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第二章
第57話:メンテナンスの重要性
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休憩からセリシャの部屋に戻ってきた楓は、先ほど感じたメンテナンスについて聞いてみることにした。
「あの、セリシャ様? 従魔具のメンテナンスって、大事ですよね?」
「うふふ。そのことに気づいたみたいね」
メンテナンスの重要性について、実のところセリシャは理解していた。
だが、何もかもを教えるのは楓のためにならないと思い、本当に大事な部分以外は口にしていなかったのだ。
「知っていたんですか?」
「もちろんよ。だけれど、私が全てを教えていたら、カエデさんの考える能力を損なわせることになると思ってね」
「それは、私のために? ……ありがとうございます、セリシャ様!」
セリシャの意図を理解した楓は、嬉しさのあまり勢いよく頭を下げながら感謝を告げた。
「自分で気づけたカエデさんが偉いのよ」
微笑みながらそう口にしたセリシャは、そのままメンテナンスの重要性について語り出す。
「従魔具は従魔の能力を底上げしてくれるわ。だけれど、使い過ぎれば当然劣化してくるし、能力の底上げも小さくなってしまうわ」
「そうだったんですね」
「どんなものでもそうよ。だって、人間でもそうでしょう?」
セリシャの言葉を受けて、楓はドキッとしてしまう。
(……私も、そうだったな。だから、日本に帰りたくないって思っちゃっているし)
思わず日本での生活を思い出してしまった楓の表情を見て、セリシャが心配そうに声を掛ける。
「大丈夫、カエデさん?」
「は、はい! 大丈夫ですよ! メンテナンス、大事ですよね!」
そう口にした楓は、思案顔を浮かべてメンテナンスについて考える。
セリシャも心配は尽きないが、楓が口にしないのであればと追及することはしなかった。
「具体的に、メンテナンスってどうやってやるんですか?」
「表面的には傷を見たり、装飾が外れていないかを確認して、修復する。能力面での低下が見られたら、中身の調整が必要になるわね」
「中身の調整、ですか?」
表面的な修復に関しては想像できる。
しかし、中身の調整と聞いた楓は、どのように調整するのかが想像ができなかった。
「〈従魔具職人EX〉を使って従魔具を作ると、頭の中に作り方が浮かんでくるでしょう? それと同じ感じで、従魔具を手に取り、修復したいと願えば、表面も中身も劣化している部分があれば、自然と分かるようになっているわ」
「……スキルって、本当にすごいんですね」
説明を聞いた楓は、驚きの表情でそう呟いた。
「すごいかしら? そういうものだから、考えたこともなかったわ?」
楓からすればすごいことなのだが、この世界の人間からすれば当然のこと。
それがこの世界の常識であり、当たり前なのだ。
「……そうなんですね」
そう口にした楓だが、自分の中の常識と違い過ぎて思案顔になってしまう。
そんな楓のことを見守るセリシャは、楓に気づかれないところで渋面を浮かべていた。
「……ちなみに、メンテナンスにも普通はお金が発生するわ」
「そうなんですか?」
「もちろん、職人の手を煩わせるわけだものね」
その点に関しては楓もすぐに理解した。
人の手が加わるということは、その分の時間が奪われるということだ。
技術の安売りはするなとよく言われていたが、その点に関してはこちらの世界でも同じなのだと内心でホッとする。
「気をつけます」
「……本当は、商業ギルドの従魔たちの従魔具をメンテナンスしたいって思っていたのではなくって?」
「うっ!? …………はい。思っていました」
そして、セリシャにこっそり思っていたことを指摘され、楓は白状した。
「メンテナンスの練習になれば、いいかなって思っていたんですけど……」
「ダメよ」
「……ですよね~」
「やるなら、社員割くらいは考慮できるけれどね」
「社員割! いいんですか!」
思わぬ提案をされた楓は、歓喜の声を上げた。
「それくらいはやらせてもらうわよ」
「ありがとうございます! それじゃあ、早速エリンさんに話をしてきます!」
「私も行くわ。実際にいくらになるのか、どれくらい割引するのか、カエデさんは分からないでしょう?」
「あ! ……お、お願いします」
興奮し過ぎて金額のことをすっかり忘れていた楓は、苦笑しながらセリシャと共に一階へ下りる。
そして、エリンの手が空いているタイミングで声を掛けた。
「エリンさん、少しだけお話いいですか?」
「はい! なんでしょうか!」
商業ギルドの人間からも既に顔見知りになっていた楓は、エリンから元気よく返事を受けた。
「従魔具のメンテナンスについて、お考えか聞きたくて」
「あー、ハオの従魔具ですね。買ったばかりなのに、もうボロボロで……」
「随分使い込んでもらっていて、私としてはとても嬉しいです!」
申し訳なさそうにしていたエリンに対して、楓はむしろ嬉しいのだと声を大にして伝えた。
「……そう言ってもらえると、私も仕事終わりにハオを飛ばすため、外に行っていたのが報われます!」
「えぇっ! そんなことをしていたんですか!」
「はい! ハオが飛びたい、飛びたいって毎日のように言っていたんですよ!」
「うわー、嬉しいなー!」
自分の従魔具を身に着けて、それを使いたいと従魔が言ってくれていた。
その事実を知った楓は自然と笑みを浮かべ、感激の声を漏らす。
「だから、私もメンテナンスはお願いしたいと思っていたんです」
「そうだったんですね! 今なら社員割が適用されるって、セリシャ様が言ってくれたんです!」
「金額に関しては、カエデさんにも教えながらになるから、あとで時間を作ってもらえるかしら?」
「分かりました! よろしくお願いいたします!」
こうして楓は、エリンにハオの従魔具メンテナンスの約束を取り付けたのだった。
「あの、セリシャ様? 従魔具のメンテナンスって、大事ですよね?」
「うふふ。そのことに気づいたみたいね」
メンテナンスの重要性について、実のところセリシャは理解していた。
だが、何もかもを教えるのは楓のためにならないと思い、本当に大事な部分以外は口にしていなかったのだ。
「知っていたんですか?」
「もちろんよ。だけれど、私が全てを教えていたら、カエデさんの考える能力を損なわせることになると思ってね」
「それは、私のために? ……ありがとうございます、セリシャ様!」
セリシャの意図を理解した楓は、嬉しさのあまり勢いよく頭を下げながら感謝を告げた。
「自分で気づけたカエデさんが偉いのよ」
微笑みながらそう口にしたセリシャは、そのままメンテナンスの重要性について語り出す。
「従魔具は従魔の能力を底上げしてくれるわ。だけれど、使い過ぎれば当然劣化してくるし、能力の底上げも小さくなってしまうわ」
「そうだったんですね」
「どんなものでもそうよ。だって、人間でもそうでしょう?」
セリシャの言葉を受けて、楓はドキッとしてしまう。
(……私も、そうだったな。だから、日本に帰りたくないって思っちゃっているし)
思わず日本での生活を思い出してしまった楓の表情を見て、セリシャが心配そうに声を掛ける。
「大丈夫、カエデさん?」
「は、はい! 大丈夫ですよ! メンテナンス、大事ですよね!」
そう口にした楓は、思案顔を浮かべてメンテナンスについて考える。
セリシャも心配は尽きないが、楓が口にしないのであればと追及することはしなかった。
「具体的に、メンテナンスってどうやってやるんですか?」
「表面的には傷を見たり、装飾が外れていないかを確認して、修復する。能力面での低下が見られたら、中身の調整が必要になるわね」
「中身の調整、ですか?」
表面的な修復に関しては想像できる。
しかし、中身の調整と聞いた楓は、どのように調整するのかが想像ができなかった。
「〈従魔具職人EX〉を使って従魔具を作ると、頭の中に作り方が浮かんでくるでしょう? それと同じ感じで、従魔具を手に取り、修復したいと願えば、表面も中身も劣化している部分があれば、自然と分かるようになっているわ」
「……スキルって、本当にすごいんですね」
説明を聞いた楓は、驚きの表情でそう呟いた。
「すごいかしら? そういうものだから、考えたこともなかったわ?」
楓からすればすごいことなのだが、この世界の人間からすれば当然のこと。
それがこの世界の常識であり、当たり前なのだ。
「……そうなんですね」
そう口にした楓だが、自分の中の常識と違い過ぎて思案顔になってしまう。
そんな楓のことを見守るセリシャは、楓に気づかれないところで渋面を浮かべていた。
「……ちなみに、メンテナンスにも普通はお金が発生するわ」
「そうなんですか?」
「もちろん、職人の手を煩わせるわけだものね」
その点に関しては楓もすぐに理解した。
人の手が加わるということは、その分の時間が奪われるということだ。
技術の安売りはするなとよく言われていたが、その点に関してはこちらの世界でも同じなのだと内心でホッとする。
「気をつけます」
「……本当は、商業ギルドの従魔たちの従魔具をメンテナンスしたいって思っていたのではなくって?」
「うっ!? …………はい。思っていました」
そして、セリシャにこっそり思っていたことを指摘され、楓は白状した。
「メンテナンスの練習になれば、いいかなって思っていたんですけど……」
「ダメよ」
「……ですよね~」
「やるなら、社員割くらいは考慮できるけれどね」
「社員割! いいんですか!」
思わぬ提案をされた楓は、歓喜の声を上げた。
「それくらいはやらせてもらうわよ」
「ありがとうございます! それじゃあ、早速エリンさんに話をしてきます!」
「私も行くわ。実際にいくらになるのか、どれくらい割引するのか、カエデさんは分からないでしょう?」
「あ! ……お、お願いします」
興奮し過ぎて金額のことをすっかり忘れていた楓は、苦笑しながらセリシャと共に一階へ下りる。
そして、エリンの手が空いているタイミングで声を掛けた。
「エリンさん、少しだけお話いいですか?」
「はい! なんでしょうか!」
商業ギルドの人間からも既に顔見知りになっていた楓は、エリンから元気よく返事を受けた。
「従魔具のメンテナンスについて、お考えか聞きたくて」
「あー、ハオの従魔具ですね。買ったばかりなのに、もうボロボロで……」
「随分使い込んでもらっていて、私としてはとても嬉しいです!」
申し訳なさそうにしていたエリンに対して、楓はむしろ嬉しいのだと声を大にして伝えた。
「……そう言ってもらえると、私も仕事終わりにハオを飛ばすため、外に行っていたのが報われます!」
「えぇっ! そんなことをしていたんですか!」
「はい! ハオが飛びたい、飛びたいって毎日のように言っていたんですよ!」
「うわー、嬉しいなー!」
自分の従魔具を身に着けて、それを使いたいと従魔が言ってくれていた。
その事実を知った楓は自然と笑みを浮かべ、感激の声を漏らす。
「だから、私もメンテナンスはお願いしたいと思っていたんです」
「そうだったんですね! 今なら社員割が適用されるって、セリシャ様が言ってくれたんです!」
「金額に関しては、カエデさんにも教えながらになるから、あとで時間を作ってもらえるかしら?」
「分かりました! よろしくお願いいたします!」
こうして楓は、エリンにハオの従魔具メンテナンスの約束を取り付けたのだった。
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