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第8章 親密な関係になりたい
400★桜は懐かしさに浸る*side蓬莱家の桜*
しおりを挟む白夜兄ぃ様が食料品を持って帰って来ると、桃姉ぇ様は白夜兄ぃ様が
帰宅したコトを喜んで、嬉しそうに手の込んだ料理を作ってくれましたわ
白夜兄ぃ様と桃姉ぇ様と桜が同じテーブルに着いて、焼き立てのパンに
ジャムやバターを塗って……なんか、とても寂しくなってしまいましたわ
きっと、和輝が作る、あの美味しい野菜スープのセイですわ
和輝の作る野菜スープは、基本的な味付けなども全然違いますのに
桃姉ぇ様が作ってくれた味と、どことなく似ているのですわ
とても美味しい……そう、どこかホッとするような、優しい味がするのよ
たぶん、和輝は野菜本来の味を上手に引き出しているのでしょうね
だから、桃姉ぇ様が作ってくれた、愛情のたっぷり詰まった料理と
同じ味になるのでしょうね
うふっ……愛情が料理の味を、更に美味しくしてくれるのですわね
………じゃなくて、あの後、しばらくして、白夜兄ぃ様が、桃姉ぇ様を
一族に加えたいからって、隠れ里に連れて行かれたのよねぇ
あの時点では、桜は全然白夜兄ぃ様の一族のコトを知らなかったけれど
きっと一緒になってくれと告白された桃姉ぇ様は、知っていたのでしょう
どこかひっそりとした、自然の息吹を間近かに感じられるような隠れ里
白夜兄ぃ様の父上に、あの隠れ里で初めてお会いした………
『ほぉ~……可愛い女の子だ……名前はなんと言うのかなぁ?』
そう言って、桜を抱き上げてくれたから、すごく嬉しかったわ
桜は、父親の顔も母親の顔も知らなかったから………
子供心に、なぜ、桜達姉妹には両親が居ないのいかしら?って思ったわ
桃姉ぇ様に両親のコトを聞いて、困らせたコトがありましたわね
桃姉ぇ様、なぜかあまり詳しいコトを教えてくれませんでしたわ
桜が生まれてすぐくらいに、両親共に事故で無くなったみたいなコトを
言ってはいましたけど………きっと、それは嘘だったのでしょうね
だって、今考えますと、両親が揃って事故にあって死亡したっていうのは
ちょっと……というか、かなりおかしい気がしたもの
きっと、桃姉ぇ様は桜が哀しまないようにと、嘘を口にしたのでしょうね
本当は、捨てられただけなのかも知れない
もうだいぶ朧げな記憶ですけど……桜と桃姉ぇ様と一緒にくらしていた
あの頃のあの場所では、人買いも…人攫いもありましたものね
いや、今だって、きっと裏では、平気で人の売り買いをしているでしょう
平和で、女子供にそうそう危険が無いのは、日本というこの特殊な国だけ
そんな治安が安定した、この国すら、あんな【狩る者】達は侵入して来る
とは言っても、手引きや支援をしている者はほとんど居ないみたいだけど
………はぁ~……なんか、気分が暗くなってしまいましたわ
そう言えば、ずっと後になって知ったコトだけど、白夜兄ぃ様の父上は
あの時、たまたまフラリッと隠れ里に立ち寄っただけだったでしたのね
『私は純血種としての義務と責任は果たした』と、公言して居たと……
なのに、我欲の塊りのような五月蠅い長老達に『さらなる子を……』と
白夜兄ぃ様の父上じゃなくても、そんなコトばかり言われたらねぇ
長老達に絡まれるのを嫌って、隠れ里に寄り付きませんのも当然ですわね
だから、普段は隠れ里にも寄り付かず、各地を放浪していらしたのね
勿論、自分の庇護欲を誘う、儚くか弱い女性も求めていたのでしょうけど
隠れ里に戻って来るのは、その時に気に入った女性と暮らす為の資金を
取りに帰って来る時だけだと、聞きましたもの
ただ、たまたま、あの時はそういう女性は居ないけど、生活資金が
必要になって立ち寄ったと………
だから、白夜兄ぃ様の父上は、しばらく桜達の側に居てくれたんですよね
私達姉妹が、隠れ里に慣れるようにと………
そうそう、あの隠れ里の奥には、ルビーやサファイアの原石が採掘できる
洞窟が何本かあるという話しを聞いたコトがありましたわね
今更ですが、隠れ里の資金とは、それらだったのでしょうね
白夜兄ぃ様の父上は、それらの原石を持ち出して、売り払っていたのね
そして、たぶんですけど、桃姉ぇ様に色々と貢いでいた時の白夜兄ぃ様も
父上と同じように、それで生活資金を得ていたのでしょうね
ただ、白夜兄ぃ様は出奔して以来戻って無いともきいたのだけど?
今更ですけど、白夜兄ぃ様も謎の多い方ですわよね……今もですけど
ふふふふ…それでも、あの頃とは違う意味で、とても良い暮らしですわ
その頃でしたわねぇ~…紅夜とであったのは………
あの頃の紅夜は、後から聞いたら、隠れ里に連れて来られたばかりで
里の住人達との折り合いも悪くて、とても荒んでいましたわね
繊細なこころとかけ離れた、とても派手で体格も良い見掛けでしたものね
ただ、とても好奇心が強くて……そして、優しい少年でしたわ
白夜兄ぃ様に連れられて来た桜達姉妹を、ちょっと離れたところから
何時も、そっと見ていたわねぇ………
あれは、確か隠れ里に入って三日目ぐらいでしたかしら?
いいえ、五日ぐらい経っていたかもしれませんわね
何時も遠巻きに見ているだけだった紅夜が、桜に声をかけてくれたのは
確か、あの日は、朝から白夜兄ぃ様が桃姉ぇ様を伴って出かけてしまって
珍しく1人ご飯でを食べている時でしたわね
ひとり寂しく、ご飯を食べていたのが不憫になったのかもしれませんわね
そして、桜の前にある料理を見て、首を不思議そうに傾げて………
『お前、そんだけしか食べないのか?』
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