異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜

渡琉兎

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第三章

第133話:騒動のその後と予想外の来訪

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 セリシャの部屋に戻った楓たちは、ザッシュに攫われた時のことについて説明し始めた。
 自分がみんなの迷惑になっていると感じたこと、一人で帰ってしまったこと、その途中でザッシュと従属の首輪で操られていたシャドウイーターに攫われたことなどだ。

「従属の首輪……それは国が使用を禁止している、危険な従魔具だわ」
「どうしてそんなものをザッシュが持っていたのか分からないけど、本当に腹が立つわね」

 従属の首輪の話を聞いたセリシャの言葉に、ティアナが憤る。

「でも、それだとシャドウイーターはどうなったの? もしかして……」
「それが、従属の首輪を私が見たところで〈従魔具職人EX〉が発動して、そのまま壊しちゃいました」
「…………こ、壊した? ……従属の首輪を?」
「はい。……えっと、ダメでしたか?」

 驚きの声を漏らしたセリシャを見て、楓は不安になりながら聞いてみた。

「ダメではないのだけれど……そう簡単に壊すことのできない代物のはずなの」
「そうなんですか? ……私が触れたら、簡単に壊れちゃいましたよ?」

 あっけらかんと言い放った楓に、セリシャは目を丸くしてしまう。

「……ふふ。本当に、カエデさんは規格外なのね」
「だから、規格外なのは私ではなくて、スキルの方ですからね?」
「世間一般では、それでカエデが規格外ってことになるのよ?」
「犬っち、ウケるー!」

 自分ではなくスキルが規格外なのだと念を押す楓に対して、ティアナが呆れたように呟き、アリスは大笑いだ。
 その後、従属の首輪から解放してくれたお礼にとシャドウイーターが協力してくれて、ザッシュの意表を突き制圧することができたと説明した。

「だけどあいつ、最後の最後まで抵抗してきたから、本当に焦ったわ。ごめんね、カエデ」
「あれは仕方なかったと思います。……助けたつもりが、私の方がシャドウイーターに助けられちゃいましたね」

 まさか縄を抜け、楓だけでも殺そうと目論むなど思いもしなかった。
 ティアナは反省していたが、それでも同じミスは繰り返さないと既に前を向いている。

「ヴィオンたちが戻ってきたら、ギルマスにも話を聞いてザッシュがどうなったか報告するわね」
「ありがとうございます、ティアナさん」
「街の中ではあーしが犬っちとずっと一緒にいるね! いいでしょ、犬っち?」
「うーん、もう安全だと思うけど……みんなから安全だって太鼓判が押されるまでは、お願いしてもいいかな、アリスちゃん?」
「もち! よろしくねー!」

 アリスも楓と同じで異世界召喚でこちらの世界に連れてこられた少女だ。
 ザッシュとの戦いでは他にも荒くれ者たちがいて、楓はアリスが人間と戦ったのだろうと心配していた。
 見た目には何も変わっていないが、心には傷を負っているのではないかとも思っていたのだ。
 だからこそ、自分が寄り添い、少しでも心の傷を癒してあげたいと考えていた。
 ただし、実際のところアリスは心に傷など全く負っていなかった。
 楓を助けたい一心で、相手が人間だろうと構わず殴り倒していたのだ。
 これがスキルの効果なのかは楓にもアリスにも分からないが、とにもかくにも二人が一緒にいるということで、セリシャとティアナは楓の安全が確保できると胸を撫で下ろしていた。

 ――その後、ヴィオンたちが戻ってくると、ザッシュがどうなったかと同じくセリシャの部屋で聞くことができた。
 ザッシュや荒くれ者たちは罪人として、鉱山送りにされると決定した。
 荒くれ者たちに関しては、鉱山での働きによっては刑期が短縮されることもあるが、ザッシュは違う。
 これからの一生を、死ぬまで鉱山で働き続けなければならない。
 それが、彼の犯してきた罪の重さなのだと、楓はゴクリと唾を呑む。

「カエデを攫っただけではなく、王族の護衛をしていた騎士にも斬りかかっていたからな。本来であれば極刑になってもおかしくはない」
「まあ、生きたまま地獄のような労働を課せられるんだから、もしかすると極刑よりもきついのかもしれないけどね」

 ヴィオンの説明にティアナが言葉を続けた。
 そして、ザッシュに操られていたシャドウイーターについては、なんとレイスが一時預かりをすることに決まっていた。

「えぇっ!? レ、レイス様が!!」
「あぁ。シャドウイーターの能力をいたく気に入ってな。自分の従魔にできないかと、陛下に相談するそうだ」
「その時にはカエデにも協力を頼みたいと言っていたから、そのうち王家からの指名依頼が商業ギルドに届くかもしれないわよ?」
「い、依頼って……仰ってくれれば、いつでも協力するんですけどね」

 王家からの指名依頼など、心臓に悪すぎると思いながら、楓は苦笑いを浮かべる。

「……でも、その肝心なレイス様はどうしたんですか?」

 王都に戻ってきたヴィオンたちだったが、今この部屋にレイスとミリアの姿はない。

「バルフェムに到着してすぐに、野暮用があるからと別行動になったんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ。ただ、レイス様の表情を見るに、厄介ごとのようにも感じられたのだが……」

 ――コンコンコン。

 そうヴィオンが口にしたところで、セリシャの部屋のドアがノックされた。

「はい」
『――セリシャ様。その……お、王家の使いの方が、お見えです』

 ドアの向こうから聞こえた声は、エリンだった。
 その声はとても緊張しており、何より王家の使いという言葉に全員が顔を見合わせる。
 レイスたちは身分を隠しており、あえて口にする理由がなかったからだ。
 立ち上がったセリシャがドアを開けると、そこには見覚えのある男性騎士が立っていた。

「……ケイル、様?」

 驚きの声を漏らした楓。
 廊下に立っていた男性騎士は、皇太子殿下アッシュの護衛騎士である、ケイル・ヴォイドだった。
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