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第6章 浄化の儀式
329★なんとか蒼夜をやる気にさせよう*side蓬莱家*
しおりを挟む「ダメなのか?白夜?……私の〈カオス〉は、成田空港にある入国管理の
検疫所の檻の中で、1週間もひとり寂しくひもじい思いをしてたんだぞ
確かに、今はあたたかいご飯を食べて、満たされているかもしれないが
私と会えない寂しさは、解消されて無いんだから………」
言い募る蒼夜に見切りを付けた紅夜は、まだやるべきコトがあるので、無情にも再び踵を返して歩き出し、ドアで振り返って言う。
「………んじゃ、俺は、桜の元にもどりますね
連絡は、スマホから入れますから……では、行ってきます」
そう言って、無情に部屋のドアを閉めて、ゲストハウスに向かうのだった。
ドアが閉まる音と、蒼夜の情けない呼びかけが重なる。
「あっ…紅夜」
無情に閉まったドアを見て、ガックリとする蒼夜に、白夜は溜め息混じりに諭す。
「蒼夜兄さん、今回は〈カオス〉と会うのは、諦めてください
それよりも、早く鏡の設置をしましょう……ねっ…蒼夜兄さん
藤夜兄さんを正気に戻す為の儀式に参加できると言った兄弟姉妹と
一族の者達に、文句が出ないようにしなければなりません
その地位に見合った場所に、鏡を設定する仕事を済ませましょうね
今現在、屋敷に戻ってきている、私達がするしかないんですから」
そんな白夜に、まだ諦めがついていない蒼夜が、拗ねたように言う。
「お前も冷たい」
ふて腐れたように言う蒼夜に、流石の白夜もヒキッと来て、冷たい声で言う。
「蒼夜兄さん、今は、藤夜兄さんのコトを考えてください」
怒りを露わにした白夜に、流石に不味いと思った蒼夜は、未練気な溜め息を零れ落としながらも、答える。
「わかったよ…しなければならないコトはきちんとするよ……はぁ~……
本当に、一瞬でも良いから…〈カオス〉に会いたかったなぁ~……
それじゃ~取り敢えず、私達は兄弟姉妹や一族の者が、藤夜の為の
浄化と再生の儀式に参加する為の鏡の位置を設定するとしようかね
一族の全員が、鏡の通信の魔術を使えるわけじゃないけどねぇ
それでも、やはりそれなりの数にはなるねぇ~……」
そう言いながら、蒼夜は座っていたソファーからスクッと立ち上がり、藤夜を正気に戻す為の儀式の下準備の為に必要な大鏡の用意が整っているかをきく為に、静かに控える爺やに声をかける。
「それで、爺や、鏡の数は揃っているのかい?
流石に、どうやっても、使える者全員に連絡は付かなかったねぇ~」
「はい、既に大鏡と台座は、出席者の予定人数分、すべて用意できております」
爺やからの答えに頷き、蒼夜はあきれ顔で自分を見ている白夜を振り返る。
「それじゃ、準備しに行こうか白夜」
ようやく重い腰をあげた蒼夜の言葉に、白夜は少しホッとしたような表情で答える。
はぁ~…ようやく、蒼夜兄さんがやる気を出してくれたか………
とはいえ、蒼夜兄さんの気分は、まだまだ低調のようだ
ここはもう少し蒼夜兄さんに浮上してもらわないと………
大鏡の準備にズルズルと時間がかかってしまう
大鏡は、場所に設置した後もちょっと手がかかるからな
だから、鏡の通信を習得していない紅夜には、任せられなかったんだが
しょうがない、成功しても失敗しても、藤夜兄さんの儀式が終わった後
〈カオス〉に会えるように、手配するか………
今回は人数が多いから、少しの手間と《力》が必要だからな
昨夜、私が桜の部屋に滑り込んだ時にしたようにするしかないか?
少々手間だが、彼ら全員を、深い眠りに沈めるコトはできるし…はぁ~
それで蒼夜兄さんの気分を引き上げて、さっさと手配しなければ
本当に、彼…和輝では無いが、満月期の時間は有限だからな
「取り敢えず、藤夜兄さんの為の浄化と再生の儀式が無事に終わったなら
参加した者達も、ホッとして疲れに誘われて深く眠ってしまうでしょう
そうすれば、あちらにいる〈カオス〉に会いに行くコトも可能なんですよ
私は昨夜、桜の部屋を訪れた時、和輝に眠りの魔法をかけました
確かに、和輝はあの中でとりわけ非常識なほど人間離れしていますが
我々の持つ《力》がちゃんと効きましたから、そういうコトもできます
だから、頑張って藤夜兄さんを正気に戻す為の儀式を成功させましょう
そうすれば、ゆっくりと〈カオス〉と会えますよ、蒼夜兄さん」
白夜からの魅力ある言葉に、蒼夜は嬉しそうな表情で言う。
「うん…そうだね、白夜……それに、藤夜の為の儀式が成功すれば
正気になってくれるかもしれないもんね…では、努力するとしよう」
嬉々として、鏡の設置予定の場所へと向かう蒼夜の後ろ姿を見ながら、白夜はそっと重い溜め息を吐くのだった。
そんな白夜を、爺やは、少しどころではなく『不憫な』という表情で見ていたコトも確かな事実である。
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