朝起きるとミミックになっていた ~捕食するためには戦略が必要なんです~

めしめし

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第2章 ダンジョン攻略前編

第36話 暴食

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「なんか戦いの最中だったんだねー。ごめんねー。」
ミミックとの戦いの最中に突然現れたチュートリアル。
しばらく音沙汰無しだったのに一体何の用だ?
ピンチの時に!

「いやー、なんか光君がさー、一番選びそうもなかった「闇ルート」選んだから心配したんだよ。」
心配するのは勝手だが、TPOは考えて欲しい。
彼がぐだぐだしゃべっている間にも、僕の体に鉛の矢が突き刺さる。

「あれ、ちょっとピンチな感じ?大丈夫?」

大丈夫かと思ったら、さっさと要件を話して去ってくれ。

「もう、相変わらず怒りっぽいんだから。そもそもレアスキルの【暴食】持ってるんでしょ?この程度の相手に苦戦するはずないよね?」

えっ?確かに便利なスキルだけど、相手に寄れなきゃ意味ないんじゃ…?

「相変わらず光君は頭が堅いなぁ。スキルの説明見たでしょ?『何でも食べれる』って。」

いや、見たけど相手が傍にこなきゃ食べれないよね?

「そこが頭堅いって言ってんの。『何でも』の意味は『何でも』なんだよ。」

えっ、どういうこと?

ドスドス

木箱ミミックの鉛の矢が再度僕の体に突き刺さる。
宝箱ミミックも体を起こし始めた。

「今、重力をかけられて動きがとれないんだよね?食べちゃえばいいじゃん。」

は?重力を食べる?

「暴食ってスキルは、金属でも魔法でも、スキルだって食べられるんだ。とにかくやってごらん」

重力を食べる?とりあえずこうすればいいのかな?
僕はその場で大きな口を開け、重力を食べるイメージで口を閉じた。

バクン。

あっ、体が軽くなった。
これで動ける。

突然動き始めた僕に、2匹のミミックは驚いたのか急に後方に飛び退いた。

「そうそう、そんな感じ。じゃあ次は距離を食べてみよう。」

距離を・・・食べる!?

「相手と自分の距離を口で引っ張るようなイメージ。そうだなー、ポッ〇ーを食べてると短くなるでしょ。短くなると一番先っぽと口の距離が短くなっちゃうよね。」

空気を物に見立てて食べるというイメージか。

「だいたいそんな感じ。じゃあやってみよー」

僕はミミックまでの距離をホットドックを食べるイメージを持って、一口でかぶりついた。

突然、僕の体が前方に急速に引っ張られる!
これ、結構Gがかかる…!

僕は一瞬で木箱ミミックの前に飛ばされた。
突然現れた僕に、驚きを隠せない木箱ミミック。
僕から離れようとするも、逃がす僕では無かった。
僕は口を大きく開き、逃げる木箱ミミックと同じスピードで追いかけた。
そして、僕は一口で木箱ミミックを平らげたのだ。
ミミックを倒した経験値とスキルが僕の中へと浸透する。
だが、確認は後回し。
残りの一匹を始末しなければ。

勝ち目が無いことを悟った宝箱ミミックは、部屋の入口へと彼なりの全速力で駆けていく。
しかし、距離すら食べられる僕の前ではそんな行為は全くの無駄な努力。

僕は彼との距離を食べて、宝箱ミミックの背後に迫った。
【食べるLv8】で食べようとしたが、彼の体は大きく堅く、一口で食べることは出来なかった。

それなら食べやすいように砕いて食べよう。
僕は舌で宝箱ミミックを巻きつけ、僕の体より高く一気に持ち上げる。
【獣神の宝玉】の補正効果は凄い。
たとえ重い宝箱ですら、鉛筆を摘まみ上げるような強さで持ち上げられるのだ。
僕は少し力を入れてミミックを締め付けると、あっさり真っ二つにねじ切れてしまった。

僕は切断された体を一つずつ、口の中へと放り込んだ。

「わかった?これが【暴食】の使い方。Lvが上がるともっとすんごいことが出来るようになるよ。」

これよりも凄いこと…?一体どんなことが出来るんだろう…

「スキルのレア度で言ったら【暴食】ってレアの上のウルトラレアに当たるんだ。今このスキル持ってるのって光くんだけじゃないかな。」

そんなチートスキルだったんだ。

「君の持つ【獣神の宝玉】よりもずっと格上だよ」

物理では無双の【獣神の宝玉】より?凄いスキルを手に入れたもんだ。

「時々光くんのこと見てたけど、戦い方全然なってないね。せっかくいい場所見つけたから、ちょっとここで戦い方を覚えていこう。」

縄張りのはずが、練習部屋になるようだ。

「まずはもう一匹の潰れた木箱ミミックを食べて、スキルとレベルを確認してみようか」

僕はバラバラに破壊された木箱ミミックの傍に寄り、一口で彼を平らげた。

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