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第二章
第72話:巨鳥の従魔
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戻ってきたティアナは、約束通りヴィオンを連れていた。
セリシャの部屋に入ってきたヴィオンは嬉しそうな笑みを浮かべていたが、楓がいることに気づくと怪訝な表情を浮かべる。
「……どうしてお嬢さんが?」
「実は私、従魔具職人なんです」
「そうなのか? ……え、この場にいるということは、もしかして?」
楓がここにいる理由に気づいたヴィオンは、嬉しそうにしていた表情が一気に青ざめてしまう。
「も、申し訳ない! お嬢さんが従魔具職人だとは知らず、失礼な態度を!」
「お気になさらないでください! 私も何も言っていなかったわけですし!」
「……それでも、申し訳なかった」
Sランク冒険者とは思えないほどの腰の低さで、ヴィオンは丁寧に謝ってくれた。
「……それでは、謝罪を受け取りますので、顔を上げてください」
「……ありがとう」
顔を上げたヴィオンは苦笑を浮かべながら、感謝の言葉を口にした。
「誤解も解けたようだから、話を進めましょうか。ティアナさん、ヴィオンには話を通しているのでしょう?」
「従魔具を作ってくれると聞いているが、本当だろうか?」
「本当よ。何よ、あんた。私の言葉が信用できないってわけ!」
ここでもケンカ腰に声を掛けたティアナを見て、楓が口を挟む。
「ティアナさん、落ち着いてください」
「ぐぬぬっ!」
「……はぁ。本当ですよ、ヴィオンさん」
改めて楓が本当だと伝えると、ヴィオンはホッとした表情で口を開く。
「助かるよ。実は、王家からの指名依頼を受けていてな。少しでも戦力を上げておこうと思っていたんだ」
「やっぱり、そうだったんですね」
「ん? 知っているのか? ……あぁ、ティアナから聞いていたんだな」
ヴィオンは最初こそ首を傾げたが、ティアナと一緒にいた楓の姿を思い出すと、納得顔で頷く。
「別に内緒の話でもないでしょうに。バルフェムでも噂になっているのよ?」
「分かっているさ」
ここまで話をした中で、楓は気になったことを質問する。
「……あの、ヴィオンさん。依頼については分かったんですけど、従魔はどちらに?」
ヴィオンは今回、従魔具を作ってもらうためにここを訪れている。
しかし、その肝心な従魔の姿がどこにもなく、楓は首を傾げてしまう。
「俺の従魔は大型でな。建物の中には入れられないから、外で待ってもらっているんだ」
「そうなんですね。それじゃあ、商業ギルドの裏にある従魔房に?」
「いいや、その外だな。従魔房にも入らないんだ」
「……そ、そんなに大きいんですか?」
予想外の答えに、楓は驚きの声を漏らした。
「俺の従魔は大きい鳥なんだ。雷鳥だな」
「大きい鳥! 雷鳥!」
ヴィオンが従魔のことを語ると、楓は目をキラキラさせて同じ言葉を繰り返した。
「早速行きましょう! 早く見てみたいです!」
「分かった」
それから楓たちは、全員で商業ギルドを出ると、裏手にある従魔房の方へ向かう。
従魔房に入らないほど大きな雷鳥とは、いったいどのような存在なのか。
ワクワクしながら歩いていると、従魔房の前に佇む大きな鳥を見つけた楓は、感動のあまり口を開けたまま固まってしまう。
「……ふわぁぁ~!」
「ライゴウ」
「ヂキキ?」
ヴィオンが雷鳥の名前を呼ぶと、ライゴウは鳴きながら振り返る。
体長は四メートルに迫るほどで、黄色をメインとした体毛に、緑色と白色が差し色のように生えている。
顔はほっそりしており、雷鳥の名前の通り、雷を彷彿とさせる体形をしていた。
「こいつはライゴウ。俺の従魔で、相棒だ」
「カッコいいですねー!」
「ギギュ!?(なんだと!?)」
「張り合わないの、ピース?」
「ギュギュギュッ!(ぐぬぬっ!)」
どうにもカッコいいという言葉に反応しないと気が済まないのか、ピースはすぐにライゴウへ対抗心を燃やし始めた。
「ヴィオンさん。ライゴウさんに触っても大丈夫ですか?」
「構わないか、ライゴウ?」
「ヂキ」
ヴィオンの言葉にライゴウが長い首を縦に振ってくれる。
「構わないようだ」
「ありがとうございます」
それから楓はお礼を口にすると、ライゴウへと近づき、その体毛に触れる。
思っていたよりも硬めの体毛だが、それでもヴィオンがきちんと手入れをしているのか、触り心地がとても良い。
「……初めまして、ライゴウさん。私は従魔具職人の楓と言います」
ライゴウの体毛を堪能した楓は、表情を真剣なものに変えて自己紹介を口にした。
「ヂキキュキュキュ、ヂギヂギギギュギ?(彼らから聞いたが、本当に俺たちの言葉が分かるのか?)」
「分かりますよ。こうして触れていなければダメですけどね」
「ヂチ! ヂチキュギュ、キュンキュヂ!(おぉ! 本当なのか、すごいな!)」
「ん? なんだ、何をしているんだ?」
楓が従魔と会話ができると知らないヴィオンは、困惑顔で問い掛けた。
「どうよ、うちのカエデは! 彼女は従魔と会話ができる、最高の従魔具職人なのよ!」
「……従魔と会話、だと? それは本当なのか、お嬢さん?」
「はい。こうして触れた相手の言葉であれば、翻訳して会話ができるんです」
「……それは、すごいな」
ヴィオンも楓のサブスキル〈翻訳〉の有能さに気づいたのか、驚きの声を漏らす。
しかし、楓の本当のスキルは〈翻訳〉ではなく〈従魔具職人EX〉だ。
「これから、ライゴウさんの希望を聞きながら従魔具を作りたいと思っています。希望を聞かせてくれませんか?」
楓がそう口にすると、ライゴウは自らの希望を伝え始めた。
セリシャの部屋に入ってきたヴィオンは嬉しそうな笑みを浮かべていたが、楓がいることに気づくと怪訝な表情を浮かべる。
「……どうしてお嬢さんが?」
「実は私、従魔具職人なんです」
「そうなのか? ……え、この場にいるということは、もしかして?」
楓がここにいる理由に気づいたヴィオンは、嬉しそうにしていた表情が一気に青ざめてしまう。
「も、申し訳ない! お嬢さんが従魔具職人だとは知らず、失礼な態度を!」
「お気になさらないでください! 私も何も言っていなかったわけですし!」
「……それでも、申し訳なかった」
Sランク冒険者とは思えないほどの腰の低さで、ヴィオンは丁寧に謝ってくれた。
「……それでは、謝罪を受け取りますので、顔を上げてください」
「……ありがとう」
顔を上げたヴィオンは苦笑を浮かべながら、感謝の言葉を口にした。
「誤解も解けたようだから、話を進めましょうか。ティアナさん、ヴィオンには話を通しているのでしょう?」
「従魔具を作ってくれると聞いているが、本当だろうか?」
「本当よ。何よ、あんた。私の言葉が信用できないってわけ!」
ここでもケンカ腰に声を掛けたティアナを見て、楓が口を挟む。
「ティアナさん、落ち着いてください」
「ぐぬぬっ!」
「……はぁ。本当ですよ、ヴィオンさん」
改めて楓が本当だと伝えると、ヴィオンはホッとした表情で口を開く。
「助かるよ。実は、王家からの指名依頼を受けていてな。少しでも戦力を上げておこうと思っていたんだ」
「やっぱり、そうだったんですね」
「ん? 知っているのか? ……あぁ、ティアナから聞いていたんだな」
ヴィオンは最初こそ首を傾げたが、ティアナと一緒にいた楓の姿を思い出すと、納得顔で頷く。
「別に内緒の話でもないでしょうに。バルフェムでも噂になっているのよ?」
「分かっているさ」
ここまで話をした中で、楓は気になったことを質問する。
「……あの、ヴィオンさん。依頼については分かったんですけど、従魔はどちらに?」
ヴィオンは今回、従魔具を作ってもらうためにここを訪れている。
しかし、その肝心な従魔の姿がどこにもなく、楓は首を傾げてしまう。
「俺の従魔は大型でな。建物の中には入れられないから、外で待ってもらっているんだ」
「そうなんですね。それじゃあ、商業ギルドの裏にある従魔房に?」
「いいや、その外だな。従魔房にも入らないんだ」
「……そ、そんなに大きいんですか?」
予想外の答えに、楓は驚きの声を漏らした。
「俺の従魔は大きい鳥なんだ。雷鳥だな」
「大きい鳥! 雷鳥!」
ヴィオンが従魔のことを語ると、楓は目をキラキラさせて同じ言葉を繰り返した。
「早速行きましょう! 早く見てみたいです!」
「分かった」
それから楓たちは、全員で商業ギルドを出ると、裏手にある従魔房の方へ向かう。
従魔房に入らないほど大きな雷鳥とは、いったいどのような存在なのか。
ワクワクしながら歩いていると、従魔房の前に佇む大きな鳥を見つけた楓は、感動のあまり口を開けたまま固まってしまう。
「……ふわぁぁ~!」
「ライゴウ」
「ヂキキ?」
ヴィオンが雷鳥の名前を呼ぶと、ライゴウは鳴きながら振り返る。
体長は四メートルに迫るほどで、黄色をメインとした体毛に、緑色と白色が差し色のように生えている。
顔はほっそりしており、雷鳥の名前の通り、雷を彷彿とさせる体形をしていた。
「こいつはライゴウ。俺の従魔で、相棒だ」
「カッコいいですねー!」
「ギギュ!?(なんだと!?)」
「張り合わないの、ピース?」
「ギュギュギュッ!(ぐぬぬっ!)」
どうにもカッコいいという言葉に反応しないと気が済まないのか、ピースはすぐにライゴウへ対抗心を燃やし始めた。
「ヴィオンさん。ライゴウさんに触っても大丈夫ですか?」
「構わないか、ライゴウ?」
「ヂキ」
ヴィオンの言葉にライゴウが長い首を縦に振ってくれる。
「構わないようだ」
「ありがとうございます」
それから楓はお礼を口にすると、ライゴウへと近づき、その体毛に触れる。
思っていたよりも硬めの体毛だが、それでもヴィオンがきちんと手入れをしているのか、触り心地がとても良い。
「……初めまして、ライゴウさん。私は従魔具職人の楓と言います」
ライゴウの体毛を堪能した楓は、表情を真剣なものに変えて自己紹介を口にした。
「ヂキキュキュキュ、ヂギヂギギギュギ?(彼らから聞いたが、本当に俺たちの言葉が分かるのか?)」
「分かりますよ。こうして触れていなければダメですけどね」
「ヂチ! ヂチキュギュ、キュンキュヂ!(おぉ! 本当なのか、すごいな!)」
「ん? なんだ、何をしているんだ?」
楓が従魔と会話ができると知らないヴィオンは、困惑顔で問い掛けた。
「どうよ、うちのカエデは! 彼女は従魔と会話ができる、最高の従魔具職人なのよ!」
「……従魔と会話、だと? それは本当なのか、お嬢さん?」
「はい。こうして触れた相手の言葉であれば、翻訳して会話ができるんです」
「……それは、すごいな」
ヴィオンも楓のサブスキル〈翻訳〉の有能さに気づいたのか、驚きの声を漏らす。
しかし、楓の本当のスキルは〈翻訳〉ではなく〈従魔具職人EX〉だ。
「これから、ライゴウさんの希望を聞きながら従魔具を作りたいと思っています。希望を聞かせてくれませんか?」
楓がそう口にすると、ライゴウは自らの希望を伝え始めた。
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