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第三章
第145話:道中の賑やかさと楓の居場所
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バルフェムまでの道中は、とても賑やかなものになった。
それは鈴音が外の景色に興奮しきりだったからだ。
「薬草採取の時にも外には出たんでしょう?」
楓がそう質問すると、鈴音は苦笑しながら教えてくれる。
「そうなんですけど、あの時は何が起きるのか、危ないことはないのか、そんな緊張感で景色を楽しむ余裕なんてなかったんです」
「あー、それは分かるかもー」
鈴音の説明を聞いたアリスも納得顔で頷いた。
「そうだったんだ……二人とも、大変だったんだね。それに、お城に置いて行っちゃって、ごめんね?」
思わず楓が謝ると、アリスと鈴音を顔を見合わせ、すぐに微笑んだ。
「なんで犬っちが謝るのかなー?」
「そうですよ、犬山さん。むしろ、私たちの方が謝らないと」
「え? なんで?」
自分が二人から謝られる理由が分からず、楓は首を傾げながら問い掛けた。
「犬っちがお城を出るってなった時ー、あーしたちはなんもできなかったからさー」
「アッシュ様たちが呼び出し、助けてくれる。その手を振りほどくことが、あの時は怖くてできなかったんです」
「うーん。むしろ、そっちの方が普通だと思うよ? 私がおかしな行動をとったんだから、二人が気にする必要はないからね?」
異世界に召喚されて、いきなり独り立ちしようだなんて考える人は、後にも先にもいないのではないかと楓は考えてしまう。
だからこそ、二人が謝る必要はどこにもなく、やはり自分が謝るべきなのだと思えてならない。
「お互いがお互いを心配してのことだろう? ならば、謝る必要はないんじゃないか?」
そこへ話が聞こえていたヴィオンが声を掛けた。
「確かにねー。カエデはアリスとスズネが心配で、二人もその逆なんでしょう? それって謝るよりも、いいことだと思うけど?」
ヴィオンの意見にティアナも同意する。
すると今度は三人で顔を見合わせ、お互いに笑い合う。
「……あはは! 確かにその通りだね!」
「あーしたち、両想いってこと?」
「うふふ。そうかもしれないね」
謝り合っていた三人が、最後は笑顔を向け合っている。
その姿がティアナとヴィオンには眩しく映り、二人も思わず笑みを浮かべていた。
バルフェムに戻ってくると、鈴音はどこか緊張した雰囲気を抱いている。
「……王城もそうでしたけど、王都の外も初めてなので、緊張しますね」
そんな鈴音の肩に、楓が手を置く。
「大丈夫だよ、有明さん。バルフェムの人たちは、みんな優しいから」
「あーしも受け入れてもらえたもんねー! 鈴っちなら絶対に大丈夫!」
「……うん。ありがとう。犬山さん、アリスちゃん!」
励ましてくれた楓とアリスにお礼を伝え、鈴音は一度深呼吸をする。
「はっ! カ、カエデ様!!」
「「「……楓様?」」」
しかし、楓が王族の一筆が記された書類を持ってきたと知っている門番が彼女を見ると、様付けで声を掛けてきた。
楓はその場で首を傾げ、アリスと鈴音は楓を見ながら同じように首を傾げる。
「そちらの女性の方は!?」
「あ、えっと、鈴音と申します」
「スズネ様でございますね! アリス様もいらっしゃいますし、どうぞどうぞ! そのまま中へお入りください!」
先ほどまで緊張していた鈴音だが、楓だけではなく、アリスのことも認知しており、二人が一緒ならと顔パスで入場を許してくれた。
「ど、どういうこと?」
「……あー! そっか! あーし、レイニャンとミリっちと一緒にこっち来たからかも!」
鈴音が困惑気味に呟くと、アリスは王族の関係者だと思われたのかもしれないと声を上げた。
「私もレイス様からの書類を持ってきてたし、その可能性は高いかも」
「……あ、あはは。私、もしかして、無駄に緊張しちゃってました?」
楓もそう口にしたことで、鈴音は苦笑いしながらそう呟いた。
「まあまあ。問題なくバルフェムに入れるんだから、それでいいんじゃないの? スズネ?」
「ティアナの言う通りだ。それじゃあ、改めて――ようこそ、バルフェムへ」
ティアナが鈴音の肩をポンと叩きながら、そしてヴィオンは門を通るように促しながら、鈴音へ声を掛けた。
「ティアナさん、ヴィオンさん……はい! ありがとうございます!」
こうしてバルフェムに戻ってきた楓たち。
「私は従魔具店へ戻りますけど、皆さんはどうしますか?」
楓の言葉へ最初に答えたのは、ティアナだ。
「私は冒険者ギルドに戻ったことを報告しなきゃ」
「俺もそうだな」
「それじゃー、鈴っちも行こうよ! 冒険者ギルド!」
「わ、私も!?」
まさか全員が冒険者ギルドに行くとは思わず、またアリスが鈴音を誘ったのも楓には驚きだった。
「実はあーし、冒険者に登録したんだー! だからさー、鈴っちもどうかなーって!」
「そうだったの? ……アリスちゃんがそう言うなら、分かった!」
楓とは違い、アリスも鈴音も戦闘で役に立つスキルを授かっている。
自由に生きていくならば、冒険者という選択肢が出てくるのも当然かと楓は納得した。
「分かった。それじゃあ、有明さん。時間が空いたら、従魔具店にも顔を出してね!」
「絶対に顔を出します! 犬山さん、本当にありがとうございました!」
鈴音たちを別れた楓は、その足を従魔具店へ向ける。
「帰ろうか、ピース」
「キュン!(うん!)」
ピースに声を掛けた楓だったが、彼女の足取りは自分でも気づかないうちに自然と速くなっていた。
――カランコロンカラン。
勢いよく従魔具店の扉を開くと、そこには店内を掃除しているリディがいて、カウンターに立つミリーがいて、ちょうどカウンターの奥の部屋からオルダナが出てきたところだった。
「おぉ! 戻ったか、嬢ちゃん!」
「カエデさん! おかえりなさい!」
「おかえり、姉ちゃん! ピースもな!」
オルダナが、ミリーが、リディが、それぞれ笑顔で声を掛けてくれた。
その声掛けが嬉しく、楓は自然と胸が熱くなり、満面の笑みで答える。
「みんな、ただいま!」
「キュキュキキュー!(ただいまー!)」
自分の居場所はここなのだと実感した楓は、すぐに三人の下へと駆け寄っていったのだった。
それは鈴音が外の景色に興奮しきりだったからだ。
「薬草採取の時にも外には出たんでしょう?」
楓がそう質問すると、鈴音は苦笑しながら教えてくれる。
「そうなんですけど、あの時は何が起きるのか、危ないことはないのか、そんな緊張感で景色を楽しむ余裕なんてなかったんです」
「あー、それは分かるかもー」
鈴音の説明を聞いたアリスも納得顔で頷いた。
「そうだったんだ……二人とも、大変だったんだね。それに、お城に置いて行っちゃって、ごめんね?」
思わず楓が謝ると、アリスと鈴音を顔を見合わせ、すぐに微笑んだ。
「なんで犬っちが謝るのかなー?」
「そうですよ、犬山さん。むしろ、私たちの方が謝らないと」
「え? なんで?」
自分が二人から謝られる理由が分からず、楓は首を傾げながら問い掛けた。
「犬っちがお城を出るってなった時ー、あーしたちはなんもできなかったからさー」
「アッシュ様たちが呼び出し、助けてくれる。その手を振りほどくことが、あの時は怖くてできなかったんです」
「うーん。むしろ、そっちの方が普通だと思うよ? 私がおかしな行動をとったんだから、二人が気にする必要はないからね?」
異世界に召喚されて、いきなり独り立ちしようだなんて考える人は、後にも先にもいないのではないかと楓は考えてしまう。
だからこそ、二人が謝る必要はどこにもなく、やはり自分が謝るべきなのだと思えてならない。
「お互いがお互いを心配してのことだろう? ならば、謝る必要はないんじゃないか?」
そこへ話が聞こえていたヴィオンが声を掛けた。
「確かにねー。カエデはアリスとスズネが心配で、二人もその逆なんでしょう? それって謝るよりも、いいことだと思うけど?」
ヴィオンの意見にティアナも同意する。
すると今度は三人で顔を見合わせ、お互いに笑い合う。
「……あはは! 確かにその通りだね!」
「あーしたち、両想いってこと?」
「うふふ。そうかもしれないね」
謝り合っていた三人が、最後は笑顔を向け合っている。
その姿がティアナとヴィオンには眩しく映り、二人も思わず笑みを浮かべていた。
バルフェムに戻ってくると、鈴音はどこか緊張した雰囲気を抱いている。
「……王城もそうでしたけど、王都の外も初めてなので、緊張しますね」
そんな鈴音の肩に、楓が手を置く。
「大丈夫だよ、有明さん。バルフェムの人たちは、みんな優しいから」
「あーしも受け入れてもらえたもんねー! 鈴っちなら絶対に大丈夫!」
「……うん。ありがとう。犬山さん、アリスちゃん!」
励ましてくれた楓とアリスにお礼を伝え、鈴音は一度深呼吸をする。
「はっ! カ、カエデ様!!」
「「「……楓様?」」」
しかし、楓が王族の一筆が記された書類を持ってきたと知っている門番が彼女を見ると、様付けで声を掛けてきた。
楓はその場で首を傾げ、アリスと鈴音は楓を見ながら同じように首を傾げる。
「そちらの女性の方は!?」
「あ、えっと、鈴音と申します」
「スズネ様でございますね! アリス様もいらっしゃいますし、どうぞどうぞ! そのまま中へお入りください!」
先ほどまで緊張していた鈴音だが、楓だけではなく、アリスのことも認知しており、二人が一緒ならと顔パスで入場を許してくれた。
「ど、どういうこと?」
「……あー! そっか! あーし、レイニャンとミリっちと一緒にこっち来たからかも!」
鈴音が困惑気味に呟くと、アリスは王族の関係者だと思われたのかもしれないと声を上げた。
「私もレイス様からの書類を持ってきてたし、その可能性は高いかも」
「……あ、あはは。私、もしかして、無駄に緊張しちゃってました?」
楓もそう口にしたことで、鈴音は苦笑いしながらそう呟いた。
「まあまあ。問題なくバルフェムに入れるんだから、それでいいんじゃないの? スズネ?」
「ティアナの言う通りだ。それじゃあ、改めて――ようこそ、バルフェムへ」
ティアナが鈴音の肩をポンと叩きながら、そしてヴィオンは門を通るように促しながら、鈴音へ声を掛けた。
「ティアナさん、ヴィオンさん……はい! ありがとうございます!」
こうしてバルフェムに戻ってきた楓たち。
「私は従魔具店へ戻りますけど、皆さんはどうしますか?」
楓の言葉へ最初に答えたのは、ティアナだ。
「私は冒険者ギルドに戻ったことを報告しなきゃ」
「俺もそうだな」
「それじゃー、鈴っちも行こうよ! 冒険者ギルド!」
「わ、私も!?」
まさか全員が冒険者ギルドに行くとは思わず、またアリスが鈴音を誘ったのも楓には驚きだった。
「実はあーし、冒険者に登録したんだー! だからさー、鈴っちもどうかなーって!」
「そうだったの? ……アリスちゃんがそう言うなら、分かった!」
楓とは違い、アリスも鈴音も戦闘で役に立つスキルを授かっている。
自由に生きていくならば、冒険者という選択肢が出てくるのも当然かと楓は納得した。
「分かった。それじゃあ、有明さん。時間が空いたら、従魔具店にも顔を出してね!」
「絶対に顔を出します! 犬山さん、本当にありがとうございました!」
鈴音たちを別れた楓は、その足を従魔具店へ向ける。
「帰ろうか、ピース」
「キュン!(うん!)」
ピースに声を掛けた楓だったが、彼女の足取りは自分でも気づかないうちに自然と速くなっていた。
――カランコロンカラン。
勢いよく従魔具店の扉を開くと、そこには店内を掃除しているリディがいて、カウンターに立つミリーがいて、ちょうどカウンターの奥の部屋からオルダナが出てきたところだった。
「おぉ! 戻ったか、嬢ちゃん!」
「カエデさん! おかえりなさい!」
「おかえり、姉ちゃん! ピースもな!」
オルダナが、ミリーが、リディが、それぞれ笑顔で声を掛けてくれた。
その声掛けが嬉しく、楓は自然と胸が熱くなり、満面の笑みで答える。
「みんな、ただいま!」
「キュキュキキュー!(ただいまー!)」
自分の居場所はここなのだと実感した楓は、すぐに三人の下へと駆け寄っていったのだった。
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