けるもので飛ぶのに邪魔にならない従魔具、だったね)
頭の中で思考を巡らせながら、ハオに最適な従魔具を作りたいと強く願う。
すると、〈従魔具職人EX〉が発動し、頭の中に最適な従魔具の作り方が浮かび上がってくる。
しかし、現時点で浮かんでいるのは、楓の思考通り、ハオに最適な従魔具だ。
材料にも見境がなく、最高品質のものが選ばれている。
(これじゃあダメだ、作れない。私の目の前にある材料で、低予算で作れる、最高のパフォーマンスを発揮できる作り方をお願い!)
自分でも難しいことを考えていると理解はしている。
しかし、それができなければ従魔たちの主の想いに応えることはできない。
(従魔のために作る従魔具だけど、それが従魔具職人のエゴを押し通すものじゃダメなんだ。主の方にも満足してもらえるような従魔具を作る、それが私の目指す従魔具職人なんだ!)
楓が目指す従魔具職人像に呼応したのかは分からない。
しかし、楓がそう考えた途端、彼女の頭の中にはコスパ抜群の従魔具の作り方が浮かび上がってきた。
「……これなら、作れる!」
嬉しそうに声を上げた楓は、すぐに作業へ取り掛かった。
その様子をセリシャは無言で見守っている。
(使うのはスズの木、セキの木、そして雷鳴鋼!)
楓はまず、材料一つひとつを必要な形へ加工していく。
スズの木でハオの足に嵌められる足環を作り、セキの木を薄く糸状にしていく。
スズの木は丈夫で軽い木材だ。従魔具の土台によく使われており、色も茶と自然に沿っている。
セキの木はやや赤みを帯びた木材で、強い衝撃を与えると熱を発する特徴を持っている。
使い方を間違えると、従魔に軽い火傷を負わせてしまうため、楓は慎重に作業を進めていく。
(今回の要はセキの木と、雷鳴鋼。ここは絶対に失敗できない!)
そう自分に言い聞かせながら二つの材料の加工を終わらせると、楓は左右の手に加工した二つの材料を持ち、重ね合わせることで融合させた。
「……よし、できた。次は、雷鳴鋼ですね」
額に浮かんだ汗を拭いながら、楓は雷鳴鋼を両手で包み込む。
(〈従魔具職人EX〉は本当にすごいな。作り方だけじゃなくて、材料の特徴まで頭の中で理解できちゃうんだもの)
雷鳴鋼は名前の通り、雷属性に適した特徴を持っている。
ハオの「誰よりも速く飛びたい」という希望を叶えるためには、絶対に欠かせない材料だ。
(雷属性の魔力を込める! 壊れないギリギリまで、ハオ君を少しでも速く飛ばせるために!)
目を閉じ、意識を雷鳴鋼と注ぎ込む魔力に集中させる楓。
しばらくして、指の隙間から黄色の光が漏れ出てくるのが確認できた。
(やはり、カエデさんはすごい。もしかすると、全属性の魔力を使えるのではないかしら?)
静かに作業を見守っているセリシャがそんな感想を抱く中、楓の作業は大詰めを迎えていく。
「……できた! 最後に雷鳴鋼を、足環のくぼみにはめれば完成です!」
そう口にした楓だったが、内心ではドキドキしていた。
ラッシュの従魔具を作った時は、セリシャから最高の材料を提供されていた。
しかし今回は違う。
自分で依頼を出し、現地まで赴き、材料を確保した、正真正銘自分だけで作った従魔具なのだ。
そのドキドキのまま、楓は雷鳴鋼を足環のくぼみにはめ込んだ。
――カチッ!
雷鳴鋼を留めるための爪が心地よい音を響かせ、ピッタリとはまった。
「……はあぁぁ~! よかった~!」
「うふふ。おめでとう、カエデさん。これで本当の意味で、従魔具職人としての一歩を踏み出したわね」
大きく息を吐いた楓に対して、セリシャは拍手を送りながらそう言葉を贈った。
「……はい!」
楓も自覚していたからか、満面の笑みを浮かべながら返事をした。
完成した従魔具の性能を確かめるには、実際に使ってもらわなければならない。
なので、今すぐには無理だ。従魔具は一度、主に手渡してから従魔に渡る。
楓はおのずと、主から感想を聞くことになる。
「これと同じくらいの出来で完成すれば、みんな大満足だと思うわ」
「だといいんですが……」
いくつもの従魔具を見てきたセリシャは自信を持っての発言だったが、初めて自分一人で作り上げた従魔具なのだから、楓としては不安が尽きない。
実際に主から、そして従魔から、満足の言葉を聞くまではドキドキは止まらないだろう。
それでも今の自分にできることは、全力で従魔具を作ることしかない。
「残り四つの従魔具も、全力で頑張ります!」
そう宣言した楓は休むことなく、残り四つの従魔具も作り上げたのだった。
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