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第2章 ダンジョン攻略前編
第47話 エルフの戦士
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ハルクの記憶を食べた後、僕は再び現実に戻った。
恐らく10秒ほどの間だったと思うが、それでも戦闘における10秒は大きい。
いつの間にか床に転がされていた僕は、エルフの戦士が僕を目がけて大剣を振り下ろそうとしているところだった。
間一髪攻撃をかわした僕は、エルフに【ポイズンブレス】を吹きかけ距離を取った。
ハルクはどうだ?
何か変わっただろうか?
ハルクの方をちらっと見ると、腕を組みその場に座り込んでいる。
何かを考えているようだ。
攻撃をされていても、全く動こうともしない。
それはそれで凄いとは思うが…。
僕はハルクの方に近寄り、攻撃してくるゾンビたちに飛び道具で威嚇をした。
僕らから距離を取り、攻撃の隙を伺うゾンビたち。
「何でオデ、こごにいるんだ?」
ハルクは僕が食べた記憶を失っているようだ。
それでも僕のことは覚えているらしい。
(この階層に巣くっている悪者を倒すためだ。奴は死人を無理やり戦わせている)
僕は、ハルクが操られていたということを隠し、咄嗟にボスを倒しに来たという設定を作った。
一応言っていることは間違ってはいない。
「そうだったかなぁ。何かわずれでる気がするけど…。」
ハルクはそう言うも重い腰を持ち上げ、立ち上がった。
ハルクは床に手を伸ばし、床面をむしり取った。
そのまま、ゾンビに向けてむしり取った石を投げつける。
意外とコントロールの良いハルク、ハルクの攻撃は的確にゾンビたちの頭を射抜いていく。
中にはハルクの投石を避けて突進してくる者もいるが、接近戦はハルクの真骨頂。
ハルクの体に触れることも出来ず、ハルクの打撃で潰されてしまった。
残っているのはエルフを始めとする数人のゾンビたち。
エルフの戦士は僕に炎系の魔法を数発放出しながら、僕に向かって飛び込んできた。
そのエルフの戦士に後方から支援魔法をかける別のエルフ。
彼らの攻撃パターンは常に2人1組だ。
まずは、この連携攻撃を断ち切らなければ。
スピードに乗ったエルフが僕に向かって急速に距離を詰めてきた。
僕はエルフの攻撃が届く一歩前に、もう一人のエルフとの距離を【暴食】で食べた。
一瞬でエルフの前に出現した僕だったが、エルフはお構いなしに持っていた杖を振り上げた。
(どうやら驚くといった反応は無いらしい。それもゾンビ化の効果だろうか?)
しかし、すでに攻撃態勢に入っている僕にスピードで叶うはずがない。
僕は彼を一口で平らげた。
初めてゾンビを食べたが、特に違和感がない。
不具合は感じないものの、スキルは手に入らないようだ。
仲間を食べられたエルフの戦士だが、特に気にするような素振りはない。
エルフの戦士は僕の方を向きなおし、突進してきた。
その後ろでハルクに頭を射抜かれたゾンビたちが立ち上がる。
どうやら人間タイプであっても頭を砕くだけでは、動きを止めることは出来ないようだ。
ハルクの方を見ると、シーフタイプのゾンビと戦っている。
以前僕がガイコツの攻撃パターンを探ろうと、見殺しにした男だ。
両肩から首にかけて、獣型モンスターに噛まれた跡がくっきり残っている。
ハルクの攻撃を避けながら、ハルクに何か話しかけているようにも見える。
だが、ハルクであれば苦戦することもないだろう。
僕は僕で残ったゾンビどもを一掃しなくては。
エルフの素早い連続攻撃をなんとか舌で受け流す。
相手の剣を奪おうと何度も【奪うLv8】を使用しているが、全てかわされてしまった。
攻撃の合間に繰り出される魔法攻撃。
僕はその度によけきれずにくらってしまった。
本来ならこのエルフ達は、もっと下の階層に行けただろう。
他のゾンビたちとはレベルが段違いだ。
剣術だけでも厄介なうえ、このエルフは魔法も使う。
至近距離で強力な魔法を受け続けた僕の箱は、すでにボロボロとなっていた。
ぞろぞろと近寄ってくる首なしのゾンビたち。
なぜかハルクの方には向かわず、全員僕の方へ向かってくる。
僕がゾンビたちに視線を逸らすと同時に、エルフの剣が飛んでくる。
もはや一刻の猶予もない。
ゾンビたちが近づく前にエルフを倒さないと。
しかし、そう簡単にはいかなかった。
僕がいくら攻撃をしかけても、エルフには軽くいなされてしまう。
エルフを倒しきれないまま、ゾンビたちの接近を許してしまった。
多方向から襲いかかるゾンビたちの攻撃。
一体一体の攻撃を避けることはそう難しくはないが、一斉に襲いかかられると逃げ場を失う。
さらに、間を縫ってエルフの斬撃が僕を襲う。
僕は避けきれず、いくつも攻撃をもらってしまった。
このままではヤバイ…。
ハルクは一体何をしているんだ。
もはや僕にはハルクの方を向く余裕すら無い。
一瞬でも目を逸らせば、僕はゾンビたちの餌食になってしまうだろう。
この状況を回避するスキルはないか?
僕はスキルボックスの中から、レアアイテム【獣神の宝玉】が持つスキル【殲滅Lv1】に目が留まった。
これは使うことをずっとためらっていたスキルだ。
どれほどの威力があるか想像もつかない。
僕は襲いかかる敵の攻撃を避けながら、【鑑定Lv8】を使用した。
【殲滅Lv1】
強力なかまいたちを発生させ、周囲の敵を切り刻んだ後に内部爆発させる。
恐ろし過ぎる…。
使えば敵はただでは済まないだろう。
ただ、どのくらいの範囲まで有効なのか。
味方に影響は出ないのか。
しかし、このままでは明らかに不利だ。
僕は念のためハルクから大きく距離をとり、向かってきた敵目がけて【殲滅Lv1】を使用した。
うぐぅぅっ
体から大量のSPが消費するのを感じる。
体が引き裂かれそうな強い痛みと、意識を奪われてしまいそうな激しい眠気が僕を襲う。
次の瞬間、肉眼でも確認できる大きな大気のうねりが生じ、一瞬でその場にいた者を切り裂いた。
ハルクでさえも。
胴体から切り裂かれたゾンビたちは、時間差で体内で爆発が起こった。
次々に爆発が起こりゾンビは体ごと消し飛んでいく。
エルフの戦士も例外ではなかった。真っ二つに斬れた胴体が順々に爆発していく。
こうなると呆気ないものだ。
僕はしみじみとそのスキルの威力を感じていた。
僕の他に残ったのは、ハルクとハルクと戦っていたシーフ。
ハルクは背中に傷を負ったものの、命を奪うほどの傷ではない。
シーフは胴体から切断され、ハルクの前に横たわっている。
しかし、その顔にはなぜか笑みを浮かべていた。
僕はハルクに駆け寄り、ハルクの背中に【応急処置Lv2】を使用。
ハルクの背中の傷が幾分か回復したようだ。
しかし、ハルクは地面の方を見たまま動かない。
かすかに体が震えているように見える。
(ハ、ハルク?)
「くくっ、君が最後の引き金を引いたのだ。」
突然後ろから声が聞こえる。
僕が後ろを振り返ると、そこには胴体が切断されたシーフの姿は無かった。
代わりにいたのは、足まで届く真っ黒の光沢のあるローブをまとったガイコツだった。
シーフは奴が変装していたのだ。
たかがシーフ一人にハルクが手こずるはずがない。
奴が直接ハルクと戦っていたのだ。
しかし、何のために…?
僕は、咄嗟に距離をとりガイコツをにらみつけた。
「君が戦うのは私ではない。ハルク君だ。」
ガイコツがそう言うと同時に、傷だらけのハルクが立ち上がった。
恐らく10秒ほどの間だったと思うが、それでも戦闘における10秒は大きい。
いつの間にか床に転がされていた僕は、エルフの戦士が僕を目がけて大剣を振り下ろそうとしているところだった。
間一髪攻撃をかわした僕は、エルフに【ポイズンブレス】を吹きかけ距離を取った。
ハルクはどうだ?
何か変わっただろうか?
ハルクの方をちらっと見ると、腕を組みその場に座り込んでいる。
何かを考えているようだ。
攻撃をされていても、全く動こうともしない。
それはそれで凄いとは思うが…。
僕はハルクの方に近寄り、攻撃してくるゾンビたちに飛び道具で威嚇をした。
僕らから距離を取り、攻撃の隙を伺うゾンビたち。
「何でオデ、こごにいるんだ?」
ハルクは僕が食べた記憶を失っているようだ。
それでも僕のことは覚えているらしい。
(この階層に巣くっている悪者を倒すためだ。奴は死人を無理やり戦わせている)
僕は、ハルクが操られていたということを隠し、咄嗟にボスを倒しに来たという設定を作った。
一応言っていることは間違ってはいない。
「そうだったかなぁ。何かわずれでる気がするけど…。」
ハルクはそう言うも重い腰を持ち上げ、立ち上がった。
ハルクは床に手を伸ばし、床面をむしり取った。
そのまま、ゾンビに向けてむしり取った石を投げつける。
意外とコントロールの良いハルク、ハルクの攻撃は的確にゾンビたちの頭を射抜いていく。
中にはハルクの投石を避けて突進してくる者もいるが、接近戦はハルクの真骨頂。
ハルクの体に触れることも出来ず、ハルクの打撃で潰されてしまった。
残っているのはエルフを始めとする数人のゾンビたち。
エルフの戦士は僕に炎系の魔法を数発放出しながら、僕に向かって飛び込んできた。
そのエルフの戦士に後方から支援魔法をかける別のエルフ。
彼らの攻撃パターンは常に2人1組だ。
まずは、この連携攻撃を断ち切らなければ。
スピードに乗ったエルフが僕に向かって急速に距離を詰めてきた。
僕はエルフの攻撃が届く一歩前に、もう一人のエルフとの距離を【暴食】で食べた。
一瞬でエルフの前に出現した僕だったが、エルフはお構いなしに持っていた杖を振り上げた。
(どうやら驚くといった反応は無いらしい。それもゾンビ化の効果だろうか?)
しかし、すでに攻撃態勢に入っている僕にスピードで叶うはずがない。
僕は彼を一口で平らげた。
初めてゾンビを食べたが、特に違和感がない。
不具合は感じないものの、スキルは手に入らないようだ。
仲間を食べられたエルフの戦士だが、特に気にするような素振りはない。
エルフの戦士は僕の方を向きなおし、突進してきた。
その後ろでハルクに頭を射抜かれたゾンビたちが立ち上がる。
どうやら人間タイプであっても頭を砕くだけでは、動きを止めることは出来ないようだ。
ハルクの方を見ると、シーフタイプのゾンビと戦っている。
以前僕がガイコツの攻撃パターンを探ろうと、見殺しにした男だ。
両肩から首にかけて、獣型モンスターに噛まれた跡がくっきり残っている。
ハルクの攻撃を避けながら、ハルクに何か話しかけているようにも見える。
だが、ハルクであれば苦戦することもないだろう。
僕は僕で残ったゾンビどもを一掃しなくては。
エルフの素早い連続攻撃をなんとか舌で受け流す。
相手の剣を奪おうと何度も【奪うLv8】を使用しているが、全てかわされてしまった。
攻撃の合間に繰り出される魔法攻撃。
僕はその度によけきれずにくらってしまった。
本来ならこのエルフ達は、もっと下の階層に行けただろう。
他のゾンビたちとはレベルが段違いだ。
剣術だけでも厄介なうえ、このエルフは魔法も使う。
至近距離で強力な魔法を受け続けた僕の箱は、すでにボロボロとなっていた。
ぞろぞろと近寄ってくる首なしのゾンビたち。
なぜかハルクの方には向かわず、全員僕の方へ向かってくる。
僕がゾンビたちに視線を逸らすと同時に、エルフの剣が飛んでくる。
もはや一刻の猶予もない。
ゾンビたちが近づく前にエルフを倒さないと。
しかし、そう簡単にはいかなかった。
僕がいくら攻撃をしかけても、エルフには軽くいなされてしまう。
エルフを倒しきれないまま、ゾンビたちの接近を許してしまった。
多方向から襲いかかるゾンビたちの攻撃。
一体一体の攻撃を避けることはそう難しくはないが、一斉に襲いかかられると逃げ場を失う。
さらに、間を縫ってエルフの斬撃が僕を襲う。
僕は避けきれず、いくつも攻撃をもらってしまった。
このままではヤバイ…。
ハルクは一体何をしているんだ。
もはや僕にはハルクの方を向く余裕すら無い。
一瞬でも目を逸らせば、僕はゾンビたちの餌食になってしまうだろう。
この状況を回避するスキルはないか?
僕はスキルボックスの中から、レアアイテム【獣神の宝玉】が持つスキル【殲滅Lv1】に目が留まった。
これは使うことをずっとためらっていたスキルだ。
どれほどの威力があるか想像もつかない。
僕は襲いかかる敵の攻撃を避けながら、【鑑定Lv8】を使用した。
【殲滅Lv1】
強力なかまいたちを発生させ、周囲の敵を切り刻んだ後に内部爆発させる。
恐ろし過ぎる…。
使えば敵はただでは済まないだろう。
ただ、どのくらいの範囲まで有効なのか。
味方に影響は出ないのか。
しかし、このままでは明らかに不利だ。
僕は念のためハルクから大きく距離をとり、向かってきた敵目がけて【殲滅Lv1】を使用した。
うぐぅぅっ
体から大量のSPが消費するのを感じる。
体が引き裂かれそうな強い痛みと、意識を奪われてしまいそうな激しい眠気が僕を襲う。
次の瞬間、肉眼でも確認できる大きな大気のうねりが生じ、一瞬でその場にいた者を切り裂いた。
ハルクでさえも。
胴体から切り裂かれたゾンビたちは、時間差で体内で爆発が起こった。
次々に爆発が起こりゾンビは体ごと消し飛んでいく。
エルフの戦士も例外ではなかった。真っ二つに斬れた胴体が順々に爆発していく。
こうなると呆気ないものだ。
僕はしみじみとそのスキルの威力を感じていた。
僕の他に残ったのは、ハルクとハルクと戦っていたシーフ。
ハルクは背中に傷を負ったものの、命を奪うほどの傷ではない。
シーフは胴体から切断され、ハルクの前に横たわっている。
しかし、その顔にはなぜか笑みを浮かべていた。
僕はハルクに駆け寄り、ハルクの背中に【応急処置Lv2】を使用。
ハルクの背中の傷が幾分か回復したようだ。
しかし、ハルクは地面の方を見たまま動かない。
かすかに体が震えているように見える。
(ハ、ハルク?)
「くくっ、君が最後の引き金を引いたのだ。」
突然後ろから声が聞こえる。
僕が後ろを振り返ると、そこには胴体が切断されたシーフの姿は無かった。
代わりにいたのは、足まで届く真っ黒の光沢のあるローブをまとったガイコツだった。
シーフは奴が変装していたのだ。
たかがシーフ一人にハルクが手こずるはずがない。
奴が直接ハルクと戦っていたのだ。
しかし、何のために…?
僕は、咄嗟に距離をとりガイコツをにらみつけた。
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