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第一章
第48話:帰宅とお礼の従魔具作り
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その日の夜、楓は宿に戻ってきてから思案顔を浮かべていた。
「キュキュキュ?(どうしたの?)」
そんな楓を心配してか、ピースが声を掛けてきた。
「実は、ティアナさんへのお礼を兼ねて、レクシアさんに従魔具を作ってあげたいなって思って」
せっかくならサプライズで従魔具をプレゼントしたいと思っていた楓。
しかし、彼女の作る従魔具は基本的にオーダーメイドだ。
相手の希望を聞き、それに合わせて従魔具を作るスタイルのため、サプライズで従魔具を贈ることは難しい。
「……それなら、アクセサリー的な従魔具はどうだろう?」
ピースやラッシュ、ハオにカリーナ。他にも商業ギルドの職員と契約をしている従魔たちと話をして、従魔たちが何を求めているのかはなんとなく分かるようになってきた。
その中で多かった意見として、従魔の特徴を伸ばすことや、動きが阻害されないこと、それらを優先していた。
ならば、特徴を伸ばすのはオーダーメイドでやるとして、動きが阻害されない、アクセサリー的な従魔具であれば問題ないのではないかと考えた。
「……もしもダメなら、今度はきちんとレクシアさんに話を聞いて、従魔具を作ればいいもんね!」
そう決めた楓は、手持ちの材料を確認する。
「こっそりセリシャ様に声を掛けておいてよかったな」
楓はティアナとレクシアと別れる少し前、セリシャに声を掛けて従魔具の材料を分けてもらっていた。
魔法鞄を持っているわけではないため、その数は少ない。
それでも楓は、この中で作れるものを精いっぱい作るのだと心に決めていた。
「レクシアさんは炎弧……狐に似た従魔。火の魔法を使うみたいだし、燃えないものがいいに決まっているよね」
思考の海に深く潜り込み、楓はブツブツと言葉を繰り返す。
その姿を彼女の肩の上から見守っていたピースだが、邪魔をしてはいけないと思ったのか、ゆっくりと下りてベッドへ移動する。
「……キッキュキュ」
ピースは「頑張れ」と鳴くと、そのまま眠りについた。
一方で楓は従魔具作りに集中しており、その視線は材料にしか向いていない。
(そういえば、簡易で従魔だって分かる装飾品をレクシアさんも付けていたな。その代わりになるものなんかどうだろう)
作る従魔具は決まった。
頭の中でレクシアの姿を思い浮かべる。
(ティアナさんはレクシアさんに、首輪型の装飾品をつけていた。それなら、私はその代わりになる従魔具を作るんだ)
選んだ材料はセキの木とアオの木、そして黒狼岩の三つだ。
赤みを帯びたセキの木と、青みを帯びたアオの木は薄く延ばし、首輪の帯の代わりに使う。
この二つは火への耐性を持っており、もしもレクシアの火の粉が飛んできたとしても、簡単に燃えるようなことはない。
黒狼岩は宝石のように丸く削り、光沢が出るよう研磨するイメージを作り出す。
イメージが固まれば、あとは〈従魔具職人EX〉の出番だ。
まずはセキの木とアオの木を両手に持ち、魔力を込めていく。
十分に魔力がこもったと分かれば、二つを重ね合わせて一つにする。
「……できた」
小さく息を吐きながら、今度は黒狼岩を右手に持つ。
黒狼岩は奇麗な丸型にしなければならない。
少しでも凹凸があれば、それは完成とは言い難い。
従魔具に関しては、イメージ通りに、完璧を目指すべきだと楓は考えていた。
(慎重に……慎重に……)
イメージをしっかりと作り出す楓。
形を作るだけなら〈従魔具職人EX〉が勝手にやってくれるが、それでも完璧に作るためには彼女のイメージ力が物を言う。
魔力がこめられていき、徐々に黒狼岩の形が変化していく。
セキの木やアオの木に比べて多くの魔力を使用しており、楓の額には汗が浮かび上がってくる。
(慎重に……慎重に……)
それでも楓の思考に変化はない。
目の前の従魔具を、レクシアのための従魔具を、自分が思う完璧に仕上げる。
その強い想いで従魔具を作っていく。
「…………できた!」
しばらくして、楓が手にしていた黒狼岩は均一の丸型になっており、表面もツルツルで光に当てると美しい光沢を放っていた。
「これを帯のトップにはめて完成だ!」
黒狼岩の加工ができたことで、楓は歓喜の声を上げた。
「……あ、あれ? ピース?」
そこで初めてピースが肩の上にいないことに気づき、楓はきょろきょろと部屋の中を見る。
「……あ、寝てたのか」
大声を出してしまったと反省しながら、楓は椅子から立ち上がると、ベッドの上で寝ているピースを優しく撫でる。
「……いつも気を遣ってくれて、ありがとう」
「……キュルル(……お腹いっぱい)」
「うふふ。美味しそうな夢を見ているみたいね」
ピースの寝言を聞いてしまった楓は微笑みながら、出来上がった従魔具を丁寧に包装する。
それから大きな欠伸をすると、自分もピースを起こさないようベッドに入った。
「お休み、ピース」
今度は寝言を聞かないよう声を掛けるだけで、楓は瞼を閉じる。
フェザリカの森を駆け回ったからか、それとも従魔具を作ったからか、もしくはその両方か。
楓は自分でも驚くほど一瞬で、深い眠りに落ちていった。
「キュキュキュ?(どうしたの?)」
そんな楓を心配してか、ピースが声を掛けてきた。
「実は、ティアナさんへのお礼を兼ねて、レクシアさんに従魔具を作ってあげたいなって思って」
せっかくならサプライズで従魔具をプレゼントしたいと思っていた楓。
しかし、彼女の作る従魔具は基本的にオーダーメイドだ。
相手の希望を聞き、それに合わせて従魔具を作るスタイルのため、サプライズで従魔具を贈ることは難しい。
「……それなら、アクセサリー的な従魔具はどうだろう?」
ピースやラッシュ、ハオにカリーナ。他にも商業ギルドの職員と契約をしている従魔たちと話をして、従魔たちが何を求めているのかはなんとなく分かるようになってきた。
その中で多かった意見として、従魔の特徴を伸ばすことや、動きが阻害されないこと、それらを優先していた。
ならば、特徴を伸ばすのはオーダーメイドでやるとして、動きが阻害されない、アクセサリー的な従魔具であれば問題ないのではないかと考えた。
「……もしもダメなら、今度はきちんとレクシアさんに話を聞いて、従魔具を作ればいいもんね!」
そう決めた楓は、手持ちの材料を確認する。
「こっそりセリシャ様に声を掛けておいてよかったな」
楓はティアナとレクシアと別れる少し前、セリシャに声を掛けて従魔具の材料を分けてもらっていた。
魔法鞄を持っているわけではないため、その数は少ない。
それでも楓は、この中で作れるものを精いっぱい作るのだと心に決めていた。
「レクシアさんは炎弧……狐に似た従魔。火の魔法を使うみたいだし、燃えないものがいいに決まっているよね」
思考の海に深く潜り込み、楓はブツブツと言葉を繰り返す。
その姿を彼女の肩の上から見守っていたピースだが、邪魔をしてはいけないと思ったのか、ゆっくりと下りてベッドへ移動する。
「……キッキュキュ」
ピースは「頑張れ」と鳴くと、そのまま眠りについた。
一方で楓は従魔具作りに集中しており、その視線は材料にしか向いていない。
(そういえば、簡易で従魔だって分かる装飾品をレクシアさんも付けていたな。その代わりになるものなんかどうだろう)
作る従魔具は決まった。
頭の中でレクシアの姿を思い浮かべる。
(ティアナさんはレクシアさんに、首輪型の装飾品をつけていた。それなら、私はその代わりになる従魔具を作るんだ)
選んだ材料はセキの木とアオの木、そして黒狼岩の三つだ。
赤みを帯びたセキの木と、青みを帯びたアオの木は薄く延ばし、首輪の帯の代わりに使う。
この二つは火への耐性を持っており、もしもレクシアの火の粉が飛んできたとしても、簡単に燃えるようなことはない。
黒狼岩は宝石のように丸く削り、光沢が出るよう研磨するイメージを作り出す。
イメージが固まれば、あとは〈従魔具職人EX〉の出番だ。
まずはセキの木とアオの木を両手に持ち、魔力を込めていく。
十分に魔力がこもったと分かれば、二つを重ね合わせて一つにする。
「……できた」
小さく息を吐きながら、今度は黒狼岩を右手に持つ。
黒狼岩は奇麗な丸型にしなければならない。
少しでも凹凸があれば、それは完成とは言い難い。
従魔具に関しては、イメージ通りに、完璧を目指すべきだと楓は考えていた。
(慎重に……慎重に……)
イメージをしっかりと作り出す楓。
形を作るだけなら〈従魔具職人EX〉が勝手にやってくれるが、それでも完璧に作るためには彼女のイメージ力が物を言う。
魔力がこめられていき、徐々に黒狼岩の形が変化していく。
セキの木やアオの木に比べて多くの魔力を使用しており、楓の額には汗が浮かび上がってくる。
(慎重に……慎重に……)
それでも楓の思考に変化はない。
目の前の従魔具を、レクシアのための従魔具を、自分が思う完璧に仕上げる。
その強い想いで従魔具を作っていく。
「…………できた!」
しばらくして、楓が手にしていた黒狼岩は均一の丸型になっており、表面もツルツルで光に当てると美しい光沢を放っていた。
「これを帯のトップにはめて完成だ!」
黒狼岩の加工ができたことで、楓は歓喜の声を上げた。
「……あ、あれ? ピース?」
そこで初めてピースが肩の上にいないことに気づき、楓はきょろきょろと部屋の中を見る。
「……あ、寝てたのか」
大声を出してしまったと反省しながら、楓は椅子から立ち上がると、ベッドの上で寝ているピースを優しく撫でる。
「……いつも気を遣ってくれて、ありがとう」
「……キュルル(……お腹いっぱい)」
「うふふ。美味しそうな夢を見ているみたいね」
ピースの寝言を聞いてしまった楓は微笑みながら、出来上がった従魔具を丁寧に包装する。
それから大きな欠伸をすると、自分もピースを起こさないようベッドに入った。
「お休み、ピース」
今度は寝言を聞かないよう声を掛けるだけで、楓は瞼を閉じる。
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楓は自分でも驚くほど一瞬で、深い眠りに落ちていった。
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