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第6章 浄化の儀式
315★時にお金で解決する方がイイ時もある
しおりを挟む和輝の言葉に、竜也が嗤う。
「やだなぁ~和輝………例の狂信者集団対策に使ったって言えば
父からの補充は簡単だよ
なにせ、父もあの狂信者集団を憎んでいるからね
それに、あの狂信者集団の犠牲者の回復に使うんだから
ついでに言えば、この家の人間を正気に戻す為に使うんだから
代金の回収も簡単だろ」
竜也の言葉に、無償ですると思っていた輝虎が再び眉を顰める。
「うん…金をとるのか?」
輝虎の言葉に含まれるニュアンスを読み取り、竜也が首を振って言う。
「あのねぇ~…輝虎くん………こういう、どう見ても旧家系の者はね
外部の者を呼んで、家の存亡にかかわるような秘密の儀式をした時って
無償よりも、お金でカタがつく方が、気分的に楽なんだよ
お金祓ったんだから、秘密を守ってもらって、当然
だから、変な口止めとか、脅迫の必要は無いってね
けっこう、人間心理って複雑なんだよ
だから、かならずしも、無償が喜ばれるわけじゃないんだ
下手すっと、下の者に施されたってコトになっちゃうからね
まして、蓬莱家はみるからに血統主義の旧家のようだしね
ボク達的には全然なんてコトないコトだけど
瞳の色が赤くなったりするコト気にしているようだし
血族婚を重ねると、色々と出るからねぇ…………
まして、あんな狂信者集団に狙われたりしているんだ
警戒心はとても強いんだよ
ボク達のような部外者に頼りなきゃならなかったという心理負担を
お金を払ったという事実が精神への重圧を軽くするんだ」
竜也の説明に、輝虎は納得する。
「ああ……なるほどな………了解した
狂信者集団に襲われたコトで、自分が〔バンパイア〕だと思い込んで
正気を失って、誰かれ構わず…使用人すら襲ってしまうから
座敷牢に入れていたったいっていたもんな
それって、確かに、外聞が悪いコトだな
だから、お金を払ったっていうこころの安寧が必要ということか」
そう言って頷く輝虎に、和輝は細くする。
「まっ…そういうコトだ
その上で、今日の狂信者集団騒ぎ原因になったのが
座敷牢から抜け出して、フラフラと出歩いていた藤夜さんや
体調不良を起こして、真っ赤な瞳で屋敷まわりをうろついた
桜が誘因したらしいって弱みもあるからな
ここで、お金を要求しないと、逆に不信感を持っちまうんだよ
時に、無償って不安を呼ぶんだ
ほら、良く言うだろ『タダより高いモノはない』ってさ」
「ふむ……確かに………それはそうだな…うん」
頷く輝虎に、和輝は更に続ける。
「その上で、この家…蓬莱家の人間にとって、俺達は完全に部外者だ
そういう外の人間に、秘密を知られるのは困るわけだ
そしたら、秘密を守る為の選択は、ふたつしか無いんだ
金を払って黙らせるか、秘密ごとすべて無かったコトにで処分か
まっ……ちょっと古い家系ってなると、まずどこの家にも
こういう秘密ってモンがひとつやふたつ、かならずあるんだけどな
だから、ここはしっかりお金をいただいて、それと引き換えに
俺達は秘密を守りますってした方がイイんだ
だって、これから先も付き合うんだからさ
微妙な関係になるのは良くないだろ
何度も重ねて言うけど、こういう時は、金というカタチで
カタをつけるのが一番なんだよ、どっちにとってもな」
輝虎がきちんと納得したらしいコトを見て取り、竜也が促しの言葉をを口にする。
本人は自覚していないが、やはり自分が縫うはずの衣装に対しての未練が残っているらしく、先を急ぎたくなるのだ。
「というコトで、さっさと手分けして塗りますか、コレ」
そう言って、蓋を開けた箱から取り出したモノを藤夜の腰近くのベッドの上に置く。
「ああ、そうだな」
輝虎が頷いたのを確認し、和輝は頷きながら藤夜の着せられている浴衣に手を伸ばす。
全身に負ったケロイド状の皮膚に負担を掛けないようにと、日常着は脱ぎ着をさせやすい浴衣が基本だと、桜からの説明で聞いていた和輝は、その手触りの良い生地に、藤夜への愛情を感じた。
「そんじゃ…さっさと塗っちまおうぜ」
だが、使い方を知らない輝虎が、首を傾げながら和輝に問い掛ける。
「ところで和輝、その塗り物ってどうやって塗るんだ?」
輝虎の言葉に、和輝はニヤリッと笑う。
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