お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

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第7章 儀式という夢の後

351★〔バンパイア〕の住処に踏み込むところでした*side蓬莱家*

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 そして、紅夜はとても済まなそうな表情で、藤夜に言う。

 「いえ、つらい目にあったのは、藤夜兄上ですから………
  その、呼び方は兄上で呼ばせてください
  色々とあったので、この口調を維持したいんです…すみません」

 ようやく正気を取り戻し、穏やかに話す藤夜にホッとした紅夜は、そこでふっと気付いて蒼夜に問い掛ける。

 「蒼夜兄上、藤夜兄上に、食事は?」

 その問いかけに、とうの藤夜が肩を竦める。

 「なんか、あまり空腹感がなくてね……」

 藤夜の答えに、紅夜は蒼夜に向かって言う。

 「蒼夜兄上、藤夜兄上に胃に優しい食事を出してください
  今は、和輝が作った大量の《光珠》で空腹感を感じてないようですが

  実際には、身体は飢渇感を感じているはずです
  消化の良いモノを早急に作らせて、食べさせてくださいね

  藤夜兄上、今は食欲を一時的に感じていないだけですから
  なんでも良いので、ちゃんとしたモノを食べてください

  正気を失っていた間、本当に、ちゃんとご飯を食べていなかったので
  心配ですから、肉でも魚でも、身体に肉が付くモノを食べてください」

 とても心配という気配を滲ませて言う紅夜に、食欲が無いからコト断った藤夜も、ちょっと肩を竦めて答える。

 「わかったよ、紅夜、そんなに心配そうにしないで……自分でもね
  この不自由な身体が、随分と痩せているコトは理解わかっていたんだ
  蒼夜兄さん、何か食べやすいモノを頼んでくれるかな?
  今、食べたいモノが思いつかないんだ」

 自分をこよなく無条件で愛してくれる蒼夜に、藤夜はちょっと甘えたように言う。

 実際、視力を失っているだけに、そういう意味での刺激も無いので、食欲を感じていない藤夜には、何を食べて良いのかわからなかった。

 蒼夜は、手元のスマホのラインで、料理長に藤夜に食べさせる為、消化の良い物という指示で丸投げした。

 「フム、料理長に消化に良い物と指示したから、作って来るだろう」

 そんな蒼夜の言葉を聞きながら、紅夜は白夜に問い掛ける。

 「それで、白夜兄上、取り敢えず、何から?」

 紅夜の端的な問いに、話しの取っ掛かりを模索していた白夜は、紅夜を呼び出す口実にした、和輝達への報酬が一番手っ取り早いと思い、口にする。

 「ああ……そうだな……では、まずは、彼らへの報酬の話しでもするか?
  藤夜兄さんがこうして、正気に戻ってくれたのは彼らの功績だからね

  それに、私は、和輝からの情報のお陰で、私は助かったのだからね
  我々真族にとっては、とんでもない危険地帯に踏み込まずに済んだ」

 白夜の重い溜め息混じりの言葉に、その話しを聞いていない蒼夜が首を傾げる。
 勿論、藤夜も紅夜も、蒼夜同様に、その話しを知らないので、白夜を見詰める。

 「白夜兄上?なんの話しです?」

 紅夜が率直に聞けば、蒼夜も不可解そうな表情になる。
 当然、藤夜はもっと微妙な表情で、白夜の方を向く。

 視力的には見えてはいないものの、その分、感覚が鋭くなっているのか、相手の機微を読み取りやすくなっているのだ。

 そんな中、蒼夜が首を傾げながら、確認するように言う。

 「ああ…そういえば、なんか依頼されたとかで…白夜は次の作品の為に
  確か、南米に取材旅行に行ってたんだよねぇ~………
  もしかして、それのコトかい?………何かあったのかい?」

 藤夜は、そんなやり取りに、首を傾げている。
 それも当然で、ほんの2時間ほど前までは、完全に正気を失っていたので、話しの内容が掴めず、何が何だか理解わからないとウニウニしていた。

そんな三人三様の反応に、白夜はハフッと嘆息して頷く。

 「その通りです、蒼夜兄さん
  和輝からの忠告が無かったら、私は、今、ここに居られたかどうか……

  あやうく、あのおぞましい〔バンパイア〕共が今なお根深く巣食う地に
  足を踏み入れてしまうところだったんですよ

  爺やからの又聞きでな…まさに、現地入りする寸前の連絡だった
  桜のコトがあるので、常にスマホを確認していたから助かった」

 白夜の言葉に、紅夜は思いっきり疲れたような表情になり、誰も座っていない一人用のソファーにドカッと座り込む。

 「だぁ~……マジで、危なかったってヤツかぁ……」

 紅夜の言葉に、白夜は重々しく頷いて言葉を続ける。

 「ああ……チャックモールで繫栄した種族とはまるっきり別系統で
  生け贄を好む神を祀っていた古代文明の、大規模な痕跡が有る

  という触れ込みで、テレビ局から持ち込まれてな
  一本、それらしいモンを書いてくれという依頼があったんだ

  現地取材などの費用も持つというものだったのでな
  遥か昔に別たれた、我々真族の血筋の者は居ないかな?と思った

  南米方面は、まだ未確認だったし………と、思って受けたんだが
  いざ現地に行ってみたら……なんというか…空気が微妙だったんだ

  我々真族が好む原始の自然の霊気と、人々が持つ欲望の澱みと………
  様々なモノが混在している場所だった

  痕跡地へ向かう前に、食料と情報の調達の為に、宿泊施設から出て
  市場が開かれているところに入る、まさしくその直前にね

  和輝達の話しを聞いた爺やから、そこは物凄く危険な場所なので
  すぐさま、そこから引き返すようにという連絡があったんだよ

  和輝達いわく、そこはあのおぞましい〔バンパイア〕共が
  長い寿命を持て余して、色々と暇つぶしも兼ねて

  作物の効率の良い栽培方法や魚の養殖方法を教えて
  神として君臨していた場所だと言われてな………」













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